「主はやての病を治すために我らは蒐集を行っている。」
シグナムのそのセリフから、とつとつと語るのを聞くに響は八神はやてが病を患っていることを聞く。
おっぱいチートで治す事を考えたのだが、揉ませてくれるはずもあるまい。いや、治るとなれば揉ませてくれるだろうが、治ったとしても一時的なもので根本の闇の書との契約を解かない限りはやてに安息の日々は訪れない。
病は本によって引き起こされる魔法的な何かのようである。となれば本自体をどうにかすれば良いのだが、そんな術が都合よくあるはずもなく、本におっぱいがあるわけでもなく。
響の手持ちの手段ではどうにもできないことがわかる。
響としては原作組みがどうせどうにかするだろうから、助けれたらついでに助ける程度でしか無くあまり深刻には考えていない。
山田君の世界がどうのと言っていた件もある下手に手を出すのは良い選択では無いだろう。
それよりもアイシテルの人化の件だ。
事情を説明し、本を見せてほしいというと「本はさすがに無理だが、私の体ならば幾らでも貸そう。私の体でも十分に用を成せるはずだ」という許可を頂いた。
状況が状況ならばちょっとアレなーーーえろいセリフであるがもちろんそんなことはない。
「それにしてもヤケに素直っすね・・・こうまですんなり行くとなんかの罠かと思うんだが、どうおもう?アイシテル。」
『・・・うーん、まぁそういうタイプに見えないし、大丈夫じゃない?
ただ剣を振るうしかない愚直な剣士って感じだよ?他の三人も謀には向いてないでしょ。仮にも騎士を名乗るわけだし。』
「そういう相談は二人きりの時にやって欲しいものだが・・・剣を振るうしかない・・・か。
概ねその通りだが、それしか能が無いと思われるのも心外だ。一手交えるか?」
「いや、遠慮します。」
「そうか・・・」
しょぼーんとするシグナム。
あ、可愛いと思ったのは心の内の秘密。
「素直に身を任せるのは恩があるためだ。」
「恩?」
「主はやての悩みにーーー気づかせてくれたのはお前だ。受けた恩は必ず返す。それがベルカの騎士の剣とは別の誇りでもある。」
「・・・ええと、それならお言葉に甘えて。」
頭で思い描いた形とは異なったが、結果オーライ。
いつのまにか恩を売れていたようである。
相手が勝手にすすんだ事柄に対して勝手に恩を感じてくれているならばそこを利用しない手はない。
『・・・心が狭いよ。』
「う、うるさいな。確かに俺もここで“いや、そんなに気にしなくてもいい”とかそんな感じのセリフを吐きたいのだが・・・これを逃したらいつまたチャンスが来るか・・・」
『まぁそれもそうだよね。』
「さっそくサーチャーにかけさせてもらうけど・・・準備は大丈夫?」
「ああ、構わない。」
「それじゃよろしく、アイシテル。」
『あいあいさー。』
そしてサーチ。
解析。
組み立て。
『これならすぐにでも作れるよ。』
「まじかっ!?早速お願いっ!!」
『ええと・・・こうして・・・こうして・・・』
魔法陣が展開。
魔法陣に描かれた紋様がめまぐるしく変わりつつ、魔力が徐々に徐々に人の姿を模っていく。
「見事なものだな。お前達は研究者の類か?」
「いや、ただの魔導師。」
「ただの魔導師が闇の書を求めはしまい。」
「さっきから何度も聞くけど、闇の書って何?
夜天の書が正式名称じゃないの?シグナムさんまで俗称で呼んじゃってさ。」
「は?」
「え?」
アイシテルの体が完成。
黒髪がたなびき、両サイドで纏まっている。すなわちツインテールで見た目は14歳ほど。発展途上の胸がたゆむ。
そして、そのまま宙に浮いている。
まぶたがゆっくりと開かれた。
「これが人の体か・・・予想以上に重いな。」
自分の体を見回すアイシテル。
服は着ていない。すっぽんぽんのままだ。
手で覆いながらも隙間からじろじろ見る響。
それに気づいたアイシテルが殴る。
「ぐぶっ!?」
「別にデバイスだし羞恥心は無いけど、そうじろじろ見られるのは不愉快よ。ていうか、視線がエロいバカ!!」
「いや、エロいのは男なら仕方が無いわけで・・・とりあえず服を着てくれませんかね?」
「そうね。えーっとバリアジャケットを展開しちゃえば良いか。」
ブリッツフォーム時の服装を展開するアイシテル。
「何はともあれこれでアイシテルとラブラブが出来るぞぉぉぉおおおおっ!!」
叫びながらアイシテルに抱きつきにいく響。
しかし足が翻り、響にクリーンヒットした。
「だ、だからそれは恥ずかしいからまだダメ。」
少し顔を赤くしながらそうの給う。
若干もじもじしてるのが可愛いのだが、響は気絶したため見れない。
「・・・仮にもオマエの主だろう?足蹴にしていいのか?」
「別にいいの。響だし。」
「・・・そうか。」
シグナムはあまり深く突っ込まなかった。
☆ ☆ ☆
響が目を覚ますと良い臭いがしてくる。
そして何かを煮込むような音と、談笑が聞こえた。
「んぬ・・・ここは・・・というかいつから寝てたっけ?」
「あ、起きたんだ?」
「ああ、なんか良い夢を見ていた気がする。
・・・誰?」
響が声のした方向をみると見知らぬツインテールの黒髪美少女がいた。
もちろんアイシテルである。
「寝ぼけてんの?」
「いや、至って正常だと思うが・・・あれか?
日々彼女を欲しがっていたがために現れた俺の脳内彼女?」
「・・・殴るよ?」
「いや、なぜ殴られるのかが分からない。アイシテル、状況説明プリーズ。」
「見たまんまでしょうが。」
「俺はアイシテルに聞いたんだ。どこぞの好みのタイプ・・・もといアイシテルの人化姿がこんな感じだったら惚れ直すであろう美少女である貴様には聞いてない。で、アイシテル、早く応えろ。なぜ無視するの?」
「いや、だから私が・・・」
「ちょっと、うるさい。今俺はアイシテルと話してるんだ。よく分からんがここにいるということは魔法関係者だろう?アイシテルとの蜜月の時を邪魔するんじゃない。」
「・・・はぁ、まあいいか。すぐ気づくでしょう。」
「アイシテル?アイシテル?
おい、どうした?
なぜさっきから無視し続けるの?え、まさか愛想尽かしたとかそういうことじゃないですよね?
俺、オマエから見捨てられたらもう誰も頼れる人がいないんだけど・・・ちょっと、うんとかすんとかでいいからそれだけでも応えて・・・」
響は人化したアイシテルに気づかない。ゆえにかなり瞳を潤ませている。
そして体が振るえ、今にも号泣しそうだ。
それもそうであろう。
今となってはどんな時でも一緒に居てくれたアイシテルこそが響にとっての最愛の人?だ。
そのアイシテルに愛想を尽かれたとなった響の心境は想像を絶する。
殺されかけるような誤解を受けることがあってもアイシテルがいたからこそ耐えられた。
そんなアイシテルがいなくなれば響は首を吊って死ぬか引きこもるかの二択しかない。いやさすがにそこまで絞られはしない・・・と思われ。
「うんとかすん。」
「だからオマエがそれを言ってどうするっ!?
俺をからかってるのかっ!?
・・・くそうっ!!皆して俺を・・・俺をバカに・・・して・・・アイシテルまで・・・うぐ・・・ぐず・・・どうしてだよぉ・・・アイシテル・・・アイシテル・・・あいしてるぅ・・・ぐず・・・」
目に涙を溜めて、もう泣いているといってもいい響。
アイシテルはため息を吐いて、響を抱きしめた。
「ここに居るでしょ、ばかちん。」
「・・・あい、してる?」
「そうよ、他に響なんかを慰めてやるような物好きは居ないでしょ。わかりなさいよ。」
「あ、あいしてるぅぅぅうううううっ!!」
そのまま抱きしめ返す響。
「ちょっ!?そんな強く抱きしめないでっ!?ひんっ!?
ちょっっとどこ触ってるのよっ!!」
「うわぁああああん。」
「うわっ!?鼻水っ!?
鼻水がすごいっ!!ちょ、あんた達も助けてよっ!!」
「いや、邪魔をしたら悪いと思ってな。」
「なんつーか、これもまたあったけぇよな。」
「私は響君の過去が気になるわ。」
「うううう・・・」
「おい、シャマル、泣くな。」
もちろんずーっと見られていたのは言うまでもない。