旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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「この艦の戦力以上じゃね?なにこれ?」の略称がタイトルです。
…無理があるね、うん。


艦これ

響はというと、今日もコア集めと勤しんでいた。

ついでとばかりにミッドのお金も稼いでいる。

 

そんなある日のこと。

 

『お願いできないかしら?』

『はぁ・・・ええと、娘さんのサポートですか?』

 

響はリンディに仕事として娘のサポートをお願いされている。

娘とは言え、義理の娘でフェイトと言うらしい。

どこかで聞いたような気がしないことも無い。

というか、いつぞやの金髪少女が思い出されたがたまたま同姓同名なのだろうと深く考えなかった。

コア集めで疲れていて頭が働かなかったと言うのもある。

いや、この場にアイシテルがたまたま居なかったと言うのもまた災難であった。

アイシテルが居れば諌めていたものを。

 

響はそのままリンカーコアを一応見られないようにリンディから隠しつつも仕事を快く承諾したのである。

コレが後に面倒なことを引き起こすとも知らずに。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

「どうしてこうなった?」

『・・・なぜ私を呼ばなかった?私がいれば・・・響のバカな行為を止められたのに。』

 

リンディに呼ばれたその日。

艦に来て、響は驚愕した。

なんとなのは達一行がいたのである。ちなみにアイシテルは響の体内にユニゾンしている状態。

 

こいつらをサポートしなくてはいけないのか・・・気が滅入り、彼女たちの姿を見た瞬間に隠れる響。

山田君がいないのが幸いだが、バリアジャケットの姿を一時的に変え、顔を隠せばなんとかなるかもしれない。が、山田君も後からくるとのこと。このままではまずい。

 

山田君はどんな手段にせよ響を認識する術がある。

顔を隠すだけではいつぞやの二の舞であろう。

となればどうするか?

一応プロの魔導師としてここに居る以上は「昔、喧嘩別れした友人が職場に居るので、仕事をしたくありません」などと仕事を放棄できるはずも無い。というか、魔導師というよりも社会人としてダメである。

 

かといってこのまま協力するにしても、問題がある。

仕事内容は「闇の書を守護する騎士人格の捕縛、もしくは消去」であった。

うん、無理。

そう響は断じた。

 

協力しておいていきなり対立勢力にいるとか、意味不明である。

しかもこっちとしてはこのままでははやてが死ぬことも理解している。

友人であるとも認めている。

友人が死ぬと分かっているのに、なぜその真逆の行為をするのか。

もちろん理由ならばある。

闇の書が完成すると一つの世界を滅ぼしかねないからであるが、それでも彼女たちははやてを諦めないだろう。納得しないだろう。

1人の主君のために自身の身はもちろんのこと、世界と主君を天秤にかけて主君に傾くくらいには彼女たち守護騎士四人衆は騎士らしくある。

響としても今まで酷くされた分、はやてに依存している部分が出始めている。

本来、戦いを好まず、ビビリであり、なおかつ将来的に嫌われると分かっているのにも関わらず。

例え巻き込まれても、他の巻き込まれ型主人公とは違い、まずは逃げることを考える彼がわざわざリンカーコアを集めているのは結局のところ、はやての笑顔がーーーというと少し素敵に過ぎる言い方か。

甘えてる。

そう言った方が正しい。

もっと優しくされたい。

ただその自分の満足を第一に、「どうせ、主人公がなんとかするだろう、チートオリヌシの山田君が修正してくれるだろう」という考えの下に、原作がずれることによって世界への滅亡への可能性が高まる懸念を無視して、はやてのために動いている。

 

結局のところ。

彼は単に自分のために。

自分にもっと優しくしてくれるように。

そのためだけに頑張っているのである。

 

多かれ少なかれ人とは見返りを求めるものだ。

仮に「何もお礼はいりませんよ、自分が勝手にやったことですから」という善人らしい人間がいたとしよう。

しかしこれは「人を助けたと言う満足感」を見返りに貰っていると考えることも出来る。

 

このような屁理屈を言っていてはキリが無いのだが、なにはともあれ何がいいたいかと言うとだ。

彼の行為は人間である以上―――いや、動物である以上仕方の無いことで誰も責められないことである。

そしてそれは響自身も自覚している。

ゆえに響は世界の滅亡よりもはやてをーーー正確には自身に優しくしてくれる人間を優先する。

これにはもともとはこの世界は物語であったと言うそういった「現実を舐めている」感覚が抜け切っていないと言う部分もある。

すなわち、この世界に生きている人間はフィクションのようなもので、ゲームの主人公が途中で|死ん<ゲームオーバー>でも深刻に考える人間がいないのと一緒で、響もあまり危機感を抱いてなかった。

 

 

そこで響がとった選択は。

 

 

「・・・勝負のどさくさに紛れて高町さんとフェイトとやらのリンカーコアも奪っちゃう?」

『本気で言ってるの?』

「いんや。八割くらい冗談。」

『・・・ダメだよ?次元犯罪者になりたくないでしょ?』

「わかってるってば。」

 

 

リンカーコアを集めて分かったことだが、これはひどく集まりにくい。

経験値稼ぎがやりづらいゲームなんて目じゃないほどに。

小ぶりの幻獣から奪うリンカーコアでは一行埋まるのがせいぜい。

モンハンで言う所のG級クラスの大型で良くて3ページ。悪いと1ページに満たないこともあった。

さらにこれは“通常”のばあい。

 

やはり何の罪の無い幻獣達に影響を与えるのは気が引ける響としてはリンカーコアの一部を切除し、回収することにしていたため、それに拍車をかける。

無理に全てを取れば前にアイシテルが言ったような副作用が出るのは分かりきっている。

むしろなのはがやられたように、やられてなお魔法がすぐに回復、そしてまるで無かったことのように振舞えるのはひとえに闇の書のリンカーコアの摘出技能が卓越しているからできること。

しかし、そんなものを持たない響としてはより魔力を集めづらくしていた。

ついつい、なのはやフェイトのリンカーコアを集めようと、ちょっと本気で魔が刺しかけたのは誰も責められないというものだろう。

 

何はともあれ、響を悩ませるタネはそれだけではない。

はっきり言おう。

ここの艦の戦力は過剰である。

 

管理局のモブが一生かかっても差を詰められそうに無い才能持ちが響を始めとして、なのは、フェイト、クロノ、山田君、そして・・・

 

「なんだろう?

あの巨乳の人?」

『うううん?

どこか似てるよね。フェイトちゃんに。』

 

プレシアテスタロッサ。

フェイトの母である。

いや、今はアリシアテスタロッサの母か。

 

フェイトはちらちらとそちらを伺いつつも、ため息を吐く。

以前、軽く触れたとおりプレシアは自分の所業に反省はしたものの、フェイトを娘としては見てない。

人形としては見てないものの、娘としては見れないのである。

しかし、フェイトの幼少の頃の記憶は全てアリシアのであったもの。

フェイトからすると唯一の無二であるが、あくまでもフェイトはクローン体で記憶を受け継いだだけに過ぎない。

昨日パンを食べた。

その記憶が人格に影響を与えないように、人格に影響を与えるのは周りの環境が第一である。

アリシアの記憶こそ受け継ぎ、口調や嗜好は一緒であるもののやはり細かい部分で差異が出てくる。

 

プレシアは自身がフェイトを作り出したとして、その罪から逃げようとはしていないものの、別人を娘と言ってはフェイトにとってもアリシアにとっても自分の母性に対しても大変失礼なことだ。

ゆえにフェイトを我が子ではなく、1人の人間としてみている。

 

だが、そんな関係に満足いかないのがフェイトのようであった。

 

さてはて、なぜこの話をしたかというとこれまた問題なのである。

彼女。

今までやってきた罪を軽くするためにアースラ艦に奉仕に来ていた。

司法取引といってもいいかもしれない。

 

「罪を軽くする代わりに反省した証として管理局の手伝いしてよね!」

 

砕けて分かり易く言うならばそういうこと。

もちろん誰しもがこういった取引を出来るわけではなく、能力がある人間に限られる。

大魔導師であった彼女は例外に入らなかった。

山田君の忍術で生き返ったアリシアと一緒に過ごすためにもプレシアはやる気満々。むしろ今回の守護騎士を全て自分で捉えてやるという意気込みなのだ。

いまだ彼女が前戦に出てないのはなんとか山田君が押さえ込んでいるため。

ここに山田君がいないのも裏からなんとかかんとかやっている。というわけである。

 

一番無難なエンドへ向けて山田君は原作をあまり改変したくない。

いや、仮に。

ここではやてを捉えたとすればはやては死ぬしかない。

一つの次元世界と少女の命。

どちらを重視するかは火を見るよりも明らか。

さらには管理局と言う仮にも一般人の安全を守る仕事をしている彼らに博打と言う概念は存在しない。

いちかばちかなどというのは本来、一番避けられてしかるべき手法なのだ。

 

すなわちはやてが管理局に見つかるとそれでもうはやての人生はバッドエンド。

かといって山田君が下手に介入して何か一つでも歯車が狂えば一番避けるべき最悪なカルマエンドとなる。

 

 

 

はっきり言おう。

そこに響まで混じると、まずもって守護騎士達に勝ちは無い。

いや、彼女たちに味方する勢力もある。

それは以前の闇の書事件を担当し、なおかつ今回使い魔にはやての周りを探らせている管理局グラハム提督だ。

 

が。

 

彼は一度闇の書を解放した後、そのまま宿主であるはやてを永久的な封印処理に処するつもりである。

仮に彼らの計画がうまくいったとしても、これまたはやてにとってはバッドエンドである。

 

 

響はどうするべきか迷ったまま、戦場へと身を投じた。

 

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