旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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勇者王参上!!

結局、響は甲冑のデザインを変えて戦うことにした。

双方に対して少なくともすぐにばれるということはないはず。

 

戦いながらどうするかを考えることにしたのだ。

 

響がサポートするのはフェイトのほう。

なのはへはプレシアが行く。

 

これはリンディがフェイトとプレシアの関係を鑑みての組み合わせである。

2人一組で1人の守護騎士を捕らえると言う作戦―――というほどでもない基本方針だ。

ちなみにさすがの山田君もこれ以上プレシアを抑えるのは無理だった。

 

「よ、よろしくお願いします。」

「・・・。」

 

フルフェイスの甲冑を身に纏っている9歳児(身長約120センチ)に戸惑いつつ、フェイトの挨拶に首肯して答える響。カチャリと鎧が擦れる音がする。

一応、声は出しはしない。

 

 

さて、守護騎士達が現れたのは海鳴市上空。

下っ端局員が包囲網を敷き、クロノによる範囲攻撃後、まだ立っているようならば弱らせて捕獲。それが今回の仕事である。

 

「お願い、バルディッシュ。」

『セットアップ。』

 

セットアップするフェイトたち。

戦場に出る前にやっとけと思った。

そして発現したバルディッシュとレイジングハートはその見た目を変えていた。

 

『カートリッジシステム・・・これは本格的にまずいかもね。』

「・・・。」

 

響の体内にいるアイシテルがぼやく。

 

どんどんはやてが捕まる可能性が上がっていく。

響は選択した。

 

「しょうがない。このまま適度に力を抜いて戦おう。」

『いいの?それだとはやてちゃんが・・・』

「・・・どうしろっていうんだよ。ここでシグナムさんたちの味方に付いたところでどんな理由があるにせよ犯罪者・・・前科がかかることは間違いない。世の中ってのはそんなに甘くない。八神には悪いが・・・俺にそこまでする理由はないはずだ。」

『・・・分かった。響がそういうなら仕方ないね。』

「・・・叱らないのか?」

『女の子の笑顔すら守れないのかっ!?って感じ?

少年ジャンプじゃあるまいし、そんなことしないよ。この場ではやてちゃんの味方に付かないのは無難ってところ。はやてちゃんが犠牲になるのは仕方の無いこと。もちろん今回の件は後を考えなかった山田君のせいもある。というかそこが一番だから響は気にするべきでないよ。もし山田君がプレシアテスタロッサを救わなければ響がこの場でわざと負けてハイ終了、だったんだから。むしろ良くやった方だよ。リンカーコアを集めて協力したことがバレればそれだけで捕まりかねないんだから。』

「・・・。」

『それとも叱咤激励して欲しかったの?』

「ああ・・・そうかもしれない。」

『甘ったれたことを言うんじゃない。自分の行動に他者の理由を借りてどうするの?自分で選択した結果、はやてちゃんの味方をすることを諦めた。後悔しようと罪悪感にさいなまれようとそれが響の選択である以上、私に口を挟む筋は無い。』

「・・・ああ、そうだな。せめてばれないように手を抜こう。」

『・・・響は変わらず冒険をしないね。』

「それが俺だからな。」

 

アイシテルの言葉に非難の色は含まれていなかった。

そんな念話をしていると、何時の間にかシグナムも来ていてフェイトが戦っていた。

カートリッジシステムを搭載したため、シグナムたちが劣勢である。

どんなに経験が技術が年季があったとしても、圧倒的な力押しの前にはさすがに歯が立たない。

 

「ここで・・・つったってるわけにも行かないか。」

『どうしたって過剰だよね、戦力が。』

 

響も戦いに加わる。

 

「一対一・・・かと思ったのだがな。」

「・・・。」

 

シグナムは辟易としつつも、絶望的な状況にも関わらずも。

その双眸にはいっぺんたりとも弱い光は存在しなかった。

勝てるはずが無いのに。

負ける道しかないはずなのに。

微塵も負けるつもりの無い顔だ。

なぜそこまで頑張れるのか。

なぜそこまで気張れるのか。

なぜそこまで体を張れるのか。

 

心底から理解できなかった。

彼女達の話によるとたかだか半年にも満たない付き合いだそうだ。

仕えるべき主―――主君だからといって、そこまではやてに心酔する理由はなんだというのだろうか?

プログラムとして組み込まれているからでもなく、闇の書の機能の一部だから、というわけでも無い紛れも無い強い意思を感じた。

 

そんな人間がいる彼女達に響は嫉妬した。

 

 

「どうして・・・」

 

ついと言葉が漏れる。

 

「どうしてそんなにがんばれる?」

「・・・それが我が使命―――いや、そんな無粋な言葉で飾るのも味気ない・・・―――助けるとーーーそう決めたからだ。」

 

戦場に出た人間が悠長に話に付き合うのは意外だったが、それは少しでも時間を稼いで自分の体力を回復させるのと自身を激励する意味もあるのだろう。

 

助けたいから。

そう決めたから負けられない。

そう言葉に出して自分を激励する。

 

 

響の声は鎧でくぐもっていて、幸いに気づかれなかったがそれは最早どうでも良かった。

 

羨ましい。

羨ましい。

羨ましい。

 

ただそれだけが胸を埋め尽くす。

 

自分の身を第一に考える響にとってそれは酷くまぶしく妬ましく。

なによりも羨ましいことだった。

果たして響が同じく追い詰められた時、彼女のように頑張れるのだろうか?

 

自分の醜さに嫌悪しながら、しかしいまだ彼女達に味方する気になどなれない。

鎧の中で涙しながら、響は腰に刺さる一振りのロングソードを抜いた。

とにかくこの人の目の前から消えたかった。

早々にやられて消え去ろう。

 

『っ!?

ひびーーー』

 

突如、腕が視界に入った。

なんだこれは?

 

「あぐ・・・が・・・あ・・・」

 

目の前には腕。人の腕が自分の胸から突き出ているように見えた。

そしてその腕の先には光り輝く一つの球体。

最近になって見慣れるようになってきたリンカーコア。

響のリンカーコアが燦然と輝いている。

 

「このまま闇の書が捕らえられては困るのでな。そしてついでに貴様のリンカーコアも頂いておく。」

「・・・おま・・・え・・・は勇者王?」

 

 

 

 

響はとあるアニメで勇者王と呼ばれた彼と同じ声を聞き、とぼけたことを言ってそのまま意識を閉じた。

なんとなく動いた視線の先には同じように勇者王にプレシアテスタロッサがリンカーコアを取り出されていた。

ああ、ここで魔力を失えば俺の顔が見られるな。と暢気に考えつつ。

 

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