旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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シグナムVSフェイト…とでも思ったのか?

「危なかった。」

『油断はダメだよ。』

「ああ、すまん。」

 

響はなのはのように計算だとか魔力ではなく。魔法で自身の腕力を強化し、それで力づくで引きちぎったのだ。カートリッジを使ってでないととてもじゃないけど解けないほどに強固なバインドで、こんなところでも彼女の才能が垣間見える。

力づくのせいか手首や足首を若干痛めた。

 

しばらく様子を見て、ほどけないことを確認した響は今度こそシグナムたちの援護へ回る。

 

ちなみにであるが、山田君がここにいないのは原作どおりシグナムたちに蒐集させる為。

山田君がここにいては勝てる戦いも勝てなくなる。

そうなると響が相手をするしかなく、そんな2人を除けば最強のプレシアに才能溢れる二人の少女。クロノ、アルフ・・・と確実にシグナムたちは捕まってしまう。

そのために山田君は管理局職員であり、ここ地球が出身世界であることから今回の件に関する援護要請が執拗に来るものの、それをのらりくらりとかわし続けていた。

実際は隠れて様子を伺っており、グレアム勢を闇の書の覚醒と同時に捕まえるつもりでもある。

 

彼はオリ主らしく、「犠牲なんて出さない」派であるがゆえに。

はやてを助けるべく動いている。いや、動くというよりも何もしない方がいいのだが。

しかしそうも行かない。自分の助けたプレシア親子がこうして原作を代えるキーとなりえる以上はその責任は全て彼にある。

今回、響がシグナムたちの味方をしなければ山田君は変身魔法を使ってでも原作組みを倒していたところだった。

響の考えていることが何にせよ、感謝する山田君である。

 

 

「くっ!」

「悪いが・・・君のリンカーコアも貰っていく。」

 

響はフェイトへと切りかかる。

そこへシグナムが踊りかかり、リンカーコアを取ろうと手を伸ばす。

騎士であるシグナムとしては現状は不満たらたらだろうが、はやてのためにも負けるわけには行かない。さらには自分は一度敗退し、この身を捕虜へとやつしている。そんな未熟極まりない自分が何を言える筈もなく。一瞬顔を顰めたがそれだけで思考を切り替える。

 

ソニックムーブで逃げ出そうとするフェイト。

が、ブリッツムーブで回り込まれた。逃げられない。

 

「バルディッシュ!!」

『ロードカートリッジ。フォトンランサー。』

 

光の筋が響を穿とうと迫るがそれを全て切り伏せ、再度切りかかった。

2対1。この状況ならば特に何も考えずに手数で攻め立てて相手を疲弊させる方が良いとした。

 

「ふぇいとっ!?

くっ!邪魔だぁっ!!」

「いかせん。」

 

アルフはザフィーラが。

 

「くそっ!フェイトッ!今援護に・・・ぐっ!?」

「いかせると思うのかよ。てめぇも蒐集対象だ。」

「ヴィータちゃん!準備は出来たわ。」

「はっ!んじゃいくぜ!!グラーフアイゼン!!」

『ロードカートリッジ。』

 

クロノはヴィータとシャマルが抑えている。

 

これならなんとかいけそうだ。

そう判し、響は本腰を入れてフェイトを弱らせることにした。

 

「ディザスターシューター!」

『まるで悪者ね。』

「・・・言うな。」

 

そんなことは百も承知である。

2対1でいたいけな少女を痛めつけている。

そら悪者である。

良心が痛むも響は容赦をしない。

真っ黒な弾丸×10がフェイトに迫る。

障壁でガードするが、そこへシグナムが再度斬りかかった。

砂漠へ叩きつけられるフェイト。

叩きつけられながらも反撃をしてくるが、それを間に入った響が斬り飛ばす。

 

「それにしてもユニゾンするだけでこうまで違うとはね。」

『ええ。でも勘違いしないでよね。これは響の地力じゃないからね?』

「分かってるって。」

 

本来ならばバリアジャケットの変形体にすぎない響のロングソードもとっくに2、3回は折れていただろう。

ブリッツムーブのキレも違う。

 

着陸し、向き合うフェイトとシグナム、さらには響。

フェイトは冷や汗を垂らしつつもどうするかを考えていた。

 

何せシグナムだけでも厄介なのに、それを越える強者まで現れたのだ。

なのはと母親であるプレシアもいるにも関わらず、ここへ来たという事は彼女?は2人に連戦して勝つことが可能なほどの腕前であるということ。

特に心優しい彼女としては、なのは達が心配で気が気でないというのもあり、戦闘に集中できずそれもまた彼女の劣勢に拍車をかけていた。

さらにはアルフとクロノの様子も激しい戦闘の最中に置いて確認はしている。

不利。

その一言で片付けるには簡単すぎるほどに不利な状況に陥ってしまった。

シグナムと彼女が来た途端に優勢だった自分たちの状況が一気に反転してしまった。

手に汗を握りつつもバルディッシュを構え直す。

普段であればバルディッシュを握りなおすだけで自分は1人ではない。そう思え、心が強く慣れる気がするのだが、今やそれも無く。

ただただ焦燥感がつのるばかり。

 

なのはとプレシアはどうしただろうか?

それだけが気がかりで彼女に撤退の道を選ばせない。

その辺にいるのは分かっているのだが、彼女たちを助けるまで自分が倒れるわけには行かない。

その思いだけが彼女を戦場で立たせる唯一の要因だった。

 

「すまんな、テスタロッサ。このような形の決着は望むところではなかったのだが。それも私の未熟さが成す不徳ゆえ。どうか許して欲しい。」

 

シグナムがレヴァンティンを構え、魔力を高める。

必殺技で決めるつもりだ。

 

「いえ・・・別に。分かる気がしますから。」

 

フェイトは薄っすらと彼女たちがなんらかの私利私欲で動いているわけではないことに気づいていた。

昔の自分、譲れない何かのために戦っていた自分となぜか姿が重なる。

だからこそ2対1と卑怯とされる行為であっても責める気にはなれなかった。

自分もあの時、それが母さんのためというならば迷わず卑怯な手段も講じていただろう。

自身の譲れないもののために自分を穢す事を厭わない。

その姿にフェイトは畏敬の念すら抱く。

 

「そうか。」

 

シグナムもそんなフェイトの心境の端を感じ取ったのか、特に何も言わなかった。

そして響は戸惑う。

 

「あれ?なんか一騎打ちな空気になったんですけど・・・ここは空気を読んで引っ込んでるべき?」

『・・・どうなんだろう?』

 

なんかすっごい一騎打ちな、これがラストだ!みたいな空気に居たたまれなくなる響。

もちろん彼女たちの会話を聞く前は参加する気満々であった。

卑怯と言われようと響の性格的に安全パイを取るのは当然。万が一にでも負けがあるかもしれない以上―――というか、魔力ランク的にシグナムの方が不利である以上は傍観の選択は無い。

ゆえに今も万が一にでも負けは無いよう、カートリッジを装填してまで大技の準備をしていた。

体から魔力が迸っているわけだが、響はどうしようかすっごい迷っていた。

ここで手を入れるべきか、否か。

ここで手を出したらKYだろう?

しかしこれはバラエティとかではない。至極真面目な戦闘中。しかもはやての身だってかかっている。

ここは念を押して圧倒的でも負けは無いように動くべきである。にも関わらず。

さて、どうしよう?と考える響。

 

「・・・とりあえず傍観?」

『ここで敢えてKYなことをするという選択肢も面白そうだけど。』

 

傍観することに決めた。

アイシテルの言ったことは無視することにした。

するべきだろう。

 

 

だが、一分ほど待っても二人は動かない。

 

「・・・これが噂に聞く膠着状態というやつか・・・・ごくり。」

 

俗に言う先に動いたら負け。というやつである。

フェイト、シグナム、その双方に渦巻く魔力がその激しさを物語っているような気がした。

ちなみに響の周りにも使われなかった魔力が渦巻いている。

 

しかしてその膠着状態は切れた。

フェイトから動いた。

 

「あの・・・まだですか?」

「は?」

 

どうやらフェイトは響に話しかけただけのようだ。

 

「えと、何が?」

「いえ、ですから、その・・・大技・・・を使うんですよね?」

「えと・・・いや・・・まぁ使うつもりだったけど・・・」

 

・・・まさか?

膠着状態とかじゃなくて、待ってて貰っていた・・・とか?

そう思ってシグナムの方を見ると「空気嫁」と言わんばかりの眼光で睨まれる。

 

えええええええええええっ!?

いや、空気読んだ結果がこれというかね!?

むしろ俺は良くやりましたよねっ!?

 

響はどうやら勘違いしてしまったようである。

というか待ってもらうとはなんと親切な女の子だろうか。

ちょっとずれてる気がしないでもないが、急いで準備をする響。

 

『これが噂にきく膠着状態というやつか・・・ごくり』

「ま、マネすんなバカアイシテル!!」

 

 

そういえばそんなことを恥ずかしくも言っていた気がする。

これが噂に聞く膠着状態というやつか・・・ごくり。

厨二と言っていいだろう。

失笑物だ。

 

 

 

そしてディザスターブレイカーの準備をし終える響。

 

「あ、もう大丈夫です。」

「そうですか。では。」

「ああ。このような形であるが、決着をつけよう、テスタロッサ。」

 

 

フェイトのプラズマスマッシャーと響のディザスターブレイカー、シグナムの飛竜一閃がぶつかり合った。

 

☆ ☆ ☆

 

とでも思ったのか?

 

 

さて、いきなりネタをぶっこんでおいてなんであるが、両者の大技が激突しようとした時、フェイトの胸からいきなり腕がにょろんと飛び出した。

 

「あ・・・ぐ・・・くっ・・・これ・・・は・・・?」

「え?手品?」

『ばか、ドウ考えてもいつかの勇者王の腕でしょ!』

 

もちろんのこと忘年会で披露する様な手品(パフォーマンス)などではない。

あまりのとつぜんっぷりにアホなことを言ってしまったが、響も嗚呼確かにと納得する。

フェイトの後ろには勇者王がいたので別にいきなり腕を出したとかではなく、背後から一突きという感じだ。

 

「あの時はよくもやってくれたな。」

「貴様・・・」

 

ちょっと前のアレを思い出し、響が睨む。

そしてシグナムも一騎打ちという空気でしゃしゃり出るなよ、空気嫁と再度その眼光を強めた。

 

「・・・さぁ、奪え」

『無視されてるよ。』

「む、無視すんなっ!」

「無駄な話をしてる暇はなかろう?

早々に回収し、逃げるべきだ。ほら、来たぞ。援軍が。」

 

勇者王がアゴをしゃくった方向を見ると、彼の言うとおり援軍がワラワラと来ていた。

どうやらモブキャラの皆さん達だ。

リンディが不利な今の状況を見て、援軍を寄越したのだろう。

 

ヴィータたちの方を見ると、もちろんのことクロノの胸に生える腕。

正直こいつら美味しいとこ持って行きすぎですよね?

と思わずには居られない。

 

 

☆ ☆ ☆

 

八神家。リビングにて。

 

「あいつらの目的、ナンダと思う?」

 

ヴィータが話を切り出した。

あいつらとは勇者王の2人のことだ。

 

「あいつらの目的は闇の書の完成だ。テスタロッサのリンカーコアを奪い、私たちに渡した・・・行動的にそう推論するのが普通だろう。」

「そんなことして何になるんだよ?」

「闇の書を完成させて奪う・・・か?」

「ありえねぇ!

そんなことしても主ははやてだ!!どんな手を使おうと奪うなんてできっこねぇはずだ!!」

「ああ、その通りだ。闇の書が完成した時点で契約者たる主はやては強大な力を得る。脅迫や洗脳による効果があるとも思えん。」

「アイシテル・・・最近俺気づいたんだ。闇の書と夜天の書が別物じゃないの?ということに。」

「でも本には闇の書と呼ばれることもあるって書いてなかった?そんな感じのこと?」

「それにしては守護者たる彼女達が俗称で呼ぶのもおかしくない?」

「確かに・・・てことは、本が間違ってるってことかな?」

「そう考えて良いとおもう。」

 

響は響で別の勘違いを発生していた最中であったが。

 

「ねぇ、闇の書を完成させてさ。それではやてが本当のマスターになってさ。足も治って・・・それではやては幸せになれるんだよな?」

 

ヴィータが唐突に独白する。

 

「そんなのは私達が一番わかってることでしょ?」

「ああ・・・そうだよな。でも・・・なんか忘れてる気がするんだよ・・・何か大事なことを。」

「朝ごはんがまだとか?」

「響、今何時だと思ってるの?まだ朝の六時。日が昇ったばかりじゃない。朝ごはんはこれからよ。」

「なるほど、さっそく朝ごはんの準備にとりかかるか。はやてを起こしてきて良いだろうか?いや、別に女の子の部屋を見たいとかそんな邪な打算はちっとも無くてだね!?」

「響・・・私の部屋見ればいいでしょ。」

「いや、アイシテルの部屋は最近出来たばかりでまだ特に個性が現れてないというか・・・」

「・・・いつ入ったの?」

「あ、いや。」

「私、招き入れたこと無いよね?」

「えと・・・ほら、別にいいかな~と。知的好奇心が・・・」

「・・・。」

「ていうか見ればいいでしょってのもおかしくないか?」

「話をそらさないで。勝手に入ったって事よね?

それってちょっとーーーどうかと思うけど?」

「見ればいいでしょって言うくらいなら問題ないかとーーー」

「勝手に入ったってのが問題なんだけど?」

「ごめんなさい。」

「・・・。」

 

じとっと響を睨むアイシテル。

だがしかし、アイシテルは少し嬉しくもアリ、そんな自分がちょっと嫌だった。

自分の部屋を覗く。すなわちそれだけ自分に対する興味を示している。

それが嬉しかったのだが、興味の示し方がこうーーーあれというか。なんというか。

こっそり女の子の部屋を覗くというのはいかがなものだろうか?

もちろん響だって一応の言い訳はある。

たとえば御飯などで部屋に呼びに行く際、留守であることがある。

アイシテルがお花摘みや人化したことによって服を買いにいったりと言う時だ。

そんな時「いないのか?」という確認ゆえに覗く事がある。いや、ノックして返事が無いのだから居ないかもしくは寝ているのだからそこはデリカシーのある人間ならば入るべきではないという判断をするのだが、響にそんなデリカシーがあるはずもなく。

 

そうして開けたドアの先をついつい惚れた女の子の部屋ということで凝視してしまったということだ。

 

アイシテルは嘆息し、とりあえず「人が真面目に話してるときに何の話してんだ!!」とツッコまれる、もとい殴られる響を見て微笑むのだった。

人が殴られてる時に微笑むーーーここだけ見れば嫌な女に見えないこともない。というのは言わぬが花である。いや、言ってしまっているのだが。

 

そんな時だ。

二階から大きな物音がした。

 

皆がいっせいに駆け上がる。位置ははやての部屋と思われた。

 

「はやてっ!!」

 

一番乗りはヴィータである。

倒れて胸を押さえるはやてに駆け寄る。

 

「はやてっ!?はやてっ!!

大丈夫かっ!?」

「動かすなっ!!そっとしておけ!!」

 

響は良く分からん状況に気おされてあたふたしていただけ。

アイシテルが響に言う。

 

「響っ!おっぱいチート!!」

「あ、お、おうっ!!」

 

アイシテルは真面目なのだが真面目に聞こえない不思議。

 

「ヴィータどいてくれ、今治す。」

「え、おま、どうやって・・・」

 

いきなりむんずと、はやての胸を揉みしだく響。

いつぞやのトラウマがよみがえるようだがこれもはやてのため。

さすがにここは揉んでもいいところだろう。

どう考えても倒れるほどの状態は危険だ。

いつぞやのように嫌われると言うのは無いはず。

 

守護騎士達は目を点にする。

最初は唐突にはやての胸を揉みだしたことに。

次は見る見るうちにはやての血色が良くなり、呼吸が落ち着いていくことに。

 

「ふう、これで大丈夫か。アイシテル一応サーチャーを・・・アイシテル?」

「・・・分かってる。」

 

なんだかんだで響を好きになりつつあるアイシテルとしては他の女のーーー例えこの状況と言えどおっぱいを揉むのが面白いとはいえない。

響の頬が恥ずかしさからか、若干赤くなってるのが特に気に食わない。

緊急事態だと分かっていても、どうも気に食わない嫌な気持ちがアイシテルを襲う。

せめて私の胸を揉んでからーーーなどと色々な点でズレた念が沸くがそれもまた捨て置いて、サーチャーではやての体の状態を見る。

一応小康状態といったところだ。

だが、すぐに闇の書による侵食が広まっている。

これではきりが無いだろう。それこそはやての胸を常に揉み続けていなくてはならなくなる。

根本をどうにかしないといけない。

 

「無駄ね。やっぱり根本の闇の書をどうにかしないといけないみたい。」

「そうか・・・。」

 

その後、能力のことを守護騎士に説明し、女心が理解できそうに無いシグナムは「できれば常に胸を揉み続けてくれないか?」と願うも、さすがにシャマルとアイシテルが止めた。

一応子供とはいえはやても女の子だ。

それはちょっと避けたいだろう。

何よりもアイシテルが気に食わない。

 

病気の彼女に献身的に尽くし、常にそばに居るという形に見えないこともないからだ。

面白くない。

もちろんはやての身を案じる気持ちはあるが、それでもやはり響が他の女に尽くすその姿は出来れば見たくはなかった。一時的に解決させるだけで根本の解決にはならないと言うならばなおさらだ。

緊急事態にも関わらず、そんな思考で一杯になる自分の醜さに少し嫌気が指しつつも微塵もそれを許せそうに無い。

強固な意志が自分の中にあるのを自覚する。

 

「・・・不本意ながらどんどん好きになっていってる気がする。」

「ん?何か言った?」

「・・・別になんでもない。」

 

アイシテルは我が事ながらげんなりした。のだが、何となく特別嫌とは感じないから不思議だ。

 

 

結局、はやては入院することとなる。

 

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