旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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『解放』

と、思いきやバインドがその場にいた全員を縛る。

勇者王だった。

 

『響っ!』

「っおうさっ!!」

 

響だけはアイシテルのおかげで避けることが出来た。

 

「また、あいつか!?

ほんと美味しいところで出てくるなっ!?」

『敵っぽいし・・・ボコっちゃえっ!!』

「ああっ!!

とりあえず敵であることは間違いないっ!!」

 

響がバリアジャケットを展開。

ユニゾンインした状態なため、アイシテルのような顔に身長が伸びたりと変化。

変化しながら響はつっこむ。が。

 

「なっ!?」

「貴様はもう用済みだ。ご苦労だった。」

 

横合いからもう1人が現れ、響に蹴りを叩き込む。

ひさびさにきりもみしながら吹き飛ぶ響。

近くのビルにぶつかり、そのまま煙と瓦礫と一緒に堕ちていく。

 

「おい。」

「分かっている。アーク・・・バスター。」

 

片方の勇者王の腕からミッド式魔法陣が展開し、響に追撃をかける。

が、響とてただでやられるほど弱くは無い。

 

「アイシテルッ!!」

『カートリッジローッ!?

前見てっ!!』

「はっ!?

ってがはっ!?」

 

砲撃は囮。

片方が接近して、さらに一撃腹に喰らい、再度ビルに突っ込む。

 

「こっちが本命だ。」

 

続いて撃たれる砲撃魔法。

初撃は見てくれだけの猫騙し。

言葉どおりこれが本命だ。

収束砲が響を飲み込もうとするが、魔法を使うほうの勇者王はさすがにあの場にいた全員をバインドしつつ収束砲というのは無茶だったのか、じゃっかん威力が甘い。

響はロングソードで楽に切り伏せる。

態勢を立て直して、接近としようとしたがガクンと体が何かに引っ張られる。

バインドが片腕に撒きついていた。

 

「ちっ!」

『カートリッジをロードするから力づくで・・・っ!?』

 

その後、さらに転移を使ってきた勇者王。

響をどこかへ飛ばすつもりだ。

 

「このやーーー」

『してやられたっ!!』

 

そのまま響はどこかへと飛ばされた。

 

 

☆ ☆ ☆

 

「邪魔者は片付いた。

次はオマエだ・・・八神はやて。」

「ん?こ、ここは・・・み、皆?」

 

病院屋上。

そこにはすでにリンカーコアを抜き取られた守護騎士達の躯が転がっている。

はやてはそこへ召喚された。

 

「ど、どないしたんっ!?

ヴぃ、ヴィータッ!!ザフィーラッ!!」

 

目の前には勇者王が変装したフェイトとなのはが。

 

「な・・・なのはちゃん?フェイトちゃん?」

「壊れた機械は要らないよね?」

「な、何言うてんの?」

 

さてはて。

少女にとって守護騎士とはどんな存在だったのか。

 

「君は病気なんだよ?」

 

母か姉妹か娘か父か兄か弟か。

病でろくに足を動かせなくなり、ただ大きな家に1人寂しく毎日を過ごすだけの日々。

 

「闇の書の呪いっていう病気。」

 

そんなある日、不思議な出来事が起きる。

本から人が出てくる。

ただそれだけ。

しかし普通ならありえない話。

 

「もう治らないんだ。」

 

でも、彼女にとっては別に普通じゃなくても良い。

家族がーーー1人ではなくなった。それだけで十分なことだった。

 

「闇の書が完成しても君は治らない、助からないんだ。」

 

別に足が動かなくたって良い。

病気で床に伏せっても良い。

 

「・・・。」

 

目の前の2人が何かを喋っている。

でもそれよりも自分のーーーようやく得た幸せの形が失いつつある。

それが一番大事なこと。

 

「・・・。」

 

ようやく得た幸せ。

家族。

孤独な少女だったはやてに例え普通と違えども「一生共に居ることを誓った相手」というのは誰よりも何よりも嬉しいことだった。

 

「・・・。」

 

最初は何をやるにも不器用で仕方の無かった4人が今では自分で考え、自分の身を案じてくれている。

心配してくれている。

それは心苦しくもあるけれど、心沸くことでもあった。

嬉しい。

嬉しくてたまらない。

自分は1人じゃない。

それを実感できる。

実感することこそが彼女にとっての幸せだった。

 

それからしばらく。

友達が出来た。

相馬 響。

彼は変だった。

ちょっと招待しただけですぐ泣くし、当たり前のことをしただけのつもりでも泣いた。

やたらと卑屈なことを言ったりと変人だった。

でも嬉しかった。

 

友達が。家族に続いて友達まで出来たのだ。

ちょっと変だけれど。

これが嬉しくないはずがあろうか。

 

 

そして図書館でもお友達が出来た。

月村すずかちゃんだ。

付き合いが短いにも関わらずわざわざ病院まで来てくれる。

心優しい女の子だ。

本当に幸せだ。

こんな幸せもあの闇の書とやらがやってきてからだ。

きっとあの変な書物が私に幸せを運んできてくれたのだろう。

 

 

でも、あれ?

どうして?

どうして、ヴィータとザフィーラが倒れているのだろうか?

視線をめぐらせて見ればシグナムとシャマルも倒れている。

 

どうして?

 

 

「だから壊しちゃおう。」

 

何を言っているのだろうか?

 

「や、やめて・・・どうしてこんなん?」

「はやてちゃん・・・運命って残酷なんだよ。」

 

何を言っているかわからない。

いや。

分からせようとしてるんじゃない。

自分を挑発しているんだ。

そう。

なぜかは知らないけれど。

 

「やめ・・・なんでやねん・・・なんで・・・」

「やめさせたければ力づくでどうぞ。」

 

家族がーーーようやっと手に入れた幸せがーーーどうしてこうなんねん。

 

何がおきているのか理解するよりも、なによりもただただヴィータたちをヴィータたちを助けてーーー誰でもーーーええから・・・

 

 

ザグン。

あっけない音を発てて、ヴィータの頭が落ちた。

 

 

 

 

「・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

 

『解放(リベラーション)』

 

 

無骨な電子音が響いた。

 

 

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