更新がだいぶ空きましたが、多分これからは大丈夫。
感想も目はしっかり通してますよ。
それに伴って新版も連載再開しようかなとも思ってます。
まだプロットだけで、かつ、ストライカーズ編はあまり長引かせない予定ですが。
vividがアニメ化しましたし、ささっとvivid編でヒロインと絡ませたい。
ちなみに旧版のvivid編はあまり考えてません。
逆に言えばちょっとは考えていたり。
「くそっ!グレアム提督・・・あんたってやつはっ!!」
「山田君・・・だったかね?
噂は聞いているよ。
なるほどその歳で管理局、期待の星と呼ばれるだけはある。よくぞ私の計画を見破ったと誉めてあげよう。」
一方。
山田君がどうしているかと言うと、グレアムに捕まっていた。
グレアムを探っていたのがバレ、逆に罠にはめられていたのだ。
山田君は管理局員としてもはやてに対する覚醒を促すための挑発、もといシグナム達を消し去ることを防ぐためにも裏から動き、裏から止めるべく動いていた。
ところが。
それらの動きが全てグレアム側に漏れていたのである。
当然だ。
長年、管理局員として研鑽を積んできた老獪な人間と、前世分の記憶含め30にも満たない若造。
余程の傑物でもない限り、どちらに分があるかなど子供でも分かる理屈である。
よくも考えてみても欲しい。
ちらほらとグレアムを手玉に取るという展開はチートオリヌシのお決まり展開と言えるが、彼はなのはと同じく才気溢れ、管理局と言う荒波に50年以上も乗り続けてきたベテラン中のベテラン。
なのはを越えるとは行かないまでもそれに近い実力と(現時点ではグレアムのほうが勝るが)、優秀な使い魔、そしてデュランダルといった強力な封印処理をしてのけるデバイスを自前で用意できるほどの技術力まである。
多少でも怪しい動きを見せれば察知されて当然というものだ。
早い話、山田君は彼を―――グレアム提督を舐めていたのである。
そんなに軽い相手であるはずが無いのだ。
ゆえに山田君は逆に尻尾をつかまれ、その身柄を拘束されるという醜態をさらしていた。
「これが・・・一番良い方法なのだ。若い君には分らないだろうけどね。」
「そんなもん・・・分ってたまるかよ・・・」
山田君の目に紋様が広がる。
いつぞやの魔法。というか、忍術の一種である瞳術。天照を使うつもりだ。
この術。この力の元となった漫画では目の焦点をあわせた場所を発火させ、一度発火させたものを焼き尽くすまで炎が消えることが無いという恐ろしい術だが、山田君の魔力でもって再現してるだけに過ぎないため劣化している。
消えないという効果がなくなっているものの、その火力は今、山田君を捉えている結界程度なら簡単に壊すくらいには威力が高い。
だからこそ山田君はその術を使おうとしたわけだが、がくりと膝を付き不発に終わった。
「くっ・・・これは・・・魔力が・・・」
「君のその稀少技能(レアスキル)は素晴らしい。
ありとあらゆる効果を持った魔法を発動させることが出来る。現在の魔法体系のどれにも当てはまらない、まさに魔法のような力だ。
死人アリシアテスタロッサを生き返らせたりなど、技術的、倫理的にも禁断とされる魔法ですら軽く―――とまではいかずとも、容易に実現しうる。まさに神のみわざと言っても良い。」
「・・・魔力を吸い取る結界か・・・」
「だが、それは所詮魔力があってこそのもの。
過信が過ぎたな。山田君。」
「オマエは分ってるのか?
はやては・・・彼女は何もしてない。何も悪くない。なのにも関わらず・・・殺すのか?」
「・・・世の中は奇麗事で終わらせることの出来ないことがままある。
これはそんな物の内の一つさ。流れる血は彼女で最後だ。君だって人を殺したことは一度や二度では無いだろう?」
「だからなんだってんだっ!!
たった一人の少女を守れなくて―――」
「君は他の子供とは違うと思っていたが・・・所詮は9歳児・・・といったところか。
そんな理想論を吐くだけなら今まさに。子供でも出来ることだ。しかし大人は理想論を吐くだけでは務まらない。
理想論が無理なら無理で出来ることをする。それが大人だ。
悪いが、仕上げが残っている。
全てのことが終わるまでここに居てもらおう。」
「・・・はっ。だがまだ終わりじゃな―――」
「クロノを頼っていると言うならば、残念だったな。君が探っているのは分っていた。
そこからクロノのことにも気づいたよ。今頃はダミーの情報に踊らされ、てんで見当違いの次元世界にでもいることだろう。」
「・・・なっ!?
そ、それじゃ・・・はやては・・・原作が・・・」
「原作?
なんのことかは分からないが、君はここまでだ。」
そうして去っていくグレアムの背中は少し煤けていたように思えた。
本来ならば彼の使い魔、リーゼアリアとリーゼロッテが変身した勇者王をクロノが取り押さえ、彼女たちがはやてを封印するのを妨害する役割を果たしたのだが。
山田君の件から警戒を強めたグレアムはクロノも自分のことを探っていることに気づき、罠を張った。
一番避けるべきバッドエンドへと物語りは向かっていく。
☆ ☆ ☆
「たく、どこまですっとばせば気が済むんだ、あの勇者王は。」
『まったくね。まさかあんな辺境まで飛ばされるとは・・・私の性能を持ってしても10分もかかる・・・響。』
「ん?何?」
『あれ、黒い柱が立ってるんだけど・・・』
「黒い柱?何を言って―――わお。なにあれ?」
病院屋上で迸る黒い奔流。
そして中心にははやてらしき人間が居た。
「なぜすっぽんぽん?」
『・・・すけべ。一番に気にするところがそこなのね。』
「い、いやっ!
ちょっと待てって。別にそういうわけじゃなくてたまたま・・・はっ?」
徐々に近づいていくごとにはやての姿がはっきりしていく。
そしてちょっと目を離したと思ったらそこには、はやてじゃなくて白髪で黒い羽を生やしたお姉様がいた。
「イリュージョンショー?誰?」
『はやてちゃんがアレみたい。』
「あれってあのボンッキュゥボンッのお姉様が?」
『キモ。』
「もっとオブラートに包んで言え。ちょっとふざけた言い回しをしただけじゃないか。」
『・・・別にいいけどね。私だってなろうと思えばなれるし。』
「何を張り合ってるんだ。
…それよりもシグナムたちは?
シグナムたちに事情を聞いたほうが早そうだ。なんか空気ぴりぴりしてるもん。
これは敵ごと俺を撃墜フラグ!と見たね。」
『・・・悲しいフラグだね。』
「やかましいっ!」
『で、どうするの?
シグナムたち、いないみたいだけど。』
「は?」
『私のサーチャーは少なくともこの結果内はアリ一匹ですら察知することができるわけで・・・そのサーチャーによると彼女たち以外にはこっちに向かってるユーノとかいうのとアルフとかいう脇役くらいしかいないよ?あ、他にも2人―――』
「え?
主、放ってどこへ?」
『トイレ?』
「この大事な局面でっ!?緊張感無いなっ!?」
どっちが。と言いたかっただろう。守護騎士達が健在ならば。
「ということは?」
『あのぴりぴりしたところに入っていかなくちゃ事情は分らないってことね。』
「ちょっと楽しそうなのはなにゆえ?」
『面白いでしょ?
敵認定されるかどうかの瀬戸際って。』
「ちっとも面白くない・・・ってのは分かって言ってるんだよな?」
『おふこ~す。』
「死ねばいいのに。」
『私が死んだらどんな時でも頼りになる相棒がいなくなるってことだよ?
それにこ、こここ、恋人でもあるんじゃない?』
「恋人・・・なのだろうか?」
『いや・・・なの?』
「そ、そんなわけないじゃないかっ!というかどちらかと言えばアイシテルのほうが嫌がっていたわけで・・・」
「べ、別に嫌なんて言ってないでしょっ!!…いや、言ったっけ?」
ちょいラブコメを繰り広げていると、強大な魔力が集められていく。
「え?なにあれ?」
『どうもなのはちゃんたちをピチュろうとしてるみたい。助けるの?それとも加勢する?』
「おいおい、何年の付き合いだと思ってんだ?
分ってるだろ?」
『・・・傍観・・・?』
「いぐざくとり~。」
『うざ。』
「だからオブラートに包めとっ!!
ていうかあんたがやってきたことをそのまま返した・・・」
『それよりも2人が危ないよ?』
「あの2人なら多分大丈夫でしょ?」
『その2人じゃくて、一般人の2人。具体的に言うとすずかちゃんと、ツンデレっぽい金髪少女。確かアリサとか呼ばれてたっけ?』
「寝ぼけた?
一体どこに・・・」
『・・・まったく私の言うことくらい何も考えずに阿呆のように受け取りなさいよ。』
「そうした結果ややこしいことになったという過去があるんですけどねっ!!」
『今モニターに出すから―――ほい。』
「えーっと確かに2人だが・・・これってマジで結界内に入り込んでるの?」
『いぐざくとり~』
「真似しないでくれます?」
『これでウザさがわかるかと思って。』
「いらん気遣いすなっ!!」
『で、どうするの?』
「いやこれはさすがに・・・」
『傍観?』
「せんわっ!!無力な一般人をこの中に放っておくのは人としてどうかと思うだろうっ!」
『そうしてフラグを立てるんですね、分かります。』
「・・・立ったら良いよね。まんま女の子の姿なのに。」
『え?私の美貌なら性別を越えてとりこにするくらい簡単だと思うけど・・・すなわちこの世の人間すべてが私の愛奴隷ってことよ。』
「自意識すごいねっ!?」
『・・・ちっ。今の私の言葉を聞いてそのツッコミかよ。そこはアイシテルは俺だけのものだとかそういうセリフを返すところでしょうに。』
「ん?なんだって。もっと大きい声で・・・」
『なんでもないっ!!』
「そこは大きく無くていいからっ!?」
今のでヤキモチを焼けというのはいささか酷であろう。
とりあえず2人の救出に向かう響。
ところがどっこい。
「は?」
『あれ、ディザスターブレイカーよね?』
覚醒した闇の書―――以下ヤミちゃんと呼称する―――は上空に飛び立ち、さらなる大技。
ディザスターブレイカーを放とうとする。
『響、これはやばいわ。分かってる?』
「ああ、まずい。非常にまずい。」
集まる黒い光。
黒い光りは徐々に徐々に大きく育っていく。
ディザスターブレイカー。
ここでこの魔法の特徴を述べておく。
この魔法の見た目こそはスターライトブレイカーに酷似しているため、なのはが使えばその見た目はスターライトブレイカーと瓜二つだろう。
黒いのは響の魔力光が黒い、というだけなのだ。
だが、中身はまるで違う。
一応はなのはのディバインバスターやスターライトブレイカーと同じ収束砲撃に分類されるように見える魔法だが、実際は状態変化形魔法メインのなんちゃって収束砲撃といったほうがいい。
ディザスターは災難、災厄を意味する言葉。
この魔法は魔力で強くなるのではなく、術者に降りかかる不幸の度合いによって威力が決まる。
いや、魔法は全て魔力で扱うため、正確には魔力を込めた分以外に術者の不幸を上乗せできるという形である。
ゆえに幸福な物が使ったところで固定の威力のままではディバインバスターに劣る程度の威力しか持たないのだが、そこに災難や災厄。不幸と言われる物が上乗せされると場合によってはスターライトブレイカーすら超える。
すなわち。
自分がなぜこんなに不幸なんだぁっ!という思いを他者に八つ当たりするために作り出した後ろ向きで凡そ仮にも主人公である響の情けない根性丸出しの―――しかし、侮れない創作魔法(オリジナル)なのだ。
ちなみにこの不幸の定義は術者が心の底から不幸だと思うことかどうかで、仮に他人から見た限りで幸福でもその個人が不幸だと思っていれさえすれば良い。
たとえば、無欲を気取るチートオリヌシがハーレムで“実際になってみると辛いだけだぜ”と言っていたらディザスターブレイカーの威力は上がる。
でもその実、内心で嬉しがっていた場合、威力は上がらない。
すなわち無欲を気取るチートオリヌシどもにこれを使わせるだけで本当に言葉どおりなのかが分かるのである。
ということはさておき。
闇の書の災難、災厄、不幸とはどれほどのものか。
これは想像を絶する。
今あの魔法を使っているのははやて自身ではなく、ヤミちゃん自身。
ヤミちゃんの製作されてから今に至るまでの災難すべてがあの一撃に込められている。
今回のはやてに関する件も彼女は災難と感じ、心を痛めている。
どうしてこうなるのか?
どうして自分を手にするものは等しく不幸になるのか?
また全てを破壊しなくてはならない、それが酷く悲しい。
そういった状況に陥る今現在の状況に強く不幸な気持ちを抱いている。
その災難、災厄が今。
振りかざされた場合、どれほどの威力になるか。
アイシテルが焦るのも無理は無い。
響が焦るのも無理は無い。
下手をすればこの結果内の全ての物が消し炭と化す。
アイシテルは自身の計算能力をフル活用し、この場に居る人間全てを一箇所に集めた。
「なっ!?」
「ここは・・・」
まずはなのは、フェイトが驚きの声をあげ、アルフとユーノも驚いている。
すずかやアリサもいるため、いろんな意味で驚きの声を上げる。
勇者王達もいた。
勇者王達はなまじ腕があるだけ、今の現状に気づいて冷や汗を垂らしている。
「説明してる時間は無い。」
響が言った。
「全力で盾を張れ。」
「えっ・・・えと、」
「とっととしろっ!!死にたいのかっ!?」
「は、はいっ!!」
「そっちの少年とお姉さんは月村さんと金髪を。高町さんとフェイトは防御後、一緒にあれを叩きのめす。いいね?」
「は、はい・・・えと、貴方は誰・・・」
「それとそっちの勇者王達は現状がどれだけやばいかは分かってるよな?
手伝え。
下手をすればこれだけでここにいる全員が落ちる。たく、俺のリンカーコアを渡すから・・・」
「・・・くっ、やむをえんか。」
響としてもリンカーコアを差し出すなんてことは彼らに分捕られる前から考えていたことなのだ。
しかし今回のようなことを予想していたアイシテルに念のためやめておこうと言われていた。
「アイシテル、これは・・・」
『ええ。私が変わる。』
最後のアイシテルの機能。
それはジュエルシード並みの貯蓄機能。
そこまで魔力制御能力を持たない響にとっては宝の持ち腐れだった。
しかし、ここまで来た以上そんなことは言ってられない。
ユニゾンは前にも言ったとおりデバイスの力が強ければ強いほど術者に大きな影響を与える。
すなわち。
より能力の高いアイシテルに自分の体の制御を任せることも可能なのだ。
「さて・・・初の披露。
活目しなさいよね。」
口調が変わったこと数人が変な顔をしたがそれも構っていられる余裕はない。
響改めアイシテルの体から黒い魔力が噴出していく。
が、それは徐々に収まる。
一般人の2人を除いた面々が驚く。
「なんだこの・・・凄まじい魔力は・・・人間じゃない・・・?」
「変態仮面のあんたには言われたくないわよ。」
「んなっ!?
へ、変態仮面とはなんだ!!これは由緒正しい―――」
勇者王達が仮面の由緒について語ろうとするがそれは上空の黒い塊によってさえぎられる。
「・・・漆黒の空・・・だな。」
勇者王の1人が上空を見上げ、ついという風に言った。
上空には集まりに集まった魔力が渦巻き、空を覆いつくすほどに肥大化している。
結界からはみ出しそうな勢いだ。
アイシテルは勇者王のセリフを無視し、魔法を練り上げる。
カートリッジが地面に散らばる。
10個の装填(カートリッジロード)に響の持つ自前の魔力、そしてアイシテルの貯蓄された魔力。
それらを持ってしてもおそらく風穴を開けることが出来ればいいほうだろう。
そして此方もディザスターブレイカー・エクセリオンで応戦する。
今現在が災難に見舞われているため、威力は今までとは段違いだ。
さらにエクセリオンは魔力による威力強化も可能にした改良型。
が、それでも届かない。
少なくとも千年に渡る災難の足元にも及ばない。
「ディザスターブレイカー。」
淡白なヤミちゃんの声が空に木霊した。