旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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A,s終幕

というのは響の錯覚で。

前にも言ったように恋とは奇麗事ではないのだ。

 

アイシテルの笑みから、どす黒いオーラが吹き出ていた。

こう沸々と沸いてくる嫉妬の炎が燃え滾る。

もちろん比喩表現であり実際にそんなオーラが出るはずも無く。ゆえにこそ響は気づけなかった。

アイシテルとて分かっているのだ。

分かっているのだけれどやはり。

むしゃくしゃする。

どうすればいい?

この嫉妬を、怒りを、どこにぶつければと考えるアイシテル。

そうして考えた結果、アイシテルのとった行動は―――

そう。

 

「hahahaっ!ひさしぶりじゃないかっ!?最近呼んでくれなくて寂しかったぞ?何、照れるのは分かるがはぶっ!?」

「ふぅ、すっきり。」

 

幻影人形の厨房―――もとい昔の響を出して、魔力を込めたパンチを食らわせることだった。

パンチは無抵抗の厨房の頭にめり込んで、迷わず打ち抜かれ、物理法則に従って潰れたトマトのように赤い水をぶちまけ、塗(まみ)れながら振りぬかれた。

結構なスプラッタ光景が広がる。

響はそのあまりの光景にふらつく。

それは当然である。

仮にも自分の姿をした人間の頭がパーン。なおかつ響は予想が付くと思うが、へたれである。

幻術とはいえ無駄に凝っているため、血が出る仕様だ。

さすがに脳漿(のうしょう)がはじけ飛ぶところの再現まではいかないが、それでも血の吹き出方がシャレになっていない。

血が若干の粘性を持っているのもまたリアルである。

哺乳類の血液と言うのは分かる人は分かるが、さらさらの完全な水道水のような液体ではなく若干の粘性がある。

見た感じちょっとだけネチョっとした感じがあるのだ。

それが忠実に再現されている。

何よりも。何よりもだ。

 

そんなスプラッタな光景を見せておいて、いい笑顔で微笑む自分の恋人?が怖かった。

一息つきながら笑んでいる。

腰に手をあて、自分の額を血で塗れた拳でぬぐう。

腕や頬に伝う返り血が無ければ、可愛い仕草だ。

人によっては萌える仕草の一つかもしれないと言うのに、なぜこんなに恐ろしさが先立つのか。

 

「あの・・・?」

「ん?何?」

「いや、何をやっていらっしゃるのかと・・・」

「むしゃくしゃの解消(かいしょう)だよ?響に甲斐性(かいしょう)が無いから。」

「・・・ギャグ?」

「五月蝿いな。」

 

アイシテルの体に滴る血はあくまでも幻術なのでしばらく経つと消えた。

ほっとする響。

どことなく狂気的な美しさと言った物があったのだが正直、もう見たくないものである。

しばらく顔が青白いままの響だった。

 

「というか厨房が可哀想だろ。」

「別にいいじゃん。響が悪いし。」

「・・・いや、まぁ確かにそうだけども。」

 

 

☆ ☆ ☆

 

その後、言いづらいことこの上なかったが、リインフォースにあれは作戦だったことを伝え、リンディたちから事情聴取などを受けて、ようやく今回の闇の書事件は幕を閉じた。

それぞれのその後を一度整理する。

まずはプレシア・テスタロッサ。

彼女は今回の件で当初その積極的な働きに管理局側は罪を軽くしようとしたのだが、響のアリシア完全復活の取引により、途中で拒否。

管理局側にはデバイスの不調と銘打ち、協力を拒んだとしてそのことを明確な形で責められなかったものの、属託魔導師としての任期が短くなることはなく、以後10年に渡り属託魔導師としての無償奉仕の義務と、5年間の監視がつけられることとなった。

ちなみにプレシアは響のおっぱいチートにより若返ってるため、おっぱいチートを詳しく知られたくない響の希望によりプレシアの姿は変わらず良い年をしたお姉様の外見である。

が、それは変身魔法によるもので、実際は大人版、黒髪フェイトと言っていいような外見である。

アリシア・テスタロッサは故人とされており、プレシアが全力で隠蔽を行っている。

彼女が生き返ったことを知っているのは生き返らせた山田君と、その場に居た数名の人間、そして響とアイシテルのみである。

 

次に響とそのユニゾンデバイス・アイシテル。

情状酌量と、リンディとクロノの尽力により属託魔導師としての無償奉仕5年となった。

子供であることも手伝い、思慮の浅さは仕方の無いことで友達を救おうとしたその気持ちが罪であるはずがなく。

とはいえ犯罪は犯罪であり、最低限のけじめとしてこの判決となった。

なお、リンディとクロノはそのまま管理局に勤めてくれないかと希望しているが、響の性格的にどう考えても、死の危険があるような職業にはつかないだろう。

せめて仕事が選べるフリーランスの魔導師としてが精精だ。

 

今回の主役である八神はやてと守護騎士。

八神はやてはもちろんのこと被害者であり、そこに罪は無い。

リンカーコアの蒐集もはやての企てではないことが分かっているため、彼女は裁判を行うまでも無く家に帰された。

しかし守護騎士である彼女達には監視5年と以後20年に渡る無償奉仕。

四人に罪を分散させ、なおかつ情状酌量の余地があり、誰も人を殺していないと言うことからこれだけ軽くすることが出来た。

この裁判の弁護にはグレアムも関わっている。

 

その管制人格である闇の書改めリインフォース。

彼女も罪としてはかなり軽い。

もともと防衛プログラムの暴走が原因であり、それが取り除かれたことがアースラの設備で検閲済みである以上彼女を拘束する理由は無い。

一部の管理局派閥が管理局預かりのロストロギアとして封印・研究されるべきものと主張したがデバイスと言えど感情があるということで非人道的であり、彼女もまた被害者だ。という言により、無実と化す。

リンディとクロノ、さらにはグレアムたちが頑張ってくれたのだ。

超頑張った。

そして山田君。

彼もまた三人の手伝いとして証拠や反論材料集めに奔走した。

が、グレアムのときで空回り癖でも付いたのか、殆どの資料が役立たなかったと言う。

山田君、ざまぁ。

と見るか、

山田君、可哀想

と見るかは人に依るだろう。

 

 

そしてここからは管理局側には知られていない裏の話も含めた予後話である。

リインフォースは時の経過と共に防衛プログラムが再生するため、本来ならば消去(デリート)しなくてはならなかった。

しかし、その再生を無効化できる人間がいる。

響だ。

なおかつ告白の件の誤解は解けたものの、それでも響に対する恩がどうのこうのということで、治療も際して彼女は響のもとへ。

要するに、元の夜天の書に戻せる能力(レアスキル)を持つ響の所持デバイスへと変わる。

 

 

 

こうして誰一人欠けることなく、重大な人的災害(死者)を出すことも無く。

 

闇の書事件は幕を閉じたのであった。

その最後(エンディング)は2人のイレギュラーによって引き起こされたということを述べておく。

 

 

Fin

 

 

 

 

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