旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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この子供はいったい誰なんだ…

早速、響は依頼のあった研究所に来ていた。

 

「さて、いくぞ・・・アイシテル。」

『準備できたの?』

 

アイシテルとユニゾン済み。

臆病な響としてははなから全力全開、フルスロットルである。ちなみにリインフォースは単体でもかなりの力を持つため、響としてはつれてきたかったのだが、良くも悪くも彼女はロストロギアの管制人格として有名である。

悪いこと・・・と言うわけでもないが管理局にとっての悪いことをするため、彼女が今この場にいると不都合。

響の体内に入ろうにもただ入るだけならばともかく、ユニゾン中はユニゾンの状態が乱れるために不可能。結果、リインは泣く泣く留守番となった。

本当に泣きそうになりながら留守番である。

 

「おうさ。万が一に備えた逃げ道は用意したし、それが潰れた時用に転送のための魔力と術式にもすでにアイシテルの本体の一部にリソースをとってある。2人分(・・・)のな。」

『逃げる準備だけは抜かりないよね・・・情けない。』

「確かにそんな気もするが別にこれは念のためであって、ちゃんと仕事はするぞ!?」

『始めから失敗した時のことを考えてるのが情けないって言ったの!!』

「し、失敗した時のことを・・・後先のことをちゃんと考えておくのは立派だろっ!?」

『た、確かにそうだけど・・・彼女としてはなんかイヤ。かっこ悪い。そりゃ、油断して大怪我するよりは良いけどさ。始めからってのはどうなのよ?ターゲットの場所に来て、まずすることが場所とかの確認よりも真っ先に逃げ道の確認だよ?

プロとして逃げ道の確保ももちろん当然のことだよ?でも・・・感情では納得いかなーいっ!!

ていうか面白くない。』

「面白さ求めて仕事やってないんだよっ!」

『面白さ求めてないんだったら、フリーの魔導師もやめればいいのに・・・』

「それいったら終わりじゃんっ!?」

 

という痴話げんかっぽい会話もほどほどに。

響はそのまま研究所に入り込む。

彼ら研究員に顔を見られたらヤバくない?と思ったが、事が終わるまではやてが拘束するから見られたとしてもその情報が漏れることは無いから思いっきりやってこいとのこと。

たまには自分もスカっと暴れてみるかなと思い、収束砲をぶっ放す響。

・・・の前に。

 

響達はやっておくことがある。

まずは建物の倒壊で中の人間が死なないように一箇所に集めておくことと、実験体―――もとい被害者とやらの確保である。

 

とりあえず被害者の確保が済むまではステルス迷彩の魔法で自分の姿を隠しながらはやてから受け取った研究所の詳細な地図の下、今回の被害者を探し出す。

もちろん相手は簡単に見つかった。

 

別に這いつくばって歩く必要も特別隠れる必要も無いのだから当然。

研究所自体が広かったために多少なりとも時間はかかったものの、10分と経っていないだろう。

 

「うぇぇっ!?」

『真っ裸ね。』

 

培養槽にぷかぷかと浮いていたのは金髪に近い茶髪の髪をした女の子だった。

5、6歳に思える。

もちろん響は子供に欲情するようなアブノーマルさは持ち合わせていないので、特に慌てることは無い。

いや、慌てているのだが慌てているのは幼女が水槽にプカプカ浮いていると言う現状ゆえにだ。

 

 

「な、なるほど・・・一種の室内プールと言うヤツか。」

『どう考えても違うでしょ。』

「え、じゃあ、この子供は室内の真ん中で・・・それも研究員がジロジロと見れるような中央を位置取って真っ裸でありながら健やかに眠っている・・・だと!?

・・・将来が怖い。この歳で裸族を―――」

『それも違うから。ボケはいいからほら、とっとと助けよう。』

「誰を?」

『本気で言ってるの?』

「いや、冗談。

分かってるさ。とっとと被害者とやらを探さないとな。」

『いや、だから・・・目の前のあの女の子がそれでしょ?』

「・・・え?なんで?」

 

一応、響の名誉のためにも言っておくが、これは仕方ないことである。

早い話、響は緊張しているのだ。

 

良く考えれば分かると思うが、犯罪組織が早々簡単に犯罪をしているなどと言う証拠を施設のその辺にばら撒いてるはずも無く、コネの無い局員が視察に来た時など、スパイが入り込んだときなどのためにも一見はただの研究所。

そんなところに普通の人間である響がやってきたところでいつもの調子で―――などといけるはずもなく。

重ねて言うが、緊張によりちょっと判断力を失っているのだった。

もっとありていに言うならテンパっているのである。

そしてテンパッてる上に真面目に働いてるっぽい研究員の皆さんの就職先を叩き潰すと言うのだから罪悪感だとか、本当に逮捕されないのかとか、そんな感じで不安になっている響だったのであった。

 

 

『資料にもあるでしょうが!

緊張してるのは分かるけど、しゃんとしてよっ!!

でないと失敗するよ。』

「そういうのはやめい。フラグになりかねん。」

『物語じゃあるまいし・・・ならないよ。多分。』

「そこは断言して欲しいが、とにかく・・・おしっ!行くぞ!!」

『お~うっ!』

 

響が魔法を発動する。

まずは少女を自分の手元に転送。

前々から被害者の容姿などのざっとした資料ははやてに貰っていたので、すぐに服を着せる。そして。

おなじみディザスターブレイカーを発動した。

が。

 

『ば、ばかっ!?』

 

ど派手に壊すと言うことで久しく使っていなかった一番威力のある魔法を。と思った響だが、ただのディザスターブレイカーではなのはのディバインバスターやブレイクシュートにも劣る弱魔法だ。

ディザスターの名のとおり、自分の身に降りかかる災厄や不幸、災難といったものを砲撃のエネルギーとするディザスターブレイカーと今の幸せになった響とでは相性が悪く、結果、放った魔法は研究所内の警報装置に探知され、少女が入っていた水槽を打ち抜いたときにはAMF(アンチマジックフィールド)がにかき消された。

結果、侵入者がいることを知らせただけになった。

 

「げっ!?」

『すぐに他の魔法を!!

迅速に壊さないと普通の局員がやってきて、はやてちゃん達が介入しづらくなるっ!!』

「お、おうっ!!」

『魔法はディザスターシリーズ以外を使って。暗黒的なエクスカリバーとか、なんちゃって王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)とかミリオンブレイド、クロスブレイドあたりを最大出力で!』

「了解っ!どうりゃっ!!」

 

クロスブレイドで、研究所をケーキを切り分けるように切り裂いて。

ミリオンブレイドで機器類を含めみじん切りに。

なんちゃって王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)で粉々に。

暗黒的な約束された勝利の剣(エクスカリバー)で更地と化した。

警備兵代わりのガジェットたちも殆どが粉砕され、わずかに残ったガジェットもまたアイシテルによるサポート射撃で潰されていくのである。

 

 

「ちょ、ちょっとやりすぎちゃったか?」

 

もちろんやり過ぎである。

そして近くにははやての部下がいた。この時点でなのはとフェイトはすでに六課入りだが、あくまでも偶然を装って近くを通りかかったという設定のため、なのはしかいない。が、それで十分である。

万が一に響が取り逃がした―――指定ポイントに研究員を転送したらなのはが全て捕まえると言う手はず―――研究員をサーチャーで捉えて捕獲が彼女の主な仕事であるからして。

そのなのは経由で現場の状態がはやてに送られると。もちろんのこと。

 

『更地にしろって誰が言うたんやアホォォォォッ!!』

「おわっ!?

や、八神ッ!?」

 

モニターが虚空に開いて響を怒鳴り散らした。

 

『なにしてくれとんねんっ!!

この大騒ぎに乗じて証拠の資料の一つ二つの押収が本当の目的やったのにっ!!』

「で、でも壊せって・・・」

『壊せという仕事依頼でここまで徹底的に壊すやつがあるかいっ!!

ちゅうかっ!!

もはや半分以上更地やんっ!?

研究員もろとも殺す気かっ!?』

「いや、研究員は全員送った・・・」

『確かにっ!!

確かに1人漏らすこともなく送られて、今は事情聴取という建前の拘束中や。

今のうちに私らも現場に行ってとっとと資料を探さないとならん。せやから本来ならわざわざ文句を言う暇もないんやけど・・・これは別や。

加減が分からな過ぎやろっ!?

アホかっ!?

アイちゃんも止めたってやっ!?』

『私もまさかここまで加減知らずとは思わなくてね・・・ごめんなさい。』

「ご、ごめんなさい。」

『もしここで違法性のある書類が取れないと響君たちが指名手配される可能性もあるんやで?』

「なん・・・だとっ!?」

『まぁそれは半分冗談や。』

「は、半っ!?」

『こっちでどうとでも誤魔化せるから、よっぽど優秀なのが向こうにいない限りその心配はないと思ってエエ。

そしていないことも確認済みやから安心して良い。ただそれはあくまでもこの場で違法性のある書類を見つけて研究員を合法的に拘束が出来たらの話で・・・あああああっ!!面倒やわぁっ!!

とにかく、程度を知ってもらわなアカンで!!』

「す、すいません。あのところで・・・」

『ああんっ!?』

「ちょ、ちょっと・・・そんなに怒らなくても・・・」

『そんなに、やて?』

「いや、妥当です。

妥当な怒り具合だと思います。ごめんなさい。」

『で、なんや?』

 

はやては不機嫌そうに。

明らかに「おまえのせいで私これから忙しいんやけど?」オーラを出している。

それでも聞いてくれるのがはやての優しさか。

 

「この子供はどうするの?」

『預かっといて。』

「はぁっ!?」

『受け入れの態勢は出来とったんやけどな。どっかの誰かさんがどこぞを更地に変えよったから、その余裕が無くなってしもうた。せやから響君が預かってもらわな。

もちろん、響君が心配するような問題はあらへん。安心しい。

響君は今も地球に住んでたやろ?

地球は私らの一件で多少なりとも目が向いたとは言え、管理外世界にはかわらへん。

そこまでたどり着けるような有能な人間はあそこにはおらんし、資料によるとその子の記憶処理は不完全。まだ(・・)ただの子供や。子供としての世話以外は無いし、命の危険も無いよ。

これは私からの仕事の依頼パート2。

もちろん口座には十分な育児費も含めて給料払ったる。

値段は・・・こんなもんでどうや?』

 

 

その額に圧倒された響はそのまま少女を引き取ったのであった。

一時的であるし、命の危険は無いと言われて。

 

実際ははやてに「アイちゃんとのマイホームが買えるで」という言葉が決めてだったりするが。

 

 

 

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