旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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転生者ヴィヴィオ?

☆ ☆ ☆

 

「むー!」

「おいおい、そんなに俺に抱きつきたいって?」

「ちがーうっ。」

 

響とヴィヴィオはお互いににらみ合っていた。

ヴィヴィオはむくれている。響は睨んでる。

響の背にはアイシテルが。

 

響はヴィヴィオを転生者だと疑っている。

そしてリリカルなのはの世界は女キャラが数多である。

となれば視聴者男女比率も男に傾くであろうことは予測できるわけで、目の前の少女はきっと中身男の女に生まれることを望んだ変態、もしくは女に生まれてしまった中身男だろうということが考えれられる。

彼女の服を買いに行く時からそうであったがこの幼女。

先ほどからちょいちょいアイシテルに抱きついてはアイシテルのおっぱいを堪能してやがるのである。

 

5、6歳児だからといってここまでスキンシップをしたがるか?

そんな感じの疑問を抱き、嫉妬し、何時の頃からか響はヴィヴィオの抱きつき攻撃―――と言えるほど大仰なものではないが―――をアイシテルとの間に入って妨害するようになったのだった。

もちろんヴィヴィオにそんな下心があるはずもなく。

母親を真っ先にさがそうとしたことから分かると思うが、甘えん坊さんなだけ。

ゆえにその甘える攻撃を妨害する響とにらみ合っていた。

 

傍から見ると幼児と同レベルでムキになる恥ずかしい人である。

いや、中身も概ねそうと言ってもいいのだが、響は相手が中身は大人臭いと疑っているので、それゆえ起こった悲劇と言えよう。

 

「じゃまー!」

「おっと、足が滑った。」

 

響の横をすりぬけてアイシテルに抱きつこうとしたヴィヴィオは響がさせじとバック、リーチも体格も全く違うので余裕で間に入られるヴィヴィオ。

そして響に抱きつくと言う形になる。

 

「そんなに俺が好きなのか?

なんならずっと抱っこしてあげるぞ!」

 

満面の笑みで言っているが、その言葉の裏には「俺の嫁に触れることは許さん」という嫉妬の炎が燃え盛っていた。

子供相手に本気になる大人。

親の顔が見てみたいものである。いや、見ているのだが。

 

一見すると幼女が好き過ぎて自分こそが抱きつかれたいと願う変態に見えないことも無いような気もしないこともないような気もする。

ヴィヴィオがわなわなと震えながら響に抱きつかれながら。

徐々に顔をゆがめ、涙目になっていった。

 

「ううう・・・ふぅぅ・・・ふえええええええええええええんっ!!」

 

子供ゆえに好意を身体で示すための抱きつきだったのだが、それが阻止されるともう最初の愛情表現という理由はどこへなりと飛び。

最早動機などどうでも良くなってただ抱きついてやるという考えの下、抱きつこうと意固地になっていたヴィヴィオだったが、それが無理だと分かると子供らしく泣いてしまった。

 

アイシテルは響をダメ亭主を見るかのような極寒の死線で射殺した後、ヴィヴィオをあやしにいく。

響からヴィヴィオをぶんどって、自分で抱っこする。

 

「ヴィヴィオ、ほら、泣かないで?

お兄ちゃんは私が懲らしめておくからね?」

 

みたいなことを何度かアイシテルから聞くと、ヴィヴィオは徐々に徐々に泣き止んでいった。

 

「・・・ほら、響、言うことあるでしょ。」

「いやでも・・・こいつ・・・」

「響?」

 

じろっと見られては仕方ない。

 

「・・・ごめんな、ヴィヴィオ、確かに大人気なかったよ・・・その、許してくれるか?」

「・・・いや。響なんかきらい。」

「こ、このっ・・・くそが―――いやいや・・・俺は大人だ・・・この程度・・・」

 

もちろん普段ならばここまで大人気ないことはしないのだが、響の中ではヴィヴィオは幼児の演技が上手い転生者となっている。

ゆえにこそ腹が立っているのだが、かといって目の前の幼女が転生者であることが確信を持てない以上、怒る事もままならない。

 

早く八神よコイ!と渇望しつつ、服屋まで行く響とアイシテル、ヴィヴィオだった。

 

 

☆ ☆ ☆

 

所詮、やつも転生者。

俺と違っていずれ原作組みの周りに行くだろう、というわけでそれまでの辛抱だと耐えることにした響。

 

「ヴィヴィオ、これどう?」

「かわいいー!」

「これは?」

「かわいいー!!」

「こっちは?」

「かわいいーっ!!」

「おんどれは可愛いしか語彙がないんかっ!?」

 

たまらずツッコんだ響だったが、ソレしか無いだろう。

常識的に考えて。

だって6歳児ですもの。

 

「ぷいっ!」

 

響の方を見て、ぶすっとしてそっぽを向くヴィヴィオ。

この変態野朗がっ!!と叫んでやりたかったが、何度も反芻しているように彼女が転生者と決まったわけではないのだ。

ただの子供だった時のことを考え、響は耐える。

耐え忍ぶ。

近くのベンチで女の買い物は長いなぁ、と辟易していたところ、アイシテルとヴィヴィオがやってきた。

 

「ひーびきっ!」

「なんだよ・・・アイシテル。」

「見て?

ど、どう?」

 

アイシテルもせっかくだからとでも思ったのか新しい服に身を包んでいた。

少し頬が赤くなる響。

 

「か、可愛いよ!」

「おんどれは可愛いしか語彙ないんかー・・・なんてね。」

「う、うるさいなっ!!」

「私が見る限りヴィヴィオはただの子供だと思うけど・・・」

「でも演技チートとかあるかもしれないじゃないか・・・」

「神様への願いは三つまで。

その貴重な三つを演技だけで埋める?」

「・・・ううむ。」

「まぁおっぱいチートなんてバカなチートを大真面目に頼む人間もいるわけだし・・・」

「へぇ、俺以外にもそんな人いたんだ?」

「いや、響だよ!?」

「え?あ、そう。」

「全く、しっかりしてよね。

今度は向こう。ほら、早く。」

 

といって響の腕を掴むアイシテル。

胸が肘に当たるというベタな展開だが、内心すっごい嬉しかったりする響だった。

 

2人でぴったりくっついて歩いてるとヴィヴィオが間に無理やり入ってきた。

 

「どうしたのヴィヴィオ?」

「私と歩くのっ!」

「ふふふ、響も一緒じゃだめ?」

「・・・。」

 

響を睨み、アイシテルを見て困ったような顔をするヴィヴィオ。

響は嫌いだけれどその嫌いな人間をアイシテルが好いている。

それを子供独得の鋭敏な感受性で感じたヴィヴィオとしては響も一緒じゃイヤ。という本音を胸の内に押し込んだ。

 

「ヴィヴィオ・・・言いたいことがあるなら言ってごらん?」

「・・・・・・響が一緒じゃいや。」

「どうして?」

「だって、意地悪するもん。」

「もうせんわ。」

「うそっ。」

「うそじゃない。」

「うそだもん。」

「うぞじゃないっての。」

「うぅそぉっ!」

「こ、このやろ・・・」

「ほらぁっ!!ほらほらっ!!」

「こっ!?

この・・・」

「響っ!」

「・・・わかってるってばっ!!

・・・ヴィヴィオ、俺が悪かった。もう意地悪しない。嘘じゃない。

絶対だ。約束する。」

「ほんと?」

「ああ、ほんとだとも。その・・・だから仲直りしてくれない?」

 

といって手を出す響。

それを見てヴィヴィオは首をかしげた。

 

「仲直りの握手だよ。こうするんだ。」

 

といって響はヴィヴィオの手をぎゅっとする。

ヴィヴィオはそれを見て、ちょっとポケッとした後に「うんっ!」と元気良く返事をした。

 

 

こうしてとりあえずは転生者疑惑の晴れたヴィヴィオだった。

いくらなんでも口調は真似ても内容まで子供らしくはできまいと判断して。

さらに言えばこれは原作を知っているであろう山田君による原案でヴィヴィオが救出された。

となれば。

原作に関わって不幸をどうにかしたいと考える山田君の原案なれば多分、これから先不幸な出来事、もとい原作のイベントに巻き込まれるのだろうとあたりをつけ、響はとりあえずヴィヴィオを信じることにしたのだった。

 

 

以下、余談。

 

「お、お姉ちゃんっ!ひ、ひびきーーーっ!!」

「どうしたのっ!?ヴィヴィオっ!?」

 

真夜中にイキナリ慌てて響達を呼ぶヴィヴィオ。

可愛らしいイチゴ柄のパジャマの股間がぐっしょりと濡れていた。

どうやらおねしょをしたようである。

 

「気持ち悪いーっ!」

「わかったから、ほら、パンツとパジャマと・・・もう一度風呂に入れなくちゃだめかな・・・」

 

アイシテルが落ち着いてヴィヴィオを脱がす。

響は何事かと思って、寝ぼけ眼ながら急いで駆けつけたわけだが、怪我したというわけでもないようなので安心した。

 

「お、おねしょか・・・ますますただの子供だな・・・」

 

響とアイシテルが顔を顰めたのが分かったのか、ヴィヴィオは不安げな顔を浮かべた。

 

「ご、ごめんなさい。」

「ん?

何がごめんなさいなの?」

「汚しちゃったから・・・」

 

ヴィヴィオなりに2人が慌ててやってきて、あちゃーという顔をした理由を考えたようだ。

悪いことなのだろうか?怒られる?

そんなことを考えてビクつくヴィヴィオ。

 

「そんなの気にしなくていいの。ほら、それよりももう一度綺麗綺麗しよ?

お風呂に入ろうね。」

「でも・・・一人で入れない。」

「分かってるよ、私も一緒に入るから。また洗いっこする?」

「う、うん!!」

「響はパジャマを絞って洗濯機の中に入れておいて。」

「分かってるよ・・・俺も一緒に」

「入るの?」

「いや、言ってみただけです。」

「意気地なし。」

「すまん。でも大丈夫。あとちょっとで抱けるからっ!!この間、キスの本を・・・」

「も、もうっ!

それはいいってばっ!!ていうかそんな裏事情をべらべら話すなッ!!

リアクションに困るわよっ!!」

「え、あ・・・うん、まぁそうだ。」

「回りくどく私で試させてとか言ってるの?それとも。」

「ち、ちがっ!?」

 

妖艶に微笑みながら響をからかうアイシテル。

くちっ!というヴィヴィオのくしゃみを聞いていけない、と思いなおす。

 

「ごめんね、ヴィヴィオ。すぐに入らないと風邪引いちゃうね。」

 

その後、2人仲良く入り、上がってきたら三人で仲良く川の字で寝た。

 

 

 

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