旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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うだうだ

「どうするべきか・・・。」

 

響は悩む。まぁ悩む。

アイシテルの言ったことを纏めると自分の思うままにということである。

自分の思うままに。

改めて考えるとなかなかどうして難しいかもしれない。

趣味の無い人間に趣味を見つけろと言っているようなものである。

 

人という生き物は他の生き物に比べて確かに気遣いと言うものがある。

気遣いゆえに自分のしたいことができないと言うやつだ。

だが、それはそれで言わば自分のしたいことと気遣い、すなわち自分の気持ちを天秤にかけ、傾いた方を行っていると言うことであって、気遣いと言えどそれはやりたいことである。

そう言えるのではないか?

 

あれから3日。

うんうん唸って考えつつもいまだ答えは出ない。

リインフォースとも一見変わらず話をしているがやはりどこかぎこちない。

いや、ぎこちないのは響だけであってリイン自体は特に何も気にしてないように見える。

少なくとも表面上は。

そして対するアイシテルも特に気負う部分は見られない。

こちらも同じく表面上は。

アイシテルは響の思うままにとか抱いたとしても構わないとか言っていたが、それは嘘だろう。

今まであれだけやきもちを焼くところを見てきたのだ。

むしろ響に言っていたことは響を困らせないために、出来るだけ穏便に済ませるために言った方便であると言った方がまだ納得できる。

 

 

「・・・決まってはいるんだよな。」

 

 

ちょっとした反則。

ちょっとした言葉遊び。

詭弁。

だけれど少なくとも納得できる。

と思われる選択肢は2つ見つけているのだ。

 

まず一つは時間を戻せたら・・・と考えた。

はやてとの話の時にひらめいたことだ。

おっぱいチートでリインの記憶を自分と出会う前に戻す。

一番無難で一番簡単な、そしてリインのためを思うと一番良い選択なんではないか?

と響は考えた。

でも。

 

「俺が幸せにするわけじゃない・・・か。」

 

 

響は良くも悪くも普通の男の子。19の成人間近、しかしまだちゃんとした大人には一歩足りない男の子に過ぎない。

特別甲斐性があるわけでも、特別傑物な人間と言うわけでもない。

確かにアイシテルの言うことは正しい。

そう思う。自分は人を幸せに出来るほど大きな器は無く、せめて自分の幸せを掴んで維持する。それだけで精一杯のただの凡人だ。

口惜しいことに、少なくとも現状ではアイシテルたちが勝手に幸せになってもらうしかなかった。自分の幸せだけで精一杯なのだから。

そんな自分が自分を好きで居てくれた人間が幸せであるようにと思うのは確かに驕りが過ぎるだろう。

彼女の思いを断れば彼女を傷つけるし、受けたとしてもアイシテルを傷つけることになる。

どちらも傷つけずに、なんてのは到底無理なことなのは否めない。

そのうちのリインの問題を片付ける一番良い形が記憶を弄ること。

 

傷ついたと言う事実も無くすことが出来る。

これもまた驕りが過ぎる、のだろう。きっと。

 

 

そして二つ目の選択肢。

これは本当に、本当に馬鹿馬鹿しくて、子供の良いわけみたいに不細工で、しょうもない。

言葉遊びに近いだろう。

だが、アイシテルの。ひいてはリインのためを思うならこちらの手段を取るべきでは?

と思っている自分が居た。

 

「・・・よし。」

 

きっとこれは普通に振ってしまうよりも悪いことかもしれない。

もしかしたら、アイシテルに愛想をつかされるかもしれないし、リインだってイヤだと言うかもしれない。

でも、アイシテルは言った。

響が思うままに。と。

 

だったら一つ思うままに言ってみようじゃないか、と。

呟いて響はリビングで2人を呼び出した。

 

 

☆ ☆ ☆

 

「・・・なんだ?響。」

「答えが決まったのね?」

「・・・っ。」

 

アイシテルは元々響が何を思い悩んでいたのかが分かっている。

しかしリインフォースはびくりと震えた。

完全に、はっきりと振られるのを恐れてか。

それとも家を追い出されるのか。もちろん追い出されると言っても疎んで、ということじゃない。

響の勝手な善意、偽善と傲慢で家を追い出されることを恐れた。一度距離を置いた方が良いなどと言われたらリインとしては泣くだろう。例え振られても一緒にいる。家族としてでも愛してもらえる方がリインにとっては何倍も嬉しいことである。

それとも?

 

「あのな・・・真面目に色々考えた。

この3日。多分今までで一番深刻で難しくて・・・ただ悶々としてただけだったかもしれない。けどなんとか答え見たいのを見つけ出した。だから・・・聞いて欲しい。リインフォース。そしてアイシテル。」

「記憶を消す・・・か?」

「・・・響。」

 

リインの言葉にアイシテルが反応して響を鋭く睨む。

もしそうなら・・・と剣呑さが増していた。と言ってもアイシテルは何もしなかっただろう。それも含めて、その選択をした響の価値観も含めて愛すと言っているのだから。

リインフォースに至っては戦闘態勢に入るほどだ。

 

「確かに考えた。でも、しない。アイシテルに言われたし、確かにその通りだと思う。リインが望むなら・・・だけど、その様子だと無さそうで・・・その正直なところ嬉しい。」

「では・・・私を愛人として・・・だろうか?」

「・・・ううん、違う。

リインフォースはその・・・俺の姉として愛してる。」

「姉?」

「そう。

姉。

でもそれだと今までと変わらないじゃないか?

でも、違う。

なんていうか・・・上手く言えないんだけど、姉として一番好きで、愛していて、近親相姦的な意味での姉として好きと言うか・・・」

 

アイシテルが気づいたのか響の言葉を補足する。

 

「・・・なるほど。

別に姉だからと言って抱いちゃダメなんて言う文化はあれど、実際問題、近親相姦をする動物は沢山いるしね。

要は・・・そういうこと。

・・・なんというか言葉遊びも良いところよね。それっていわば愛人と言い換えても良いじゃない。」

「・・・そうなんだけどな。でも、俺がいやだったんだ。その、二番とか。奇麗事だけど、言葉の上だけれど二番じゃなくて一番として愛したくて・・・その・・・肉体関係ありの姉として一番に愛してるというのが・・・その俺の答え、なんだ。」

「それって実質、優柔不断な選択してるの分かってる?

ただの言葉遊び、詭弁。通用するはず無いじゃない・・・普通なら。」

「ああ。だから・・・その・・・嫌いになられる覚悟を持って今言ってる。」

「・・・嫌いって誰が?」

「いや、だから・・・そのアイシテルとリインフォースに・・・だな。

俺はその・・・やっぱり普通の男で普通の人間だから、ハーレム物主人公が言うところの平等に愛するなんてどうやるのか考えも付かないし、かといってリインフォースを・・・泣かせたくなくて、傷つけたくなくて、アイシテルも傷つけたくなくて、泣かせたくなくて・・・女の子を泣かすことも出来なかったから・・・その出来るだけ二人を一番に愛する方法を見つけ出した・・・つもり・・・なんですがアイシテル、足抓らないで?すっごい痛いよ?」

「べっつに・・・あれだけ言っといて結局囲うのかよ!とか思ってないから。」

「そのお言葉はすでに思ってると言ってるのと同義ですよね?あだだだだだっ!?」

 

アイシテルが響の足を抓っていた。

凄く痛そうだ。

 

「・・・。」

「リインフォース?

や、やっぱりその・・・イヤか?」

 

リインフォースはボロボロと涙を流していた。

 

「・・・いや、別に。ただ変わらず阿呆だなと思ったまでだ。そこまで・・・詭弁だと分かっておきながら、嫌われるかもしれないと思っていながらわざわざそんな選択をするとはな。バカすぎてアホらしくなってくる。」

「バカってなんだよぅ・・・かなり真剣に考えた結果なのに・・・」

「・・・全く、私を振ることも出来ないヘタレめ。」

「・・・別に嫌ったなら嫌ったで構わない・・・俺がそうしたくて・・・だがら・・・」

「ちょっ!?

なんで響が泣くのっ!?」

「そうだっ!

なんで響が泣くっ!?」

「・・・ぐず・・・ずず・・・なんでも゛・・・な゛い・・・」

「どう見ても何でも無いように見えないよっ!?」

 

 

もちろん響とてこんな詭弁が通じるとは思っていない。

アイシテルにとってもリインフォースにとってもそれは良くないことは分かる。

なんだかんだで自分のわがままを通しているのだ。

アイシテルが面白くないのは分かっている。

リインフォースだって「では姉と恋人とのどちらを愛してる?」と言われればそれだけでもうこの詭弁は通じなくなる。

平等と言う言葉は悲しいことに数字の上でしか成り立たないのだ。

それを分かってなお、響はこの選択を選ぶ。

これが2人にとってどんなに酷か。

嫌われるかもしれない。覚悟したものの、こう土壇場に立つとあまりの切なさについと泣けてしまった響である。

 

「私が嫌ったら響はどうするのよ?

自殺しかねないじゃない。私は響を殺すほど憎んでないから安心して。」

 

色々引っかかるトゲのある言葉で響を慰めるアイシテル。

 

「大丈夫だ、響。そんなことには決してならない。例え世界中の人間が嫌ったとしても私だけは貴方を嫌わない。それをここに誓おう。

そして近親相姦・・・厳密に言えば違うが、それアリの関係と言うならば今すぐヤらないか?」

「だからアンタはどうしてそうブッコむのっ!!今そういう雰囲気ではないでしょっ!?」

「何を言うっ!?

さっきの響の愛してる発言で私の下半身は氾濫した川のように荒ぶっているのだっ!!

何、確かに姉として、という立場に若干の引っかかりは感じるが、響がこうまで思い悩み、そして嫌われてしまうかもしれない、それは一番に愛してるアイシテルに嫌われると言うリスクを犯してまで私を切り捨てることを選択しなかったと言うこと。

これは最早私の方を一番に愛してると言っても過言ではあるまいっ!!

もとい、私が恋人でアイシテルが姉でも良いのではないかっ!?」

「だからブッコむなっ!!」

「確かにっ!

ブッコむならば響の土嚢を私の川岸に!と言った所だな!!」

「上手いようで別に上手くないからねっ!!」

「・・・ずず。

・・・ええと・・・2人とも嫌いになったり軽蔑したりしないの?」

「・・・言ったでしょ。響の好きなようにしろって。」

「私としては許せん。好きになって欲しければ響のエクスカリバーを私の鞘に収めるのだ。」

「え?・・・あ、おう、それで許してもらえるなら幾らでも・・・」

「ちょっ!?響っ!?

過度の緊張が解けたせいか判断力落ちてるよっ!?その割にはリインの分かりづらい隠語に普通に応対してるしっ!?」

 

 

というわけで。

その後、リインと激しく愛し合った後、三人仲良く爛れた夜を過ごすのであった。

 

なんとか鞘に収まった…ということだろう。

 

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