旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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天才に勝つためには

凡人は決して天才にかてないってことですか?

 

ティアナの悲しげな言葉が響く。

エリオとキャロも子供ゆえの敏感さで空気が悪くなったのを感じ取ったのか、顔を曇らせた。

リインとはやてもその言葉を聞いて喧嘩をやめてティアナにさりげなく注目する。

響はなんか良く分からんが、とりあえず事前に聞いていた通り自分の強くなるための方法を言えば言いだけである。

 

「そりゃそうだよ。勝てないね。それはここ10年でまず最初に分かったことだ。」

「・・・そんなわけないです。努力して努力して・・・頑張れば・・・」

「ああ、勘違いしないで欲しい。俺が言ってるのはあくまでも正攻法でってこと。」

「正攻法?」

「そう。確かに天才と凡人が真っ向から全く同じ条件で戦った時、まず負ける。

でも、今えっと・・・ティアナさんだっけ?ティアナさんが言うように努力すれば勝てないことは無い。同じ努力をした相手が天才であればまず負けるけど、現実的に考えて全く同じ努力量ってのはありえないしな。寝る時間も削る勢いであとは効率をあげるとか、スタイルを変えるとか。」

「効率に・・・スタイル?」

「そうさ。スタイル。例えば俺がやった先日の戦いみたいに接近戦に持ち込むように戦えば高町さん相手でもある程度は戦える。魔力量で、経験で劣っていても。そして俺の努力量は日々の積み重ねってだけで今じゃ一週間通して1、2時間くらいだから、一週間しっかりみっちり詰め込めば勝てないことも無いと思われる。」

 

ちなみに士郎をぶちのめすのはもう半ば諦めてしまった。

一応なけなしの意地で地球に居る時は毎日挑みに言っているが、ただボコられるだけなので(響からの視点だと)士郎のストレス解消の道具になっているんじゃないか?というありもしない考えでふて腐れ始めた響。

天才に凡人は叶わないの?という疑問はこちらこそ聞きたいくらいである。

が、そんなことをぼやいても仕方ないし、最近では肉体強化の魔法まで使い始めた。

最初こそは自分の日々の努力を証明するためだったのだが、(ゆえに魔法は使わなかった)形振り構わずぶちのめすと言う埃もへったくれもない状態になっている。

人間辛い時には甘い方向へ流れていくのが常である。

逆を言えばそれだけ絶望的な力量さがあるということだ。

テンプレオリヌシだとまま士郎に「ただものじゃないな!」的なことを言われる流れになっているが、響としてはどうやったらそんなことになるの?と切に聞きたいものである。

そんな甘い相手じゃないぞマジで、と。

 

こっちが大人気なくブリッツムーヴでぶちのめそうとすると士郎の方まで神速とか言うわけのわからんバカバカしい魔法を使い始めるありさま。

知ってるか?

士郎ってリンカーコアないんだぜ?

魔力が無いのになんで下手な魔法よりも使い勝手が良くも素晴らしい魔法的な力を使っちゃってるの?

高町なのはがこの物語の主人公であるからして、おそらくその父の設定。もとい神速というのは公式設定なのだろう。

自分以外の物の動きがスローになるってどんなザ・ワールド?

あれは止めているのだが。

いまだその父の弟子にあたるなのは兄、なのは姉も倒せないって言うのだから彼等の血筋はきっと本物だ。

 

「・・・じゃあ、私も接近戦もこなせるようになればなのはさんに勝てる・・・と?」

「一概には言えないけどまぁ多分。

俺は別にバトルジャンキーとかそういう類の人間ではないし、あくまでもちょっと戦う必要があった人間ってだけだから・・・あまりそういう分析は得意じゃない。ただ、頑張れば勝てるとかそんな少年ジャンプみたいな根拠のないことも言えない。君や俺みたいな凡人よりも優秀って程度の人間はせいぜい背後から忍び寄ってブスっと刺し殺せばいいと思うよ?」

「え?」

「ええと・・・ぱっと見、別にバトルジャンキーで誰よりも強くなりたいってタイプには見えないんだけど・・・えと、そうだよね?」

「は、はい。」

「だったら背後から不意打ちで打ち殺す。これで十分だと思うけど。」

「で、でも・・・それって・・・」

「これが嫌だって言うなら俺に言えることは無いかな。

俺が求めてるのは倒す力じゃなくて逃げ勝つ力だから。」

「逃げ勝つ?」

「そう。

俺、基本的に格上相手と戦いません。

痛いの嫌だし、死にたくないし。」

「・・・・・・私は逃げるわけには・・・行かないんです。進まないと・・・兄さんの・・・」

「・・・そうかい。」

 

なんか兄さんの、と聞いたところで無理に話をぶった切る響。

辛気臭い話は好きじゃないのです。

わざわざ聞きたがるほどティアナに興味があるというわけでもない響としてははやてに頼まれたことをするのみ。

 

「あとこれね。」

「・・・なんですか?これ?」

「俺の作った幻影人形・・・幻影人形(マリオネット)と名づけてみた。

自分そっくりの動きが真似できる魔法の公式。」

 

響が渡したのはデータチップである。

 

「どうやらこのプログラムって、はやての話によるとあまりにも精密すぎて局の職員じゃ調整に年単位でかかるってことでね。マリオネットの扱いを実戦形式で教えたい高町さんの希望によってはやてに頼み込まれ、俺に頼み込まれ・・・で、丸一日かけて俺が最適化したデータだよ。

しっかりとインストールして置くように。」

「は、はい!

ありがとうございます。」

 

ティアナは少しびっくりした後、響にびしっとした礼をした。

 

「あ、お礼ならいらない。はやてからちゃんと仕事としてお金貰ってるし。」

「ええっ!?」

「あ、心配あらへんで。これはあくまでも部下の教育費としてちゃんと予算からおり取るから。」

「・・・はぁ・・・あ、でも、八神隊長が頼んでくれたんですよね?ありがとうございますっ!!」

「かまへんかまへん。とりあえず今回の響君の話で分かったやろ?

ティアナ、凡人天才なんていう差は埋めようと思えば埋められるんや。

小細工でも策謀でも裏技でもな。

何よりもティアナの目的はなんや?」

「・・・立派な執務官になってランスターの名を知らしめること・・・」

「そや。

どうせ相手取るのは犯罪者なんやから不意打ちだまし討ちなんて上等くらいの気持ちでええんやで。

最後に捕まえればそれでOKなんや。

ランスターの名を穢すとか考えてるなら安心せい。しょせん犯罪者。

犯罪者相手に何言ってんですか?とは管理局員における免罪符の一つや。覚えとき。」

「はやてちゃん、それちょっと黒くない?」

「何言うてんねん。アイちゃんの主人が言い出したことやで。」

「響はいいの。ていうかそこまで穿ったことを考えてないでしょうに。」

 

ティアナは新しい力を手に入れ、頑張るのであった。

 

「で、響君。今日は泊まっていかへんの?」

「泊まる?なんでだよ?」

「ヴィヴィオが会いたがってたで。」

「・・・別に泊まらなくても・・・」

「まぁまぁ。ちょっと内密な話もあるんねや。」

「なんだよ、内密な話って。」

「いやここじゃ・・・むしろ下手に隠そうとして密室にいくよりはええか。」

「・・・?」

「響君、山田の行方、知っとる?」

 

 

はやてのその言葉に響は息を詰まらせたのだった。

 

 

 

 

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