旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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猫のためだったのにぃっ!

響はと言うとがむしゃらに走り逃げた。

結果。

いまだ月村家の庭に居た。

 

「どっちが出口?ていうか何この森林?」

 

なんせ月村家は広い。

広すぎるくらいに広い。

森が広がっているのだ。

正直何のためにと思わせるほどに敷地が広い。

 

さすがにもう一度戻って帰り道を聞くということも出来ず。

のんびり歩いて出口を探す始末。

空を飛ぼうと考えては見たものの、目撃される可能性を考慮すると最後の手段としたほうが無難だろう。

 

「そういえばあの厨房はどうした?」

『消したよ?』

「そう、良かった。あれがそのまま残ってたら、また下手なこと言うだろうし・・・は?」

 

響とアイシテルが話していると前方にありえないくらい大きなにゃんこが出現した。

にゃーんと若干のエコーがかかりつつもにゃんこはのんびり林を探索しているようだ。

 

「・・・月村さんは本当に凄いな。あんなネコまで飼ってるのか。餌代とか糞の処理とかが大変そうだ。」

『・・・違うよ、あれはジュエルシードを取り込んだネコってところでしょう。』

「またそれか。じゅえるしーどとやらか。まったくどこにでも落ちてるもんなんだな。ていうかさ、あそこにいるの高町さんじゃない?」

『そうだね。どうする?助けるの?』

 

大きなにゃんこの前には高町さんがいつの間にか来ていた。

助けるとアイシテルに聞かれて、響は唸る。

 

「いや・・・別にいらないでしょう。彼女は天才?らしいじゃん。俺が会ったあれよりも危険は少ないみたいだし、そもそも俺が何をどうして手助けをしろと?」

『変わりに封印をしてあげるとかどうだろう?

それでジュエルシードを持って、それをプレゼント代わりに渡せばあの時のお詫びになるんじゃないかな?』

「・・・なるほど、その発想は無かった。それならそうと、俺もじゅえるしーどとやらを探してれば良かったんじゃないっ!?それで仲直り・・・は無理でも、少なくとももう完全に気にしない、というレベルにはなって欲しい・・・という願望を言ってみたが。どうなんだろうか?」

『試す価値はあると思うよ?』

「・・・本当だろうな?」

『えーっと・・・さすがに泣くとは思わなくてね?その・・・反省してます。』

 

アイシテルが言ってるのは月村家でのさっきの出来事だろう。

 

『なのはちゃん経緯で、月村さんの印象も回復できるかもよ?』

「よし、ならばやろう!!」

『そこで即答なのね。』

 

当然である。

響にとっての今生の友達。それが月村すずかなのだから。そして比較的寂しがりやの響としては望むところである。

 

さらにやる気をアップさせてるのは相手が強そうでないというのもある。

 

「・・・だけど登場はどうすればいい?」

『え?』

 

高町さんは響に対して少なくとも好感情は抱いて無いだろう。

いきなり出たところで無駄な警戒を持たせるだけという可能性もある。

下手をすれば攻撃されかねない。

そもそもこのまま置いておいてもなんら問題はないだろう。

原作を知らない響とて、彼女が主人公らしきことは分かっている。

主人公ならば手に入れて当然。さらにとなりにはなんらかのチートを持っていると思われる山田君もいるのだ。

まず間違いなく、手に入れることが出来るだろう。

 

『なのはちゃんは優しいから・・・多分大丈夫じゃないかなぁ・・・それともここはなのはちゃんに任せて、他のジュエルシードを探す?』

「よし、そうしよう!」

『これまた即答ね・・・ん?』

 

そんな感じのことを考えていると、またもや新たな人間がやってきたようである。

いつぞやのコスプレ金髪少女。

フェイト。

 

「・・・いまだ鎌を持ってるんだな。」

『どうする?』

「どうもせんってば。とにかく俺達は別のジュエルシードを探すまーーーなっ!?」

 

フェイトはネコに攻撃を加え始めた。

それを見てなのはも少女の存在に気づく。

 

「なっ!?にゃんこに攻撃だとっ!?

許せんッ!!今度こそヤツを説教してくれるッ!!」

『・・・やめといた方が・・・』

「いや。だめだっ!!あのぬこは、じゅえるしーどとやらの被害者だろう!?

無駄に痛い目にあわせる必要は無いっ!!」

 

と響が話している間にも攻撃されるぬこ。

その際、なのははなのはで変身中。

どうのこうの言う前にさっさと行動を起こすべきだ。

 

「いかんっ!?

こうしてる間にもあのぬこがっ!!

アイシテル行くぞっ!!

せ、せせ・・・せっとあっぷ。」

『相変らず小声ね。』

 

響の体が光り、月村さんのパジャマが解けるように消え、西洋鎧のような甲冑が身を包む。

腰には飾りの少ない両刃のロングソードがささり、フルフェイスの兜が顔を覆い、伸びた髪が若干兜の後ろからはみ出す。

篭手のそれぞれに一対のナイフが収納される。

変身完了である。

 

「そこの鎌の少女、ぬこを攻撃するとはどういうことだっ!!」

 

響が躍り出る。

 

「・・・誰?

貴方もジュエルシードを集めてるの?」

「集めてない。いや・・・さっき集めることにしたけど今回の用件はそれでなくてだな。」

「・・・あいつっ!?

おい、響だろっ!おまえっ!!」

「っ!?」

 

なのははようやく変身が終わったよう。

そして後から来たのだろう、山田君。

山田君は西洋鎧に包まれているのにも関わらずに響の正体を看破する。

おそらく感知系の魔法を使っているか、そういったチートを貰っているのだろう。

デバイスを持ってないことから、肉体的なチートや特殊能力的なチートを貰ったのだと思われる。

 

「・・・こんなところで出てくるとは・・・オマエ・・・まさかっ!?」

「・・・。」

 

響はどうするか迷っていた。

勝手に山田君が叫んでいるだけならば今は誤魔化せるんじゃないかなぁとか思いつつ。

なのはが怪訝な顔を浮かべているがそれよりも大事なのはこちらである。

響はフェイトに向き直す。

 

「どうしてネコを攻撃するんだ?

可哀想だろう。君の腕ならばそのまま封印するのも可能なはずだ。必要なく痛めつけるのは感心しない。」

「・・・こうした方が手っ取り早い。」

『確かにね。弱らせてからの方が封印の難易度や必要な魔力量は下がる。手っ取り早いのは間違いないわ。』

「・・・なるほど。高町さんがいるからか。」

『そのとおりね。』

 

響は考えた。

さて、どうしよう?と。

響は知らぬことであるが、物語的にはネコのジュエルシードを回収するのは目の前の少女である。

山田君は下手に手を出すつもりはない、非介入派。下手に話をこじらせたらエンディングが変わると考えているため、山田君は手を出すつもりは無い。

この結末に変更は無かったはずだった。しかし。

しかし、響としてはきっと高町さんが手に入れるのだろうと考えている。

これが一つ目の勘違いを発生させた。

よってこのようなことを言う。

 

「君に手に入れることは出来ない。

さっさと去った方がお互いのためだ。」

「・・・関係ない。私は手に入れなければならないのだから。例え2人が相手でも!!」

 

次に問題なのがここで山田君の最悪の勘違いが発動したからだ。

 

「・・・なのはっ!!

あいつにジュエルシードを渡すなっ!!

きっとあいつはジュエルシードをお前達を惚れさせるために使う気だっ!!」

 

響は内心なんですとぉぉぉおぉぉおおおっ!?

と自分のことを言われてるはずなのに、自分が一番驚いた。

山田君は響が泣きながら帰ったところを見て、「あいつもいい加減、気づいたのか?」と考えている。

しかし、こうした勘違い系、もしくは自意識過剰系のチート人間がそう簡単に心変わりするはずないとも考えている。

彼の趣味はインターネット上での魔法少女リリカルなのはの二次をひたすら読むことだったため、そうしたところから先入観が生まれていた。

改心するはずが無いという。

その結果、この誤解に響いたのだが。

 

「まさかっ!?

確かにジュエルシードには願望器としての能力があるけど・・・」

「なぜそんな思考に・・・」

 

ユーノが戦慄した様子で語る。

響も戦慄した様子で語る。

アイシテルは不謹慎だが、笑いを堪えていた。

もちろん響は響で間違いを正そうと声を上げようとしたが、そこで鎌(カマ)を構(カマ)えた(ギャグではない)フェイトが切りかかってくる。

慌てて剣で受ける響。

お互いの武器がぶつかり合う、鋭い擦過音が鳴り響く。

 

「・・・そんなことのためにジュエルシードは渡せない。」

「いや、ちがっ!?がはぁっ!?」

「っ!?」

 

今度は背後から砲撃がぶち当たる。

なのはのブレイクシュートだった。

フェイトは戦いに慣れているため、常に他の二人も視界に入れていた。よって避けれたが、響は実戦は実質初めて。気配とか魔力で背後の攻撃を察知するなんていう高等テクニックが可能なはずもなく。

きりもみしながら数百メートル吹き飛ばされる。

 

「・・・どうしてそんな酷いことを考えられるの?

そんなことで好きになられたって嬉しくないと思う。考え直してよ。すずかちゃんがやたらといい人だって言うから・・・どんな人だと思ってみれば・・・酷いよ。」

 

酷いのは背後からためらいもなく打ち抜く貴方じゃないだろうか?と言いたかったが、響は苦悶の表情を浮かべるだけ。

予想以上にイタイ。

身も心も。

 

『非殺傷設定をオンにしてないみたい。

そこまで使えないのか・・・それとも少し痛い目にあわせたいのか・・・』

「前者であることを願うわ・・・本当。」

『っ!?

後方っ!!気をつけてっ!!』

「また後ろかいっ!?

ぐがぁっ!?」

 

またもやきりもみしつつ吹き飛ぶ響。

地面に墜落し、バウンドしながら土にまみれる。

 

「・・・あいつ。」

『あれは・・・NARUTOの万華鏡写輪眼ね。

この世界はあくまでも魔法少女リリカルなのは。万華鏡を魔力で再現してるに過ぎないのでしょうけど・・・それでも脅威よ。』

「・・・厨二だな。」

 

山田君は目を異様な紋様に変えつつ体にうっすらと紅いオーラを纏っている。

NARUTOという漫画にて体を覆うように展開する人型のオーラ、スサノオである。それの剣のなぎ払いを受けたのだろう。

切れなかったのはそれだけ鎧が頑丈だということ。響としてはほっと胸を撫で下ろす。

 

右になのは。

左に山田君。

後方にフェイト。

 

なぜこんな状況になったのだろう?

響は泣きそうになりがらもこれもまた自分の昔のアレが原因かと思いつつ。ため息を吐きながらここから逃げることを考える。

自業自得とはいえ、これは酷すぎる気がしないこともない。

これが乙女を傷つけた罪か。

 

『逃げるの?』

「・・・逃げずにどうしろと?」

 

 

響は逃げることにした。

 

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