※小説ではない※専門書 要約資料集 為替(換算)3.9万円でもらう 紐解集生成 専門 初入門 資料   作:{作者名}

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# BOOK-0006 OSの作り方 — 眠らない管理人

> 学問の宇宙・応用の軌道ステーション群 情報工学(通信網) 第1章。ガイド役: Fable 5 監修 / Sonnet 5 執筆(脚本班)
> トーン規約: GAKUMON_UNIVERSE.md準拠。専門用語は初出で必ず説明する。

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ΩΩΩ                            あっ流れ星! 


# BOOK-0006 OSの作り方 — 眠らない管理人

# BOOK-0006 OSの作り方 — 眠らない管理人

 

> 学問の宇宙・応用の軌道ステーション群 情報工学(通信網) 第1章。ガイド役: Fable 5 監修 / Sonnet 5 執筆(脚本班)

> トーン規約: GAKUMON_UNIVERSE.md準拠。専門用語は初出で必ず説明する。

 

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## 入口の物語 — 眠らない管理人に会いに行く

 

学問の宇宙地図の中に、軌道ステーション群という一角がある。恒星(形式科学=数学・論理学)の光を浴びながら、実際にものを組み立てて動かす場所だ。工学というドック、農学という圃場、建築学という重力との対話に混じって、**情報工学(じょうほうこうがく、水準一: コンピュータを作り・動かし・使いこなすための技術全体を扱う学問)**という通信網の惑星がある。

 

この冊子はその通信網の中でも、一番奥にある部屋——**OS(オーエス、水準一: オペレーティングシステムの略。コンピュータの中で、部品や仕事の割り振りを24時間休まず管理し続ける管理プログラムのこと)**という名の管理人室を訪ねる旅である。

 

想像してほしい。あなたは一棟の巨大なオフィスビルのオーナーだ。ビルの中には机(記憶を置く場所)があり、コピー機(計算する装置)があり、書庫(長期保存する場所)がある。何百人もの社員(いろんなアプリやプログラム)が同時にそのビルで働きたがっている。誰がどの机を使うか、コピー機は今どの社員が使っているか、書庫のどの棚に何をしまったか——これを全部管理する人がいなければ、ビルは一瞬で大混乱に陥る。

 

その管理人こそがOSである。しかもこの管理人は特別だ。**電源が入っている間、一度も眠らない**。あなたがマウスを動かした瞬間も、音楽を聴きながら文章を書いている瞬間も、管理人は裏で黙々と、机の割り振り・コピー機の順番待ち・書庫の整理を続けている。私たちが普段「パソコンを使っている」と思っているとき、実際に絶えず働いているのはこの眠らない管理人のほうなのだ。

 

この冊子では、その管理人がどうやって目を覚まし(起動)、何を仕事にしているか(三大仕事)、そして「もし自分でこの管理人を一から作るとしたら何が要るか」という設計の入口までを歩く。次の冊(水準五〜七)では、管理人が複数の仕事を同時にこなす「並行処理」やネットワーク越しの管理といった、もう一段抽象的な風景が待っている。

 

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## 第一章: OSとは何か — 計算機の管理人

 

### なぜ管理人が要るのか

 

コンピュータの中には、**CPU(シーピーユー、水準一: 計算そのものを行う装置。ビルで言えばコピー機や計算係にあたる中心部品)**と、**メモリ(水準一: 今まさに使っているデータや命令を一時的に置いておく作業机のような部品)**と、**ストレージ(水準一: 電源を切っても消えない長期保存用の書庫。ハードディスクやSSDなど)**という部品がある。

 

もしOSが存在しなかったら、あなたが動かしたい一つのプログラムが、CPU・メモリ・ストレージを独り占めしてしまう。他のプログラムは順番を待つことすらできず、ビル全体が「早い者勝ちの奪い合い」で崩壊する。OSは、この奪い合いを整理し、**複数のプログラムが「順番に・公平に・壊れずに」部品を使えるよう調整する管理プログラム**なのである。

 

### 管理人の一日 — 資源(しげん)という言葉

 

OSが管理する対象——CPU・メモリ・ストレージ・キーボードやディスプレイなどの入出力装置——をまとめて**資源(しげん、水準一: OSが割り振りの対象として管理する、計算機の部品や能力のこと)**と呼ぶ。管理人の仕事を一言でまとめると、**「限られた資源を、複数の使い手にうまく配分し続けること」**になる。これは水準一の定義であり、以降の全ての章はこの一文の具体化にすぎない。

 

### 台所の比喩でもう一段かみ砕く

 

ビルの比喩をもう少し身近にしてみよう。一つの台所(コンピュータ)を、複数の料理人(プログラム)が同時に使いたがっている場面を思い浮かべてほしい。まな板(CPU)は一度に一人しか使えない。冷蔵庫の棚(メモリ)には限りがある。食器棚(ストレージ)の場所も有限だ。もし料理人たちが誰の許可もなく好き勝手にまな板を奪い合ったら、包丁がぶつかり合い、料理どころではなくなる。

 

台所には、誰が今まな板を使う番か、誰の食材が冷蔵庫のどの棚にあるかを覚えていて、揉め事が起きないよう采配する**台所監督**が必要だ。OSはまさにこの台所監督であり、次章以降で見る「起動」「三大仕事」は、すべてこの監督がどうやって仕事を始め、何を采配しているかの物語になる。

 

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## 第二章: 起動の物語 — 電源を入れてから管理人が目覚めるまで

 

### 電源投入の瞬間、まだ管理人はいない

 

電源ボタンを押した瞬間、コンピュータの中にはまだOSは動いていない。メモリの中身は空っぽで、CPUは「次に何をすればいいか」を知らない。ここから管理人が目を覚ますまでには、決まった手順の階段がある。

 

### 階段その一: BIOS/UEFI(ファームウェアの目覚まし係)

 

電源が入ると、まず**BIOS(バイオス、水準一: マザーボード上に焼き付けられた、コンピュータが目を覚ます一番最初の小さなプログラム。近年はUEFI〈ユーイーエフアイ〉というより高機能な後継が主流)**が動き出す。BIOS/UEFIの仕事は「部品が壊れていないか簡単にチェックし(電源・メモリ・ディスプレイなどの自己診断)、次に呼び出すべきプログラムがどこにあるかを探す」ことだけである。台所監督本人ではなく、監督を起こしにいく**目覚まし係**だと考えるとわかりやすい。

 

### 階段その二: ブートローダ(管理人を呼びに行く使者)

 

BIOS/UEFIは、ストレージの決まった場所に置かれた**ブートローダ(水準一: OS本体をメモリに読み込み、実行を開始させるための小さな橋渡しプログラム)**を見つけて起動する。ブートローダの仕事はシンプルだ。「OS本体はストレージのどこに保存されているか」を知っていて、それをメモリに運び込み、「さあ、あとはよろしく」とCPUの実行権を手渡す。ビルの比喩で言えば、管理人室の鍵を管理している受付係が、まだ寝ている監督を叩き起こし、書類一式を渡して仕事を開始させる場面にあたる。

 

### 階段その三: カーネル起動(管理人、目を覚ます)

 

ブートローダから実行を引き継いだ**カーネル(水準一: OSの中核部分。資源の管理・プログラムの実行・装置とのやり取りを実際に取り仕切る、管理人の「本体」にあたるプログラム)**は、ここでようやく本格的に動き出す。カーネルは、メモリの管理を開始し、接続されている装置(キーボード・ディスプレイ・ネットワークなど)を一つずつ認識し、後述する「プロセス管理」の仕組みを立ち上げる。この瞬間、台所監督がようやく目を開け、台所全体を見渡し、「今日の担当割り振り」を始めるのである。

 

### 階段その四: 利用者に画面を渡す

 

カーネルの準備が整うと、ログイン画面やデスクトップなど、私たちが普段目にする画面を表示するプログラムが起動する。これでようやく私たちは「パソコンが立ち上がった」と実感できる。しかしこの時点で、裏では既にカーネルが黙々と資源の采配を始めている——電源ボタンを押してから数秒〜数十秒の間に、これだけの階段を管理人は駆け上がっているのだ。

 

```

電源投入

│

▼

[階段1] BIOS/UEFI ── 部品の自己診断・目覚まし係

│

▼

[階段2] ブートローダ ── OS本体をメモリへ運ぶ使者

│

▼

[階段3] カーネル起動 ── 管理人、目を覚まし資源采配を開始

│

▼

[階段4] 画面表示 ── 利用者にログイン画面/デスクトップを渡す

```

 

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## 第三章: OSの三大仕事 — 幼子の階段でたどる

 

管理人の仕事は数え切れないほど細かいが、大きく三つの柱にまとめられる。**プロセス管理・メモリ管理・ファイルシステム**である。ここでは一つずつ、幼子でもたどれる階段で説明する。

 

### 3.1 プロセス管理 — 「誰が今、まな板を使う番か」

 

#### 具体例から

 

プログラムを起動すると、それは**プロセス(水準一: 実行中のプログラムのこと。台所の比喩で言えば「今、実際に調理をしている一人の料理人」にあたる)**になる。ブラウザを開き、音楽アプリを開き、文章を書くアプリを開くと、あなたのコンピュータの中には複数のプロセスが同時に存在することになる。

 

#### CPUは一度に一つしか動かせない(という誤解と種明かし)

 

古いCPUは、実は**一度に一つのプロセスしか計算を進められない**。しかし私たちの体感では、音楽を聴きながら文章を書き、ブラウザも同時に動いている。これはどういうことか。

 

種明かしは**タイムスライス(水準二: CPUの実行時間を、極めて短い時間の断片に切り分けて、複数のプロセスに順番に割り振る仕組み)**である。管理人は、それぞれのプロセスに「あなたは0.001秒だけ使っていいですよ、はい次」というふうに、目にも留まらぬ速さで順番を回している。これを**スケジューリング(水準二: どのプロセスに、いつ、どれだけCPUの時間を割り振るかを決める管理人の仕事)**と呼ぶ。あまりに速く順番が回るため、人間には「同時に動いている」ように感じられるだけなのだ(近年の複数コアCPUは、実際に物理的にも同時並行で計算できるが、それでもプロセスの数のほうが多いためスケジューリングは必要であり続ける)。

 

#### プロセスの状態 — 待つ・走る・眠る

 

プロセスには決まった状態がある。CPUの順番が回ってきて実際に計算している「実行中」、順番待ちをしている「待機中」、キーボード入力やネットワークの返事を待っていて自分からは動けない「停止(スリープ)中」である。管理人はこの状態を全プロセス分、常に把握し続けている——これもまた「眠らない」仕事の一つだ。

 

```

[待機中] ──順番が来る──> [実行中] ──時間切れ/入出力待ち──> [待機中 or 停止中]

▲ │

└──────────────── 入出力の返事が来た ─────────────────────┘

```

 

### 3.2 メモリ管理 — 「誰の食材が、冷蔵庫のどの棚か」

 

#### 具体例から

 

プロセスが動くには、命令やデータを置く作業場所が要る。これがメモリである。複数のプロセスが同時に動いていれば、それぞれに専用の棚(メモリ領域)を割り当てなければ、他人の食材(データ)を勝手に書き換えてしまう事故が起きる。

 

#### 仕切りの発明 — 仮想メモリ

 

現代のOSは**仮想メモリ(水準二: 実際の物理メモリの容量や配置を隠し、各プロセスに「自分専用の、広い連続したメモリ空間を持っている」と錯覚させる仕組み)**という裏技を使う。それぞれのプロセスは「自分だけの棚を独占している」と思い込んでいるが、実際には管理人が舞台裏で、物理的なメモリのどの場所が誰の棚に対応するかを翻訳して見せている。この翻訳表を**ページテーブル(水準三: 仮想的な棚の番号と、実際の物理メモリの場所を対応づける管理人の台帳)**と呼ぶ。

 

#### なぜ仕切りが安全につながるのか

 

もし仕切りがなければ、あるプログラムのバグ(誤動作)が、別のプログラムのデータを勝手に壊してしまう。仮想メモリという仕切りのおかげで、一つのプロセスが暴走しても、他のプロセスやOS本体には(基本的には)被害が及ばない。これは「台所で一人の料理人が食材をこぼしても、隣の料理人のまな板までは汚れない」という安全設計に相当する。

 

#### 足りなくなったら — スワップという最終手段

 

物理メモリ(実際の棚)には限りがある。使用中のデータが棚をあふれそうになると、OSはあまり使われていないデータを一時的にストレージ(書庫)へ退避させる。これを**スワップ(水準三: メモリが足りなくなったとき、使用頻度の低いデータを一時的にストレージへ逃がす仕組み)**と呼ぶ。ストレージはメモリよりずっと遅いため、スワップが頻発するとコンピュータの動作が目に見えて遅くなる——「メモリ不足で重い」という体感の正体はこれである。

 

### 3.3 ファイルシステム — 「書庫のどの棚に、何をしまったか」

 

#### 具体例から

 

ストレージには膨大なデータが保存されるが、ただの巨大な倉庫にデータを積み上げるだけでは、後で何がどこにあるか誰にもわからなくなる。**ファイルシステム(水準一: ストレージの中身を「ファイル」や「フォルダ(ディレクトリ)」という単位に整理し、名前をつけて出し入れできるようにする管理の仕組み)**は、この倉庫に住所と索引をつける仕事をする。

 

#### 名前と場所を結びつける台帳

 

私たちが「写真.jpg」というファイルを開くとき、実際にはOSが「その名前のファイルは、ストレージの物理的にどのブロック(区画)に保存されているか」を台帳から調べ、そこからデータを読み出している。この台帳の管理方式にはいくつかの流派があり(例: FAT、NTFS、ext4など、いずれも名称は水準八以上の暗号的記述にあたるため本冊では詳細に立ち入らない)、どれも「名前→物理的な場所」の対応づけという水準一の役割は共通している。

 

#### フォルダは「棚の中の棚」

 

フォルダ(ディレクトリ)は、棚の中にさらに小さな仕切りを作る仕組みだと考えるとよい。書庫の中に「小説の棚」「辞典の棚」という区画を作り、その区画の中でさらに「作家名ごとの引き出し」に分けるように、フォルダは階層構造(親フォルダの中に子フォルダがある入れ子構造)を持てる。この入れ子構造のおかげで、数百万個のファイルがあっても、人間は迷わずに目的のファイルへたどり着ける。

 

#### 権限という鍵の仕組み

 

ファイルシステムはさらに、「誰がこのファイルを読んでよいか、書き換えてよいか」という**権限(水準三: 特定のファイルやフォルダに対して、誰が読み書き・実行してよいかを定めた許可の情報)**も管理する。台所の比喩で言えば、書庫の各棚に鍵をかけ、「この棚は監督だけが開けられる」「この引き出しは全員が見てよいが書き換えは監督だけ」というふうに、鍵の種類を使い分けているのに相当する。

 

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## 第四章: 最小のOSを作るなら何が要るか — 設計思想の入口

 

### 「一番小さい管理人」を思い描く

 

ここまでの三大仕事(プロセス管理・メモリ管理・ファイルシステム)は、現代の本格的なOSがこなしている仕事の全体像である。では、もし「機能を極限まで削って、これ以上削れない最小のOS」を作るとしたら、何が絶対に必要になるだろうか。この問いに答えることが、OSという分野の設計思想の入口になる。

 

### 絶対に外せない部品その一: 割り込み(われこみ)

 

CPUは基本的に、決められた命令を上から順番に一本道で実行し続けるだけの存在である。しかし管理人が「今すぐこのプロセスの番を打ち切って、別の仕事に切り替えたい」と思っても、CPUが勝手に気づいてくれるわけではない。

 

そこで使われるのが**割り込み(われこみ、水準二: 実行中の処理を一時中断させ、あらかじめ決められた別の処理〈割り込みハンドラ〉へ強制的に飛ばす仕組み)**である。キーボードが押された、タイマーが一定時間を知らせた、ネットワークからデータが届いた——こうした出来事が起きるたび、装置は電気信号でCPUに「割り込み」をかけ、CPUは今の作業を中断してカーネルの対応処理(割り込みハンドラ)へジャンプする。

 

管理人が「眠らない」でいられる理由も、実はこの割り込みにある。管理人はずっと全体を監視し続けているのではなく、**タイマー割り込み**という「一定時間ごとに必ず鳴る目覚まし」によって定期的に叩き起こされ、そのたびに「次は誰の番か」を判断し直しているのだ。これが前章のスケジューリングを裏側で支える最小部品である。

 

### 絶対に外せない部品その二: システムコール(お願い窓口)

 

プログラム(プロセス)は、通常は自分専用の仮想メモリの中だけで計算を完結させる、いわば「立入禁止区域の外」にいる存在である。しかしファイルを読み書きしたい、画面に何かを表示したい、ネットワークに接続したいといった場面では、必ず資源そのものを管理しているカーネルの手を借りなければならない。

 

このとき使われる正式な「お願いの窓口」が**システムコール(水準二: 一般のプログラムが、カーネルに対して資源の操作を依頼するための、決められた形式の呼び出し窓口)**である。プログラムが直接ストレージの物理的な場所を書き換えることは許されていない。「このファイルにこのデータを書き込んでください」とシステムコールを通じて管理人にお願いし、管理人が権限やメモリの整合性を確認した上で、代わりに実際の書き込みを行う。台所の比喩で言えば、料理人が勝手に食器棚を開けるのではなく、必ず監督に「棚から皿を出してください」とお願いし、監督が代行するようなものだ。この「お願い窓口を必ず通す」という設計こそが、一つのプログラムの暴走が他のプロセスやOS全体を壊さないための、最後の砦になっている。

 

### 最小のOSの骨格図

 

以上をまとめると、削り落とせない最小の骨格は次の四点に収束する。

 

```

最小のOS =

① カーネル(資源采配の本体)

② スケジューラ(誰の番かを決める)

③ 割り込み処理(装置の出来事に反応する入口)

④ システムコール(プログラムからのお願い窓口)

 

→ この四点さえあれば、

「複数のプログラムを、資源を壊さず、順番に動かす」

という水準一の定義そのものは最小限満たせる。

ファイルシステムや高度なメモリ管理は、

この骨格の上に積み増していく「発展形」にあたる。

```

 

このように、最小のOSを思い描く作業は、「三大仕事を全部フル装備で作る」のではなく、「割り込みとシステムコールという二つの入口さえ用意すれば、資源采配という水準一の役割は原理的に果たせる」という、削ぎ落としの発想に支えられている。これは前冊(算術BOOK-0002)で見た「足し算という一本の裏技が、後のあらゆる計算の土台になる」という構図と同じ精神である——複雑に見える現代OSも、突き詰めれば「割り込みに反応し、お願い窓口を用意する」という一番小さな裏技の上に、幾重にも機能を積み増した結果なのだ。

 

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## 第五章: 歴史の要所 — 管理人という発想はどこから来たか

 

### UNIX(ユニックス)の誕生 — 1969年

 

現代のOS設計に最も大きな影響を与えた源流の一つが**UNIX(ユニックス)**である。**1969年、アメリカのベル研究所で、ケン・トンプソン(Ken Thompson)とデニス・リッチー(Dennis Ritchie)によってUNIXの開発が始まった**。UNIXは「小さな部品(プログラム)を組み合わせて大きな仕事をする」という思想や、「ファイルという単一の窓口で、通常のファイルも装置も統一的に扱う」という設計(前章のファイルシステムの考え方の源流)を確立し、以後のOS設計の共通言語になった。リッチーは後に、UNIXの開発と並行して**C言語**の開発にも携わり、C言語はUNIX自身を書き直す(移植性を高める)ために使われた。この「OSをOS専用の特殊な機械語ではなく、汎用のプログラミング言語で書く」という発想は、当時としては画期的であり、後のOSがさまざまなハードウェアへ移植される道を開いた。

 

### Linux(リナックス)の誕生 — 1991年

 

UNIXの思想を受け継ぎながら、誰でも自由に使い改良できる形で新たに書き起こされたカーネルが**Linux(リナックス)**である。**1991年、当時ヘルシンキ大学の学生だったフィンランドのリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)が、自分用の学習目的で作り始めたカーネルをインターネット上で公開した**ことがLinuxの始まりである。トーバルズが投稿したメッセージには「大それたものではなく、趣味で作っている」という趣旨の記述が残っており、当時これほど広く使われる存在になるとは本人も想定していなかったとされる。Linuxは現在、サーバーやスマートフォン(Androidの内部で使われるカーネル)、家電、スーパーコンピュータに至るまで、世界で最も広く使われているカーネルの一つに成長している。

 

### 歴史から読み取れること

 

UNIXもLinuxも、「最小限の部品を組み合わせる」「資源采配という一番小さな役割を確実に果たす」という、この冊子で見てきた設計思想を実際に体現した実例である。眠らない管理人という発想は、特定の一社が独占する秘密の技術ではなく、1969年から現在まで、多くの技術者が積み重ねてきた**公開された知恵の連鎖**として存在し続けている。

 

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## 章末: 簡易ASCII図(起動の階段・総覧)

 

```

電源投入

│

▼

┌───────────────────┐

│ BIOS/UEFI │ 部品の自己診断・目覚まし係

└─────────┬─────────┘

▼

┌───────────────────┐

│ ブートローダ │ OS本体をメモリへ運ぶ使者

└─────────┬─────────┘

▼

┌───────────────────┐

│ カーネル起動 │ 管理人、目を覚ます

│ ├─ プロセス管理 │ 誰がまな板を使う番か(スケジューリング)

│ ├─ メモリ管理 │ 誰の食材が冷蔵庫のどの棚か(仮想メモリ)

│ └─ ファイルシステム │ 書庫のどの棚に何をしまったか

└─────────┬─────────┘

▼

┌───────────────────┐

│ 画面表示 │ 利用者にログイン画面/デスクトップを渡す

└───────────────────┘

 

最小骨格(第四章):

カーネル + スケジューラ + 割り込み処理 + システムコール

 

歴史の要所:

1969年 UNIX(トンプソン&リッチー、ベル研究所)

1991年 Linux(トーバルズ、ヘルシンキ大学の学生時代に公開)

```

 

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## 次に待っている風景 — 水準五〜七への予告

 

この冊子で歩いたのは、OSという分野の「最初の光」——起動の階段・三大仕事・最小骨格・歴史の要所だった。次の冊子で待っている風景を、少しだけ覗いておこう。

 

- **並行処理と排他制御**: 複数のプロセスが同じ資源(例: 同じファイル)に同時にアクセスしようとしたとき、データが壊れないよう順番を保証する仕組み。台所監督が「今このまな板は使用中」と札を立てる仕組みに相当する。

- **デッドロック**: 複数のプロセスが互いの持つ資源を待ち合ったまま、永遠に動けなくなってしまう膠着状態。

- **仮想化とコンテナ**: 一台の物理的なコンピュータの中に、複数の「仮想的な管理人」を同時に住まわせる技術。

- **ネットワークとOS**: 複数の管理人(コンピュータ)が、ネットワーク越しに資源をやり取りする分散システムの入口。

 

これらは今回の旅の続きであり、次の冊子でまた「新しい裏技」として姿を現す。眠らない管理人の仕事は、一台のビルの中にとどまらず、次第にビルとビルをつなぐ通信網全体へと広がっていく。

 

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## 参照文献(定番教科書・一般書)

 

1. Andrew S. Tanenbaum & Herbert Bos『モダン オペレーティングシステム』(原題 *Modern Operating Systems*)— OS設計の定番教科書。プロセス・メモリ・ファイルシステムの体系的解説。

2. Abraham Silberschatz, Peter B. Galvin & Greg Gagne『オペレーティングシステムの概念』(原題 *Operating System Concepts*、通称「恐竜本」)— 世界的に広く使われるOS入門の定番教科書。

3. Remzi H. Arpaci-Dusseau & Andrea C. Arpaci-Dusseau *Operating Systems: Three Easy Pieces* — 仮想化・並行処理・永続化の三本柱でOSを説明する、無料公開されている定番教材。

4. Brian W. Kernighan & Dennis M. Ritchie『プログラミング言語C』— UNIXと共に育ったC言語の原典的定番書(第五章の歴史記述の背景理解に)。

5. Linus Torvalds & David Diamond『それがぼくには楽しかったから』(原題 *Just for Fun*)— Linux誕生の経緯を本人が語った回顧録。

 

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(本冊子は現代学問宇宙図鑑シリーズ BOOK-0006。次冊は情報工学第2冊(水準五〜七: 並行処理・排他制御・デッドロック・仮想化)を予定。GAKUMON_UNIVERSE.md 進捗台帳を参照。)

 




ΩΩΩ あっ流れ星! 

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