夢を見ていた、この世界に召喚されイフリートを体に宿した時の苦痛、友達をこの手で焼き殺した時のあの感覚、人の燃える匂い…このまま永遠に悪夢の中を彷徨うような感覚、
し…さん…シズ…さ…シズさん!
「はっ!うぅ…グゥゥ」
悪夢にうなされていたシズが、メルナの声で目を覚ますと、突然苦しみ出す
「シズさん!?大丈夫ですか!何が必要ですか!シズさん!!」
肩を擦りながら話しかけ続けると、落ち着いたようにほっと息を吐く
「ええ…大丈夫だよ、ありがとう」
「…本当に大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫…持病みたいなものだから」
メルナは不安げな顔でシズを見続けるが、気にしないでと言われるとこれ以上は答えてくれないだろうと察する
【リムル達の町】
シズが一人で村を眺めていると後ろからリムルがランガに乗って話しかけてくる
「俺たちの街、気に入って貰えたかな」
仮面を外し笑顔で答える
「ええ、とっても!」
「シズさんさえ良かったらいつまでだっていていいんだぞ!」
「ありがとう、でも…行かなきゃ」
「そっか」
「ここにいたら迷惑をかけちゃうかもしれないし」
リムルは不思議そうな顔でシズを眺めると、シズは悲しげな顔をする
「私の度の目的は…私を召喚した男を探すこと」
「見つけたらどうするんだ?」
少しの沈黙が流れる、静かで心地のいい風が2人を包むように流れしばらくシズの顔を眺めるとリルムが口を開く
「わかった!残念だけどいつでも遊びに来てくれ!歓迎するよ!なっ、ランガ」
「もちろんです!」
「メルナも喜ぶしさ!」
「うん、ありがとう!」
ランガのの顔を優しく抱きしめる
「ランガもありがとう」
シズが町に戻るとエレンと一緒に旅支度をしていた
「シズさん、一緒に町に戻りません?」
自分の髪を梳かしながら聞く、シズが少し驚いた顔でエレンの方を向く
「ここでさよならなんて寂しいです」
「あなたたちはいい冒険者だよ、一緒に冒険出来たらどれほど楽しいだろうと思う」
ぱぁと顔を輝かせシズの方を見る
「だったら!」
シズは悲しそうに首を横に振る
「ここまで旅がでしてやっぱり仲間っていいと思えた、最後の旅があなた達とで本当に良かったと思ってる」
心から楽しそうにエレンに語る
「シズさん…最後って…」
「もううん10年も生きててね、見た目ほど若くないから」
「は?あっ、な…なんだ、冗談か!驚かさないでよもう〜」
町のはずれでギドとガルバに合流すると2人は呆れたようにエレンを見る
「お、やっと来た」
「ったく…女は支度が遅えよな 」
ふと、シズが放心したように足を止める
「シズさん?」
突然シズが苦しみ出すリムルとリグルドが心配そうに声をかけるとメルナがシズに近寄る
「どうかされましたか!?」
「大丈夫か?」
「またあの持病ですか!?」
みながシズに声をかける中苦痛の悲鳴をあげると、シズの仮面にヒビが入るとその裂け目から炎のような光が溢れる、空が曇りシズの体を爆炎が包む
皆が爆風で吹き飛ばされるとリムルが大丈夫かと、全員に声をかける
「なんだよこれ!危険手当上乗せしてもらうぜ!」
カバルが悪態を着く
「だから!それはフューズの旦那に言うでやんすよ!」
「シズさん!シズさ〜ん!!!」
エレンが心配の声をかけるとカバルがなにかに気づく
「シズ…シズエ=イザワ?」
「シズエ=イザワって…爆炎の支配者か!?」
「そっ、それって50年ぐらい前に活躍したっていうギルドの英雄よね!シズさんが!?」
「くっ!もう引退してたんじゃなかったのか!」
「リグルド!リグル!みんなを避難させろ!」
リムルが指示を出す
「しかし…リムル様!」
「命令だ」
「ははっ!承りました!」
リグルとリグルドは町の方に走っていく
「居るな、ランガ」
影に潜むランガを呼ぶ
「我が主よ、ここに」
「始まったら頼む」
シズの体が再び炎に包まれるとその姿が角の生えた褐色の男に変わる
「炎の精霊…イフリート!!」
「間違いないでやす…シズさんは…」
「伝説の英雄…爆炎の支配者…あ…あんなのどうやっても勝てないんですけど!!」
「無理でやす…あっしらはここで死ぬんでやす…短い人生だったでやんすねぇ」
イフリートが雄叫びをあげ、衝撃波を放つ中メルナがまっさきに突っ込む
「カイジンに貰った俺の剣を喰らえ!!」
「あれは…ロングソード!?いつの間に貰ったんだあいつ?」
剣をイフリートに突き立てようとした瞬間、翼膜の生えたトカゲ、サラマンダーに阻まれる
「なんだこいつ!!?」
慌てて後方に下がるとトカゲどもの放った火の粉が町を燃やし出す
「ちくしょう!せっかく作ったバカだっていうのに!!」
吹き飛ばされる地に伏していたカバル達が起き上がる
「お前たちもさっさと逃げろ!」
「そんな訳には行かねぇよ」
カバルが剣を抜く
「あの人がなんで殺意をむき出しにしてんのか知らねぇが…」
「俺たちの仲間でやす!」
「ほっとけないわ!」
「そうか…気おつけろよ!」
(いいやつらじゃないか)
「ハハ…まさか過去の英雄と戦う日が来ようとはね」
「人生、何が起こるか分かりやせんね」
「いくぞ!」
リムルがイフリートに問いかける
おい!お前の目的はなんだ!
質問に答えず火弾を投げる、リムルが水刃で応戦するが届く前に蒸発する
「効かないか…まっ、そりゃそうだよな」
イフリートとがサラマンダーを仕向けるとそれをエレンの魔法アイスクルランスをかすらせる
「おお!氷は効くのか!」
「おい!大丈夫なのか!?」
「任せてくださいよ!こっちだってね!命張って冒険者やってるんです!」
「おいおい勘弁してくれよ、リーダは俺だっての!まっ、しょうがねぇいっぴきは俺たちが引き受けた!」
「一蓮托生ってやつでさぁ!」
「かっこいいぜお前ら!リムル!もう1匹は俺に任せろ!」
「わかった!無理はするなよ…あぶね!」
2匹のサラマンダーがリムルに向かう
「お前の相手は俺だっての!!」
メルナがそのうち1匹の足を止めるとリムルがランガを呼び出し攻撃を回避する
「俺も狼が呼べたらなぁ…ジャンプして攻撃するんじゃただ好きだらけだし…とにかく隙を窺うか!」
ひたすら攻撃を回避しサラマンダーを狙い続けるとリムルがエレンにアイシクルランスを放ちそれを飲み込む、リムルの中で解析されたそれは強化された魔法アイシクルショットとしてサラマンダーの体を貫く
「おお!なるほど!エレンさーん!!私にもお願いします!!」
「メルナさんにも!?当たっても知りませんよ!!アイシクルランス!!」
放たれた魔法を粘糸で掴むとサラマンダーの頭に叩きつけるが絶命には至らず、地面に落ちたサラマンダーに氷塊を何度も叩きつける
「おら!くたばれ!!こんの…!よくも街を!!!ふん!…ふん!」
30回ほど頭を打ち付けたあとサラマンダーがピクピクと弱く動き塵となって消える
「ふー…ふー…うぃなー!!!あっ…エレン達は!?」
ふとエレンの方を見るとサラマンダーが自爆し3人を気絶させる
「ランガ、この3人を安全な場所へ!」
「しかし…」
「いけ!!」
「はっ!仰せのままに…ご武運を!」
「安心しろ、イフリートは俺が必ず倒す」
「俺もいるぞ」
「やれるのか?」
「そりゃもう!リムルさんの無敵の大賢者で何とかなるでしょ!」
「俺任せかよ…まあいいや」
2人はイフリートを睨むとイフリートが分身し包囲される
「ん?」
「もしかしてまずい?」
「くっ…喰らえ!アイシクルショット!」
取り囲んだ分身を薙ぎ払い本体だけが残る
「「いける!!」」
勝ちを確信した2人の足元に魔法陣が浮かび上がる
「「ん?」」
炎を竜巻に包まれ2人は悲鳴をあげる、
「ぐわぁぁああ!!もっとやりようがあった気がする!敵の罠にハマるなんてぇ〜!封印とか言わず黒稲妻をぶち込めば良かった!」
「もうダメだァ…ここで死ぬんだァ!短い人生だったなぁ」
「ていうか、ダメージが全然来ないな」
解、熱変動耐性の効果により…炎攻撃は自動的に無効化しています
「「あっ…」」
はぁ…
「なんか呆れてない?」
「でも炎が効かないなら楽勝だ!」
「あぁ!結果オーライ、いや全て…計画どおり」
「おお!さすがリムル!」
イフリートが勝ちを確信したのか、町の方に向かうと炎の中から鋼糸が飛び出しイフリートに巻き付く
「なんなんだ今のはァ」
糸でイフリートを拘束したメルナ炎から出てくる、糸から抜け出そうと炎を出すが焼くことができない
「スキルで出した糸にも熱変動耐性がつくみたいだね」
「俺もお前のことを舐めていたが、お前も俺を舐めすぎだったな」
「見た目はスライムだからね」
「…俺はターンだ」
ユニークスキル、捕食者を使用しますか?
「イエス!」
津波のように体積を増やしたリムルがイフリートを飲み込むと、元の姿に戻ったシズが地面に横たわる
「シズさん!」
【リムルの胃袋の中】
暗闇に包まれる空間の中イフリートは外に出ようと炎を繰り出すが彼方に消える
「観念せよ、イフリート」
威厳ある声でイフリートに語りかける声が響く
「貴様にこの空間は破れん」
イフリートが声の方を凝視する
「貴様のかなう相手ではないわ、リムルは我の盟友ぞ!」
暴風竜がその姿を表す
「我は暴風竜ヴェルドラ=テンペスト、心ゆくまで相手をしてやろう」
ヴェルドラの笑い声が響く
評価、お気に入り登録、ありがとうございます!