俺は敵国に連行された。
捕まった後は地獄だった。指の爪を剥がされ、体中を切られ、骨を一本ずつ砕かれ、体の皮を剥がされ、そして死にそうになると治癒魔法で治されてはまた壊される。
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
苦しい
苦しい
苦しい
助けて
泣き叫んだ。何度も何度も赦しを乞うた。それでもやめない。むしろ楽しんでいるかのように拷問を続ける。
車に轢かれて死んで転生してじじぃと出会って、斥候として戦場を駆け巡り、人を殺しまくってるそんな日常を俺は、何かの物語フィクションだと思っていた。空を埋め尽くす大量の魔法陣そこから放たれる殺意しか込められていない魔法で消し炭になる人達。躊躇なく、兵士の硬い鎧ごとボロボロの刃こぼれした刀で切裂く自分。日本でしょうもない人生を送っていた人生と比べたらフィクションじゃないとあり得ない事ばっかりだった。
自分はダークファンタジーで"口が悪く躊躇なく人を殺す傭兵の斥候"というキャラクターをフィクションの住人として観ていた。
気づきたくなった。喉を掻き切る感覚、人が焼ける匂い、血の匂い、断末魔、俺が殺してやつにも、俺とは違って大切な人や待ってくれている家族がいたかもしれない。俺この手でそんな人達の未来を奪ったという現実に。
そう...ここは何かの物語でもなれば、フィクションでもない現実だ。
「早く...殺して」
俺は、あの日車に轢かれて死んだんだ。あのしょうもない人生はあの時で終わったはずだった。なのに俺はこんなクソみたい世界で2度目の人生を歩んでいる。
人の肉を断ち切る感覚、内蔵をぶちまけている死体、全てが脳裏に焼き付いて離れない。
ふとした瞬間に聞こえてくる、斬った敵兵の死にたくない、痛い、許せないという叫び声。
度謝罪しても、彼らは許してくれない。
早く死んで楽になりたかった。
痛みと絶望で限界が来てたとき、牢屋の扉が開いた。
どうやら俺は、今日処刑されるらしい。
牢屋から連れ出され、地下牢を出て外に出ると、太陽の日差しが眩しかった。目がチカチカする。
その後は王都の真ん中の広場に設置された処刑台まで徒歩で引っ張られていった。
処刑を見に来た周りの人達からは憎悪や軽蔑の目で見られ、罵詈雑言が飛び交っている。
やっと終わりが来た
死という救いがようやく訪れる。
処刑台に登り、処刑人は、俺の首に冷たい剣をかざし俺の首をはねた。
処刑台から切断される俺の体を眺めながら
(本当にクソみたいな人生だったな...)と思い視界が暗転し、意識が遠のいていく。
俺の2度目の人生は終わった。