眩い閃光に目を細め、手のひらをかざして視界を遮りつつ次の画面が現れるのを待つ。体感にして20秒、ようやく晴れ渡った視界の先には閉ざされた鉄製のゲート──『関係者以外立入禁止』の看板と、『この先侵入した者は警告なしに射殺します』の看板が見える──と鉄条網付きのフェンスで封鎖された区域。鉄製のゲートには、幾重もの鎖と南京錠、そして誰かが打ち付けていったと思われる木の板で厳重に封鎖されており、とてもじゃないが簡単に入れそうにない。
しかし、手足を掛けられそうなところは均等にあるため、うまくいけば乗り越えられるだろう。目測にして2メートル弱、登れない高さではない。そう考えながら、目の前のゲートに手をかけようとして、ふと自分が配信中であったことを思い出す。挨拶をすっぽかして無言でゲームを始めるなど、Vtuber失格だろう。
「皆さん、こんばんは〜。ホロライブ7期生、新人Vtuberの湊優子です〜。今回は、いわくつきの廃研究所に潜入して探索していきたいと思いま~す」
「今回潜入していくのが、超巨大研究都市『エデン研究所』なわけですが、情報によるとバイオハザードが発生して閉鎖されたらしいですね~」
「けど、研究都市ってことは、なにか重大な秘密が隠されているかもしれませんね〜。この先にいったい何があるのか、このゲートを乗り越えて確かめに行きましょう〜」
とりあえず、挨拶もそこそこに目の前のゲートに手をかけ足をかけ、一歩一歩封鎖された禁足地へと向かっていく。今更ながら、今の自分がスカートかつ生パンだったのを思い出し、周囲に誰もいなかったことにホッと胸をなでおろす。⋯⋯⋯コレネット配信されてるけど、まさか見えてないよね⋯⋯?あの
そんなこんなでゲートを乗り越え、スカートを押さえながら着地する。研究所に続く一本道──なぜか街灯は煌々と灯っていた──を挟んで手入れの行き届いた並木道と芝、そして色とりどりの花が咲き誇る花壇と噴水──水は止まっていたが──の見える通りを抜け、ようやく研究所の入口に到達。見たところ、電子ロックの類はなさそうだし、どうやら鍵もかかっていないらしい。
意を決してドアを開き、研究所の中へ。中も外の街灯同様明るく照らされており、どういうわけかは不明だが電力供給がされていることがわかる。入口近くから順番に巡ってはみたものの、特にコレといって目ぼしい物は見当たらず、先へ進もうとして足元にあったなにかに躓いてしまう。手をついて立ち上がりつつ、躓いた原因のそれを見ると、そこには拳銃──弾は撃ち尽くしてある──を片手に握りしめて事切れている死体があった。だが、この死体どこかで見覚えが⋯⋯
「⋯⋯⋯ころね先輩⋯⋯!!」
壁に背中を預けて力なく両脚を投げ出し、虚ろに目を見開いて俯くころね先輩の頬には乾いた涙の痕が残っており、よほど怖い思いをしていたであろうことが容易に想像できる。ころね先輩にはさすがに悪いが、これも生きるため、と言い聞かせて死体を探るが、出てきたのは握っていた弾切れの拳銃一挺だけで、弾薬やアイテムの類は見当たらなかった。側頭部を拳銃で撃ち抜いているため動く心配はないだろうが、ここにころね先輩の
そのまま放置、というのもさすがに悪いので、虚ろに見開いた両目を手のひらでそっと覆って閉じさせ、その場をあとにする。
ゲームなら、こういうときどこかでポロッと弾薬が手に入るのだが、と考えてよくよく考えてみれば自分がゲームの世界にいた事を思い出す。絶対あの
そんなこんなで無事マヨキチに対する不満も溜まったところで、さらに奥へと進んで──道中いくつかの部屋を覗いたが、結局弾薬は手に入らなかった──いくと、何かを貪る耳障りな音が聞こえてくる。見たくはないが、見るしかないと腹をくくって覗いてみると、どこかで見覚えがある服装の女が、どこかで見覚えがある服装の女を食い荒らしていた。千切れて転がり落ちた首にかけてある特徴的なサングラスは、確か笑虎先輩だ。そうなると、その笑虎先輩を食い荒らしているピンクの頭の女は⋯⋯
「やっぱ、コレルイ先輩か⋯⋯」
こちらの存在に気がついたルイ先輩だったゾンビが、次の獲物を見定めるかのようにして濁った瞳で睨みつけてきた。
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