あぁ!?脱いだら凄いんだぞこっちは!(うすほそ) 作:あげ竹輪
今日当番にきた人は私と同じくらいの背で緩めの雰囲気をしていたから同い年かな?と思ったけど3年生だった。まじか
””紹介するね、アドビスの3年、ホシノだよ。”
「やぁ、よろしくね〜。君が噂のシャーレの生徒?」
来たのは小鳥遊ホシノさん、というアドビス高等学校の実質トップの人らしい。
前に先生がアドビスに救援に行った時に出会って色々あったらしいけど詳しいことは聞いていない。
まあでもこの人も先生の優しさを信頼しているのか大分軽口を言っている...やっぱり先生、たらし....
先生が言っていた。
”ちなみに小鳥遊っていうのは鷹がいないところだと小鳥たちが自由に安全に遊べるから小鳥、遊になるらしいよ”
”あ、でもどっちかっていうとホシノは鷹かもね”
どういう意味だろう...と思っていたけどその答えは本人から貰った。
「うへ、まぁおじさん強いからね〜。能あるなんとかは、ってやつだよぉ」
めっちゃ強いんだって。佇まいからは全然分からないもんだなーと思いながら作業が始まった。
「あれ、メイちゃんそこ誤字してるかも」
「え?...あっ!すみません!」
「いいよいいよぉ、気楽にね〜」
自分の分を既に八割方終わらせたホシノさんが私の方を手伝ってくれた。
あまりにもさり気ない移動に気配でも絶っているんじゃないかと言うくらいの足音の小ささに驚きそうになったけどそこは我慢した。
これはたぶんつよい
てかそもそも書類仕事が早い時点で脳の処理が早い証拠だからね...必然と差が生まれるのよ....
”ホシノ...こっちも手伝って欲しいかも...”
奥からヘルプを求めた先生が情けない声で項垂れてた。
だいぶ珍しい。昨日は先に帰らせて私がタスクキルしまくったから休憩時間は増えたはずだけど...
まあまたユウカさんに聞けばわかる類かな。気にしないようにしよう。
私から離れ、作業に行った2人に私はコーヒーを煎れた。なんか確かこの生徒が来た時はこれ使ってみたいなことを書かれてたからこのカップを使って
先生はミルク多め。ホシノさんは....まぁ同じでいいか。
「コーヒー入れましたよ〜、はい、お二人ともどうぞ」
2つのペアのカップを前に、私の分のカッブを後ろにしてトレイで持っていく。
「あっ!ちゃんと持っててくれたんだ〜、おじさん嬉しいなぁ」
おじさん?と思ったけど一人称が変わっているのは他にもいるし気にしないことにした。
どうやら先生とホシノさんは二人で水族館に行ったことがあるらしい。そこでお土産にペアのマグカップを買った、と。それで当番の時にそれを使おう.....なるほどね。
デートか?
「デート?」
あ、口に出てた。
「うへっ!?...違うよぉ!」
すぐに否定してたけどめちゃくちゃ顔が赤く、口調もさっきよりも勢いが強くなっていた。2人きりでそんなところ行くのは普通にデートだからね。後になって気づくのもそれはそれでいいでしょう。
しかし...ここにも先生の毒牙が....
博愛ではあるんだろうけどそうくるか!女誑し!と言ってやりたい
1度痛い目を見ないと学ばないんじゃないかな?まあそんなことになる前に先生に絆された人が駆けつけるかな。じゃあ仕方ない
「___ふわぁ....あ」
時刻は午前11時。昨日の疲れもあってかだいぶ大きめな欠伸をしてしまった。さすがに2人分を私だけで片付けるのはキツかったか
”休憩する?昨日任せちゃったし、少し休んじゃってもいいよ”
と言われたけどなんか負けた気がするのでまだ行けます!と言っておいた。
まああそんな状態で続く訳もなく、船を漕ぎ集中がだいぶ出来なくなった。...まあでもまだいける!!
”ホシノ、任せたよ”
「うん。それじゃ、お昼寝マスターのおじさんにお任せあれ〜」
と言われたあと腕の間から身体をあげられ同じ身長しかないその体からどれだけ力があるんだ?と思うくらいに安定している支え方で運ばれた。
でもこれって猫の持ち方だよね
「さ、シワにならないように上着脱ごっか。それともおじさんが脱がした方がいいかな?」
犯罪臭がすごい。台詞だけ聞いたら危なすぎるかもそれないがそれに従いシャーレの制服を脱いだ。まあちょっと躊躇ったけど...
「わ、やっぱり運んだ時にも思ったけどだいぶ痩せてるね〜...ちゃんと食べてる?」
なにおう。向かいのホシノさんだって細いじゃないか...っていう冗談はあまり通用しなさそう。さっきよりも目が開いてるからそんな気がした。
「ちゃんと
そういうとうーん...と言いながらまだ疑っていた。まあでもそういう体質だというと程々に納得してくれたのでよしとする
「ちょっとだけ聞いたけど...ゲヘナ辞めちゃったんだっけ?メイちゃんは」
どうして?と聞かれたので姉と喧嘩をした、ということだけ話す。
余計な詮索をされても困ると思うから概要だけ。
「そっか...でもずっとそのままはおじさん、良くないと思うな」
「だって、また会える、って思っていた人がある日突然この世から居なくなっちゃうってこと、有り得るから」
姉のことは好き?と聞かれたので頷く。どんなことをしても嫌いにはならない自負があるくらいには好きだ。
「じゃあ尚更だよ。悔いが残って何も出来なくなるより先に行動した方がいい...これはおじさんじゃなくて、小鳥遊ホシノからのアドバイス」
真面目な話は終わりで、その後は私がベッドから離れないようにと抱き枕にされて先生が起こしに来るまで2人で寝ていた。
途中で帽子は取れていたらしく、起きた後壁にかけてあったのでありがとうございますと伝えると「別にそれくらいいいよぉ?ぐっすりだったからねぇ」と言ってもらった。
ホシノさんはお日様の匂いがした。あと、寝る前最後に聞いた言葉が仮眠に入るまで私の脳にずっと残っていた。
「....もしもし?風紀委員長ちゃん?...うん、そうそう」
「まあ別に借りを返して欲しいって訳じゃないんだけどね〜...ちょっと気になったことがあってさ」
「とある生徒を、調べて欲しいんだけど」