あぁ!?脱いだら凄いんだぞこっちは!(うすほそ) 作:あげ竹輪
「3番席、抹茶セット!続く4.6はaで同じく!」
「はい!」
「...やっぱり混んでるなぁ..」
久しぶりに来た百夜堂。長年続くだけあってそれはもうめちゃくちゃ人気。いま30分くらい待って入り口付近まで来たもん。
招待があったとはいえ流石にズカズカ入っていくのは気が引けたので律儀に並んで他を見て待っている。
そういえば夏が近づいてきたからかき氷がメニューに加わったんだっけな、とか思いながら待っていると私を見つけたのか
「あっ!来たなら言ってくれれば通したのに〜!...ささっ、奥へどうぞ♪」
裏の部屋まで連れてって貰った。
ここからはキッチンと伝票が見えるけど何列あるんだこれ...普通に給食部と同じくらいの割合じゃない...?
ここまで来ると私一人に対応してもらうのも何か嫌だったので手伝うことにした。まあたまにこういうこともあったしね。
その旨を伝えると「えっ!ありがとうじゃあこれ着て注文受け付けお願い!」とすぐに着替えが準備されてあっという間に百夜堂の一員として相応しい格好にされていた。
あ、でもこれ前来た時にさりげなく採寸されてた時のサイズのままっぽいから若干ぶかぶかるな...ちょっとキツく閉めとこう
「い、いつの間に...」
「飛び入り娘として人気があるんですっ!さあっ、稼ぎ時!!レッツゴー♪」
背中を押されながら私はピークが過ぎるまでの間急遽参加型で百夜堂を手伝った。
どうやらほんとに意外と人気があったらしく、前に来た時に私が素のまま応対をしていたお客さんが「おっ!遂に正式に看板娘か!」とか「シズコちゃんもいいけど...貴女も元気があって素敵♪」とか言われた。悪い気はしなかった。
だって給食部のときは基本罵詈雑言だからね!接客が気持ちよくて仕方ない!!
あ、でも「先輩の真似、して〜♡」と言われた時はさすがに恥ずかしかった...人前でにゃんにゃん!とか出来ないよ
そこまで魂を売ってるわけじゃないからさ...私
「いや〜ごめんなさいっ!それとありがとうございます!」
お陰で大盛況でしたと付け加えて賞賛をします。実際にメイさんが来てくれたおかげでリピーターが大分増えましたからね!
あの子はいつ来るんだとか看板娘を差し置いて言われた時はパンチが出そうになりましたが...さすがに堪えました。
フィーナ、ウミカが居るとはいえ...2人とも強烈な個性があるため刺さる人と刺さらない人がいるわけで、それを補うのが私の役目ですがそれでも好き嫌いは分かれるものなのは自覚しています。
「ですが、そこでのメイさんだったのです!需要が一気に満たされここ連日よりも1日の合計が1.3倍増...!」
黒髪ロングはそれだけでも百夜堂では珍しいですが、さらにメイさんの人懐っこさとくればお客さんなどイチコロ。増えるのは確定しているようなもので、出来れば百鬼夜行にこのままいて欲しい人材なのです。
...まあ、そうとも出来ないために関わりを持つことで繋いでいる、ということもあります。
まあ、それを抜きにしても友達ですから!損得は考えるにしてもプラス、プラスなので!
「え〜っ?そうですかねぇ〜」
なんてちょっと照れくさそうにしているのを見ているとやはり恥ずかしがる、というものを持ち合わせているのもポイントなのかもしれませんね...私のブランディングと少し被っているところではありますが、細かいところで差別化されている...
あ、そうでした。
「手伝ってもらったお礼にまたなにかメニューから頼んでいいですよ!看板娘のマンツーマン接待です♡」
お客さんは全て居なくなり、CLOSEの文字も貼っておいたので本当の1体1。こんなのやろうと思ったらものすごく徴収しちゃうところですが、特別です。
お品書きをみてどれか悩んでいるメイさん。
やはりもみじ饅頭?それとも新メニューで試作をした宇治抹茶の夏限定でしょうか...などと考えているとどうやら決まったそうです。
「それじゃあ...桜あんの小豆ミルクでお願いします」
おや。
それだけで大丈夫なんですか?と聞いたら既に少し食べてきたからあまり空いていないのだとか。
それと「なんかちょっと...シズコ先輩に似てません?気になっちゃって!」との事。
ふむ。確かに私のイメージカラーと似ています...名称変更してみるのも手ですかね?
看板娘をモチーフ!とかそんな感じで....良さそうですね、これは売上も...
「ん”ん”っ、...小豆は前と同じく粒?」と聞くと今回はこし餡で、と言われました。
あれ?可笑しいですね...前回のときはいかに粒餡が良いかみたいなことを言われたような気がするのですが...
まあそういう気分もあるのでしょう!私は目の前のお客さんを楽しませることに注力をする!
「そういえば、トリニティに行ったそうで?なにか収穫はありました?」
何気なくそう聞いてみました。例えば紅茶の茶葉が採れたーとか、どんなものがあちら側にはあったーだとか、そんな世間話が出来る、と思って。
これを話した途端、彼女の顔が強ばるのが分かりました。普段から表情管理を欠かさない私にとってはその微細な変化を理解してしまいました。
きっとなにか複雑な事情があるのでしょう。私はその話題をすぐに閉じ、別なものに変えることでその凍った空気を溶かすことに成功はしました。
話の中であった新メニュー提案で何故か異様にメイさんがミント系を推しているのが気になりましたね...
百夜堂ではあまりそれ系に合うものが作りにくくて...と話すと少し悲しそうにしていたので急いで「い、いやいやいや!しっかり考えます!貴重なアイデアですからっ」と言うと少し笑ってくれました。
そういえば、メイさんに百夜堂の衣装を着せる際、前とは明らかに違いました。あんなに健康的であったお腹周り(本人は少し太っちゃった...とか言っていましたがしっかり標準)が、明らかに頼りないほどに縮んでいました。それに骨ばったような触り心地であまり良い、とは言えない状態であると理解しました。
まるで握ったら簡単に折れてしまいそうな、内蔵だけが収納されているような最低限の厚みしかなく、もう少し関わりが深ければ1歩前へ出てそれを聞いていたかもしれません。
また、それを聞いた方が良かったのか、後から聞かされた方が良かったのかは、私には分かりませんでした。
「__それじゃあ、またいらしてください〜!今度はお姉さんと一緒に〜!!」
「百夜堂はお2人をいつでも歓迎しますよ〜!」
「っ!.....はい!ありがとうございます!!」
というかシズコが出てくるやつ少なすぎ♡誰か書いて♡