あぁ!?脱いだら凄いんだぞこっちは!(うすほそ) 作:あげ竹輪
難儀なものですね
買い出しが終わって戻っている途中。
「原付に二人乗りって大丈夫なの?」
「この学校なんだからルール守るやつなんていないの。その辺はもうガバガバなんだから」
荷台に降りかかるのはもう割れそうで怖かったのでお姉ちゃんの方に体重を掛けてしがみついて何とか乗っている。かくいうお姉ちゃんも足を載せるところに荷物を挟んでいるからかなり重量があれな気がするけど
さすがキヴォトス製と言うべきか、このくらいの負荷では重くなりもしないらしい。流石
温かかったな
「危なかった...セールの時にアイツらがいたら本当に面倒だったけどとりあえずは大丈夫みたい」
「あっ風紀委員」
「はぁ!?」
私の声に反応したお姉ちゃんは挙動が少しおかしくなったけどどうしたんだろう。とりあえず落ち着いてと肩を揺らして運転に戻らせた
気づいた風紀委員がこっちに手を振ってきたので私も振り返す。
あっ、あれは
「イオリちゃんだったね〜。巡回してたのかな」
「また友達増やしてる...というか風紀委員は仕事しなさいよ..」
別に楽だからいいけどさ、と文句はあるものの、みたいな感じだった。
「暴徒の方が多いし危ないしね〜、ちょっとの違反くらいなら見逃してくれるんだよきっと」
「それはそれでどうなのよ...っと」
到着。
積んであった荷物を運んでそれぞれの場所に保管して置く。
これをしないと悪くなっちゃうからね
「トマトとかきゅうりとかは買った?...忘れてたかな」
「ああ、それならジュリの菜園から採れるはずだから大丈夫。時期は早めだけどだいぶ大きくなってたから」
ジュリちゃんはどうやら家庭菜園...よりも規模がデカめの畑を近くに作ったらしく、ミレニアムの成長促進機を融通してもらったのも相まって相当収穫ができるらしい。
これを聞いた時は2ヶ月で!?って思ったけど科学ってやっぱりすごいんだなと思う。名前?なんだったっけね...
アバなんとかみたいな...なんだったっけ?
顔がちょっとアレだけど効果はピカイチだからだいぶ手入れされてて毎日ビカピカよもう
荷物整理をしてちょっと早いけど帰ろうとする....と扉の向こうに人影が見えた。
...なーんか、ちょっと嫌な予感
そのまま歩いているとその人と目が合った。
「げ」
「あら、フウカさん丁度良いところに」
言葉を言い切る前にお姉ちゃんが私を巻き込んでスタスタ歩いていった...けど肩を掴まれたから止まった。
「話は最後まで聞いた方がよろしいかと。」
「聞いたところで悪いことでしかないのは知ってんのよ。ほら帰りなさい」
「まあまあそんなこと言わずに!拒否権は無いんですから行きますよ」
おっ!?
同じ縄で胴体2つを縛られた。
「えっ私も!?お姉ちゃんだけじゃないの!?」
「今回はメイさんもいらしたので、是非美食研究をご一緒にいかがです?」
恐らく興味はあるのでしょう?と見透かされた。
「....まあ、ありますけど」
「嘘でしょ!?」
驚いているけどほんのちょっと。ちょっとだけだよ?
「では出発進行、運転をお願いします」
「お任せを!」
でも運転は荒かったから疲れた。身動きできない状態で揺れるのってだいぶ辛いんだよ?
でも、楽しかったな
目の前に並ぶは見た事ない見た目の料理ばかり。
イズミちゃんは目を輝かせている。...てことはまぁ
「...ねぇ、なによこれ」
「....」
「.....♡」
3秒後に爆発(物理)しそうな顔をしている2人が何とか留まり、再び目の前の物を見つめる。
「多分鰻ゼリーに似た物...?にしてはだいぶ色が....」
まぁ本場のやつも食べたことないのだけれども。
ゼリー部分?汁の場所?が魚からは考えられない緑色をしている。
もう苔と同じくらいの色をしているんじゃないかな
そんでもって魚特有の匂いがしっかり残っているんだけどこういうのって下処理しないとダメなんじゃないの?
流石に生ではないだろうけどさ...
もしこれを知ってこの店に来たのであれば正気を疑ってしまうけど、多分この人は...
「...百聞は一見にしかず。食べてみないことには何も始まりませんわ」
なんか覚悟を決めてる。マジか
「えぇ....まぁ、じゃあ?」
「とりあえず....いただきます?でいいのかな」
案の定その店はその日で閉店...というか爆店?
店ごと無くなった訳なんだけども。
このお詫びに今度とびきり素晴らしい店に連れていってくれるらしい。
今回は完全初見で探求のみで行ったけど次は確証を持った最高の場所に連れていく、と
「そもそも誘拐するんじゃないわよ!」と言っていたけど多分それ聞いてないね...
確実に耳に入っていなかったと思う。
「時にメイさん。皆さん...いえ、イズミさん以外が箸を止めている間、貴女は食べ進めていましたね」
「あっ、それ私も気になってた。別に残しても良かったのよ?」
それに関しては私のポリシーというか、考え方というか...
なんかそれを言葉にするのはちょっとだけ恥ずかしいけど...
「まぁ、確かに美味しくはなかった、んだけど....」
「人から出してもらった物を残す、っていうのは何か嫌なんだよね」
「せっかく用意してもらったものを、恩を仇で返す、的な?あんまり好きじゃないから、さ」
って言った。
お姉ちゃんのやつは戻したのに?
「....だれ?」
急に視界が帰り道ではなく真っ暗な何もない空間に変わる。
何が残すのは嫌、なの?吐いたじゃん、お前
違う。あれはただ
何が違うの?お前は
あれは理由があったんだ。きっとお姉ちゃんは分かってくれるはず
そう?じゃあ本人に聞いてみようか
声の方向を振り向くと人影が出来上がり、よく知る人物に形が変わった。
「お姉ちゃん!」
『...』
ずっと謝りたかった。会いたかった。会えないと思っていた。
だけど目の前に現れた。
「あのね、私ずっとお姉ちゃんに謝りたくて」
『なんで?』
穴の空いた顔から声がした。
『なんで?』
「おねえ、ちゃん....?」
その声は聞き覚えがあるのに、全く別なものに聞こえる。
『悪いと思うならなんですぐに謝らなかったの?』
『なんで私にあたったの?』
『なんで私が作ったものを粗末に出来るの?』
『なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?』
その顔は私を飲み込むように近付いてきて、私は恐怖のあまり座り込んでしまった。
動けない。でも話さないと
『あぁ、そういえば私の事、嫌いなんだっけ』
その言葉を聞いた時に私の動かそうとしていた全てが止まった。
言った。
言ってしまったんだ。
『私もメイの事、嫌いだよ』
その言葉を最後にそれは霧のように霧散し、また何もない空間へと戻った。
お姉ちゃん。ごめんなさい
許して欲しいなんて言うのもやっぱり烏滸がましいのかもしれない。
いっそ罰してもらう方が楽かもしれない。その方がまだかかわりがある、って感じれるから。
お姉ちゃん。ごめんなさい
吐いてごめんなさい。全部食べれなくてごめんなさい。心配かけてごめんなさい。暴言を吐いてごめんなさい。嫌いって嘘ついてごめんなさい。恩知らずでごめんなさい。こんな妹でごめんなさい
「.....い......なさい」
仮眠室から聞こえる声。恐らく寝言のはずだけどどんどんと呼吸が薄くなっている気配がしたので先生と部屋に入った。
メイちゃんが魘されていた。
急いで振り起す。多少目覚めが悪くなってもその
「ぅ....ぁ?」
「起きた?おはよう、落ち着いて」
「ぁ...わ、私、謝らないと...」
起きた途端取り憑かれたかのように扉に向かおうとしたので正面から抱き着くように止める。
そのまま背中を叩いて落ち着いてくれればいいんだけど
「そのままじゃダメそうだからね。はい深呼吸」
「で、でも」
「でもじゃないよ、今は休むこと....あと」
先生に目線を送った。
”うん。了解、セナに連絡する”
担当医...というか担当生かな。事情を知っている人を呼ぶしか無さそう。
恐らく、私が初めてあった時よりも悪化している?あの時に既にこうなっていたと考えるなら....
近い将来、またお願いをすることになりそうだよ、ヒナちゃん
ホシノ
本音を言えないまま永遠に別れてしまうこともあるので会えるうちに話し合って欲しいと思っている。
メイ
このまま嫌ってくれれば自分のことを忘れて自由に暮らして行けると思っている。
現在精神的支柱がいなくなる+薬が切れる+誰かが追い詰めるのコンボで参っている
セナ
鎮静剤を持ってきた。
預けた薬剤のパックが開けられていないことから現在の状況を把握。
現在複数名とカウンセリング内容と方法と治療方法について話し合いを行っている。