風化の魔神フェネクス   作:風音 のえる

5 / 6
◆新しい日常
砕けた杯、風化の残響 エピローグ
あれから数日が経った。フェネクスは今どうしているだろうか?


砕けた杯、風化の残響 エピローグ

「あれから何日か経ったけど、フェネクスはどうしてるかな…

確か、今はミルハーヴェンに住んでるんだったよな?様子を見に行ってみようぜ!」

 

パイモンに誘われて、旅人はミルハーヴェンへと向かう。

花畑が並ぶこの小さな村の外れに、ハルトマイヤー家の別宅があると聞いていたが…

 

「あっ、ここだ…よな…?」

 

目の前にあるそれなりに大きな家は、なんだか随分と緑に覆われていた。一見廃墟にしか見えない。

 

「これ、ほんとに人が住んでるのか…?

あ、こっちに庭があるみたいだぞ!」

 

少し視線を横にずらせば、恐らく庭だろう空間の端が映った。

柵も軒並み蔦に覆われているが、見えないほどでは無い。

そして、そんな柵で囲われている庭がまともに手入れされているはずもなく。

 

「整える…ってコンラートは言ってたけど、全然出来てないじゃないか!」

「荒れ放題だね…あ」

 

庭をのぞき込むパイモンに影がかかる。

それに気付いて旅人が後ろを見れば……

 

「ん?なんだ、お前たちか」

「うわぁあああ!!」

「フェネクス、こんにちは」

「よっ、お二人さん、よく来たな」

 

いつの間に後ろに立っていたのか、荷物を抱えたフェネクスがそこにいた。

 

「悪いな、まだ庭の方まで進んでないんだ。なんせ、あんまり管理がされてなかったから家の中もやばくてな」

「これだけ庭が荒れてたらね…」

「だから色々と買い出ししてるところなんだ」

 

そう言いながら家の中に入っていくフェネクスに、なんとなくついて行くことにした。

中は人は住めるぐらいではあるが、なんともすっからかんで寂しい家だった。

 

「見事に何にもないね」

「必要なものを買い揃えるのも大変そうだな」

「そうだぞ〜、幸いモラには困ってないから良いけどな。

いや〜まさか当時の俺のモラがそのまま残されてたとは思わなかったな」

「そんなに残ってたのか?」

「モンドが潰れるような大惨事でもなきゃ崩さないつもりだったらしいぞ」

「お、おぉ…」

 

思っていたよりもハルトマイヤー家の意志が強い。

少なくとも五百年はそれを続けていたわけだし、そもそも最も古いフェネクスの民の子孫なのだからそれぐらいだったとしても違和感は無い。

 

「あぁ、それと、外ではあんまり俺のことをフェネクスとは呼ばないでくれよ?ウェンティと一緒だ」

「えっ?どうしてだ?せっかく戻ってこれたのに…」

「もうヴェルンは無いからな、俺がフェネクスで居続ける理由が無い。

あぁもちろん、モンドを守る気が無いとか、別に帰りたくなかったとか、そういう訳じゃないからな?」

「なんて呼べばいいの?」

「プラエシュケと呼んでくれ。昔、正体を隠して色々と遊びに行ってた時に使ってた名前だ」

「プラエシュケ…うん、分かった」

 

きっともう既にその名前で街に溶け込み始めているのだろう。案外すぐにモンドでそれを聞くことになるかもしれない。

 

「遊びに行ってたって、どこにだ?」

「どこってそりゃあ、モンド城とか他の国とかな。

そうだ、ここの整理が終わったら、またどこかに行こうかと思ってるんだが、どこかおすすめの場所はあるか?」

「それならオイラに任せるんだぞ!なんたってオイラはテイワットいちのガイドだからな!」

 

ふふん!と胸を張るパイモンに旅人が笑う。

目の前に勢いよく飛び出したパイモンに面食らったフェネクス──プラエシュケもすぐにつられて笑みがこぼれる。

…この様子なら心配することもないだろう。

最初に行くならどこがいいだろうかとパイモンと一緒になって考えることにした旅人だった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。