ゾンビVSテロリストVS原作知識持ち転生者   作:カロ(ハーメルン)

6 / 7
第6話

 

 

 黒がじわじわ曇り空。

 影で満ちた冷たい教室。

 

「う、うそ……」

 

 そんな。まさか。

 しんじられない。

 

「ほんとですよッ」

 

 松本さんがグワッと荒々しく。

 

 それを腕がさえぎった。

 

「落ち着け……やつらは、じゃあ」

 

 冬也くん。

 張りつめた小声。

 

「みんな……み゙んなッ……嚙まれたら、おんなじにな゙っちゃっだの゙ッ」

 

 白い布も、黒焦げも。

 あの、バケモノも?

 

「(そんなの……そんなの)」

 

 テロリストのことだってまだ。

 ここで、なにが。

 どうして。

 

 いっぱいいっぱいのあたまが、おかしくな──

 

 

「──生きてる、ひとは?」

 

 窓からほわりと差し込む、弱々しい光。

 

「(……蓮先輩)」

 

 その顔。

 思えば、いつも。

 

 希望を必死にみつめる……その顔。

 

 彼は──

 

 

 

 

──グチャ……クチャァ

 

 にくをむさぼるヒト。ヒト。ヒト。

 

「ッ……」

 

 思わず口元を抑えた。

 なんて、ゾッとする光景。背筋が凍りつく。

 

「(もうすぐ、なのに……!)」

 

 首をそろりと横に振るトウヤ。

 後戻りの合図。

 

──ボキィ……グチャッ

 

 音を立てずに。息を殺して。

 ゆっくり、ゆっくり。

 尽きない冷や汗がジットリ。

 

 

 松本──メイが口にしたこと。

 

 小さな生存者グループ。友達に教えてもらった唯一の希望。

 

 目指すは原作とおなじ、3F図書室。

 この渡り廊下のすぐ向こうに。

 

 たどり着けば、きっとみんな──

 

 

──ギャリッ

 

「……ぇ」

 

 砕けたガラスの音。じぶんの足元から。

 

 

──ゥ゙……ァ゙ゥ゙……ァア゙

 

「ヒッ……」

 

 ゆっくりこちらに振りむく、無数のかれら。

 ぼとぼとぼと。まっかな血肉。

 

 息が、できない。

 

 

──ア゙ア゙ア゙!! ヴィャァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙!!!!

 

「逃げろッ!!」

「ぃ……いやぁぁぁぁッ!!」

 

 やばい、やばいやばい。

 なにもかもが、ダンダンダンッ!とおしよせる。

 

 はやく。ここから。

 

「だ、だめッ!」

 

 おおすぎる。はやすぎる。

 こんなの。こんなの。

 

「みん…なッ……ハァ゙ッ、ごめ──」

 

 

「──先にいけッッ!!!」

 

 なにを。

 

 うしろで。

 

「なに、してるのッ!? はやく」「いいッ!!」

 

 ユウキが足をとめようと。

 

「ゼェッ……冬也、さんッ」

 

 メイが息を切らせて。

 

 そんな、だめ──

 

 

「ハァァッ──いきろォ゙ォ゙ォ゙ォ゙!!!」

 

 ビリビリ、ふるえた。

 

 心臓がドクンッと。

 

 

──ガンッ!! ドンッッ!!!

 

 背後ではじける、激しい衝撃音。

 ぼやけた視界でふりかえる。

 

「トウ、ヤ……?」

 

 

 こちらをチラッと見た。

 

 かれが。

 

 幸せそうに、フッと笑ったような。

 

 

 

 

──ゴゴゥゥゥ……

 

 遠くで雷が重く響いた。

 

「……ごめん」

 

 暗い暗い備品置き場。

 

「ッ……」

 

 振り切った平手をそのままに。

 震え泣いている彼女。

 

「優希、さん……」

 

 仕方なかった。

 悪いのはやつら。

 あたしたちは、生きてる。

 

 

──なにもいえない。

 

「……」

 

 彼の気持ちが、痛いほどわかるから。

 

 みんなを見捨てた。

 

 ななちゃんをころした。

 

 クズ。

 

 

 

 

──ヒュォォォォ

 

 冷たい風が吹き込む。

 

「うおッ……強くなってねえか?」

 

 思わずぶるり。

 

「そうですわねぇ……」

 

 隣で不安そうに。

 

「ちょ、ちょっと! 寒いからやめてって!」

 

 後ろからうるさい声。

 

「はぁ……だから叫ぶなと何回……」

 

 こいつも別の意味でうるさい……かも。

 

 スッと窓を閉めた。

 ぬくもりが、身体にじんわり。

 

 立てこもった図書室。

 電気だけつかないけど、他は無事。廊下の音があんま聞こえないのも良い。

 

「ななみちゃん、大丈夫でしょうか」

 

 友達を呼んでくると言った一年生。

 あれからもう、だいぶ経った。

 

「……」

 

 外がどうなってるか知らないけど。

 

 たぶん……あいつはもう──

 

 

──ダンダンダンッ!!

 

「キャァッ!?」

「ヒィ!?」

 

 ドアが。強く、激しく。

 

「(や、やつらが……!)」

 

 バリケードがある。大丈夫。

 あそこ以外、はいれるとこもない。だいじょうぶ。

 

 ここでジッと──

 

 

「──ななみ、ちゃん?」

 

 キボウに魅入られたように。

 

 すたすたドアのほうへ。

 

「わかな……?」

 

 バリケードを越えていく。

 ありえない。

 

「ぇ……なにして……」

 

 椅子をはずした。

 なにを。

 

「お、おいッ!?」

 

 まずい、まずい。

 

 

 

 

──ガラガラガラッ!

 

 むにゅっ。

 

「ひゃ!?」

「……え」

 

 やわらかい。

 

 って。

 

「れ、蓮さんッ! はやくッ!!」

 

 叫ぶメイ。

 

──ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!

 

 背後から迫るヒトの音。

 ドクドク鳴り続けている心音。

 

「ッ!」

 

 開かれたトビラへ、バッと飛び込んだ。

 

 

 ふわり。

 

 凍りついた頬が。

 

 ひどくあったかい空気に──そっと優しくなでられた。

 

 

 

 

 




※見切り発車。需要があれば続きます。

ご覧いただきありがとうございます!嬉しい……!
良いな~と思ってくださった方は、よろしければ☆評価やお気に入りをお願いします……!

あぅ……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。