ゾンビVSテロリストVS原作知識持ち転生者 作:カロ(ハーメルン)
黒がじわじわ曇り空。
影で満ちた冷たい教室。
「う、うそ……」
そんな。まさか。
しんじられない。
「ほんとですよッ」
松本さんがグワッと荒々しく。
それを腕がさえぎった。
「落ち着け……やつらは、じゃあ」
冬也くん。
張りつめた小声。
「みんな……み゙んなッ……嚙まれたら、おんなじにな゙っちゃっだの゙ッ」
白い布も、黒焦げも。
あの、バケモノも?
「(そんなの……そんなの)」
テロリストのことだってまだ。
ここで、なにが。
どうして。
いっぱいいっぱいのあたまが、おかしくな──
「──生きてる、ひとは?」
窓からほわりと差し込む、弱々しい光。
「(……蓮先輩)」
その顔。
思えば、いつも。
希望を必死にみつめる……その顔。
彼は──
*
──グチャ……クチャァ
にくをむさぼるヒト。ヒト。ヒト。
「ッ……」
思わず口元を抑えた。
なんて、ゾッとする光景。背筋が凍りつく。
「(もうすぐ、なのに……!)」
首をそろりと横に振るトウヤ。
後戻りの合図。
──ボキィ……グチャッ
音を立てずに。息を殺して。
ゆっくり、ゆっくり。
尽きない冷や汗がジットリ。
松本──メイが口にしたこと。
小さな生存者グループ。友達に教えてもらった唯一の希望。
目指すは原作とおなじ、3F図書室。
この渡り廊下のすぐ向こうに。
たどり着けば、きっとみんな──
──ギャリッ
「……ぇ」
砕けたガラスの音。じぶんの足元から。
──ゥ゙……ァ゙ゥ゙……ァア゙
「ヒッ……」
ゆっくりこちらに振りむく、無数のかれら。
ぼとぼとぼと。まっかな血肉。
息が、できない。
──ア゙ア゙ア゙!! ヴィャァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙!!!!
「逃げろッ!!」
「ぃ……いやぁぁぁぁッ!!」
やばい、やばいやばい。
なにもかもが、ダンダンダンッ!とおしよせる。
はやく。ここから。
「だ、だめッ!」
おおすぎる。はやすぎる。
こんなの。こんなの。
「みん…なッ……ハァ゙ッ、ごめ──」
「──先にいけッッ!!!」
なにを。
うしろで。
「なに、してるのッ!? はやく」「いいッ!!」
ユウキが足をとめようと。
「ゼェッ……冬也、さんッ」
メイが息を切らせて。
そんな、だめ──
「ハァァッ──いきろォ゙ォ゙ォ゙ォ゙!!!」
ビリビリ、ふるえた。
心臓がドクンッと。
──ガンッ!! ドンッッ!!!
背後ではじける、激しい衝撃音。
ぼやけた視界でふりかえる。
「トウ、ヤ……?」
こちらをチラッと見た。
かれが。
幸せそうに、フッと笑ったような。
*
──ゴゴゥゥゥ……
遠くで雷が重く響いた。
「……ごめん」
暗い暗い備品置き場。
「ッ……」
振り切った平手をそのままに。
震え泣いている彼女。
「優希、さん……」
仕方なかった。
悪いのはやつら。
あたしたちは、生きてる。
──なにもいえない。
「……」
彼の気持ちが、痛いほどわかるから。
みんなを見捨てた。
ななちゃんをころした。
クズ。
*
──ヒュォォォォ
冷たい風が吹き込む。
「うおッ……強くなってねえか?」
思わずぶるり。
「そうですわねぇ……」
隣で不安そうに。
「ちょ、ちょっと! 寒いからやめてって!」
後ろからうるさい声。
「はぁ……だから叫ぶなと何回……」
こいつも別の意味でうるさい……かも。
スッと窓を閉めた。
ぬくもりが、身体にじんわり。
立てこもった図書室。
電気だけつかないけど、他は無事。廊下の音があんま聞こえないのも良い。
「ななみちゃん、大丈夫でしょうか」
友達を呼んでくると言った一年生。
あれからもう、だいぶ経った。
「……」
外がどうなってるか知らないけど。
たぶん……あいつはもう──
──ダンダンダンッ!!
「キャァッ!?」
「ヒィ!?」
ドアが。強く、激しく。
「(や、やつらが……!)」
バリケードがある。大丈夫。
あそこ以外、はいれるとこもない。だいじょうぶ。
ここでジッと──
「──ななみ、ちゃん?」
キボウに魅入られたように。
すたすたドアのほうへ。
「わかな……?」
バリケードを越えていく。
ありえない。
「ぇ……なにして……」
椅子をはずした。
なにを。
「お、おいッ!?」
まずい、まずい。
*
──ガラガラガラッ!
むにゅっ。
「ひゃ!?」
「……え」
やわらかい。
って。
「れ、蓮さんッ! はやくッ!!」
叫ぶメイ。
──ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!
背後から迫るヒトの音。
ドクドク鳴り続けている心音。
「ッ!」
開かれたトビラへ、バッと飛び込んだ。
ふわり。
凍りついた頬が。
ひどくあったかい空気に──そっと優しくなでられた。
※見切り発車。需要があれば続きます。
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あぅ……。