◇トーカの視点◇
ルーシーさんがマコトくんの仲間になってしばらくたった。
ルーシーさんの火魔法はすさまじいらしく、その威力は森で使ったとき山火事を引き起こしかけたらしい。おかげで今は森の中で魔法を使うのを禁止されてるそうだ。
二人で一緒に冒険に行くときは私は置いて行かれる。
ルーシーさんに私がバレないように、そして最近の私に頼りすぎてる状況を変えるためにマコトくんが言いだしたことだった。
そんなわけでギルドに預けられるようになった私にマコトくんはすまなそうにしていた。
どうやら私を置いていくことに申し訳なさがあるらしい。
私としては前世から我慢強い方だったし、マコトくんの考えも理解できていたので別に構わなかった。
たまに
剣に転生したせいなのか、私は時々、闘争本能というのだろうか?戦いたいという欲が出るのだ。前世、小娘だった私が魔物を殺したり血を見たりしても取り乱さなくなったりと、どうやら精神が前世から変化したらしい。
まあそんな風に日々を過ごしていた時、マコトくんはあのジャンさんのパーティーに誘われて一緒に「暴れバイソン」の討伐を受けることにしたそうだ。
魔力が少ない彼は、私がいないときは魔力節約のために周辺の水を操って戦う。水辺が少ないマッカレン付近の草原では自分のできることは少ないと、最初は断ろうとしたそうだが、どうやらジャンさんはこの前のお礼がしたかったようだ。
そのため、新人冒険者同士信仰を深めて、かつ、この前のお礼もするために報酬の美味しい依頼に誘ったのだという。
「というわけで、行ってくる」
(ええ、まあ。いってらっしゃい、気を付けてくださいね)
とまあ、夫を仕事に見送る妻のようなことを言いながらマコトくんを見送った。
帰ってきた、マコトくんは全身に大やけどを負っていた。ギルドの治療室に連れていかれた彼は今は魔法で治療を受けている。
グリフォンが出た。聞こえてきた他の人の話では草原に上位の魔物のグリフォンが出てマコトくんたちが戦闘になったらしい。
「いやー、グリフォンを倒すときにルーシーと"
やけどで全身包帯まみれになった彼はそういった。
―――
魔法使い同士で、身体を触れることで相手の魔力に干渉する能力。
上級魔法使いが弟子に魔法の使い方を教えるのに使う技術を彼はルーシーさんに使って、彼女の荒々しい魔力を制御し、巨大な火魔法でグリフォンを倒したらしい。
だけど火魔法の適正のない彼は拒絶反応が出てしまいこんな有様というわけだ。
(心配したんですからね!こんなことなら私がついていけばよかったと後悔したんですから!!)
(ごめん。今度からはトーカさんも一緒に連れていくことにするよ)
私はのんきに見える彼の様子に腹を立て、まくし立てた。
すると彼は素直に謝ってきた。さすがに今回のことは彼にも堪えたらしい。今度からは私も冒険に連れていくようだ。
反省しているのであればいいのだ。命は大事にしないといけない。
「まことっ!」
私を連れてエントランスに行くとルーシーさんが飛び込んできた。
エントランス前はブロンズランク冒険者4人による上位魔物の討伐ということで大騒ぎになっている。この前のオーガ討伐の時といい、冒険者達は騒ぐのが好きらしい。
「ねえ! 身体は平気? 寝てなくて大丈夫なの?」
「うるさくて寝れないよ」
エントランス内の大宴会でいつもの休憩室はまたうるさくて寝れないだろう。
「本当に大丈夫なの? ずっと気を失ってたんでしょ?」
「ああ、さっき目が醒めた。それより、今日はヒーローなんだろ。向こうで騒いで来いよ」
「いいのよ! 本当はまことの傍にいたかったのに、エミリーからは役に立たないって言われて、ルーカスさんには、主役が居ないと盛り上がらないからってみんなに飲まされて散々だったわ!」
彼女とマコトくんが話しているのを見ると少し複雑だ。彼女のせいではないとはいえ火の魔力でマコトくんが傷ついたのは確かだ。
「ね、ねえ。まこと?」
ルーシーさんがマコトくんに質問する。
「今日のこと怒ってる?」
「今日のことって?」
「私の魔法でまことは大怪我したじゃない……」
「ああ、それは俺が悪いんだよ。適性の無い魔法を『同調』したら駄目だって神殿で教わってたのにな」
「ううん、確かに適性の無い魔法を同調するとうまくいかないはずなんだけど、今回みたいに火魔法を使って全身火傷することなんて本当は無いはずなの……」
ルーシーさんの顔が暗く沈んでいる。
「ルーシー?」
彼女は顔を上げると話し始めた。
「多分、私の中の魔族の血のせいなの……」
ルーシーさんは母のエルフの魔法使いと父の魔族がどこかで結婚してできた子供らしい。
彼女の父は全身が炎に包まれた魔族だったらしく(どうやって子供を作ったんだろう?)、その血を引く彼女も、魔力に炎の属性を強力に帯びているそうだ。
純粋なエルフにはない紅い髪と目もハーフだったからだった。
「私は炎の魔力のおかげで強力な魔法が使えるし、炎耐性も強いんだけど、弱い炎の魔法は使えないの。コントロールも苦手で、すぐ暴走してしまう。あと、体温が異常に高くて暑がりな体質なのも、そのせい」
「あー、それでいつも薄着なのか」
「だから、今回の魔法の同調でまことが全身火傷したのは、相手が私だったからだと思うわ。他の人ならこんなことは無いはず……」
ルーシーさんは、相当落ち込んでいるようだ。私はさっきの彼女を責めるようなことを考えていたことを反省した。
「そういう事情があったなら仕方ないな。次は別の手でいこう」
マコトくんはあっけらかんとそう言った。ルーシーさんがきょとんとした目で彼を見る。
「まこと、私とパーティを続けてくれるの?」
「なんで続けないと思うんだよ」
「だって! 今回も役に立たなかったし。魔物はおびき寄せるし。あげく、まことに怪我をさせるし!」
「役には立っただろ」
「まことは、重症だったよ!」
「そんなに気にしなくていいよ。誰にでも失敗はあるって」
「でも! ここ最近の修行はちっとも上達しないし。私どうすれば……」
ルーシーさんは気持ちが沈んでいる。
「ねえ、本当は私のこと面倒って思ってない? ルーカスさんやマリーさんに言われたから仕方なくパーティを続けてるんじゃないの……かな?」
「ルーシー」
マコトくんはルーシーさんの手を取った。
「俺にはルーシーが必要なんだ。これからも二人で頑張ろう」
ルーシーさんの目に視線を合わせてマコトくんは真剣な表情でつぶやく。
「え、ええっ! そ、そうなんだ。わかった、頑張る!」
ルーシーさんは顔を真っ赤にして、あわあわしている。
それをはたから見ていた私は
(マコトくん)
(ん?)
(あなたって女たらしですね)
(え!?)
◇
それからしばらくは、また日常が続いた。
私を連れていくようになったマコトくんがルーシーさんに私のことを聞かれて焦ったりといったことが起こったりしたがおおむね平和だ。
いまのところ私を抜くようなピンチには陥ってはおらず、私たちの生活は安定している。
ルーシーさんはあの日以来マコトさくんの好みを探っているようで、何とも恋する乙女の典型の甘い空気をうっすらと漂わしていた。
ふん!私の方が先に仲間になったんだからね!........私は何を考えていた?
マコトくんは新たに増えた『精霊使い』というスキルの修行を始めた。
それは精霊と意思疎通が取れるようになるらしく。極めたら精霊に魔力を肩代わりさせる精霊魔法が使えるようになるらしい。
私を装備している時の貯蓄している魔力を使った魔法みたいな感じかな?魔力の少ないマコトくんにピッタリの魔法だ。
ただ、それには精霊語というものを覚えないといけないらしく、四苦八苦しながら修行していた。
精霊語って難しいなと彼は水の上に立ちながらそんなことを言っていた。さらっと高等技術を使いながら言うことじゃないよ。さすが水魔法熟練度90後半。
後その、『1日1分。今日からできる、はじめての精霊語』って本は何。すごい既視感のある題名なんだけど。異世界でもそういう類の本ってあるのか.....
とまあ、そんな風な日常を過ごしていたある日、マコトくんの友人である藤原ミチヲさんが彼を呼び出してこう言った。
「タッキー殿!」
ドンっと空のグラスがテーブルに叩きつけられる。
「は、はい」
「なんで、拙者をパーティーに誘ってくださらないのですか!?」
どうやらまたひと悶着あるようです。
すみませんグリフォンとの戦いを書こうか迷いましたが展開はそのままにした方がルーシーの話はしやすいよなとなり、原作まんまだったら書く必要ねえなと飛ばしました。
もし詳しい内容が見たい方は原作に行ってください。
ふじやん、いいキャラしてますよね。
マコトの男子高校生としての顔を見せてくれる数少ないキャラです。作者もこんな友人が高校時代に欲しかった....
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なにとぞ、よろしくお願いします。