◇女神ノアの視点◇
沈んでいた意識が覚醒する。
目が覚める直前の感覚を私は感じ取った。
ほんの
ふぁ、と小さく欠伸をした。
目が覚めた私は、そのまま言葉を紡ぐ。
――私の可愛い精霊たち。世界はどうなってるかしら?
ほぼ全ての神力を封印されている私だけど、唯一星の精霊の声だけは聞こえる。
眠っている間の様子を、星の精霊たちから教えてもらう。
詳しいことはわからない。大雑把な歴史だけ。
私は精霊たちの囁きに耳を傾けた。
「…………はぁ」
嘆息する。
オリュンポスのクソ野郎たちが管理する規律だらけの退屈な世界。
もう何万年も
時には、ここに他の女神が無様な私を笑うためだったり、話すためだったりで来ることがあって、そんな時は退屈が慰められるのだけども。
「あら~、ノア。起きたのね。お寝坊さんなんだから」
噂をすれば1柱来た。
その、金髪をたなびかせる女神の名はエイル。西の大陸の水の神をやっている女神だ。
「別にいいでしょ、ここは退屈なのよ」
「もう、私はノアと話したいのに行ったら、いつも眠ってるんだから!」
こいつは聖神の中でも変人だ。
私は
「ほら、お土産のハーゲン〇ッツ」
ニコニコしながら異界の菓子を差し出してくるこいつの真意は見えない。
私の方が年上のはずなんだけどな.......
「はあ.......、私バニラね」
「じゃあ私はクッキー&クリーム」
アイスうまっ
「あんた、こんなところにいてもいいの?もうすぐ千年周期じゃない」
「大丈夫、大丈夫。私には優秀な部下がいるからね~」
それに時には息抜きは大事だよ~と、エイルは言う。
時にはってあんた、いつもここに来てサボってるじゃない。
でもこいつ、仕事はちゃんと終わらせるのよね.....
私は聖神族らしからぬ柔軟な女神を見る。
そんな時、エイルが気になることを言った。
「そういえば、今度アルテナ姉さまが異世界から戦士を召喚するって言ってたわ」
「異世界人を召喚するの?世界が荒れるわよ」
私はエイルに聞き返した。
異界から戦士を召喚する術は聖神族ではあまり行われていなかったはずだ。
呼び出された人間が持ち込む技術や力が世界に与える影響が大きいため、規律を遵守しているあいつらとは相性が悪い。
「うん、あっちの神とはもう話はついていて、遭難した高校生をこっちに連れてくるそうよ」
「ふ~ん、あの堅物がね~」
私は幼馴染の太陽の女神を思い出す。
あの
「う~ん、前回のこっちの
光の勇者。前回の私の使徒を
あの子には様々な加護を与えており、歴代の使徒の中でも最高峰の才能を持っていた。
そんなあの子を倒した光の勇者が、片腕にならなければ勝てなかった大魔王。
そんな奴とまた戦うんだったら確かに異世界人を呼ぼうとするだろう。
その時、エイルのその話で私は思いついたことがあった。
異世界人を私の信者に勧誘しよう。
私は聖神に歯向かったせいでここに閉じ込められているのだが、他にも多くの罰が課せられている。
その中で最も致命的なのが、
信者がこの海底神殿を攻略すれば私は解放される―――
信者の数が少なすぎて、そんな、
しかも今の人間は、生まれた時からどこかしらの神の祝福を受けるので信者となれる人を探すのも一苦労だ。
だけど、異世界人にはそんなものはないし、もしかしたら私の『使徒』となってくれるかもしれない。
そんなことを思いついた私は、信者候補を探すために計画を立て始めるのだった。
◇
神眼で私は教会にいる異世界人を見る。
戦士の才能にあふれる子、魔法使いの才能にあふれる子、商人としての才能にあふれる子、そのすべてを持ち合わせる子。
「誰か私の信者になってくれる素敵な子はいるかしら?」
ぽつりと呟く。どの子がいいかしら?そんな風に吟味する。
「ねぇねぇ、ノアはどの子が気になる?」
「めぼしい子は、全員
私は教会の様子を見るために協力しているエイルに言う。
私は残っている子たちの中から必死に吟味してるのよ。
そんな風に見ていた子の中で少し
しかし、隣にいるエイルにそのことを知られたら持って行ってしまうかもしれない。
「ノアのお眼鏡に適う子はいた?」
「
彼女は私のついた嘘に納得し海底神殿から出ていった。
◇
私は気になっている子に接触することに決めた。
名を高月まこと。
彼のステータスは異世界人の中では最弱、それどころかこの世界の一般人と比べても、なお小さい。
私が彼を信者にしようと決めたのは
何となくそうした方がいいと思ったから。そういうことは初めてだった。いつもなら『ひと目見れば』この子を使徒にしよう! ってわかるのに。
「まあ、時にはそれでいいかしらね」
私が信者にできるのは『一人だけ』。慎重に選ばないといけない。
だけどたまにはこういうのもいいだろう。
私は彼のために、短剣を作った。
特別な素材を使った、特別な
貴重な金属を使いきってしまったので、同じものは二度と作ることができない。
(う~ん、これだけじゃ心配ね.........)
だけど、私の不安は晴れなかった。
短剣は確かにできた。これを超える武器は
人が振るうには過剰すぎる武器。
(だけど肝心の使い手の、あの子のステータスがねぇ)
なにかいい案はないかしら。
そう思って星の精霊に世界のことを聞く。
そうしていたら、面白いものが見つかった。
(あら、珍しいわね。
ここ数千年は生まれていなかった命の剣があるのを見つけた。
(ふーん。あの若い運命神がやらかしたのね)
私は今回の異世界召喚の術式を組んだ運命の女神を思い出す。
どうやら、あの召喚されたクラスとは関係のない死者の魂を巻き込んでしまい、この世界に呼んでしまったらしい。
見れば喚んだ生徒の中の数人も
あの子って優秀だけど、たまにドジるのよねーと言っていたエイルを思い出した。
どうやら本当のことだったらしい。
(うん、これは使えるわね)
私は星の精霊に『お願い』する。
まずは、あの女の子のところに運んで助けてあげて、そのあと、あの男の子のところに運んでちょうだい。
そうして短剣を海底神殿から放り出し、海流に任せる。
こうすれば短剣はあの子
さて、うまくいくかしら。
私は
中途半端かと思いますがこれでノア様の視点はおしまいです。
次回2巻の話に行く前に書き溜めをしますので少し時間が空くかもしれません。
土日には戻ってくるはずなので安心してください。
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