今度から、土日は12時と17時頃に投稿して、平日は月、水、金の17時ごろに投稿するようにします。
今後もよろしくお願いします。
15話 剣咲刀華は修行する/高月まことは停滞期である
私が巨神さんの力によって人型になれるようになってしばらくたった。
最近の私はこの体に慣れる訓練で忙しい。
そんなことをしているのは、私が人として生活するには色々と不都合なことがあったからだ。
前世でその大半をベットの上で過ごした私は、人の形をした体の動かし方がとっても下手だったのだ。
最初は歩くことすら違和感があり、座ったり立って止まったりと言った日常生活の動作さえままならなかった。
ステータスのお陰で筋力はあったのだが、それが逆に余計な力になっているようで床を踏み抜いたり、持ったものを握りつぶしてしまったりといたことが起こっている。
だけど、少しずつ少しずつ力の加減を覚えてきて、ものを壊さないようになり、動きの違和感もなくなってきた。
「そーと、そーと」
「よしよし、その調子だな」
今の私は箸でお豆を皿から皿へと移動させている。
お箸は昔、異世界人が持ち込んで来たものらしい。
ここら辺では、食事をするときに使う一般的な食器だそうだ。
力を入れすぎると箸が折れてしまうため、慎重に動きを制御しお豆をつまむ。
ゆっくりと粒が隣の皿に移った。
「やった!」
「すごいな、こんなに早く力加減を覚えるなんて」
私の訓練に付き合ってくれていたたマコトくんが褒めてくる。
彼は最初のぶつかったものを、なんでもかんでも壊してた私の様子を知っているので、驚きも大きいのだろう。
かくいう私も自分の成長を実感できて嬉しい。
前世では終ぞできなかったことが訓練でできるようになるのは達成感を感じて充足するのだ。
よし、このまま頑張って「にゃ~」っ バキッ「に”ゃッ」
後ろに来た猫に驚いて力を入れすぎて机を真っ二つにしてしまった。
「.......」
「........」
どうやら私の訓練はまだ続くようだ。
「はっ、ほっ」
「イイでスよ。トーカ様そのような感じです」
私はお金を稼ぐため、マコトくんと同じ冒険者になり、彼のパーティーに入らせてもらった。
そのため、私は今ニナさんに接近戦の動き方を教えてもらっている。
私のスキルはこの姿になっても使えるようだ。しかし、ステータスに関しては下がってしまっていた。
この姿は仮の姿で剣の姿が私の真の姿ということなのだろう。
実際、人形態は剣の時には感じない軽い閉塞感を感じる。だから、時々剣の形態に戻ってそれを解消している。
ニナさんに指示された打ち込みと走り込みを終え、上がった息を整える。
彼女に習っているのは魔法闘技の基礎だ。
魔力を闘気として纏い魔法と物理の両方で攻撃できるこれは、私の高い攻撃力を生かすのにピッタリだ。
彼女に動きの基礎と簡単な型を教えてもらう。
最近の私の生活はそんな感じだ。
マコトくんとルーシーさんと一緒に依頼を受け、力加減の訓練をし、ニナさんに魔法闘技を教えてもらって寝る。
充実した日々といえるだろう。
今の目標はこのまま冒険者としても経験を積んで収入を増やすことである。
マコトさんやルーシーさんの力になって彼らに恩を返すのだ。
そのために私は今日も修行に力を入れた。
◇高月マコトの視点◇
「くっ!」
『逃走』スキル!
『逃走』スキル!
『逃走』スキル!
ゴブリン、オーク、オーガの軍団が追ってくる。
皆、怒りの表情だ。まあ、住処に火炎瓶を投げつければ誰だってキレるよな、うん。
だから、俺は逃げ続ける。
遠くにパーティーの仲間が立っている。
俺の役目は、ルーシーの射程距離に魔物を引き付けることだ。
「土魔法・岩石!そして、火魔法・属性付与!」
ルーシーが杖を掲げると、空中に巨大な燃える大岩が現れる。
「「「「「!?」」」」」
魔物たちが異変に気づくが、もう遅い。
「
ルーシーさん、ノリノリである。
ちなみに、隕石落としなんて魔法は無い。ルーシーが適当に名づけた。
『回避』スキル!
どががががががっ! と燃える大岩が魔物を巻き込んで吹き飛ばす。
土砂が舞い上がり、爆風がすべてを吹き飛ばす。
だが、それをかろうじて避けることのできた魔物たちがいる。
そんな幸運なものたちもさらなる不幸に襲われた。
ルーシーの横からすさまじい速さで影が飛び出す。
トーカさん。ヒト型になってもそのステータスは健在な彼女は俺たちのパーティーの頼もしい前衛として力を振るっている。
『太陽魔法・雷の籠手』
魔法闘技によって発動した日属性の雷魔法は魔物たちをしびれさせ、その命を刈り取った。
残ったのは、所々焦げた跡と巨大なクレーターのみである。
「相変わらずの威力だな。隕石落とし」
「まことも、凄いじゃない。50匹くらい魔物を引き連れて来てたわよ?」
「……はは」
「すみません.....いつも囮をさせてしまって......」
「いいよ、逃走スキルを使える俺が一番適任だし、それにこれが一番効率的だ。でも今日は疲れたな.....」
「じゃあ、ギルドに戻りましょう! 今日も報酬がっぽりね!」
「すみません、今日も何か奢ります」
「その前に、火を消さないと」
ルーシーの魔法の余波で、森火事を起さないように消火する。
最近の水魔法は、こういう場面の出番しかない。
精霊魔法のおかげで、水辺でなくても水が使える。
別に、火消しのために精霊魔法覚えたんじゃないけどなぁ。
◇
いつもの串焼き屋で、夕食をとる。
「大将、エールもう1つ」
「あいよ、最近はよく飲むな。まこと」
「最近、これの美味しさがわかってきたよ」
苦いのは相変わらずだけどさ。エールは、のど越しだな。
「ははっ、エールの美味さがわかればいっぱしの冒険者だな」
「ふーん、私はそれ苦手」
ルーシーは、フルーツのカクテルを飲んでいる。
本当は、この店には置いてないメニューだが、常連のルーシー用に大将が作ってくれたようだ。
「私はお酒の良さが分かりません.........」
トーカさんはソフトドリンクのリンゴのソーダを飲んでいた。
お酒が苦手な彼女は飲んだとしても弱いカクテルを数杯飲むだけだ。
いつかの俺を思い出させるようでほっこりする。
「おーい、ルーシーちゃん。こっちで飲もうよ」
「トーカちゃんもこっち来て話そうぜ」
「そんな魔法使い見習いはほっといてさ。明日は俺たちとパーティ組もうよ」
「今日も、魔法凄かったねー」
「あの動き誰に教えてもらったんだー」
周りの冒険者が、二人にに声をかけている。
トーカさんはともかく、ルーシーは少し前までどこのパーティーも敬遠していた問題児とは思えないな。
強力な魔法を使える魔法使いは、どこのパーティーでも需要が高いね。
「わたしは、まこと以外とパーティー組む気ないから!」
「私もマコトくん以外と組むのはちょっと.....」
二人が、こう言ってくれるのはありがたいけど。
「ふー」
エールを半分ほど飲み干したら、少しクラッときた。
「お、飲んでるな」
「ルーカスさんこそ」
昨日は、シメイ湖の漁師を襲っていたという水竜を退治してきたらしい。竜は、まだこの世界に来て生きているのを見たことがない。
前の時は、後方支援で見たのは死体だったからな........
強いんだろうなぁ。
俺もいつか、戦える日が来るんだろうか。
「おい、まこと。マッカレンの冒険者ギルドで、最速のアイアンランク到達記録を更新したってのに、ずいぶん暗い顔してるな」
そう。
俺たちのパーティーは、今は皆、アイアンランク。
立派な中級冒険者だ。
「まことの野郎、二人のおこぼれをもらってるくせに」
「うまいことやったもんだぜ」
「しっ、あんまり言うと本人に聞こえるわよ」
聞こえてるよ。
俺は『聞き耳』スキルがあるからな。
「ちょっと! まことは、凄いんだから! 変なこと言わないで!」
「陰口はあまり関心しませんね」
ステータスの高い二人が、陰口を叩いた冒険者に怒っている。
「いいから、ほっとけばいいよ」
「でも……」
「あいつらは、2年くらいブロンズランクで止まってるからな。まことが羨ましいんだろうが、こそこそ陰口とは、情けねーなぁ」と呆れ声のルーカスさん。
「まーことくん!」
マリーさんに抱きつかれる。
「最近は、一緒に飲んでくれてうれしいよー、お姉さんは」
「弱いんで、2、3杯だけですよ」
飲んでも全然、強くならないんだよな。
ルーシーは、結構強くなってるのに。
酒の強さもステータスが関係してるのだろうか?
というか酒はそもそも、そんな好きじゃない。
それでも、飲んでるのは……気分的な問題だ。
最近の俺は、停滞していた。
もちろん、魔法の修行は続けているし、動きも良くなってきている。
パーティーメンバーも増え、上位の魔物も狩れるようになってきた。
だけど、気のゆるみというか向上心が持てなくなったというか。わかりやすく言えば先に進んでいる実感がなくなったというべきだろうか?
その理由はたぶん
「ルーカスさん、どうやったら強くなれますかね?」
ポツリと聞く。
最近の悩みを。
「ああ? まことは十分強いだろうが。」
あほかコイツ、って目で見られた。
「お前たちが最近、倒してきた魔物はどれも上位種ばっかじゃねえか」
「俺はどうなんでしょうね。二人の力は大きいと思いますが」
「パーティーってのは、そういうもんだぞ? サポートとアタッカーで役割は分かれてるもんだ」
「まあ、そうなんですけど……」
エールを飲み干す。
「大将、もう1つ……」
「あいよ、飲み過ぎるなよ」
「今日は、これで最後……」
駄目だな、ちょい自制が足りない。
ここ最近は、攻撃を二人に任せて俺は囮と事後処理(消火)ばっかりだ。
トーカさんを装備してなら上位種の魔物を倒せるが、あれを一人でやり遂げたとは言わないだろう。
「まことのレベルは今、いくつだっけか?」
「20になりましたよ」
「冒険者になって、1年も経ってないのにアイアンランクでレベル20」
「何が不満なんだかな」
ルーカスさんと大将があきれ顔を見合わせている。
「不満ってほどじゃ無いですよ」
俺は自分の『
ルーカスさんは隣からそれを覗いた。
「うーむ……、しかしレベル20でこのステータスかぁ。たしかに、低すぎって、何!?」
「どうした、ルーカス?」
「こ、ここを見ろ!水魔法の熟練度!」
「んーどこだ……って、99!」
「熟練度を99にするやつっているんだな」
ルーカスさんと大将の二人からは変態を見る目でみられた。
「やっぱり、まことは凄いわよ!」「すごいですよね!」
二人は、既に知っている。
たださ。
「これが、悩みの種なんだよなー」
「どーしてよ?」
「99にしても大して強くなかったんだよ」
そうなのだ。
魔力が低い俺でも、修行さえすれば上がる熟練度。
そんな熟練度の最大値は、99。
これで打ち止めだ。
しかし、少々魔法の精度と発動速度が上がっただけで威力は低いまま。
折角、頑張って上げたんだけど、期待ハズレだった。何かカンストボーナスが貰えると思ってたんだけど。
「そ、そうなんだ。じゃあ、精霊魔法は?」
「そっちも行き詰ってる」
巨神のおっさんに聞いた、精霊を見るってのが全然できない。
ほんとに、俺にできるのだろうか?
飲んでいた俺たちのところに顔なじみがやってくる。
「まこと! 久しぶりだな」
「ルーシー、相変わらず露出の多い服ねー」
「何よ、文句あるの?」
「ジャンさん、エミリーさん、こんばんわ」
次に会ったのは、ジャンとエミリーだった。
その後ろに、見慣れない格闘家の男と、魔法使いの女の子がいる。
新たなパーティメンバーらしい。
これもちょっとショックだったんだよな。
てっきり、今後もちょくちょく一緒に冒険行けるかなって期待してたんだけど。
いや、こっちから声かけなかったのが悪いんだけどさ。
最近はふじやんも忙しいらしく、会える時間が少ない。
何やら大きい商談があるらしく、ここ数日はこの町にいないのだ。
愚痴が言える唯一の相手に会うことができない。それもストレスになっているんだろう。
ニナさんは、この前ふじやんに会いに行って来た時、冒険者のゴールドバッチをつけているのを自慢された。
ゴールドバッジは、ギルドの支店が発行できる最高ランクだ。プラチナ以上のランク認定は、王都にある本店でしかできない。
つまりニナさんは、マッカレンの冒険者ギルドの最高水準に達したということだ。
どうやら巨人のおっさんから貰った加護のお陰らしい。
みんなの躍進に俺は嬉しさより少々虚しい気持ちになる。
みんな、順調だな。それにひきかえ、俺は……。
その日は、とぼとぼとギルドの休憩室に向かった。
◇
日課の修行の最後に、女神様へのお祈りを捧げる。
「ふー」
寝転がりながら、自分の『魂書』を見てみる。
『寿命:13年』伸びている。日々の魔物狩りの成果だろう。
『水魔法・熟練度:99』打ち止めだ。1ヶ月前にカンストしてから変化が無い。もしかすると100超えるかも、と思ったがこれが最高値らしい。
あとは、代わり映えのしない低いステータスが並んでいる。
(なんだろうなー)
異世界に来て最初は、ドキドキした。
その後、神殿で自分のステータスの低さを知ってショックを受けた。
1年間修行して、でもそんなに強くなれなくて。
それでも鍛えたスキルを駆使して、なんとか冒険者をやってきた。
トーカさんやルーシーといった仲間もいる。
最近は、周りの評価も上がってきている。
別に、大きな問題は無い。
だけど。
(こんなもんだったのかな……)
ちょっと、前までは楽しかった。
初めて魔物を倒した日。
初めてかっこ悪い二つ名を、付けられた日。
初めて仲間ができた日。
上位の魔物と初めて対峙した日。
初めて死にかけた日と女神様の加護がもらえた日。
初めてクラスメイトと一緒に冒険できた日。
刺激的だった。
最近は……退屈だ。
そんなことを考えていたら、急に眠気が襲ってきた。
◇
何も無い場所に立っていた。
いや、何も無いとか失礼だな。ここは、女神様の空間と呼ぼう。
「これはこれは、女神様。お久しぶりです」
今さら驚くことなく、慣れた動作で両手を組んで礼をする。
しかし、ここ最近ご無沙汰していた。最後に声を聞いたのが、巨神のおっさんの時だったか。
「……」
「あれ? 女神様?」
返事がないなー、と思って頭を上げるとめちゃくちゃ近くに立っていた。
おおっと。
前髪が触れそうなくらい近い。
あと、目が冷たい。何か怒らせることしたっけ?
最近は、安全な冒険しかしてないはずだけど。
「あ、あの~」
「ねぇ、まこと」
「はい」
「あなたって、私の信者よね?」
「もちろん、毎日祈りは欠かしてませんよ」
「女神の仕事って知ってる?」
「女神様の仕事ですか? 献金を集める? あ、もしや祈りだけではだめでしたか?」
「ちっがうわよ! なんで、天界のやつらみたいにお金集める必要があるのよ! 要らないわよ、そんなもん!」
「違いましたか」
なんだろう、わからん。
「あほー! 女神は迷える子羊を導くのが仕事なのよ! あんた、うじうじ悩んでるんでしょ! じゃあ、相談しなさいよ! 私を頼りなさいよ!」
頭をぐりぐりされた。
痛くは無い。ただ、その位置だと顔が胸に。
「あ、あの。当たってますよ」
「わざとよ」
言い切りやがった!
「えーと、失礼しました女神様」
女神様の攻撃? から距離を取る。この
「毎日、祈りは捧げるのになんで頼らないのよ」
「いやー、それは最後の手段かなって」
あんまり神様に借りを作るのは怖いし。
「いいから、じゃんじゃん頼りなさい。借りなんて気にしないで。一人しかいない信者なんだから」
利子が高そうなんですよね、ノア様。まあ、でも相談先として女神様が抜けてたのも確かだ。
「てことは、女神様の力で強くしてくれるんですか?」
「ん? 私はもう加護を与えてるでしょ? これ以上は無理よ」
「あれ?」
駄目じゃないですか!
「でもね、女神はこういう手が使えます」
ぱっと取り出したのは。
「また、俺の魂書ですか」
ほんと、この女神様は手癖が悪い。
「ここを、ちょちょいっと」
何か書いた?
「ほら、見て見て」
頭を掴んで魂書を見せてくる。だから、距離が近いんですよ。
「いいから、ここ、ここ」
「えーと、えっ!?」
『水魔法・熟練度:101』
「め、女神様? これは」
「まことって、RPGゲームでレベル99まで上げるタイプでしょ? で、最近は熟練度がカンストして、ちょっと燃え尽きてたんでしょ」
見抜かれてた。当たり前か。
相手は女神様だし。
「ふっふっふっ、さらにお得な情報を教えましょう。水魔法・熟練度:105くらいになると水の精霊が見えるわよ」
「え!」
そんな単純なことでいいの?
なんか、色々悩んで雨の中で修行したり、滝に打たれたり、水の中で一日過ごしたりしてたのに!
「いや~、あの修行は意味無いのによくやるなーって見てたわよ」
「それは、教えてくださいよ!」
「あはははっ」
性格悪っ!いや、違うか。
「ありがとうございます、女神様」
両手を組んで深く礼をする。これで、引き続き水魔法の熟練度上げができる!
「あら、素直。うんうん、頑張るのよ」
「今回は、結構行き詰ってたので本当に助かりましたよ」
「いやー、喜んでもらえてなによりよ。あ、ただし気をつけることがあるわよ」
「なんでしょう?」
さっそく、無理難題か?
「ちがうわよ。魂書のステータスって、99が最高値なの。天界のやつらがそう取り決めたからね」
へぇ。
「そうなんですか」
「実際のところは、頑張った分だけ上がるから限界値とかないわよ。数値化してないだけで。さっき私がやったのは魂書を少し改造して100以上も数値化できるようにしたの」
ほうほう、なんか良いこと聞いたな。
頑張った分だけ、成果はあるんだな。やる気が出てきた。
「ただ、魂書の改造はまことの世界だと違法だからね。教会にばれると異端審問とかにかけられちゃうわよ」
「え? ちょっと!」
「ちなみに、太陽の国か水の国で邪神崇拝がばれると死刑らしいわよね。野蛮よねー」
「なんで、今頃言うんですか!」
「知らなかったの?」
知らなかったよ!女神さまの信者になってから、教会はずっと避けてたし。
……今後は、気をつけよう。
「じゃあ、そろそろ時間だから」
女神様の姿が消え始める。
「いつも、慌しいですね」
「お、もっと私と話したいかー?」
「まあ、もう少しゆっくり話したいとは思いますよ」
「ふふふ。だんだん、良い子になってきたわね。その調子で私に惚れていいのよ」
流し目はやめてください。ドキッとするので。
「そうだ! 最後に伝えることがあるわ!」
「なんでしょう?」
いつものふわっとした指示だろうか。
「大迷宮に向かいなさい。汝に良い出会いがあるでしょう」
そう言いながら、女神様は消えた。
ええ……。
なんか、凄い具体的な指示がきたんですけど。
では、これから書籍2巻の、大迷宮編に入ります。
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