邪神の使徒と行く異世界"剣"生活   作:エセ未来人

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2話目


1話 剣咲刀華は動き出す

 剣に転生してからしばらくたった。

 

 状況を把握した私はもうそれからはしばらくどうすることもできなかった。

 

 だって剣である。動けないわ声は出ないわで何かをしたくても全く何もできなかった。

 

 助かったのは、知覚はつぶれていなかったことだ。自分の姿を確認したあの謎の視界を飛ばす術を私は自由に使うことができた。目も鼻も耳すらない私がどうやって外の情報を取り込んでいるのか気になることではあるが、そんなこと言ったら今の状況はもっと意味不明なので気にしたら負けだ。

 

 そんなことで何もできなかった私は何かを起こすために色々と試行錯誤していた。

 

 祈ってみたり、念仏を唱えてみたり、早口言葉を行ってみたり。

 

 うん.....まあ最後のはちょっとさすがに私も追い詰められていたんだと思う。

 

 そしていろいろなことをしていった中でついに私はやり遂げた。部屋に転がっていた小石を動かしたのだ。()()()!!

 

 その時の私は興奮で脳の血管がちぎれるかと思った。サイコキネシスだ、サイコキネシス!!これを使えば私でも動けるかもしれない。

 

 そう思い私は小石にやったように念力を自らに向けた。

 

 ピクリとも動かなかった。

 

 そりゃそうだ。私の念力は小石をコロンっと少し動かすことができたが、その何十倍も重く大きいであろう私を動かすのはさすがに無理だった。

 

 しかし、私はあきらめなかった。こんなことで諦めたらまた動けないまま一生を過ごすことになる。そんなのは嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

 

 私は念力を鍛えることにした。

 

 私がいた場所はどうやら何かの研究室らしく紙や金属らしき物体が多く転がっていた。それらの中からギリギリ念力で持ち上げられるものを選び持ち上げる。疲れたらいったん置いてしばらくしたらまた持ち上げる。軽々とそれが持てるようになったらまた別のもっと重いものを持ち上げる。

 

 そうやって、どんどんと念力の出力を上げていった私はついに自分を自由自在に浮かせ動き回れるようになっていた。

 

 やったー。ついにここから出ることができると意気揚々と部屋から外に出た途端、私の前には獰猛な獣が立ちふさがった。

 

 

 

 


 

 

 

 どうやらあの部屋、というかこの建物は獣の巣になっているらしい。

 

 部屋の外に体を丸めて寝ていた大きな獣(キマイラ(仮称))を見て私はそう思った。

 

 あの日外に出ようとした私は大きな猫ちゃんによりそれが挫かれた。

 

 あんな大きな肉食動物、しかも頭が3つもあるに私はすぐさま部屋に逃げ帰ってしまった。

 

 どうすればいいかな、あいつ。

 

 あいつがいないと外に出ることができるであろう通路を通ることができないのだ。

 

 

 うんうんと悩んでいた時私は気づいた。あれ、別に怖がる必要ないんじゃない?

 

 私は念力で自分を運ぶために相当鍛えた。

 

 自分ほどの重さをした物体を持ち上げて移動させるならまだしももう少し軽く小さいものはものすごい速さで移動させることができる。

 

 それを使えば何かとがったものでも発射してあのキマイラ(仮)に攻撃できるんじゃないのか?

 

 今考えれば無謀だとか万が一倒せなかった場合は反撃を食らってしまうだとかそこの危機感はどうなっているんだとかいう考えが思い浮かぶのだが、その時は外に出たいあまり安易な手段をとってしまった。

 

 まあ......

 

(勝っちゃった.....)

 

 それが一番早かったのだが。

 

 部屋にあった短剣を念力で浮かし回転を加えそして力いっぱい射出する。それによりキマイラ(仮)は胴体がはじけ飛び白目を剥いた頭しか残っていない。最初のうちは頭だけでも生きていたのだがそれでもすぐに死んでしまった。

 

 えぇ~(引)。嘘でしょ。なんでやねん?

 

 いやまあ、確実に殺すために念力に全力を注いだが。お陰で今は自分を持ち上げられないので床に転がっている。

 

 しかしまずい。念力を使うには謎パワー(仮称:魔力)が必要なのだがそれは回復が遅いのだ。今の疲労度なら長い時間を回復に使うことになるだろう。

 

 すぐに外に出たい自分にはその時間が辛い。でも、なんとかする方法はないだろう。

 

 仕方ない......。大人しく回復に努めることにしよう。

 

 そう思った時だった。キマイラ(仮)の死体にキラリと光るものが見えた。

 

 それは赤い宝石の欠片のようだった。拳よりも一回り小さく、六角柱型のそれは妖しく輝いている。

 

 そしてそれからは念力を使う時に感じる魔力(仮)を感じる。

 

(欲しい.....)

 

 気づくと私は残り少ない力を使って念力でそれを引き寄せていた。

 

 そして.....

 

 自分の体の刃にそれをぶつけ、粉々にした。

 

 その瞬間、私は自分の体の内側が組み変わっていくかのような感覚に陥った。

 

 いや、ようなではなく文字通り自分が別の存在に変化したかのような.....

 

 魔力(仮)も全快してるし、一体あれは何なんだろうか。

 

 私は自分の変化を確かめるため、自分の中の変わった部分を意識しそれを把握しようとして――

 

 


 

個体名:剣咲刀華

種族:知性を持つ武器(インテリジェンス・ウェポン)

 筋力:―――

 体力:―――

 :

 :

 :

 <スキル>感知、念動、進化、解析、魔力回復、蓄積

 


 

 いきなり、頭の中に浮かんできた情報に面食らうのだった。




 ステータスの書き方は原作の設定や描写から考えました。
 主人公が転生した場所は魔法武器の研究をするためにある魔法使いが造ったダンジョンの中です。キマイラは魔術師が研究成果を守るために配置したガーディアンでした。そのため、生半可な強さではなく、今の主人公では基本的に勝てる相手ではありませんでした。
 しかし、主人公が発射した短剣がトンでもない代物だったため主人公は勝つことができました。
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