邪神の使徒と行く異世界"剣"生活   作:エセ未来人

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頑張らせていただきます。


2話 剣咲刀華は感動する

 あの赤い石を砕いた直後に見れるようになったゲームじみた情報。私はそれについて、調べてみた。

 

 それによって分かったことはいくつかある。

 

 一つ目はどうやらあのステータス表記はスキルの欄にあった解析というスキルのおかげらしい。名前の通り意識したものを解析するこのスキルを私は先ほど自分に使っていたらしい。

 

 自分を解析したことでステータスの詳細が分かったということだ。

 

 ではなぜ、こんなんことがいきなりできるようになったのか、それは「進化」のスキルのおかげだ。

 

 進化。物々しい字面のスキルだが名前だけでなく効果もすごい。それは魔物と呼ばれる生物の体内に生成される魔石を食らうことでその存在を昇華させることができるスキル。取り込んだ魔石の力が強力であればあるほど、上り幅が大きくなっていくらしい。

 

 と研究室に置いてあった紙に書かれてあった。

 

 え?どうやって異世界の見たこともないような文字を読めるようになったかだって?それは解析が役に立ったのだ。

 

 紙に書かれた文字を『解析』することで文字の形や単語の洗い出しを行った結果、文字が読めるようになったのである。

 

 解析が便利すぎないかな。

 

 とまあ、読んだ資料に書いてあったことをまとめてみると、

 

 ここで研究していた魔法使いは魔法がこもった武器の研究をしていたらしい。最強の武器の製造を目指した彼はその果てに魔石を取り込むことで無限に強くなり続ける剣を作り出した。そしてそれに満足し、最後には一人でひっそりと死んでいったらしい。

 

 細部ではまだいろいろなことがあったようだが関係ないので割愛する。

 

 つまり私は、その魔術師がつくった剣に憑依したということなのだ。

 

 キマイラ(魔術師の日記の中でそう呼ばれてたので仮をとった)の魔石を砕いたことでその進化スキルが発動し、解析スキルを手に入れたということだろう。

 

(分かったことはこれぐらいかな?さてそれではそろそろ)

 

 こんな感じで自分の現状を確認した私はこのダンジョンから外に飛び出すことにした。

 

 

 


 

 

 

 外に出た時に初めに飛び込んできたのは青い天井だった。

 

 白い雲の浮かんだ空はどこまでも続いているようで、思わず動きを止める。

 

 風の感触を感じる。流れる空気が自分を包み込み癒していく。

 

 とてつもない解放感だった。

 

 病気が悪くなる前、あの殺風景な無菌室に入る前にいた病室の前から見える空が刀華は好きだった。

 

 けれど、それはあくまでガラス越しの空だった。

 

 こうして頬を撫でる風も、耳をくすぐる葉擦れの音も、そのときの刀華は知らない。

 

 知っていたつもりで、本当は忘れてしまっていたのだ。

 

(……生きてる)

 

 刀華は自分が今、生きてると思っていることに正確に言えば生きたいと思えていることに驚いた。

 

 自分は生きているべきなのかという暗い問いかけを自分に延々としていた自分が今生きたいと思えている。

 

 ずっと眠っていた気持ちが目を覚ましたようだった。

 

 ここまで来れて良かった

 

 そんな当たり前の感情が、今の刀華には何よりも嬉しかった。

 

 

 


 

 

 

 外に出た私はあちらこちらを念動で飛び回っていた。

 

 病院の中での生活で外を満足に走ることさえできなかった私は、今、異世界で空を気ままに動き回っている。

 

 念動に使う魔力は消費が回復を上回っているためこれ以上速度を上げることがなければいつまでも飛び続けることができるだろう。まあ、スキルを使うための集中力が続かなくなるから永遠には無理だろうけど。

 

 

 しかしそんなことをしていれば当然目立つわけで.....

 

キェェェェ!!!!!!

 

 魔物に襲われるのだ。今は大きい鷹のような魔物と戦っている。

 

 魔物が翼を扇げば竜巻がこちらに向かってくる。速く鋭い。あれを受けたらひとたまりもないだろう。

 

 だけど.....

 

(甘いね!!)

 

 念動で進行方向と体をひねり竜巻を避ける。そして減速せずそのまま相手の胸の内、心臓めがけて刀身をねじ込んだ。

 

 絶命した魔物が落ちていく。それと同時に私の体は内側から熱くなった。

 

 どうやら魔石は魔物の心臓にあるらしい。解析と魔術師の研究資料によってそんなことが分かった。

 

 今のは魔石を砕きつつ相手に致命傷を与えるために考えた戦法だ。

 

 相手を倒すのと自分の強化が同時にできるため効率がいいのである。

 

 だがまれに頭のいい魔物がおり、そういう相手は自分の心臓を守ってくる。

 

 だがそんなときにはフェイントを織り交ぜることで相手を削りそれによって勝利している。

 

 そんなこんなで私はここら一体の空で飛び回っていたのだ。

 

 魔石を取り込み続けたことで会う魔物は一撃で勝利を決めることができ、そいつらの魔石によってさらに強くなっていく。

 

 前世でベットの上で苦しみと退屈を感じ続けた私にとって空を自在に飛び、魔石を壊せば強くなれるその体験はとても楽しかった。

 

 調子に乗っていたんだと思う。

 

 できなかったことができるようになって感じることができなかったことが感じられるようになって万能感で危機感が麻痺していた。

 

 私は分かっていたはずなのだ。この世はそんな都合よくできていないと。理不尽はいつも目に見える形で予見できるものではないことをわかっていたはずなのだ。

 

 だから、心構えと危機感を持っておくべきだったのだ。だから次がある時にはしっかりと警戒をしておくべきだろう。

 

 次があればだが..........

 

(ドラゴン........!?)

 

 その圧倒的な上位者を前にして私は冷静にもそんなことを考えていた。

 

 




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