魔物を倒し魔石を砕き続けたことで私は何回か進化をしていた。
進化は魔石を食らえば何回もできるわけではない。条件があるのだ。
私の感覚的な話になるが魔石を取り込むと何か力が増すような感覚がある。魔力のようでちょっと違う力だ。それが蓄積されていってある一定を超えると進化が起こるのだ。
私はこの力のこと"経験値"と呼ぶことにした。この経験値一度取り込んだことのある魔物の魔石や自分より弱い魔物の魔石ではあまり増えたりしない。まるでRPGゲームの経験値のようであるからそう呼ぶことにした。RPGどころかゲーム自体を前世ではやったことがないけど。まあ、概念としては理解できてるし分かりやすい。
私は一番最初にキマイラという強敵を取り込んだおかげで成長はあまりできていないのかもしれないけれど。それでも襲ってくる魔物を片っ端から倒して取り込んだおかげで何回か進化が起きたのだ。
その過程でスキルも増えた。
『修復』『魔力吸収』『魔力変換』『飛行』である。
『修復』は魔力によって自分の体を修復することができるスキルである。何回か魔物との戦闘で傷がついたときにはこれは重宝した。
『魔力吸収』は字面通りのスキルだ。接触した相手の魔力を吸収して自分のものにできる攻撃に有効なスキルである。『貯蓄』によって魔力をため込める私と相性のいいスキルである。
『魔力変換』は魔力を攻撃力と斬撃に変換するスキルである。魔力を消費して自分の攻撃力を上げたり、斬撃を飛ばしたりといったことができる。
『飛行』はそのまんま。念動でやっていたことがもっと簡単にやりやすくなっていた。
このように有用なスキルが増えてテンションが上がっていた私は鼻歌を歌いながら空を飛んでいた。
そんな時だった竜と出くわしたのは。
鋭い牙の付いた大きな口、ぎろりとこちらを睨む目、ひねくれた角、巨大な影を生み出している蝙蝠のような翼、緑の妖しく輝く鱗。
竜が空中ホバリングしながら私を睨んでいた。
後で分かったことだが私が入ってしまったこの領域は
縄張りを侵された竜は怒りこちらにブレスを放ってきた。
当然こちらも黙ってはいない。『念動』と『飛行』でかわし、『魔力変換』と『魔力吸収』を全開にして迎え撃つ。
その結果は.....惨敗だった。
私の最高火力である魔力を攻撃力に変換しての回転突進攻撃。あれさえ決めれば私にも勝ち目はあっただろう。しかしあれは、タメに時間が掛かりその間自分の機動力が落ちる欠点があった。
緑竜の鱗を突破することができず結局私は爪の一撃により刀身半ばから真っ二つに折られてしまった。
折られててしまった私は竜の巣に持ち帰られてしまった。
竜は光るものが好きらしい。私の刀身が綺麗なのを見て持ち帰ったのだろう。
私は竜の光物コレクションに囲まれながらそんなことを思った。
竜は折れてしまった私が死んだと思ったのかこちらに気を向けたりはしない。
『修復』によって刀身を直しながら私は竜を見ていた。
竜は時間の多くを巣で眠って過ごしていた。時々起きては狩りに出かけそして獲物を持って帰ってくる。
私は心を折られていた。
竜との戦いで体が折られた時、感じた激痛は今でも心の中にこびりつき、更にはどんどんと広がっている。
あの時、竜に感じた死の恐怖が私を支配し行動を起こさせ無くしていた。
竜が巣を留守にしているときに逃げ出せばいいものを私は足がすくみ巣の外へ逃げるのを躊躇させた。
私は竜の巣という場所で前世と同じように外に出ずに何か月も過ごすこととなった。
結局、私が逃げることができたのはあるきっかけが起こったからでそれまで外に出る決意すら出せなかったのは何とも情けない限りである。
だけど、
その先で私は運命の出会いをすることになる。
次回、原作主人公視点です