それでは本編どうぞ。
緑竜から逃げた後、私は身を隠していた。
竜たちの戦いの余波で周りの環境が滅茶苦茶になってしまい魔物が移動しているらしく、逃げるときに何度も襲われた。
戦闘を避けるため隠れて、見つかり、そしてまた隠れてということを何回も繰り返していた。
そんな日々の中で、隠れていた場所で私はこちらに近づいている気配を感じていた。
(ここももう終わりか)
どんどんと近づいてく気配に私は魔力をたぎらせる。
そしてついに見えた気配の正体は、
「........剣?」
どこか頼りない気配を漂わせる人間の男の子だった。
索敵にかかった気配をたどった先には不思議な剣があった。
(ねえ)
その剣を見ていると不意に頭の中に声が響いてきた。
びっくりして360度視点で辺りを見渡すが誰もいなかった。
(ねぇってば、目の前にいるでしょう)
日本語?というかどこから話しかけているのか。
俺の目の前には剣があるだけである。
(だから、今、話しかけているのはその
........え?なんだって?
(だから、
そう言われた俺は目の前の地面に刺さった剣を見た。
どうやら異世界には喋る剣がいるらしい。
私はこの世界で初めて見た人間の男の子と話をしていた。
「というか、剣でどうやって話しているんですか?」
(ああ、それは『念話』ていうスキルだよ)
初めて人間とあった私はびっくりして日本語で話しかけてしまった。
まあ念話であれば、言葉が完璧には理解らなくても感情がダイレクトに伝わるからニュアンス程度はやり取りできるんだけど。
だけど、彼は私のそれを理解し、なんと同じ日本語で話し返してきた。
彼――高月マコトくんは私と同じ異世界人らしい。
高月くんは私と違って転生ではなく転移でこの世界でやってきたそうだ。
「ていうか僕のことはマコトでいいですよ。」
(あらそう。じゃあ私もトーカでいいわよ。話を聞く限り前の世界での年齢は一緒だったみたいだし)
それから私たちは色々なことを話した。
前世を含めても久しぶりの会話が楽しくなってしまい、私たちの話は止まらなかった。
前の世界の話、この世界に来てからの話、好きなゲームの話、好きな本の話。
途中、前世とこの世界に来てからのことを聞いたマコトくんが「俺って恵まれてたんだな」と自己嫌悪することがあったが気にしないでと励ました。
というか君もこの世界にきてから大変だったみたいじゃない。
「~て感じで、俺は今いるギルドで
(へ~)
会話を重ねるごとに私たちは打ち解けていった。マコトくんは一人称が
マコトくんの話は興味深い。前世を含めてもまともな生活を遅れてこれなかった私は彼の話す異世界での生活の様子がとても楽しかった。
ああ、いいな。
そんな心の声が『念話』で漏れていたのか、マコトくんはこう言った。
「一緒に来る?」
(えっ?)
「いや、俺の話をうらやましそうに聞くから」
そんなの願ってもない話だ。
すぐに私はそれに行きたいと答える。
だが問題が発生した。
「持てない.....」
彼のステータスでは私を運ぶことができなかったのだ。
(私は空からあなたについていきましょうか?)
「いや、空の魔物に襲われてその戦闘で俺以外のやつらにバレるのはまずいと思うんですよね。」
どうやら私のような意志を持った武器はとてつもなく珍しいらしく、教会で勉強していたマコトくんでも聞いたことがないものだそう。
そんな希少な私の存在が露呈すれば面倒事に巻き込まるるだろうということだった。
そのためマコトくんが拾ったどこかの冒険者が落としていった武器という設定で彼に運んでもらおうということだったんだが、この有様である。
「すみません....俺が貧弱なばっかりに」
(仕方ないですよ)
........こうなったら
(....マコトくん、奥の手を使います)
「なんですか?奥の手?」
私は
(『契約』発動。)
その瞬間、私と彼の間に強いつながりが結ばれたかのような感覚が来た。
「何をしたんですか?」
(マコトくんと私の間に剣と振るい手の契約を結ぶのよ。そうすればあなたは私の力を使うことができるようになるの)
「何それ!?すごいじゃん!!」
(でも、デメリットもあるわ。この契約は魔法的なもの。一方的に解除したら罰が下るわ)
「罰?どこから?」
(分からないわ。今はパスをつないでいる状態だからまだ契約は結ばれていない。あなたが同意したらすぐに結べるけど嫌だということならやめるけど)
そういうと彼は黙り込んで考えだした。
◇マコトの視点◇
森の奥で出会ったのはトーカさんという剣に転生した俺と同じ異世界人だった。
彼女と話していみたがどうやらこの世界に来る前から大変なことの連続だったそうだ。
前世は病気で一生の大半をベットで過ごし、こちらの世界に来てからは『剣』という無機物に転生したせいで最初は動くことすらできず、最後には竜の巣に何か月も閉じ込められていただって。
俺って大変だなと思ってたんだけど、彼女に比べたらヌルゲーだったよ。
そうして落ち込んでいたら慰めてくれた。優しい。
そんなわけでトーカさんはどうやら人の多いところに行ってみたいようだったので俺はその思いをかなえてあげようとした。
だけど俺のステータスじゃ彼女を運ぶのは無理だったよ。
どうしようと悩んでいた俺にトーカさんはこう提案してきた。
私と契約しない?と
俺と契約を結べばトーカさんの力を俺が借りることができそれにより彼女を持ち運ぶこともできるだろうということだった。
そんな時、目の前に文字が浮かび上がった。
『トーカと契約を結びますか?』
はい←
いいえ
―――『RPGプレイヤー』スキル
その能力の一つ、選択肢が表示された。
これは俺が何かを選ぶときに出るものだ。
俺は考える。
聞いたトーカさんの境遇は前の世界では満足な生活を送れなかったらしい。そんな彼女への同情もあるだろうが、俺は彼女の願いをかなえたいと思っている。
なら答えは決まているだろう。
はい←
「いいよ、契約しよう。」
そういうとトーカさんからは安心したような気配がした。
断られたらどうしようと思っていたらしい。
(じゃあ、いくわよ。私のつかを持って。)
俺はトーカさんに触れる。
(私はあなたの剣として契りを結ぶ、名を、剣咲刀華。私はあなたの剣として誇りを持ちます。私はあなたを信じます。いついかなる時も、命ある限りあなたの剣となりましょう)
その瞬間、俺と彼女の間に強いつながりができたような気がした。
そうして、俺はこの世界に来て初めての仲間ができた。
次回までで一旦オリジナルパートは区切る予定です。