シナリオ崩壊しても知らねぇぞ!   作:名無しのマスター

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 軽い気持ちで投稿したのに反響あって嬉しいやらさっさと短めにまとめて完結させたいやら
(10話以内には終わりたい気持ち)


人が一人死んでるんですけど!?

「????????」

 

「????????」

 

 そのサーヴァントを目の当たりにしたマシュとオルガマリー所長はまっ白になって完全に停まっていた。

 通信先の管制室の方も恐らく同じ状況だろう。そう察しつつ、召喚者として前に出る。

 

「マスターの成白明楽です。よろしくお願いします」

 

「知っているが? というかここ、カルデアでは──カルデアではないのか? ん? どういう状況だ?」

 

「そちらのオルガマリー所長にお聞きください」

 

「オルガマリーは私だが? ……む?」

 

 地球国家元首を名乗るナニカはそこで呆然と突っ立っている所長に目を向け、もう一度こちらを見て、──スゥゥっと霊体化した。

 

「アレ? 幻覚……?」

 

『今なにか見えたような……なに?』

 

「えっあっえっ」

 

「じゃ、ひと段落したところで召喚を続けますね」

 

「先輩!?」

 

 慌てふためいてたマシュのツッコミともつかない声を聞きつつ、その場にいた全員で今の光景を全力でなかった事にして、召喚を続行する。

 石そぉい!!

 

 召喚陣から飛び出してきたのは──一枚の礼装だった。

 拾ってみると、カレイドスコープだ。NP80%! やったぁ!

 

「良し、次!」

 

「ねぇ! 今のなに!? 貴方、一体何を呼び出したっていうの!?」

 

 おっと、所長が正気に戻ってきたようだ。

 無視する。

 

「石! ガチャ! 続行ォ!!」

 

「わたしの話を聞きなさ──い!?」

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

『えーと、こっちがカルデアの所長オルガマリーで……そっちが地球大統領のオルガマリー……』

 

「『U』-オルガマリーだ」

 

「だそうです」

 

「ちょっとぉ!! 意味わかんないんだけど!! っていうかサーヴァントになってるってことは……わたし、死ぬってこと!?

 

 ※もう死んでます。

 ──というテロップが脳内に浮かんだが……これから彼女が辿るものを思うとあまりに酷である。ああ! 人権を失った人を人権呼ばわりなんて、そんな醜悪な奴らがいるってのか!?

 

 前世の私たちです……

 

「お、オルガマリー所長、どうか、その……き、気を落とさず……?」

 

 マシュもどう慰めていいかわからないようだ。

 私もわからん。なんだこの状況。やっていいのはゲームでだけだろ!

 

「クッ……ここで気を落とさないのは無理があるでしょとか、未来の自分が英霊になるくらいアルティメットでハイパワーな存在になってることを喜べばいいのか、感情がぐちゃぐちゃでわからない……!!」

 

 召喚事故の最中でも正気を保とうとする所長、あまりにもカルデア責任者の鑑だな……

 完全にネタギャグ時空に片足突っ込んでる現状でもシリアスを保とうとする姿勢は美徳である。正気を保ってるとは思えないが。

 

『というかその所長、なんか物凄い魔力炉心なんだけど……なにかなこれ、地球と同じくらいあるんじゃない?』

 

「地球大統領だからな!!」

 

「まさに驚天動地」

 

「それ、つまり人間じゃないってことよね? あれ? じゃあこれからの旅で人間やめることになるってこと、わたし!?」

 

 ダッタラヨカッタンダケドネ……

 

「ちょっと貴方……というかわたし! 一体何があったのよ!?」

 

「……」

 

「?」

 

 大統領がこちらに来いとジェスチャーしてきたので寄る。

 ひそひそひそ。

 はい。なるほど。

 

「企業秘密だそうで」

 

「今の伝言、意味あった!?」

 

「所長の存在は霊基の成立に関わるので、どうやっても言えないのでは……」

 

「わかってるわよ! ああもう、余計気になるじゃない! 一体わたしに何が待ってるっていうのよ──!!」

 

 所長の悲痛な叫びが炎上冬木市に木霊した……

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

「なんかとんでもねぇ戦略兵器が歩いてるかと思ったが、お前らアレか? カルデアか?」

 

「そうです」

 

「ちょっ」

 

 その後、ぬるっとキャスニキことキャスターのクー・フーリンと合流できた。

 大橋でシャドウサーヴァントのライダー、アサシン、ランサー、アーチャーをひとまとめに大統領がぶっ飛ばした直後のことだった。

 

 サーヴァント反応! そわ接敵か! と身構えていたノーマル所長とマシュが、気軽い此方の返答に驚いているものの、当のキャスニキの方も戦闘の意志はないらしく、片手をヒラヒラさせながら歩いてくる。

 

「戦う意志はねぇよ。味方と思ってくれていい。どういう因果が働いてんのかは不明だが……嬢ちゃん、アンタよく正気でいられるな?」

 

「い、言わないでちょうだい。自分でもわかってるから……もう笑った方が楽になるのかしら、ええ!?」

 

「落ち着きなさって」

 

 ちなみに地球大統領はやっぱりなにも言わない。

 自分になにがあったのとか、これから、恐らく自分が辿ることになる道に行くであろうオルガマリー所長に対しては、一貫してノーコメント。

 

 たぶん令呪を使えば喋るかもしれないが、流石の転生者でもそんな勇気はない。

 運命を受け入れるしかないようだ。こっちもあちらも。

 

「じゃ、案内するぜ。この土地の心臓──大聖杯に」

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

「令呪励起!! やってやれ、マシュ!!」

 

「──はい! “仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)”──!!」

 

「我が剣を防ぐか……!!」

 

 IN大空洞。

 そこでセイバーオルタこと黒王とマシュの宝具がぶつかり、約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)の斬撃光を弾いていた。

 

 そして大技を使った直後、

 

「頃合だ。沈め」

 

 U-オルガの砲撃がセイバーにトドメを刺した。

 そして決着がつくや否や、一瞬で霊体化する。

 隠れるんですね……そこは……

 

 あと勢いで初令呪使ったら魔術回路の痛みがやってきて辛い。カルデアのマスターってコレに耐えながら周回するってコトぉ!? やってやろうじゃねーか……

 

「っと、ここで強制送還か。いやほとんど出番なかったなオレ」

 

「いえ、道中のサポート助かりました」

 

「嬢ちゃんも新米とは思えん指示の的確さだったぜ? 一回マスターやったことあるんじゃねぇのか?」

 

「ははは。ありがとうございます。じゃあ『次』会った時もよろしくお願いしますね」

 

「あぁ、次はランサーとして喚ん──ん? 次ってまだ仕事あるやつかコレぇ──!?」

 

 そんな事を言いながらキャスニキは退去していった。

 あと二回くらい縁がありますからね、貴方。お疲れ様です……

 

「……はぁ。不明点は多いけど、詳しいことは帰ってからね……とりあえずあの水晶体を回収しましょう。マシュ?」

 

「はい、至急回収しま──え?」

 

 不意に、セイバーが残した水晶体──聖杯の背後に人影が出てくる。

 レフ・ライノール。FGO以外の世界線では自殺して人知れず人理を護る魔術師だ。

 

「──まったく。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。まさか君たちがここまでやるとはね」

 

「レフ! 生きていたのね!」

 

 走り出そうとした所長の足を引っかけてみた。

 ズベシャッ。

 盛大に転んだ。

 

「あ、すみません。つい」

 

「いきなり!! 何!! ついって何!!」

 

「いけません所長、ふざけているようですがマスターの判断は的確です!」

 

「何!? わたしが転ぶことの何が的確なの!?」

 

「違います! レフ教授です! わたし達の知っている教授とは何かが違う……!」

 

「な、何を言って……」

 

 前に出たマシュが盾を構える。

 ちなみにレフはこちらの茶番を冷めた目で見ている。おお、シリアス担当の風格を感じる。真面目ですね?

 

 まぁこの距離からでも充分に殺されかねない緊張の瞬間だが……

 

「改めて自己紹介をしようか。私はレフ・ライノール・フラウロス。──貴様たち人類を処理するために遣わされた、2015年担当者だ」

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

 レフ・ライノールは裏切り者として本性を現し、特異点Fは定礎復元と共に崩壊した。

 オルガマリー所長は、レフが聖杯の力によって時空を繋げたカルデアスの中に取り込まれた──

 

『あああああそういうコト!? ちょっ、いやでも納得いかないんだけど!? ま、待ってなさい、絶対に戻ってきてやるんだからね!? 覚えてなさいよぉ──!?』

 

 ……結構元気に退場したな、あの人……

 

 召喚された「未来の自分」の活躍っぷりを至近距離で目撃した後だったからか、原作みたいにそこまで悲壮感あるさよならではなかったのは──彼女にとって幸いだったのだろうか? 他になんか、失っちゃいけないもの失ってませんでした?

 

 最後までカルデア勢が伏線回収されたかのような納得を、レフの方が怪訝な顔をしていたのがサビだったかもしれない。コントか? 人が一人死んでるんですけど!?

 

「さて、所長のことは残念だったが──」

 

「……」

 

「正直今のカルデアには弔う余裕もないというか、悼むことしかできないんだけど──」

 

「……」

 

「ね、ねぇ! やっぱりやり辛いよ! 本人と同じ顔したサーヴァントがいる前で本人の死を悼むとかギャグにしかならないんだけど!?」

 

「給料を差っ引くわよロマニ。ここにいるわたしの事は気にしないように。異常事態で時空が乱れているの。わたしがどうしてこうなっているかは説明する気もないし、できません」

 

 気になるが?

 ──毅然と説明する大統領を前に、管制室の空気はそれ一色だったが、今は突いても仕方のない矛盾なのは確かだ。

 

 汝、在るがままを受け入れよ! ってな。

 

 無茶では?

 

「今のわたしはあくまでも一サーヴァント。頼りたい気持ちは分かるけど、遺憾ながら今の作戦指揮は貴方に任せます、ロマニ」

 

「は、はい。……ともあれ、所長がカルデアスから自力で帰ってきたらしい矛盾の考察は後にするとして、今は明楽ちゃんだ。これよりカルデアは未来を取り戻すため、七つの特異点を巡って歴史を正しいカタチに戻す。それが人類を救う唯一の手段だからね。この状況で問うのは強制に近いけれど、それでも訊くよ? 君に人類の未来を背負い、戦う覚悟はあるかい?」

 

「ある! やる! 任せてください、頼りにしてます!」

 

「軽そうな返事なのに確固たる意志と決意を感じる……! もしかして歴戦のマスターかな!?」

 

「違います」

 

 知識があるだけなので新米です。

 

傾聴!! それではこれより、ファーストオーダー改め、作戦名を人理守護指定グランドオーダーに変更! 魔術世界における最高位の使命を以って、我々は未来を取り戻します!!」

 

「「了解!!」」

 

「了解……って所長、全然こっちに任せる気ないですよね!?」

 

 かくしてこのカルデアの人理修復の旅が始まった!

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

 ──カルデア時間で二日ほどの休息と次の特異点探索の準備を整えたのち。

 いよいよ、第一特異点へのレイシフト決行日となった。

 

「ピュアプリズムは神素材……特別再臨で大統領も所長に……」

 

「はい! 頼もしい戦力として準備が整ったと思います! わたしも依然サーヴァントとして未熟ながら、先輩のファーストサーヴァントとして全力を尽くします!」

 

「ああ、よろしくマシュ。攻撃は所長に、防御はマシュに任せるよ。盾役(タンク)がいないと安心して指示ができないから、本当によろしくね」

 

「お任せください!」

 

 マシュ可愛いな……

 そして私は正直自分の人徳に自信がないから具体理由を逐一説明してしまうぜ……!

 ゲームだとターン制も相まって火力システムこそ正義という戦術に寄ってしまうが、リアルとなると敵の攻撃を引き受けてくれる壁役のなんという頼もしさよ。

 

 シミュレーターでも、何度かマシュ単独での戦闘訓練もやってもらった。いつ、いかなる時でも頼もしいアタッカーがいるとは限らない。FGO世界なら尚更である。よく空から落ちるしね。

 

 サーヴァントとはぐれた時の訓練も裏でダ・ヴィンチちゃんに頼んで付き合ってもらったりもした。

 

 人類最後のマスター。

 その勝利条件は、大前提として「生き残ること」である。

 

 ……狩人系のサーヴァントが来たら、サバイバル術の講義を大真面目に頼みたい。ロビン! テルさん! ジェロニモさん! 早く来てくれー!

 

「では向こうについたら、まずはベースキャンプとなる霊脈を探してくれ。そうしたらこっちとも通信ができるから。よろしくね」

 

「了解──ところでどこの時代に行くんですか?」

 

「ああ、その説明がまだだったね。七つの特異点のうち、選んだのは──」

 

 

 ──()()()()()だ。

 

 

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