シナリオ崩壊しても知らねぇぞ! 作:名無しのマスター
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「聖杯は太陽王の元にあるのよね!? だったら、なんで十字軍が敗退したのに人理定礎が戻らないのよ!?」
「太陽王の身になにかあったのかもしれません……!」
「砂漠越えの道行きは我々が案内を。風除け、魔除けの加護ぞあり」
「ファラオー! ご在宅ですかー!」
「早いぞカルデアの! まだ宴の準備も整っておらぬわ。──何、異常事態?」
「オジマンディアス王の協力によって判明した、異常の原因がいる座標はこの辺り……!」
「その前にさっき人影が見えたよ。現地の人かな?」
「私の名はルキウス──」
「「「ダウトォ!!」」」
「えぇ──!?」
「時間がないのよこっちは!! さっさと真名を吐きなさい!」
『ねぇ! なんかその周辺に向かって、遠方から凄い勢いで近づいてくる複数のサーヴァントの気配があるんだけど! じゅ、十騎以上いるぞこれ!? しかもどれも第一線級のサーヴァント!』
「一番強い霊基の反応は!?」
「なに、あのサーヴァント……!? いいえ、この気配……神霊!?」
「世界は崩壊した。半年もすれば魔術王によって全てがなくなる。それでも抗うと──」
「聖剣直送便です!! お収めしろください!!!!」
聖剣は王へと返還された。
第一特異点エルサレム、定礎復元完了ッッッ!!
◆ ◇ ◆
「し、死ぬかと思った」
「なぜかしら……予想していた疲労感じゃないわね、これ……」
「はい……経験はありませんが、例えるのなら締切ギリギリの課題提出、悪夢で追いかけられた直後の安堵の目覚め……それに近しいものを感じます……」
具体的だね、マシュ。
──という選択肢が思い浮かんだが、それを口にする気力もない。ギリギリ、本当にギリギリの戦いだった。
「どうして間に合ったのかしら、私たち……」
「はい……ルキウスさんの真名がベディヴィエール卿だと判明した直後からは、先輩の神がかった決断力の連続でした。どうして彼が聖剣を持っていると分かったのですか?」
「え? ベディ卿が持ち歩いてるのって聖剣以外にありえなくない?」
「「確かに!?」」
「ということは、アレはアーサー王伝説のイフかぁ……途中でこっちに向かっていた反応の半分が、その半分を押し留めに動いたのがボクらの最大の幸運だったね。そもそも、彼らは何をしていたんだろう?」
獅子王につくかつかないかで、それぞれ悩んでた時期だったんじゃないですかねぇ、円卓の人たちは……
そこへ現れる地球並の炉心兵器を携えたカルデア面子!
(恐らく)慌てる遠方の円卓メンバー!
花の魔術師の介入を感じざるをえないキー人材の配置!
大統領+アズさん+
あっこちら聖剣です……とあまりの速度感に追いつけていない様子の騎士による聖剣返還!
──特異点、修正完了──
どこかの漫画の最終回並のスピード感だった。
こんな速度感の中、「この気配、その盾、ギャラハッド卿……?」とベディがうっかりマシュにネタバレしたのも得点だった。色々なネタバレが序盤から明かされていく! これが人理修復RTAかぁ……二周目どころかチャートからして違うんだが……?
「さて、ともあれ第一の特異点の修復、お疲れ様。補給物資も人材も限られた初のグランドオーダーを、まさか一日で成し遂げるなんて思わなかったよ! 間違いなく前人未踏の快挙だ!」
でしょうね。
色んな意味で前人未踏だと思いますよ、このオーダーは。
しかしアトラス院に行く時間は流石になかったな……
でもこの先、少なくとも当事者二名に直接聞ける機会があるし、そこでカバーするかなぁ……
◆ ◇ ◆
しっかり休息をとった翌日。
目の前には段ボール箱に入った聖晶石!
準備万端の召喚サークル!
そう──
第二特異点へ向かう前の戦力補充だ。マシュ、U所長、アズさんと揃ってきた戦力だが、未だ1パーティも作れない人数しかいないのは正直論外である。そんなんでリアルORTに勝てると思っているのかね?
個人的にはそろそろサポーター、その中でもヒーラーを確保しておきたいところだ。
マシュ+アーツサポーターによる無限回復ループメタ戦法。時間はかかるが持久戦に持ち込めば勝算が見えてくるパーティ、というのは実際にあるととても心強いものだ。コンテ石とかいう便利アイテムはありませんからね。
そんな中、マシュは思わぬ真名ネタバレを食らったこともあり、召喚室には同行していない。個人的に色々と考えることもあるのだろう。果たしてこの段階でギャラハッドの名を知って大丈夫だったのか? ──きっと大丈夫だろう。元プレイヤーとしてではなく、ここにいる彼女の一マスターとして、信用しているし信頼している。
真名バレを食らった程度で挫けるような子じゃないぞ、私たちの後輩はな!
「じゃあ召喚いっきまーす」
なるべく心を無にしつつ、聖晶石をサークルに投擲する。
召喚陣が起動し、光の輪を描く──
「……ビーストの気配ではないな」
ボソッと後ろから聞こえてくる声はアズライールさんのものだ。
気配が微塵もない。いたんですか。まったく気付かなかったんですけど!?
というか勝手にガッカリしているが、実はそんなにポンポン来られても困るクラスなんですよ、ビーストって。あんまり気まずい現場で人理修復の旅とかしたくないぜ!?
そうこうしている内に三本線。サーヴァント確定──
「お」
「キャスター、アンデルセンだ。前線には出すなよ」
前線行き、決定!!
現れたのは水色髪に子供の姿に反した低音の声で脳が一瞬バグること請け合いのサーヴァントだった。
ああよかった。普通のサーヴァントが召喚できて。
ビーストか冠位しか来ないとか、確率偏りすぎですからね!
「マスターの成白明楽です。キャスターってことは回復とかできます?」
「本気で俺のような三流サーヴァントを使うつもりなのか……いや本気のようだな、これは。宝具を使えばヒーラーじみた真似はできるだろうさ。後はお前の腕次第だ、マスター」
じゃあ毎ターン締切設定しますね……
「種火を持ってきてあげたわよ、マスター! あ、新しいサーヴァントね。ちゃっちゃと霊基を強化しちゃって。……何? そんなに見て」
「待て。俺はもしやとんでもない職場に来たのでは」
「霊基再臨したら魔力チャージ系のスキルから強化してくださいね」
確定回復効果、確率とはいえ攻撃力、防御力、スター確率アップ、スキルでクリバフ、およそ全ての基本バフを網羅し、どのパーティに入れても仕事をする万能レアリティ詐欺サーヴァントに休みはない。
お前のどこが三流なんだ。低レアで来てくれた冠位サーヴァントだろ? 強化クエストもすぐ行きますからね!
◆ ◇ ◆
第二特異点に選ばれたのは百年戦争まっただ中のフランスだった。
ちょうど近くにあった森に霊脈地を発見し、早速恒例の現地召喚。そこで現れたサーヴァントに絶句しつつ、ラ・シャリテという街に六騎ものサーヴァント反応があるという管制室からの情報を受けて急行していた。
『あれ!? ちょっと待った、そこに向かうサーヴァント反応が更に二騎!』
「新手なの!? 味方なの!?」
『ごめん、わからない! でもその街で何かが起きてるのは確かだ──!』
「じゃあそっちは合流してきた時に考えるってことで!」
恐らくそっちは助太刀要員のマリー・アントワネットとアマデウスだろう──そう考えながらワイバーンやリビングデッドが蔓延る街に到着すると、そこにあったのは五騎のサーヴァントに囲まれたジャンヌ・ダルクの姿だった。
「貴方たちは──」
「カルデアです。明らかにバーサークしている方が敵と見なしてよさそうですね!」
「……先輩。あそこにいる方は──」
「ふん。蠅がいくら群がったところで無駄──」
「燃えろぉー!!」
急に敵側の黒ジャンヌが燃えた。
その瞬間、間違いなく、場の空気は停まった。なぜなら──
「えっ……なっ……」
「さぁ、行くわよマスターちゃん! 魔力をありったけ回しなさい!!」
「なんてやる気に満ちた新人なんだ……ところであちらの同じ顔とのご関係は」
「……なんという召喚事故だ……流石の俺も目を覆いたくなる。だがさっきから筆が止まらん。深夜でもないのにハイになりそうだ!」
現地召喚してしまったのはアヴェンジャー、ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕。
そして現在、敵側の大将を務めているのも同じ顔のルーラー、黒いジャンヌ。
早いよ……早すぎるよ……せめてこの特異点を解決した後に来るべきだったよ、君……!
でも来てしまったのは仕方がない。私はデキるマスターなので現場の空気をほどほどに無視して使命を全うするぜ……!
「さ、三人目の私……!? そんな、いくらなんでも分裂なんて……!」
「状況の飲みこみが悪いわねそっちの聖女様は! 色々あって今は味方なの!! さっさとそこのルーラーの私を倒して特異点を解決するわよ!!」
「待った──待ちなさい──一体何があったらそんなタチの悪い冗談のような未来になるっていうの!?」
色々あるんですよ、これから。色々と。
フライングしてしまったのは申し訳ないと思う。いやぁ、出会う前に召喚ってなんなんですかね。転生知識の弊害かなぁ。召喚事故がお家芸のカルデア、なんて邪悪な組織なんだ……!
「未来の自分で過去の自分を殴るって他に類をみないテロだよな……総員戦闘準備! そっちにいる白ジャンヌは味方と見なす! いいですね!?」
「……! は、はい! 共にこの窮地……窮地……? を乗り越えましょう!」
『こんなに現場が混乱したのは所長が冬木に召喚されて以来だなぁ……おっと、気を付けて。周囲にワイバーンの反応があるぞぉ』
「そっちはアズさんに任せる! 先生、締切のお時間です! オルタさんも宝具用意!」
「心得た」
「作家使いの荒い鬼畜マスターめ。だがいいだろう、脱稿だ!! “
「我が復讐の炎! 我が応報の炎! ただれた憎悪や今はなんかそれ以外のモノで串刺しにするわ! “
「……
ほんとにね。でも少ない方ですよ?