明仄の神喰人は黄昏の銃姫の剣となる   作:緋悠梨

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長くなってしまいました。
でもここまで進めたかったんです....。



2. カナタ「希望の未来とかなかった」

 

ーーーsideカナターーー

 

 

希望の未来とかなかった。

 

異世界転送装置が発動したあと、襲ってきたのは恐ろしいまでの揺れ。縦揺れ横揺れ関係なく断続的に揺れ続ける装置内で、必死に柱にしがみついて揺れを耐えた。

 

少ししてやっと揺れが止んだ……と思ったらすぐさま回転する感覚が襲い、三半規管をめちゃくちゃにした。もうどちらを向いているのかさえ分からない。

 

1分だろうか、10分だろうか、1時間だろうか。永遠にも思える回転するだけの時間は唐突に終わりを告げた。

 

ズン!!と鈍い音と共に回転がとまり、扉が勝手に開く。

 

それを見た俺は無我夢中で転送装置の中から脱出し、そこで気を失った。

 

 

ーーーーーー

 

 

「…………う……ん……?」

 

目が覚めた。天井らしきものが見える。どうやらどこかに寝かされているらしい。

 

(あれ、俺は何して……)

 

「あ、起きたー?」

 

「っ!?」

 

人の声に反射的に飛び起きる。

 

が。

 

「ぬおぉぉぅぅうえぇぇぇ………」

 

最初に激しい頭痛、すぐに凄まじい吐き気が襲って来た。急いで口に手を当てる。

 

「あ、吐くならトイレがそっちだよ!!」

 

先ほどの声がまた何かを言っている。理解する前に体が動いてトイレに駆け込んだ。

 

 

※しばらくお待ち下さい。

 

 

「…………はぁ」

 

やっと吐き気が収まった。トイレから出る。もう胃の中がからっぽだ。

 

「あ、来た来た!!大丈夫〜?」

 

「んぉ?」

 

三度声が聞こえた。そちらを見て一瞬思考が固まった。

 

「ん?どうしたのカナ?」

 

「……あ、えーと……あ、あんたは?」

 

「私?篠ノ之 束だよ〜。この名前に聞き覚えはあるかい?」

 

上手く回らない頭で記憶を掘り起こす。だが、篠ノ之束という名前には聞き覚えはなかった。

 

「……いや、全く」

 

「そっかそっかー。じゃあ君こそが榊博士の言ってたいっくんの護衛担当者か!!」

 

いっくんとやらが誰かは知らないが、護衛という単語でようやく状況を思い出せた。

 

「……そうだ、おれは織斑一夏の護衛任務で異世界に派遣されたんだっけ……。じゃあアンタがあの奇特と話題の?」

 

「そうだよ〜、奇特と話題の束さんだよ〜」

 

ハロハロ〜、と手を降ってくるので此方も一応振り返しておく。

 

……さて、ここでさっき俺が固まった理由について説明しておこう。

 

理由は単純。篠ノ之博士の格好が衝撃的だったからだ。

 

まず青いエプロンドレス。まぁギリギリ私服と言い張れば通じるレベルだろう。そして俺が絶句した半分の理由はその大きく開いた胸元。何がとは言わないがデカい。どちらかと言えば巨乳派のカナタの目を奪うには十分だった。

 

しかしそれ以上に俺に言葉を失わせたのは、頭のついている一対の耳……俗にいう「うさ耳」というやつである。もうこれは私服と言い張るのは無理な気がする。

 

以上の事から鑑みた結果、俺から紡ぎ出された言葉が此方。

 

「ここは二次元(理想郷)すか?」

 

「残念!!ここは三次元だよ〜」

 

「……なんだと」

 

絶対次元の壁を超えたと思ったのに……!!いや異世界の壁は超えてるんだけども!!

 

「束さま、お茶が入りました」

 

「おぉくーちゃんありがと!そこに置いといて!」

 

「ん?」

 

第三者の声がしたのでそちらを見やる。白髪の目を閉じた女の子がお茶を運んで来ていた。

 

「……篠ノ之博士」

 

「束さんって呼んでよ〜」

 

「……束さん、その子は?」

 

「うんうん、素直な子は束さん好きだよ〜。そしてこの子はくーちゃん!私の娘だよ!!」

 

「それじゃ何も分からないのでは。……初めまして、クロエ・クロニクルと申します。束さまに娘みたいに扱ってもらっています」

 

「お母さんって呼んで、って言ってるのに〜」

 

「いいじゃないですか別に」

 

ぶーぶー、と口でいう篠ノ之博士改め束さんだが、その周囲にはお茶が出てきた途端、無数の機械腕が展開していて……何故か二つの湯のみにお茶を注いでいた。そのうちの一つが此方に伸びてくる。

 

「どーぞ!毒とかは入れてないから安心して」

 

「……ありがとうございます」

 

お礼を言って受け取り、飲む。……うん、美味い。2番茶だ。……ごめん適当に言った。

 

「さて、落ち着いたところで君について聞かせてもらおうかな」

 

「その前にもう一度だけ確認いいすか?」

 

これだけはちゃんと確認をしとかなければいけない。

 

「貴女が榊博士の言ってたISにとても詳しい人、でいいんすね?」

 

「うん、そうそう!!間違いないねっ」

 

ぶいっ、っとピースサインを突き出す束さん。よく分かった。この人はテンションが高いんだ。まともに付き合うと疲れるな。

 

「じゃあ自己紹介……フェンリル極東支部極致化技術開発局、通称『ブラッド』所属、隊長の東雲カナタっす」

 

「お、私と名字似てるねー。一緒にいて呼ばれたらどっちも反応しちゃそうな!」

 

あはは、そっすねーと受け流して自己紹介を続ける。詳しくは次話の「3.東雲カナタ」を参考にして欲しい。メタァ。

 

「なるほど、理解出来たよー」

 

「どうもっす」

 

「じゃついでに私のことも話しとくね! 何を隠そう私こそISを作った張本人、天才で天災、篠ノ之束とは私のことだ!!ふはははー」

 

ハイテンションはスルーする。

 

「……何となくそんな気はしてたましたよええ」

 

「およ、どうして?」

 

「なんとなくです」

 

実際は何となくどころじゃなく確信に近かったが。なにせまとう空気が榊支部長に似ている。天才とマッドサイエンティストを紙一重で行き来しているような感じがプンプンする。天才には違いなんだろうけども……。

 

まぁそう思ってもわざわざ口にしないが。

 

「……それで、織斑一夏の護衛についてなんですが……」

 

やっと本題に入れた。

 

「うん、君にはIS学園に入学してもらう手筈になってるから。そのための準備をしてもらうよ」

 

「準備、ですか?」

 

「そそ!まずはISについての講義……はこれ読んどいてね!!」

 

そう言って手渡されたのは広辞苑くらいの厚さの必読と書かれた教材……って!!

 

「これ全部覚えるんですか!?」

 

「うん、ちーちゃんが編入テストをその内容から出すから読ませろ、って」

 

ちーちゃんとか今は突っ込めない。編入テストってなんぞ。

 

「……ちなみにいつ迄に……?」

 

「一週間♪」

 

「一週間!?」

 

「一週間!!」

 

「一週間……。 ……って遊んでる場合じゃない!!」

 

「おっと、その前にやることがあるからちょっと来てね〜」

 

「いやそんな暇はなあれぇ〜?」

 

途中から変な声が出てしまった。だって束さんが俺の首根っこをつかんで引っ張って行くんだよ。

 

「束さんどこにそんな力が……?」

 

「天才の束さんは細胞レベルでも天才なんだよ。……くーちゃんもおいでー」

 

「はい、束さま」

 

そのまま連れさられ……」

 

「これに着替えて」

 

「……水着っすか?」

 

「ISスーツだよ!!ちゃんと来たら外に集合〜!」

 

「外?」

 

「うん外!先に行ってるよー」

 

「了解っす……」

 

男の着替えとか誰得。割愛。

 

外に出ると、目に飛び込んできたのは青い空、綺麗な砂浜、紺碧の海。泳げるなら泳ぎたい。

 

だがそのために外に出たわけじゃないのは分かってる。説明を求める視線を向けると、すぐに返答が帰ってきた。

 

「そりゃ今からカナちゃんに戦ってもらうからだよ」

 

「カナちゃん!?」

 

「カナタだからカナちゃんだよ〜」

 

「いやそれは分かりますけど……俺のイメージっぽくない気が」

 

「大丈夫!!あってるよ〜」

 

「……さいですか」

 

あえて何も言うまい。言葉でも力でも勝てるとは思えないからな。

 

「じゃあおいで、カナちゃんのIS!!」

 

束さんが手を掲げ強く指を打ち鳴らす。まさにガンッ○ァァァァァム!!!

 

(ということは……海かっ!?)

 

「残念♪空でした♪」

 

「え? ……うおおぉぉぁぁぁ!!?」

 

空から何かが俺目掛けて降ってきたので、急いで飛びのいた。

 

その何かは俺のいた地点まで降ってくるとと急減速し、砂浜に刺さる直前で宙に浮いて停止した。なんだこの色々と物理法則無視した菱形の物体。

 

そして、その物体は前触れもなく四つに分かれ、中から何かが現れた。

 

全体的に角ばったイメージを与える機械の鎧、と言ったところか。胴体部が空洞になっており、人を1人取り込めそうなスペースがある。右手に巨大な黒い両刃の剣……バスターブレードを持ち、両肩には一門づつキャノンらしき物がついている。そして背面に集中的に配されたブースターが特徴的だ。

 

俺の記憶の中から似たものを呼び起こす。……色んなアニメに出てくるパワードスーツというものに近い気がするな。

 

「束さん、これは?」

 

「世界で470機目のISにしてカナちゃんの専用機だよ!!名前はまだない!!」

 

「……専用機……」

 

シャ○専用、ガト○専用、クル○ゼ専用……専用機とか心おどるじゃないか!!

 

「乗ります!!乗らせて下さい!!」

 

「おお、突然やる気になったね!じゃあISに触れて、自分がISを纏うイメージを作って〜」

 

イメージかぁ……難しいな。

 

「……応えろ、インフィニット・ストラトス!!」

 

そう口にした瞬間、俺を光が包んで一瞬後にはISが纏った俺がいた。

 

「おおおぉぉぉぉ……」

 

「やった!成功おめでとうカナちゃん!!どう?乗った感じは?」

 

「視点がいつもより高いから違和感が……」

 

「あー頑張って慣れて!!」

 

根性論だった。

 

纏った瞬間からISのスペック情報が頭の中に流れ込んできて、全てを理解させられているような気分になる。……さっきのバスターブレードと肩部30mmキャノンに加えて左腕部ビームマシンガン。肩部キャノンは射角制限があってそれぞれ正面から90度までしか回らない。後ろはマシンガンでカバーするしかないようだ。

 

(……武装はこういったタイプではかなりシンプルだな)

 

「じゃあちょっとくーちゃんと戦ってみようか!」

 

「分かりました」

 

「え」

 

次の瞬間にはクロエがISをまとっていた。スペックが目の前に表示される。日本刀らしきものを構えた鎧武者のような形状をしたISは打鉄というらしい……ってそうじゃなくて!!

 

「あの、俺まだ慣れてないんすけど」

 

「カナちゃんは実戦で慣らした方が学習能力が高い、って榊博士が言ってたよ〜」

 

「……あの狐目め……」

 

次に会ったらボコろう、そう心に決めた。

 

「そんじゃいってみよー、試合開始っ!!」

 

 

ーーーーーー

 

 

「「……」」

 

お互い自分の獲物を構えて微動だにしない。

 

ハイパーセンサーとやらで打鉄の武装が判明している、ということはクロエにも俺の武装がバレていると考えて間違いないだろう。膠着状態はあまりよろしくない。

 

(なら、俺から仕掛ける…っ)

 

ブースターを全開にして一気に距離をつめる。接近したところでブレードを両手で持ち、頭上に振りかぶり、裂帛と共に振り下ろす。

 

「はぁっ!」

 

「……」

 

クロエはそれを無言で半歩ずらすだけで回避。勿論それは織り込み済みだ。振り下ろした直後にブレードをかちあげる。迫ってきていた打鉄の刀にぶつけ威力を相殺……

 

「だけじゃねぇ!!」

 

「っ!!」

 

こちらのパワーが勝り、刀を跳ねあげる。……胴ががら空きだ。

 

「もらった!!」

 

ブレードを大きく引き、チャージスピアーさながらの刺突を繰り出す。

 

だが、

 

「なっ」

 

クロエが体を回転させ、右肩のシールドで俺の刺突を受け流す。その回転の勢いを利用して距離をとり、再びこちらを向く。その時には左手にアサルトライフルが握られていた。

 

「ちいっ!」

 

横っ飛びで回避!したところまでは良かったのだが……

 

「ぬおぅ!? ……ふべっ」

 

ブースターの存在を失念していた。ISの制御を誤り砂浜に突っ込む。「ふべっ」はその時に漏れた声だ。

 

(なるほど行きたい方向にブースターが作動するのか……問題だらけだな、俺に)

 

隠す必要もないから言うが、問題は足場だ。地に足のついてない戦闘方法は、それこそエリアルステップくらいの物だ。それ以外はしっかりと踏み込んで攻撃力を確保して戦うのが俺のスタイル。

 

はっきり言って空中という足場が全くないところの戦闘とか厄介極まりない。

 

(と、とりあえずブースターに意識を……)

 

ズガガガッ

 

「げふっ」

 

衝撃。背中に銃撃を受けた。心臓が止ま……

 

「……あれ、何故死んでないし?」

 

兎に角喰らい続けるのはまずい。急いで体制を立て直してその場を離脱。

 

「俺今直撃弾喰らったよな……ん?」

 

何やら視界端に表示されている数値が減っている。

 

「束さーん!!なんか数字が減ってるんすけど!!」

 

「あ、説明してなかっけ!?それはシールドエネルギー!!攻撃食らうと数値が減って、0になったら負けだからね!!」

 

「はぁ!?それ先に言えやぁぁぁぁ!!!!」

 

「(*ゝω・)てへぺろ☆」

 

うっぜえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

 

「あ、あとそれが有る限り基本的には死なないからー!!」

 

「……なるほど」

 

死なないシステムね……ヌルゲーだなおい。

 

「……はぁ、はぁ、……ふぅ」

 

一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 

因みにこの間、ずっと銃撃食らってました。回避運動してたのに何故だ。クロエは射撃が得意なのか?

 

おかげで300あったゲージが120まで減ってしまっている。

 

「長期戦はできないってか……」

 

覚悟を決める。

 

「……行くぜっ」

 

「行きます」

 

 

ーーーside束ーーー

 

 

「……IS始めて扱ったにしては結構上手いなぁ……やっぱり戦闘の勘を持ってるからかな?」

 

カナタとクロエの戦闘を見て思ったことだ。

 

先程までクロエの砲火を受けていたのでシールドエネルギーは相当減っているはず。それにも関わらず吶喊するところは度胸の現れか……。

 

再び剣がぶつかり合う。今度はお互いが引き、アサルトライフルとビームマシンガンの弾幕を張り合う。すぐにカナタの肩部キャノンが火を吹きアサルトライフルの弾幕を誘爆で吹き飛ばす。

 

「お〜やるねぇ」

 

その爆煙に突っ込むカナタ。今度こそクロエの意表を突くことに成功したようで、まともな防御も出来ず打鉄が吹き飛ばされる。追撃とばかりに放たれたマシンガンはは今度は態勢を立て直した打鉄が回避。お返しとアサルトライフルを連射する。カナタは先程のような醜態を晒すこともなく、不規則な軌道を描いて的を絞らせない。

 

「空中適性もけっこうあるなぁ。……さて、そろそろかな?」

 

カナタ機の肩部キャノンが再び火を吹く。クロエはわずかに回避が遅れ、態勢を崩した……ように見えた。

 

(明らかにわざと……くーちゃん考えるようになったねぇ)

 

多分カナタからは見えていないだろうが、追加武装の散弾バズーカをシールドの裏で構えていた。躊躇いなく発射。

 

「あーこれは形態移行せずに終わっちゃうかなぁ……」

 

そんな事を呟いた次の瞬間、カナタのISの装甲が全て吹き飛び、あまつさえ散弾を全て防いで落下した。

 

「およ? ……くーちゃんしばらく攻撃待って」

 

 

ーーーsideカナターーー

 

 

キャノンは直撃させることこそ出来なかったが、クロエの態勢は崩せた。

 

「この瞬間を待っていたんだ……っ!!」

 

トドメを誘うとブレードを構え突撃。

 

……だが、僅かに笑うクロエの顔が覗く。そしてあろうことか今まで使ってこなかったバズーカの砲門をこちらに向けていた。

 

(やっべぇ完全に忘れてた……っ!!!)

 

後悔するが後の祭り。制動をかけるもとっくに弾は撃たれている。回避は間に合わない。

 

(くっそぅ、動けっ……)

 

『最適化完了しました。一次移行を始めます』

 

「……は?」

 

間抜けな声をもらした途端、ISの装甲が全てパージした。

 

「え、ちょ、いきなり無防備は……あれ?」

 

バズーカがいつまで経っても当たらない。周りを見ようにも爆煙で見渡せない。煙を払おうとブレードを振るった……ところで更なる異変に気がついた。

 

「武器が変わってる……」

 

黒い両刃の剣だったはずが、何やら四角いごっつい武器に変わっている。しかも所々にオレンジのパーツ。

 

……俺にはこの武器に見覚えがあった。

 

「これって……ロミオ先輩の『ヴェリアミーチ』じゃねぇか!!」

 

そう、クロガネ大剣型を改造したロミオ先輩愛用のヴェリアミーチが俺の手元にあった。それだけじゃない。

 

「『キチェルカ』に『カーザミーア』まで……どうなってんだ……」

 

ロミオ先輩が使ってた神機一式が俺の手元に揃っていた。

 

考えこむ俺に束さんから声がかかる。

 

『カナちゃーん!一次移行おめでとう!!』

 

「え、どっから声が」

 

『多分どこから声が聞こえてるか悩んでるから教えてあげるね〜』

 

実は俺の声が聞こえてんるんじゃないだろうかこの人。

 

『今ね、プライベートチャネルを使ってるんだよん♪首を動かさずに首の後ろに向けるつもりで話しかけてみて〜』

 

「え、えーと、こう、っすか……?」

 

『オッケーオッケー!じゃあ一次移行について説明するね!簡単に言っちゃえば、専用機が搭乗者に最適化するって感じだね〜』

 

「じゃあ俺は神機を使った戦い方が『最適』だとISに判断された訳っすか」

 

『そうそう!!まさか装甲が全部飛ぶとは思って無かったけどね。束さんもびっくりだよ』

 

俺も驚いたよ……バズーカと生身で相対しなきゃいけないかと思った。

 

『後さカナちゃん、今君がどんだけ異常か気付いてる?』

 

「まぁ装甲を持たないISはそうそうないんじゃないかなー、って気はしてますが」

 

『それもむしろ初の事例なんだけど……。落ち着いて聞いてね。今さ、カナちゃん……』

ゴクリ。

 

『……浮いてるんだよ!!PIC無しで!!おまけに格好も変わってる!!』

 

「 ……はい?」

 

ISの機能で浮いてるんじゃないの今? え、俺死んだ!?

 

慌てて足元を見る。良かった、足はついてる。だが、確かに俺は空中に浮いていた。

 

そして格好。気付いたら水着見たいなISスーツじゃなくて、俺が向こうでいつも着てた服……パンキーパーカーにダスキーモッズという組み合わせの服になっていた。どういう原理だこりゃ。

 

『ねーねー!!どうやって浮いてるか調べてみて!!』

 

「調べるったって……あ、出てきた」

 

『読んで読んでー!!』

 

やばい束さんが興奮しすぎてる。

 

「お願いっすから少し落ち着いて……。ええっと、単一能力『駆爪』、空気中の塵を足場として利用出来る……ってなんだこの無茶苦茶な能力!?」

 

『おおおおおおおおお!!!!ねぇねぇ、今どんな感じ!!??』

 

「……言われてみて気付いたんすけど、なんか両足が地面についてるみたいで……。例えるなら透明な床に立ってる気分っす」

 

『なるほどね〜。じゃあ次は一歩踏み出してみようか!!』

 

「え、いや流石に怖いんすけど……」

 

『大丈夫だよ〜、束さんの予想では、多分次の足場が出来るはず』

 

「……落ちたら拾って下さいね?」

 

それだけ言って、恐る恐る足を踏み出す。

 

「………………!! ふぅ……」

 

……右足を下ろしたところに、新たな足場が出来上がっていた。

 

「心臓に悪い……」

 

『まぁまぁそう言わずに!! ……じゃ、そろそろ戦闘の続きを始めるよ〜くーちゃん!!』

 

束さんの声に反応して、打鉄が剣を構える。

 

『それじゃ再開しまっす! スタートー!!」

 

「悪いな、もう負ける気がしない」

 

俺は文字通り空を『翔ける』。そのままステップし、ヴェリアミーチを振り下ろす。打鉄はそれを避け、横合いから薙いでくる。

 

(……ここだっ!!)

 

パリングアッパー。これも文字通り敵の攻撃を弾き、下からブレードを掬い上げる攻撃だ。

 

見事に決まり、打鉄が吹っ飛ばされる。

 

受け身をとって起き上がった打鉄が起き上がりざまにアサルトライフルを放ってきたので、カーザミーアを展開して防御。一発も通さない。

 

(……まんま神機だ、これ……!!)

 

ISを使っていた時のやりにくさなど、とっくに吹き飛んでいた。

 

切る、離脱、避ける。

切る、離脱、防御。

切る、離脱、避ける。

切る、切る、切る、離脱、防御。

 

こんなことを繰り返しているうちに、気付いたら打鉄がボロボロになっていた。クロエの息があがっているのを、ハイパーセンサーを通じて理解する。

 

「……ラストっ」

 

一気に距離を詰め、ヴェリアミーチで薙ぎ払う、と見せかけて横に飛び、正面の攻撃を防ごうとしてがら空きになった側面を叩きつけ、砂浜に墜落させる。

 

続けて俺は捕食形態に変型。砂浜から起き上がろうとしていたクロエの首元に突きつける。

 

「俺の勝ちでいいな?」

 

「……はい、私の負けです」

 

っしゃあ、と心の中で快哉をあげる。

 

「二人ともお疲れ様! カナちゃんISかして!!」

 

「これっすかね……?」

 

神機を手渡す。束さんはコアのある位置にコードとかをつないで何やら調べ始めた。

 

「しっかしなんで神機の形になったんすかね……?」

 

「多分束さんがカナちゃんの神機の情報をこの子に読ませたからだと思うよー」

 

「え」

 

今いろいろ聞き捨てならない事を言った気が。

 

「……束さん、2つ質問いいすか?」

 

「いいよー」

 

「1つ目。なんで俺の神機がこの世界に?確か持ってきてないっすけど」

 

「君が寝てる間にまた転送装置がきて、その中に『東雲君に持たせ忘れたから渡しておいて欲しい』って手紙と一緒に入ってたよ〜」

 

「……なるほど、2つ目。今神機はどこに?」

 

「ん?ここ」

 

「……Pardom?」

 

「何で英語? この子が取り込んだんだよー」

 

「……なんですと」

 

【悲報】俺の神機が飲み込まれたらしい。

 

「どうしてそんなことに……」

 

「束さんもコアがどう進化するかは分からないからねー」

 

「そもそも解析する時間なんてあったんすか?」

 

「カナちゃん12時間も寝てたお寝坊さんだからね。束さんにはそれだけあれば余裕だよっ……よし、解析完了!!」

 

なんと俺は半日も寝ていたらしい。恥ずかしいのでおいとこう。

 

「俺のIS、どんな感じでした?」

 

「カナちゃんこれ色んな意味で規格外だよ! 詳しくは3話『東雲カナタ』を参考にしてね!!」

 

「何言ってるんすか?」

 

「ただのメタ発言だよ〜」

 

「……さいですか」

 

多分気にしたら負けなやつだ。

 

「じゃあカナちゃん、この後はお勉強ね!!」

 

「うっへぇ……」

 

「大丈夫!私も教えてあげるから!!」

 

「お手柔らかにお願いします……」

 

「それとISの操縦訓練も毎日やるからね!!」

 

「……俺に死ねと?」

 

「この程度で死んだら『護衛(笑)』になるけどいいの〜?」

 

「なんかすっげぇムカつく!!分かったやってやるっすよ!!」

 

「おーその息その息!!」

 

 

………………。

 

ーーーーーー

 

 

そして一週間後。

 

そこには真っ白に燃え尽きた俺の姿が!!!!

 

……本気で地獄を見た。

 

もう一度言おう、希望の未来とかなかった。

 

「……もう、無理……」

 

「カナちゃんカナちゃん!! ちーちゃんが合格だ、って連絡くれたよ!!やったね!!」

 

いぇ〜い!!とハイタッチを求めて来るので軽く右手だけをあげる。それだけでも辛い……。

 

「じゃ、明日IS学園に行ってもらうから、いっくんの事よろしくね!!」

 

……俺はもう帰りたいっす。




戦闘描写下手だなぁ........。精進します(´・ω・`)

予定では次をカナタの紹介にあてて、その次にIS学園への顔出し、5話に2巻冒頭の転入の話....と言う感じでいくつもりです。

カナタの紹介は明日あげます。

感想、指摘等ありましたらよろしくお願いします。
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