世は大海賊時代。ひとつなぎの大秘宝を求め、強者ぞろいの海賊が覇権を争う無法の時代。しかし、そんな強者たちですら一度入れば後悔と絶望に沈むのがこの場所、インペルダウンの大監獄である。
捕まった海賊は即処刑、されるわけではない。過酷な責め苦を与え見せしめとするため、あるいは悪魔の実の管理のためとも考えられる。悪魔の実を食べた人間が死ねば、同じ能力の実がどこかに発生する。そして再び別の悪党に渡れば、また被害を生む。悪魔の実を食べた犯罪者は世界政府の手元で管理し、次の能力者を生み出させないようにしなければならない。
そんな囚人たちが万が一にも脱走できないように、インペルダウンは海底に作られている。そして、下の階層へ行くほど過酷になる責め苦がLEVEL 1からLEVEL 5まで設けられており、犯罪の凶悪さに応じて下の階層へ収監されるのだ。
しかしこれは表向きの話。LEVEL 5のさらに下、LEVEL 6には通常の囚人とは一線を画す悪名高い犯罪者たちが能力を封じる海楼石の錠に繋がれている。
そんな牢の中にまた新たな囚人が一人連れてこられた。
「あんのジジイ!丁寧に剃りやがって!」
「がっははは!!良い恰好じゃねえか!長兄。」
「...。」
海兵に牢へ押し込まれた男は劉備、字を玄徳と言う。劉備はきれいに剃られた頭頂部の素肌を手錠のはめられた手で撫でながら怒鳴り声をあげる。そして、牢の中で寝そべっていた男は、張飛、字は益徳だ。何を食べて鍛えたらそうなるのかと思うような分厚い胸板を震わせて笑っている。そんな二人を呆れた様子で眺める胸まで伸びた黒い顎ひげを生やした大男は関羽、字は雲長である。三人とも体中ボロボロで、出血している。刃物による傷ではなく鈍器の殴打や刺し傷ばかりだ。関羽は体ごと顔を通路を挟んで向かい側にある牢獄へ向け、中の二人に声をかけた。
「騒がしくてすまんな。」
「気に、するな雲長。ワシも、益徳から聞いて、玄徳のそれ、を楽しみにしとった、んじゃ。」
呼吸が苦しいのか、言葉がとぎれとぎれだ。返事をしたのは新魚人海賊団船長 海侠のジンベイだった。体に巻き付いた鎖を揺らしながら、関羽に笑顔で答えた。その表情とは裏腹に関羽、張飛以上の出血だ。
「じゃっかあしい!なんでおいらだけ髪剃られなきゃならねえんだ!関さんと益徳も剃れ!ついでにジンベエの親分さんもよお。戻ってこいガープじいさん!」
「そりゃあ、海軍を辞めた時にジジイのおかきを盗んだ自業自得だろ。益徳から聞いたぜ。元海軍少佐殿。」
ジンベイの隣に座るぼさっとした黒髪の男、火拳のエースも笑いながら答える。ジンベイ同様に鎖で拘束されていて、髪も血でべっとりと固まってしまっていた。体中の傷と出血量を見ると本当にここの看守は殺す気がないのか疑いたくなる。呼吸するだけでも苦しそうだ。
「食ったのは益徳だっつってんだろうが!」
「仕方ねえ。管理者責任だそうだからな。おかげでこの退屈な檻の中で楽しみができたんだ。感謝しやがれ。」
「「ありがとう。」」
「檻から出たら覚えとけよ!」
張 飛の出鱈目な理屈にエースとジンベエが答える。劉備は腹いせに手錠で格子を3回叩くと、壁にもたれて胡坐をかいた。それを見て関羽が口を開く。
「そんなことより、これからどうするのだ兄者?七武海のジンベエはこの件が片付けば、七武海に復帰の可能性もあるが我らは確実に出してもらえんぞ。」
劉備、関羽、張飛は海軍で問題を起こし、最悪処刑もあり得るところを元帥であるセンゴクが直々に後始末をして穏便に除隊してもらった過去がある。だからこそ、センゴクも今回は規律通りに海軍本部への不法侵入者として処理するはずだ。つまり、一生監獄生活か処刑だろう。むしろ拷問じみた責め苦のないLEVEL 6に投獄されているこの状況が、侵入とはいえ武器を持たず、素直に拘束されたことに対する最大限の温情だろう。
「そうさなあ。孔明のやつは助けてくれる気があるのか、ねえのか...。その気があっても、いつになるやら...。だがな!この玄徳、白ひげとの戦争なんかやめとけって海軍本部まで進言しに行った時から、この獄に至るまで一度も死ぬ気がしなかったぜ!」
「うむ。今は長兄の勘を信じる他ない。」
「けえっ!おめえの勘なんざ何のあてになるってんだ!」
「お?じゃあ、俺の勘の力を見せてやるぜ。益徳!勝負だ!」
「おっしゃあ!待ってる間に双六のマスを掘ったから駒作れや。ほれ、どっちに賭ける?一人10000ベリーだ。」
「ワシは、益徳じゃ。」
「俺は長兄に。」
劉備と張飛は拘束された鎖をジャラジャラと音を立てさせながら、床を削って作ったマス目を挟んで対面に座った。劉備は自分の服を小さく破って駒を作り始めている。少し間を開けて関羽がエースに声をかけた。
「エースはどうする?」
「おいおい、俺はもうすぐ処刑されるんだぜ?」
「白ひげならば助けに来るだろう。」
雲長は当然のように断言するが、エースはそれを聞いて苦しげな表情を浮かべる。
「親父の忠告を無視して、へました俺をか?」
「来るじゃろうな。あの人が息子を見捨てるわけがないわい。」
ジンベイも同意した。玄徳も益徳も当然のようにうなずいている。それを見てエースが俯きながら答える。
「....捕まったのは俺のせいだ。親父に止められたとき言うことを聞いていれば!今までだって俺のせいで皆に迷惑かけて来た。せめて死ぬ時くらいは迷惑かけたくねえ。」
エースが捕まったのは、元白ひげ海賊団船員のティーチに負けたからだ。ティーチは仲間のサッチを殺害し、彼が手に入れた悪魔の実、ヤミヤミの実を奪って逃げた。本来仲間殺しは絶対の禁忌だが、白ひげは胸騒ぎがあり、今回に限りティーチは追わないという決定を下した。
しかし、エースは納得できなかった。ティーチは恩人である白ひげの顔に泥を塗ったことに加えて、エースが隊長を務める2番隊の部下だったこともあり、エースは仲間たちの制止を振り切って一人ティーチを追いかけたのだ。
「バカ言え。どんな迷惑でうっとおしい奴でも助けずにはいられないのが仲間ってもんだろう。見てみろ関さんと益徳だっておいらに付き合って死にかけてる。」
劉備が関羽と張飛を指さしながら語り掛ける。二人は苦い顔をしているが否定はしない。
「せいぜい死に物狂いで助けてもらうことだな。おめえさえ逃がせれば白ひげの勝ちなわけだろ?そんで死んだ仲間の分まで生きろ。」
「俺は...。」
「そんで俺たち四人も助けてくれ。」
「ワッハッハッハ!痛っつつ。その通りじゃ!そのときはよろしく頼むぞエースさん。」
エースも理屈ではわかっているのだ。しかし、家族に対する負い目や、自身の不甲斐なさがどうしてもぬぐえない。
そのとき、廊下の奥から重い足音が聞こえてくる。一歩のたびに牢獄を揺らすそれは、こちらへ近づいてくる。
「おいおい、またかよ。そっちは寝たふりでもしときな。」
「騒ぎすぎましたな。」
「けえっ!まじめな看守様だぜ。」
近づいてきたのは巨大な二足歩行の牛だ。手には金棒を持っている。劉備達の牢の近くに立ち周囲を窺っている。
「さっき殴ったばっかりだろうが!」
劉備のその声に反応し、巨大な牛は劉備達の牢のカギを開けて入ってきた。そして棘が付いた金棒を振り上げる。
「があっ!痛ってええ!」
劉備に続いて関羽、張飛も殴られた。二人は声を出さないが痛いものは痛い。張飛は今にも飛び掛かっていきそうな表情になり、関羽が肩を軽く抑える。この表情のまま木像にしたら立派な仁王像になりそうだ。牛は三人を殴ると表情も変えずに扉を閉めてまた巡回に戻って行った。
「悪魔の実 動物系の覚醒失敗者だっけか?」
「自我を実に乗っ取られているらしいです。」
「哀れなもんだ。いっそ殺してやった方が良いんじゃねえか?」
張飛はまだ牛の去っていった方を睨みつけている。
「やめておけ。無駄にセンゴク元帥の顔に泥を塗るだけだ。海楼石の手錠を素手で破壊できるわけがあるまい。」
「そうだぜ益徳。いつか逃げるからセンゴクどんに迷惑かけちまうのは仕方ねえが、それまでは顔を立ててやんなきゃ。あの人の胃がもたねえよお。」
「わかってる!俺だって元帥の世話になったことは忘れちゃいねえよ。」
張飛としてもセンゴクは嫌いではないし、面倒をかけさせた負い目もある。一身上の都合で退役したものの、海軍そのものを嫌っているわけではない。それにあの牛だって忠実に仕事をしているだけだ。そんなことはわかっている。
しかし、一発殴ってやらねば気が済まないのがこの張飛である。脱出する際にはあの牛の血を軍神に捧げてやろう。久しぶりの肉はうまいだろうなあと考えて自分を落ち着かせるのだった。
場所が変わって、インペルダウン入口。七武海ボア・ハンコックと同行してきたモモンガ中将がインペルダウン副署長のハンニャバルと副看守長のドミノに案内されている。
四皇 白ひげ海賊団との戦争の準備を進める海軍は七武海の招集を行った。四皇との戦いは通常の海賊討伐とは兵数もこの強さも桁が違うのだ。各地の治安維持分を除いた海軍の動かせる最大戦力、そして七武海。これら全てを揃えてなお安心できない。
普段であれば七武海の招集は従わずとも最低限の条件を満たしていれば黙認されていた。ハンコックなどまともに招集に応じたことがないのだ。
しかし、今回は別だ。招集に応じなかった場合、七武海の称号をはく奪するという強硬的な警告も出されている。これからの戦いを考えれば当然の処置だろう。ハンコックはそれでも拒むつもりだったが、麦わらのルフィのインペルダウン侵入に手を貸すためにこれを承諾した。
海軍及びインペルダウンには当然ルフィのことは伝えていない。戦争参戦の見返りとして拘束されているエースとの面会を希望しているということにして、インペルダウンへの訪問を受諾されたのだった。
ドミノが施設の説明を始めた。
「こちらが地獄のぬるま湯です。囚人は入獄時に百度に煮えたぎる鉄釜で消毒を兼ねた洗礼を受けていただきます。やはり囚人にも格があり、最近ですと火拳のエース、ジンベエ氏、クロコダイル氏、関雲長氏、張益徳氏は眉一つ動かさない見事な入獄でした。逆にひどかったのは劉玄徳氏です。まったく観念せず、張益徳氏に蹴られて放り込まれましたが、子供ができなくなると言って、ブリッジの体勢で下腹部だけは絶対に水面に付けませんでした。あれはあれで見事でした。」
「か、海軍の恥さらしめ。」
モモンガ中将が手を頭に当てて呟く。劉備、関羽、張飛とは顔なじみであり、モモンガの指揮で海賊と戦ったこともある。モモンガは個人的には彼らを嫌っていないが、海軍将校としての適性はないと思っていた。
三人は海賊の襲撃で荒らされていた世界政府非加盟国まで出張したり、気の合った海賊と宴会していたらしいとのうわさもあったりと規則など意にも介さず振る舞っていたからだ。
モモンガとしても思わず称賛したくなることもあったが、皆が劉備の真似をして思い思いに行動しては海軍は弱体化し、それはそのまま治安の悪化につながる。中将としては世界政府加盟国に不満を持たせたり、個人の判断で規則を逸脱したりする行為は咎めなくてはならない。
だからこそ三人が免職された際にも、納得しかなかった。処分に対する疑念や除名の撤回を求める気は全く起きなかった。むしろ張飛などよく今まで海兵でいられたものだと感心したくらいだ。
三人が海軍を去った後に、ある将校が目の届く範囲に置いておきたいという理由で、七武海への勧誘を提案した。その将校はもう少し連中のことを知るべきだろう。その時のセンゴクの回答は「連中がマリージョアを襲撃した場合にどう責任を取ればよいと思うか」だ。
戦力としては優秀、そして民衆の幸せを願う精神は本物だったため残念ではあるが、海兵という職業の適性がなさ過ぎたのだから仕方がない。もし奴らをあと数年海軍にとどめていれば、間違いなく組織は崩壊していた。なにせ劉備が海軍を去る際に一部の海兵たちは後を追って退職したのだから。
劉備に感化された海兵たちは何をしているかわからないが、間違いなく海軍、さらには世界政府にとっても看過できないことをしでかすに違いないのだ。それは不安でもあり、また期待でもある。自身には通せなかった正義を連中ならば押し通してくれるのではないかと甘い夢を見てしまう。
モモンガがそんなことを考えていると、ハンコックは先ほどの劉備の話について至極まっとうな質問をする。
「そんなことで通してよいのか?」
「まあ、本来顔はつけなくて良い決まりですので、むしろ他の囚人よりも苦しんだのではないかと。」
ハンコックは劉備と面識がない。しかし、すでに好感度はマイナスである。もっとも男というだけでマイナスなのだが。不快気に顔をしかめる。男など皆ちょん切ってしまえばよいのだと思いつつドミノの後に続いてぬるま湯の見学から離れる。
「ではこちらの個室でボディチェックをお受けください。」
ドミノとハンコックが二人きりで身体検査用の個室に入っていく。インペルダウン最悪の事件が始まろうとしていた。
しばらくして、身体検査室から出たハンコックはエースの牢屋があるLEVEL 6まで案内されていた。もうすでにルフィの侵入は達成しているため、後はエースを一目見て帰れば良い。
一言ルフィが来ていることくらい伝えてやるか。しかし、案内役のハンニャバル、ドミノに加えてインペルダウン署長のマゼランまで来ている。さて、どうやって隙を作るか。そんなことを考えながら、周囲を見渡す。
周囲のうるさいことと言ったらまるで酔っ払いだらけのお祭り会場である。監獄でそんなにはしゃぐな。食事の量を減らしても良いのではないか。
「海賊女帝!こっち向け!」
「優しくしてあげるからこっちおいでー!」
「おいらとちょこっとお話していかねえか!?」
そんな下卑た声に対してマゼランが叱りつける。
「貴様ら!静かにせんか!」
「うるせえ下痢野郎!」
久しぶりの女がとびっきりの美人で興奮しきっているのだろう。誰も静かにならない。いや、数人はさっと他の囚人から離れ、牢の隅っこで小さくなっている。
「そなた達。そんなに怒鳴られては、わらわ怖い・・・♥」
ハンコックのあからさまなぶりっ子だが、男子校どころではない数十年女と会話していないものすらいる囚人たちには特効だった。
囚人たちの興奮はさらに過熱する。
「ぶひゃー!たまんねえええ!」
「ぶひゃー!たまんねえええ!」
「同類か!?ゲリ野郎!署長変われ!」
囚人だけでなくマゼランまで鼻息荒くなっているのを見て、ハンニャバルが呆れて罵倒する。
「その女よこせ下痢野郎!」
落ち着く気配がない。そんな様子を見て、マゼランがようやく普段の顔に戻った。そしてマゼランの全身から紫色のどろりとした液体が滴り落ち始める。
「ちょっと署長!それ私たちも怖い!」
ハンニャバル含め看守たちが慌ててマゼランから距離を取ると、その液体はさらに体中から噴き出して竜の形になった。
「マゼランの奴、こんなとこで毒竜を出しやがった!」
囚人の一人が慌てて叫ぶ。
「よせ冗談じゃねえか!」
毒竜は液体の体で格子をすり抜け、囚人の一人にかぶりつく。しかし、その牙が囚人を貫くことはない。代わりに囚人は紫の液体で体が覆われ、少しずつ溶かされていく。
「ダメだ・・・。お前死ぬぞ。」
「ちくしょう!解毒・・・、解毒薬を・・・。あ、あああ。うわああああ!」
囚人は床に倒れてのたうち回っている。
「おれにはお前らをこの場で処刑する権限と能力がある。そのことを忘れるな!さあ、ハンコック殿ゆっくりとお話を、」
「もうすんだ。それではな。彼はそなたに会いたがっていたぞ。」
ハンコックがエースに振り向き呟く。
「今の話本当か!?」
「嘘をつく理由がない。」
ハンコックは看守たちと共に去っていった。
「エースさん。何と言われたんじゃ?」
「弟がここに来てる、と・・・・。」
「あの麦わらの子か?無茶な!」
一方、モモンガ中将は劉備、関羽、張飛の牢屋前に立っていた。
「久しぶりだな。」
「おお!モモンガ中将!助けに来てくれたのか!?」
「そんなわけあるか!まあ、見舞いだな。と言っても差し入れはできないが。」
「なあに、すぐここから出るぜ、おいらたちは。そしたら一緒に来ねえか?海軍と白ひげ海賊団の戦争が終わっても天下は乱れまくる。白ひげ傘下の国や国とも言えねえ小島の民たちには守ってくれる力が必要だ!おいらたちの出番じゃねえか!?」
モモンガは一瞬何と言おうか迷うが、毅然と断る。
「お前の言うことにも一理ある。だがな、俺の立場でしかできんこともあるのだ。俺は俺のやり方で民衆を助けたい。そこからこぼれた人々をお前らが助けることを期待していたんだ。・・・なぜあんな無茶をした。海軍本部への侵入などこうなるに決まっている。」
「なんだ、やっぱりおいらたちに出て来て欲しいんじゃねえか。」
「答えろ!劉備!」
「そりゃあ、海軍に世話になって、白ひげにも世話になったおいらたちが義理を通すにはあれしかなかったのよ。傍観するってのはだめだ。戦争になれば泣くのは民だからな。喜ぶのは白ひげと海軍の監視が無くなって空き巣狙いができる海賊どもだけだぜ。これで止めるように進言しなきゃおいらの大義はなくなっちまうよ。」
「真面目なのか、いい加減なのか・・・。相変わらずだな。関羽と張飛も同じか?」
モモンガは劉備の横に来ていた二人に顔を向ける。
「さすがに海軍本部へ乗り込むのは止めたが、長兄が行くならば地獄でも付いていく。」
「そういうこった。」
モモンガは眉を寄せて困った顔をする。
「そうか・・・。じゃあな。正直お前たちと共に戦えないのは残念だ。」
「そうかい。なあにすぐ会えるさ。」
モモンガも牢から離れ、マゼランに続いてもと来た道を帰っていった。
「はああ。美人だったなあハンコック。」
思い出してにやけた面が止まらない劉備は、ハンコックと会話していたエースにどんな話をしたのか聞こうとして違和感に気が付く。エースとジンベエが緊迫と驚愕の入り混じった表情をしていたのだ。
「どうした?」
関羽もそれに気が付き、問いかける。
「俺の弟が、義理の弟なんだが、ここに来ているらしい。」
「弟?前聞いたな。麦わらのルフィか?」
「そうだ・・・。なぜ来たルフィ・・・!」
「ほう。」
「兄貴を助けるためにこのインペルダウンにかちこみに来やがったのか!?大した肝っ玉だ!」
関羽がひげをなでながら感心し、張飛が膝を打って称賛するが、エースの顔は晴れない。ただ、後悔と不安が頭の中を埋め尽くしていた。