自分を偽り続けた者がスタンドを得たので運命に抗ってみる件 リメイク版   作:スイオウ

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10話目です。


鬼人と雨

 

あれからオーガの皆さんを集めてリムルさんが彼らに名付けをする事になった。

 

 桃髪のオーガ「お、お待ちください、名付けとは本来大変な危険を伴うもの、それこそ高位の...」

 

 リムル「いいからいいから、大丈夫だって」

 

 桃髪のオーガ「ですが...」

 

 リムル(なぁ、城星。大見得切ったところかっこ悪いんだけど、大丈夫だよね?)

 

 城星(なんで私に聞くんですか...)

 

 リムル(いやー、お前って結構詳しいからさ...大丈夫かどうか聞きたくてな...)

 

 まぁスリープモードになるのは確定でしょうね。

 

 それからリムルさんは気を取り直して...

 

 リムル「それとも俺に名付けられるのは嫌か?」

 

 桃髪のオーガ「そういうことでは...」

 

 赤髪のオーガ「異論などない」

 

 桃髪のオーガ「お兄様!」

 

 赤髪のオーガ「ありがたく頂戴する」

 

 リムル「じゃあ始めよう、実は最初に見た時から閃いていたんだ」

 

 

 

 

   

 

   ♦︎

 

 

 

 

 リムル「ん...んん...」

 

 城星「あ、リムルさん起きましたか?」

 

 シズ「リムルさん、おはよう」

 

 あれから数日後の朝、リムルさんがスリープモードを終えて無事に起き上がった。

 

 リムル「...城星?悪いな、また起きるまで面倒見てくれてて...それにシズさんも」

 

 城星「いえ、交代交代でしたのでそこまで苦ではなかったです」

 

 ???「もうシオン!最初はわたくしが起こしに行くと言ったでしょう!」

 

 ???「言っただけです。私は了承していませんよ、シュナ様」

 

 何やら姦しい声が聞こえてきた。いつも元気だねーあの人達。

 

 シュナ「...あ!お目覚めになりましたか?お二人共」

 

 シオン「リムル様!城星様!おはようございます!!」

 

 城星「えぇ、おはようございます」

 

 シズ「おはよう、二人とも」

 

 リムル(??)

 

 リムル(城星さん、城星さん。この子達は誰ぞや?)

 

 城星(なんですかその喋り方...リムルさんが名付けた桃髪と紫髪のオーガの朱菜(シュナ)さんと 紫苑(シオン)さんですよ)

 

 シュナ「リムル様、朱菜です。お目覚めになられて本当によかった」

 

 シオン「紫苑です。リムル様につけて頂いた名前、とても気に入っています」

 

 ???「お目覚めになられたかリムル様」

 

 そう言って入ってきたのは赤髪のオーガ... 紅丸(ベニマル)が話しかけてきた。

 

 城星「ベニマルさんもおはようございます」

 

 ベニマル「おはようございます。城星様」

 

 リムル「おぉ、なんかシュッとしたな!」

 

 ベニマル「ありがとうございます。名を頂いたことで、オーガから鬼人(キジン)に進化いたしました」

 

 それから後ろにいるのは...

 

 リムル「ベニマルの後ろに控えてるのは俺の腕を斬り飛ばしてくれた爺さん、白老(ハクロウ)だな」

 

 ハクロウ「ほっほっ、いじめてくださいますな。一瞬で再生され焦ったのはこちらでしたぞ」

 

 にしても分かってはいたけど...やっぱりリムルさんはすごいなぁ...全員進化しちゃうんだもん。

 

 ???「鬼人とは...オーガの中から稀に生まれるという上位種族のことです、一度に6人もの鬼人が誕生するなど前代未聞」

 

 城星「あ、ソウエイさん。見回りお疲れ様です」

 

 ソウエイ「はっ、ただいま戻りました」

 

 リムル「お前は確か...」

 

 ソウエイ「蒼影(ソウエイ)の名を賜りました。ご快復、お慶び申し上げます、リムル様」

 

 リムル「お、おう」

 

 城星の大賢者《上位の魔物に名付けをした場合、それに見合う魔素を消費します》

 

 うん、それは知ってるけど...うん?じゃああの時リムルさんに名付けされた時...リムルさんほとんどの魔素を私に持ってかれたよね?

 

 じゃあ、私もシズさんと同じ仙人とかには《否。なっていません》何で!?

 

 城星の大賢者《名付けの際に、個体名リムル・テンペストから供給された魔素はユニークスキル【幽波紋】の権能【生命力還元】により全ての魔素を個体名ジョウセイ・クウジョウの生命エネルギーとして加算されたからです。結果、名付けによる進化は実行されませんでした》

 

 マジかよ...じゃあ私、ほぼ一生進化できないの?

 

 城星の大賢者《是。その認識で間違いありません》

 

 

 Nooooooo!!!

 

 

 私がショックを受けている間にリムルさんは黒兵衛(クロベエ)さんと話していたみたいだが...

 

 リムル「...城星?大丈夫か?」

 

 シズ「なんだかさっきからうわの空だったけど...?」

 

 城星「...はい?...なんでも...ない...で...すよ?」

 

 リムル「いやマジでどうした!?なんかこの世の終わりみたいな顔してるぞ!?」

 

 この時の私の顔は例えるならFXで全財産を失った顔と同じだったという。

 

 

 

 

 

    ♦︎

 

 

 

 

 ─???side─

 

 ザッザッザッザッ・・・

 

 「ど、どいてくれ!」

 

 何やら、トカゲのような種族の魔物...蜥蜴人族(リザードマン)の兵士の一人が慌てているようだった。

 

 兵士「ほ、報告します!」

 

 その目の前には、リザードマンの首領が、玉座に座っていた。

 

 首領「騒がしいな、どうしたというのだ」

 

 兵士「シス湖南方にて、オークの軍勢を確認!我らリザードマンの領域への侵攻と思われます!」

 

 首領「オークだと…?それで、数はどのくらいなんだ?」

 

 兵士「...................」

 

 しかし、兵士は困惑したような表情で黙っていた。

 

 側近「どうした?オーク共の数は幾らかと聞いている」

 

 兵士「それが...」

 

 兵士「オーク軍...その数凡そ二十万......」

 

 ザワ...

 

 側近「バカな、我らの軍勢の二十倍だと!?」

 

 その言葉に、首領の側近が反応をした。

 

 返された言葉に、兵士が慌てて返す。

 

 兵士「ワタシにも信じられませんでした!ですから熱源感知と魔力感知で何度も確認したのですが.........、...間違いありませんでした」

 

 その言葉にさらに周囲の者がざわつく。あり得ない、やつらが統率など取れるはずがない。そう口々に言葉を述べたが…

 

 首領「.........豚頭帝オークロード」

 

 首領の一言で、周囲は一気に静まり返った。

 

 首領「二十万ものオークの軍勢をまとめ上げるオークがいるならば、伝説の特殊個体ユニークモンスターの存在を疑わねばなるまい」

 

 もはや、少しばかり残っていた音も、一切が消え去ったのかと思えてしまうほど、全員が困惑していた。

 

 首領「…可能性の話だが、打てるべき手は打つべきだな…。息子よ!わが息子はおるか!?」

 

 首領の息子「ここにおりますよ」

 

 そこに、一人のリザードマンが入ってきた。

 

 ガビル「ですが親父殿その呼び方は些か無粋ではありませぬか我輩には、ガビルというゲルミュッド様から頂いた名前があるのですから」

 

 その男は、首領の息子であり、戦士長であるガビルであった。

 

 首領は息子の言葉を呼び方などどうでもよかろうと一蹴し、ある頼み事を息子にしたのだった。

 

 

 

  

  

    ♦︎

 

 

 

 

 

 ーリムルsideー

 

 

 リムル「豚頭帝(オークロード)?」

 

 これは俺が城星とシズさん、ベニマルとゴブタの奴らと一緒にハクロウの稽古を受けていた時である。

 

 稽古の最中、ベニマルが豚頭帝(オークロード)という存在を話してきたのだ。

 

 リムル「なんだそりゃ?」

 

 ベニマル「...まぁ、簡単に言うと...化け物です」

 

 リムル「おい」

 

 簡単すぎんだろ。

 

 リムル「...ってことは今俺たちの目の前で打ち合っているアイツらも、オークロードか?」

 

 ベニマル「ああ、あれも似たようなもんです。......城星様とは戦ったことがありませんが...城星様はもはやそれ以上かもしれません」

 

 ハクロウ「ホッホッ、言ってくれますな。稽古をしたいと言ったのはリムル様でしょうに」

 

 城星「そうですよ、っていうか二人とも失礼じゃないですか?」

 

 リムル「失礼と思われたくないらもうちょっと...いやかなり汗かいてから言え」

 

 そう、城星のやつハクロウと打ち合って常人なら滝の様に汗をかくはずが普通の量の汗しかかいていなかったのだ。

 

 前にユニークスキル「継承者」の効果で身体能力が大幅に上がったからって聞いてたけど...上がりすぎだろ。

 

 リムル「俺、ちょっと休憩」

 

 ハクロウ「仕方ありませんのう」

 

 シズ「えー!リムルさんだけずるい!」

 

 城星「ブーブー。言い出しっぺが逃げてどうすんですかー?」

 

 なんか野次が聞こえる気がするが気にしない、気にしない。

 

 ハクロウ「ほっほっほっ、ですが城星様やシズ殿はこの中で特にワシの稽古に着いていけてますぞ」

 

 シズ「まぁ、これでも英雄だからね。でも驚いた、城星さん剣術もできるんだ?」

 

 城星「えぇ、剣道の授業で少しは......あとはこの銀の戦車(シルバーチャリオッツ)のおかげですけどね」

 

 そう言いながら城星は背後からシルバーチャリオッツを出す。

 

 チャリオッツを外に出さずに同化するおかげで持ち前の身体能力とチャリオッツの剣の技量が出せるというらしい。

 

 ※ちなみにチャリオッツが今持っているのは木刀です。

 

 だけどチャリオッツの剣の腕は本体に影響されるんじゃなかったか?と俺が聞くと、

 

 城星「...でもなんだか分かるんですよ。どう剣を振れば良いのか、切れば良いのか。...もしかしたらポルナレフさんの技量と思いがこのチャリオッツに残されたんだと思います」

 

 ......そうか。俺はそれ以上何も聞かない事にした。他の奴らはなんのことか分からない顔をしていたが知らない方が良いだろう。

 

 それにしても剣術を習いたいと言ったら、この有り様だ。まさに鬼コーチ。城星は自分で残ると言ってシズさんは途中で離脱した。ゴブタ達警備員は、引き続き稽古をつけてもらえるようだ。...後で骨くらいは拾ってやるか。

 

 ベニマル「まぁ、さっきのは冗談ですが、オークロードというのは数百年に一度生まれるというオークの特殊個体(ユニークモンスター)です」

 

 ベニマル「なんでも、味方の恐怖の感情すらも喰らうため、異常に高い統率能力を持つんだとか」

 

 リムル「うへぇ」

 

 ベニマル「里を襲ったオーク共は仲間の死にまるで怯むことがなかった、あるいはと思いまして」

 

 うーん、でもその線は濃厚かもな。

 

 リムル「他になにかないのか?里を襲われた理由の心当たり」

 

 ベニマル「...そうですね、関係あるかわかりませんが襲撃の少し前にある魔人が里にやってきて「名をやろう」だと言ってきたんです。俺を含め、全員から突っぱねられて結局、悪態つきながら帰って行きましたがね」

 

 リムル「そいつから恨みを買っているかもしれないってことか」

 

 ベニマル「仕方ありませんよ、主に見合わなけりゃこっちだって御免だ。そいつの名前はなんだったかな...たしかゲレ...ゲロ...」

 

 ソウエイ「ゲルミュッドだ」

 

 ベニマル「そうそれだ」

 

 ベニマルがその魔人の名前を思い出せずにいると、ソウエイがその魔人の名前を言ってくれた。...というかゲルミュッド?それって確か...あぁ、そうだ。リグルのお兄さんに名前をつけたやつで、さらにスタンドを持っているかもしれないやつだ。

 

 リムル「ソウエイか、どうした?」

 

 ソウエイ「報告がございますリムル様。リザードマンの一行を目撃しました。湿地帯を拠点とする彼らがこんな所まで出向くのは異常ですので、取り急ぎご報告をと」

 

 リムル「リザードマン?オークじゃなくて?」

 

 ソウエイ「はい、なにやら、近くのゴブリン村で交渉に及んでいるようでした。ここもいずれ来るかもしれません」

 

 そうか...あ、城星さんとシズさんが戻ってきた。

 

 シオン「リムル様ー。お昼ごはんの用意が整いました、今日は私も手伝ったんですよ」

 

 リムル「おう、ありがとうシオン。お前らも行こう」

 

 ベニマル「や、俺は今日は遠慮します...」

 

 シズ「あ、うん...私も今日は...」

 

 リムル「あ、そう?」

 

 城星「......ソウエイさん、ソウエイさんはこの後何をするつもりでしたか?」

 

 お?なんか城星がソウエイに...

 

 ソウエイ「...実はシュナ様に頼まれて、我々のオーガの里を調べる予定でしたのですが...何か調べて欲しいことが?」

 

 城星「...お願いします。私も連れて行ってくれませんか?」

 

 は!?

 

 リムル「おい、城星何を...」

 

 城星「...何か分かるんじゃないかと思いまして、私の「ムーディー・ブルース」なら」

 

 リムル「...!そうか!ムーディーブルース!それがあったか!」

 

 ベニマル「...?リムル様、ムーディーブルース?とは?」

 

 あぁ、こいつらは知らないか。

 

 リムル「ムーディーブルースっていうのは城星のスタンドのことだよ。ムーディーブルースはパワーはないけど、その代わりそのスタンドは自身が過去にその地点にいた人物に変身して、その者の行動をビデオのように、リプレイ...再生できるんだ。分かりやすく言えば過去視の能力を実際に目で見れる感じだな」

 

 ソウエイ「...!?そんな能力が...」

 

 城星「...はい、さっき聞こえてたんですけどゲルミュッドが一度オーガの里に来ていたとしたら何か残して行ったんじゃないかと思うんです」

 

 シズ「何かって?」

 

 城星「スタンドにもいくつか種類があるんですよ。その一つが設置型と言って、特定の場所や物に固定・設置して効果を発揮する物なんです。もしゲルミュッドのスタンドが設置型なら里から離れていてもスタンドの効果が発揮されるんじゃないかと思いまして」

 

 リムル「そうか...確かにムーディーブルースは人物だけじゃなくスタンド自体にもなれるからな」

 

 城星「でも、確定はできません。里が襲撃された時にゲルミュッドも来ていていたとしたら普通に遠隔操作型か遠隔自動操縦型の場合もあるので現地に行って調べてみないと分かりません」

 

 ソウエイ「分かりました。城星様、ご案内いたします」

 

 城星「リムルさん、シオンさんに「お昼は後であっためて食べるから残しておいて」って言っといてください」

 

 リムル「おう、気をつけろよ」

 

 そう言って城星とソウエイはオーガの里へ向かったのだった。

 

 ベニマル「...城星様。後で食べるとはなんと勇ましい...」

 

 ベニマルがなんか訳のわかんないこと言っていたが俺はこの後その真実を嫌というほど思い知る事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 ー城星sideー

 

 

 ...それから私はソウエイさんに案内されて数日をかけてオーガの里に着いた。

 

 ソウエイ「ここです」

 

 そこで私が見たものは...無残にも破壊された家や建物、そこらに飛び散った大量の血の跡だった。

 

 酷すぎる...クソッ! クレイマンのやつ...いや正確にはクレイマンがおかしくなったのは近藤のせいなんだが...でもこれはあまりにも惨すぎる。

 

 城星「...ありがとう、ソウエイさん。もう戻っていてください。後は私が調べます」

 

 ソウエイ「しかしそれならば俺も...」

 

 城星「...私のムーディーブルースは姿だけじゃなく、声も音も何もかもを再現するんです。後は...言わなくても分かりますよね?」

 

 ソウエイ「...!...分かりました。お役に立てず申し訳ありません」

 

 城星「大丈夫です、むしろこっちこそすみません」

 

 ソウエイは無言で礼をすると一瞬でその場を離れた。

 

 よし...大賢者。

 

 城星の大賢者《了。ユニークスキル「幽波紋」の権能から「ムーディーブルース」、「ハーヴェスト」の二つを「幽波紋同時発動」を使用し、発動させます》

 

 城星「ムーディー...ブルース!」

 

 

 

 

 ギュオォォォ...ギュルルルル...カチッ、プーーー

 

 

 

 

 そう言うと私の背後から口も鼻も無い平たい顔面に額にはデジタル目盛が特徴のスタンド...ムーディーブルースが何体も出てきた。

 

 ん?なんでムーディーブルースがいくつも出てるんだって?

 

 これは大賢者さんにお願いしてあくまでムーディーブルースの能力“だけ”をハーヴェストに流し込んで発動させたのだ。

 

 だからこのたくさんのムーディーブルースができるのはあくまで再生(リプレイ)だけであって戦闘能力は一切ないし、これを発動している間はデメリットとして私はムーディーブルース以外のスタンドが全く使えなくなるのだ。

 

 つまり今は索敵にパラメータを全振りした状態って事。まぁいざとなればソウエイさんもいるし大丈でしょ。

 

 そんなこんなの間に多数のムーディーブルースがそれぞれの配置に着いた。

 

 城星「よし、まずはゲルミュッドがきた時まで巻き戻してくれ」

 

 

 ギュルルルルルルルル...カチッ、プーーー

 

 

 そう音を出しながらそれぞれのムーディーブルースが移動し始め、里の出入り口まで集まるとその姿は沢山のオーガとその内の一体は魔人...ゲルミュッドの姿に変わって動き始めた。

 

 ゲルミュッド「お前たちに名をやろう」

 

 そうやって演説をするゲルミュッドだがゲルミュッドの隣にいるムーディーブルースはまだスタンドの姿になっていない。

 

 城星「まだここじゃ無いな、早送りで」

 

 そうするとオーガ達もゲルミュッドもビデオを早送りするように動き出した。

 

 オーガ達に追い返されてゲルミュッドは帰って行く。...スタンドは発動されていない。

 

 城星「襲撃された日か?...再生(リプレイ)、開始」

 

 

 プーーーーー

 

 

 それから里が襲撃された日を再生し始めた。

 

 だが見えてくるのはオークがオーガを殺す姿。聞こえるのはオーガ達の悲鳴と「蹂躙せよ」とただただオークが発するだけ。

 

 目の前で絶え間なく血飛沫が上がる。映像を見てると思っても気がおかしそうになる。

 

 城星「うっ......ふぅ...」

 

 一瞬戻しそうになったが、なんとか耐えた。

 

 私だけが吐きそうになるのは丘と違いだ。

 

 ベニマルも...シュナもシオンもソウエイもハクロウもクロベエも本当だったら泣き叫びたかったはずだ。

 

 でも泣かなかった。シュナとシオンは私の温かさにこの前泣いてしまったが、それまでずっと耐えていたはずだ。

 

 もう泣かせたく無い。アイツらは本当だったらずっと笑っていていいはずだったんだ。

 

 だから私が吐いていいはずなんて無い。私はこれを最後まで見届ける義務がある。ここで分からなかったら何のための能力だ。しっかりと目に焼き付けるんだ。ゲルミュッドのスタンドの真相を...そしてこの世界...弱肉強食という現実を...

 

 

 

 

 

 ーソウエイsideー

 

 

 あれから数時間...城星様はまだお戻りになられない...俺は城星様が言った言葉を思い出す。

 

 城星(...私のムーディーブルースは姿だけじゃなく声も音も何もかも再現するんです)

 

 ...城星様は本当にお優しい方だ。

 

 あの日...俺たちがリムル様達を魔人の仲間だと勘違いし、襲撃した日。

 

 誤解が解けた後、城星様は俺だけではなくクロベエやシオンの傷をも治してくれた。

 

 敵討ちに頭を支配され冷静さを欠いていた俺たちをリムル様と城星様は温かく迎えてくれた。

 

 ソウエイ「それなのに...俺は...」

 

 偵察の役職を与えられたにも関わらず、主人に手を煩わせている始末だ。情けない...

 

 俺が苦虫を噛んでいると、

 

 ザッザッザッ

 

 ......!

 

 城星様が戻ってこられた。俺は急いで城星様の元へ向かう。

 

 ソウエイ「城星様、お疲れ様です。そしてお手を煩わせて本当に申し訳ありません」

 

 俺は跪いて城星様に跪く。

 

 城星「...ソウエイさん」

 

 ソウエイ「ハッ」

 

 険しい顔をされていた...覚悟はできている。どんな罰も受けるつもりだ。

 

 城星「...ソウエイさんのお父さんってどんな人でしたか?」

 

 ソウエイ「...ハッ?」

 

 城星様から帰ってきた言葉は罰でも何でもなく、俺の父についてのことだった。

 

 そして城星様と町に向かって歩きながら俺は父の話を城星様にした。

 

 時には厳しくも時には優しく、そして隠密として父として誇らしく、憧れだったことを。

 

 だが城星様はその気持ちがどうしても分からなかったという。そして続けて城星様は過去の話をしてくださった。

 

 ソウエイ「...そうでしたか。お父上が...」

 

 城星「...えぇ、母はいたけれど親父の存在は全く知らないんです」

 

 そう言ってどこか寂しげな顔をされていた。

 

 城星「...だからどうしても分からないんです。親父が何で私たちの前からいなくなったのか、そして親父がどんな存在かも分からないから尊敬も憧れも何も感じなくて...ムーディーブルースでオーガの皆さんを見ていた時、父親ってこんなふうなんだなぁ...ってふと思っちゃいまして」

 

 城星「...私はこんな自分が嫌なんですよ。母の愛は分かるけど、父の愛が分からないから、どうしてもソウエイさん達と同じ気持ちになれない。もし私も父がいて同じ立場だったらすごく苦しいって分かるはずなのに...いないからソウエイさん達の気持ちが全部、理解しきれない。分かってあげれない...一緒に苦しんであげれないのが辛いんです。一緒に同じ悲しみで泣いてあげれないのが辛いんです」

 

 城星様の瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。

 

 ...城星様は本当にお優しい方だ。 城星様は本来ならば俺たちオーガとは全く関係ない赤の他人だったはずだ...でも城星様は「一緒に苦しんであげれない」、「一緒に同じ悲しみで泣いてあげれない」など俺たちに真剣に寄り添おうとしてくれている。一緒に苦しむことで痛みを分ち合おうとしてくれている...でもそれが分からないから寄り添え合うことができないから悔しくて泣いてくれている...

 

 俺は...自分が恥ずかしい。主人に手を煩わせただけでなく、その上こんな俺たちに...俺たちの苦しみに真剣に向き合ってくれているのに...何もできないなんて...

 

 城星「...すみません、話が逸れましたね。結局、ムーディーブルースではゲルミュッドのスタンドは分かりませんでした。ごめんなさい、分からずじまいで」

 

 ソウエイ「いえ...こちらこそ、お力添えができず申し訳ありません」

 

 戻りましょうと城星様が俺の前を歩き始める。

 

 俺は何を言えばいい?今の俺ができることは...

 

 ......!

 

 ソウエイ「城星様」

 

 城星「はい?」

 

 ソウエイ「失礼を承知で発言いたしますが...分からなくてもそのままで良いのではないでしょうか?」

 

 城星「...え?」

 

 ソウエイ「確かに、城星様が我々の苦しみを悲しみを理解しようとしてくださるのは心より嬉しく思います。ですが...父の愛が分からないから寄り添えない。でもそれは全く城星様の落ち度ではありません。城星様の母上はいられないお父上の分、城星様に愛情を注いでくださったと思います。それに理解できないのが辛くてもそれが当たり前だと俺は思います。俺の父がよく言っておられました。「人の気持ちになるなんて誰にもできない。思いやることならなんとかできる」と」

 

 城星「...!」

 

 ソウエイ「あの時の俺はその意味が分かりませんでしたが...今なら分かります。...ありがとうございます、城星様。俺たちはもう十分です。城星様がそうやって我々の悲しみに寄り添おうとしてくれるだけで充分です。その思いと引き換えに俺の人生を引き換えにしたっていい。...城星様が例え俺たちの全てを理解できなくても、「悲しい」と思ってくれているのなら...分からなくからこそ寄り添おうとしてくれているなら...それだけで俺たちは満足です。...城星様、こんな俺たちではありますがこれからも何卒よろしくお願いします」

 

 ...これが今の俺のできることだ。

 

 ...しばらく無言の時が続いた。風が優しく吹き抜ける。

 

 城星「...ソウエイ、私雨が苦手だから糸で屋根って作れる?」

 

 そう言いながら城星はフードを被り始めた。

 

 ソウエイ「...?いえ、雨なんて...」

 

 城星「...いや...雨だよ」(ツー)

 

 ソウエイ「...!そうですね、もうすぐ夜なので冷えます。焚き火の準備をしましょう」

 

 そう言って俺は糸で屋根など簡易的なやどw作り始めた。

 

 今日分かったことが一つある。それは俺の糸は雨だけはどうしても防げないことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたでしょうか? クウガとハガレンのネタを入れてみたのですが、ソウエイのキャラが上手くできていたかどうかが不安です。コメントでアドバイスなど宜しければお願いします。
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