衛宮士郎モドキは英雄にしかなれなかった 作:曇らせはいつかガンにも効くようになる
「う、うーん………………へっ?」
目を覚ましたセリカが、状況を理解し飛び起きる。
「こ、ここは!?私、さらわれた!?」
「あ、う………頭が…………」
気を失う前のダメージがまだ残っている。
「ここ、トラックの荷台……?ヘルメット団め……私をどこに連れて行くつもりなの……」
車体の揺れと目の前の景色から、トラックでどこかに運ばれている最中であることに気づく。
「暗い……けど、隙間から少し光が漏れてる。………外、見えるかな」
僅かに外の光の漏れる隙間から、外の様子を伺う。
「……砂漠………線路!?線路のある場所って……ま、まさかここ、アビドス郊外の砂漠!?
…………そ、そんな。ここからじゃ、どこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、対策委員会のみんなにどうやって知らせれば…………」
状況を理解していくごとに、絶望感が胸の中に広がっていく。
「どうしよう、みんな心配しているだろうな………」
一人、暗闇の中で思考を巡らせていると、嫌な想像ばかり浮かんでくる。
「……このままどこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように………連絡も途絶えて………私も他の子たちみたいに、街を去ったって思われるんだろうな………。裏切ったって思われるかな…………」
想像が具体化されると共に、目の前が涙で歪んでいく。
「誤解されたまま。みんなに会えないまま死ぬなんて………そんなの……ヤダよ……」
弱音が漏れ、涙が零れる。
「う……うぐぅ…………うっ、ううっ…………」
ドカーーーーーン
「う、うわああああああっ!?」
セリカを乗せたトラックが爆撃され、盛大に横転する。
その勢いで、セリカは外に投げ出される。
「な、何っ!?爆発!?トラックが爆発した!?
砲弾にでも当たったのかな………一体どこから?」
「思ったより、元気そうじゃないか?セリカ」
「あっ!あんたは、衛宮!?なんで…………!?」
「先生が君の居場所を見つけてね。オレがここまで追ってきたという訳さ」
「い、一体どうやって…………?」
「くっ!まさか、アビドスの奴らか!?」
シロウの襲撃に気づいたヘルメット団たちが、二人を取り囲む。
「ゆっくりと話している時間はなさそうだ。セリカ、まだ戦えるかい?」
「っ!ええ、舐めないで!!あいつら、散々やってくれたんだから!目にもの見せてやらないと、気が済まないわ!!」
「ふっ、気丈なことだ。対策委員会の皆も直ぐに来るはずだ。それまで、背中を任せてもいいかな?」
「あんたこそ!簡単にやられるんじゃないわよ!」
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マスターの調べた位置情報に従って追跡すると、ちょうどセリカがトラックの荷台に乗せられているところに出くわした。そのことをマスターに報告したのち、タイミングを見計らってセリカを乗せていたトラックを破壊し、救出作戦を開始した。
助け出したセリカは傷はあるものの、意識ははっきりとしており、命に別状がある訳ではなさそうだ。
「くっそ!たかが二人で何ができる!みんなー、やっちまえー!」
「こっちには戦車だってあるんだ、負けやしない!」
ヘルメット団がオレたちを包囲し、銃を構える。
極めて不利な状況に、セリカは顔を歪める。
「くっ!ああは言ったけど、どうすんのよ!このままじゃ、負けちゃうわよ!」
「この程度の数なら、問題ないさ。
空中に数十にもわたる剣を投影し、ヘルメット団に向けて掃射する。
それらは、ヘルメット団の足元に着弾、爆発し砂埃を上げた。それに当たり幾人ものヘルメット団が気絶する。
「はっ!?な、何よ、今の!?剣!?なんか、剣が飛んで…………!?」
「話は後、だろう?ほら、奴らが撃ってくるぞ」
投影した剣による爆撃を逃れたヘルメット団たちが、咳き込みながら撃ってくる。
「ちくしょー!なんかよく分からん攻撃しやがって!」
「Flak41、砲撃開始!」
戦車砲による爆撃がオレたちを襲う――――――――
ズドドドーン!!
「な、なんだ!?」
その直前、戦車が爆撃される。
「セリカちゃん発見!!」
「うへーー、無事みたいで何よりだよ~」
「シロウ、セリカちゃん!助けに来たよ!!」
マスターと対策委員会の増援が間に合ったようだ。
「うへ、セリカちゃんを泣かせた奴らにお仕置きしないとね~」
「ん。徹底的に」
「ちょっと!私は別に泣いたりなんか…………」
何時ものような会話をしながら、ヘルメット団を蹴散らす。
頼もしい奴らだよ………まったく。
っと、戦車がまだ動いているな。
「
刀剣状の干将・莫耶を投擲し、直撃したところで魔力を暴走、爆発する。
攻撃を受けた戦車は破壊され、それを見たヘルメット団たちは倒れた仲間を連れて逃走した。
「は!やってやったわ!ざまぁないわね!」
悪役令嬢のような笑みを浮かべながら、そんなことを言うセリカ。
「セリカちゃん!!」
そんなセリカに抱きつくノノミ。
「わわっ!ノノミ先輩!?」
「もう!心配しましたよ!」
「うへ~、おじさんも心配したよぉ」
「ん。無事でよかった」
『はーっ…………生きた心地がしませんでした』
セリカを囲んで、無事を喜ぶ対策委員会の面々。
自分の無事を心底喜んでいる先輩たちを見て、顔を赤くしながら助けてに来てくれたことに礼を言う。
「あと、衛宮と………せ、先生も………助けてくれて…………ありがと」
「もっと大きい声で言ってくれてもいいんだよ?」
「調子に乗るな」
「あてっ」
恥ずかしそうにしながら礼を言うセリカをからかうマスター。その頭を軽くはたく。
「もう!こっちが正直に言ったら調子に乗って…………さっさと帰るわよ!!」
「怒っちゃった」
顔を真っ赤にしながら、逃げるように帰るセリカ。
こうして、救出作戦は無事に終了し、セリカとの仲も深まった。
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「皆さんお疲れ様です。セリカちゃん、ケガはない?」
アビドスの校舎に帰ると、一人オペレーターをしていたアヤネがセリカに駆け寄って心配する。
「うん。私は大丈夫。見てよ、ピンピンして…………」
話の途中、突如電源が切れたようにふらりと倒れるセリカ。
「おっと」
その体をやさしく受け止める。
「セリカちゃん!」
「保健室はあるかね?」
「ん。私が連れていく」
受け止めたセリカをシロコに手渡す。
シロコはそのまま、セリカを抱え、保健室に連れて行った。
「Flak41の対空砲を食らったんだもん、歩けるほうがおかしいって。ゆっくり休ませてあげよー」
「大変なことになるところでした。先生と衛宮さんがいなかったら…………」
「うんうん。二人のおかげでセリカちゃんの居場所を逃さず追跡出来ました。
やっぱりすごいです☆」
「確かに、ただのストーカーじゃなかったってことだね」
「うん!だてにストーカーやってないよ!」
「腐っても教師が、堂々とストーカーであることを宣言するな…………」
開き直ったようにストーカー宣言するマスターに呆れながらツッコミを入れる。
「………それと、皆さんこれを見てください。戦闘中に回収した、散らばった戦車の部品を確認したところ、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました」
「もう少し調べる必要はありますが…………ヘルメット団は、自分たちでは入手できない武器まで有しているようです」
「この部品の流通ルートを分析すれば、ヘルメット団の裏にいる存在を探し出せますね!」
違法機種となると、ブラックマーケットのどこかではあるだろうが…………。
ブラックマーケットは広い。すぐには見つけられないだろうな。
「はい。ただのチンピラが、なぜここまで執拗に私たちの学校を狙っているのかも、明らかになるかもしれません」
「うん、わかった。じっくり調べてみよっかー」
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「…………格下のチンピラごときでは、あの程度が限界か。主力戦車まで送り出したというのに、このザマとは。それに、特異な能力を持った少年…………」
「ふむ………となると、目には目を、生徒には生徒を………か。専門家に依頼するとしよう」
「はい、どんなことでも解決します。便利屋68です」
「仕事を頼みたい、便利屋」
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カタカタヘルメット団アジトにて
「はぁ…………はぁ…………うわああああああああ!!」
「ぐぅっ!!」
ヘルメット団が何者かに撃たれ、倒れる。
「あーあー、こっちは終わったよー」
「こっちも制圧完了だ、ボス」
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「う、うう…………何者だ、貴様らは…………」
傷だらけのヘルメット団を壁に追い詰め、銃を突き付ける。
「…………ふふふ」
「うあああっ!!ま、まさか、アビドスの!?よくも我々を…………」
「はぁ、こんな不潔で変な臭いがする場所がアジトだなんて。あなたたちも冴えないわね。
…………いいわ、あなたたちを、労働から開放してあげる」
「な、なんだって!?」
「要するにクビってこと。現時刻をもって、アビドスは私たちが引き受けるわ」
「ふ、ふざけた真似を!貴様らは一体…………」
「うわああああ!!」
「私たちは、便利屋68。金さえもらえれば、なんでもする――――――」
「なんでも屋よ」
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おまけ:サーヴァントについて勉強しよう~ライダー編~
「今回はライダーについてだ」
「ふむ……ライダーってことは、何かに乗ってるってことだよね?仮面ライダーみたいに」
「うん、ツッコまないぞ?………ライダーは騎兵とある通り、乗り物に乗った逸話のある英霊が該当する。クラススキルは対魔力と騎乗。この二つは前にも話したな」
「うん、覚えてるよ!」
「それは結構。ライダーの特徴は機動力の高さと多彩な宝具だ」
「……宝具って?」
「ああ、そう言えば、まだ説明して無かったな。今はひとまず、サーヴァントの必殺技だとでも思っておいてくれ。今度詳しく説明しよう」
「うん。わかった!」
「ライダーの適正の「乗り物に乗った逸話」というのは、かなり緩くてな……馬や戦車なんか以外にも、船や幻獣、神獣なんかも乗り物として判定される」
「じゃあ、ドラゴンライダーなんかもいたり…………!?」
「ああ、だが基本的に騎乗のスキルでは、竜種に乗りこなすことは出来ない。ドラゴンライダーと呼べる者は………悪竜タラスクを祈り(物理)で屈服させ、その背に乗ったとされる聖女マルタが代表的だろう」
「へぇ~………なんか、祈りってとこに含みがなかった?」
「気のせいだ」