まだ本編じゃないですが、楽しんでいってください。
それでは、どうぞ!
2015.4.16 編集
学生のすることは勉強すること、課外活動に積極的に取り組むこと、疲れたら寝ること、そして
「さて、明日に備えて早く寝るか…」
布団を被り目を閉じ意識を底に持って行こうとした時、
「……………」
蚊が鳴くような声がした。隣の家かどこかでテレビをつけてるんだろうと気にしないことにする。
「……てって………」
微かに大きくなって聞こえた。外からシャットアウトする為頭まで布団を被る。
「………………」
漸く静かになった。顔を出すのが面倒くさい、暫くこのままでいよう。
と、ようやく安眠できるとホッとしたその瞬間。
「起きろって言ってるだろーーーー!!!!!」
布団を被っているのにも関わらず、耳元からの叫び声に一気に目が覚めてしまった。
「うるせっ………え?え?」
怒鳴りつけてきた声の主に文句を言おうと青年は起き上がった。が、青年の目に映ったのは
視界一杯に広がる黄金の装飾、白磁のように白い彩りだった。
青年は目を瞑った。そして目を開く。
先程と同じ風景が広がっている。目を凝らすと他にも金銀で出来た杯や燭台、宝石が散りばめられた壁の装飾品も見える。
「やっと起きた。もう、喉が痛いや」
隣には外国の司祭が着ている法衣のような白い服を着た子供が座っている。薄い銀の髪に瑠璃のような青い瞳の中性的な顔立ちだった。
青年は一度深呼吸をする。パニックになる前に状況の把握を行う。
「すうぅ…ふう…で、」
「なにこれ」
「なにって、君がここにやって来たんだろ?布団被ったまま」
「いやいや、俺は布団被ってた『だけ』だから!寝ようと思って布団被ってただけでー」
「まあいいや、君がここに来たってことは君を
青年の説明を遮り、子供は立ち上がり青年に背を向けて手をかざす。
手をかざした空間から街、森、ロボットなどそれぞれ違うものを写すパネルが現れ、子供の前に敷き詰められる。
「別の世界?それって元の世界に戻してくれるってことか?なら頼む!俺は戻ってー」
「何言ってんの?」
かざした手を下ろし青年の顔を見下ろす。まるでいたずらを思い付いたような嗤い方で子供は言う。
「そんな事したら面白くないじゃないか」
「…は?」
「さて君を飛ばす世界のことだけど、ボクが決めるよ。行き先は……そうだな、『戦争で荒れ果て、地下で生きる人々の生活を体験出来る物語』にしよう!迫力あると思うよ!じゃあ今から準備しないとね」
「……おい、ちょっと待てよ」
青年が声を掛けるが、子供はそれを無視して話を続ける。
「さて、ただ飛ばすだけじゃ物足りないからね。何がいいかな〜?チートは出来なくして最弱の状態でもいいけどー」
「待てって言ってるだろが!!」
声を張り上げる青年。それに対しやっと子供が冷めた顔で振り返る。
「……なんだい?人がいい気分で、しかも面倒くさいけど仕事しようとしてるのに」
「何勝手に話を進めてるんだよ!!『戦争で荒れ果てた世界』?何でそんなとこに行かなきゃいけないんだ!俺を元の世界に戻してくれよ!何でお前」
「じゃあ教えてよ」
鼻が触れるくらいまで顔を近づけ、言う。
「君がいた世界ってのをボクに教えてよ。ほら、どうしたんだい?帰りたいんだろ、自分の世界に」
ゆっくりと顔を離しパネルの方を向く子供。実は子供にはどれがどの世界の、どこにある風景なのか手に取るように分かる。何故なら子供は、
「ボクは神様だ。君が元の世界に戻りたいならそれを叶えよう。だけど君の世界がどれか君に確認して欲しいんだ。ほら、この風車があるこの世界かい?それともこのガラス張りになっているビルがあるこの世界かい?……教えてよ。一体 ど れ な ん だ い ?」
首だけをこちらに向け狂気染みた笑みで問い掛ける。その笑みが眼前まで迫った瞬間、青年は確信した。
こいつは絶対に俺を元の世界に戻してくれない。俺の人生も、考えも、こいつにとっては何の価値も意味もない、と。
「……俺のことはどうだっていいのかよ……」
青年は顔を
「そりゃそうだよ。他人の運命、しかもそいつが生きる世界もそいつの力も、全部ボクが決める。その後のことは正直どうだって良い。生きようが死のうが勝手にしてくれ。ボクはね、ボクが決めた世界に、ボクが決めた力を与え飛ばす。ただそれだけさ。そしてどんな風に足掻き、這いつくばりながら生きる様を観察する。ただの人間の無様な姿を見てると笑っちゃうね!特に飛ばされた直後にモンスターに襲われて逃げ惑う姿なんて何回見ても飽きないよ!そのためにこんな仕事をしているといってもいい!……だから、能力のない人間がボクを指図するのは間違いだよ?君はここでは何も出来ない。ただ、ボクに従うしかないのさ」
青年の全てを思いのままに出来る子供。ただの人間の男。力と立場の差は比べるまでもない。だが青年の心の中は怒りに満ちていた。
青年は、神様は『優しい、慈悲がある、女や老人の姿をしている』と思っていた。今までも『神様は自分の行いを見てくれている』『神様が助けてくれる』と信じたことが何回かあった。
しかし、
(このクズガキはただ人間を玩具にして遊ぶ最低な神だな……!)
今にも殴りかかりそうになる。が、不満があるように見られると何をされるか分からない。心の怒りを、青年は深呼吸で落ち着かせる。
「もう一度聞こう、君の世界はどれだい?」
パネルを見る。どれも違うように見える。しかしこの中に……葛藤する青年はー
「……分からない」
ー選べなかった。
歯を食いしばり、元の世界に帰ることができない悔しさで顔を伏せる青年に子供は満面の笑みを浮かべた。
「そう、ならボクが決めてあげる」
子供は一つのパネルを選び、指を伸ばすように掌を開き拡大する。
「君がこれから行ってもらう世界は『メトロ ラストライト』。核戦争後に地下で生き延びた人間の抗争を描いたゲームに行ってもらう。あ、強靭な肉体とか武器が強いとかそんな特典はないから。まあ、必死に生きるか苦しんで死ぬかは勝手にして。さて、」
と、子供が右の掌を上にし金色のペンデュラムに似た道具を取り出した。
「最後は君にも手伝ってもらおう。これで君にメトロの世界についての知識を与える。軽く手を翳すだけで君の記憶に知識が付け足される。それで準備は、完了だ」
「……一つ、質問していいか?」
顔を伏せたまま、青年はゆっくりと立ち上がり子供の方に右足を踏み出す。
「いいよ、なんだい?」
「それは、俺がこれから行く世界だけでなく、どんな世界のことでも知ることができるのか?」
一歩ずつ進んでいく。体が少しフラついているが歩みを止めない。青年はただ一点を見つめている。
「そうだよ、知識だけじゃなくて道具、武器、能力といったこともこれ一つで出来る。……ボクから奪おうと思っても無駄だよ。これはボクしか使えー」
「そうか。ならー」
踏み出した右足に力を込め、後ろへ蹴り出した。左足も同様に力を込める。
一点を見つめていた視線を子供に向け、青年は言葉を続ける。
「そいつを寄越せ、神様面したアホガキ様よぉ!」
足を踏み切り、加速する。両手を拳にし子供を睨みつけながら青年は走る。
「えっ……!?」
あまりのスピードに子供は対応出来なかった。子供が例え人間よりも能力で優れているとはいえ、子供は子供。細身とはいえ子供より体格が大きい青年に比べ運動能力は低い。
「ウ、ラァ!」
子供の目の前まで近づいた青年は、握り締めた右手の拳を子供の顎に突き上げる。顎の骨を砕いた感触が青年の拳に一瞬伝わった。
「くぁ……!」
顎への衝撃で後ろに倒れる子供。床に叩きつけられても勢いは殺し切れず、床を滑る。
仰向けに倒れ動けなくなった隙に子供の手からペンデュラムを取り上げ、右手で握りしめる。
「君……!勝手に使うことは、出来ないって言ったよね!?」
口から血を流しながら、声を張り上げる子供。顎だけでなく、歯も何本か折ったようだ。
「ああ、聞いた。だけど俺はこいつを使わない」
青年はペンデュラムを自分の目の前に近づけ、力を込める。ギチギチと軋んだ音が青年の手から聞こえた。
「よ、よせ、やめろ!そんなことしたら……」
起き上がろうと上体を起こす子供。しかし、立ち上がろうとしても軽い眩暈で上手くいかない。
「お前に自分のこれからを決められるくらいなら……自分の力を決められるくらいなら俺は!」
ペンデュラムにヒビができ漏れた明るい光が青年の顔を照らす。
「死んだほうがまだマシだ!ざまあみろ!」
その言葉を待っていたのか、ペンデュラムは輝きを増し空間を煌々と輝きを増していく。そして、青年の視界が白くなり、そのまま意識を失った。
これは、ある一人の青年が、『落第騎士の英雄譚』の世界で学園生活をおくり自身の能力で道を開いていくお話。
転生ものは難しい!→神様を殴ろう(え!?)
どうも皆さん、お兄ちゃんと申します。今回はこの作品の1話目を読んでいただき本当にありがとうございます。
アクション書いてみたいな…という思いから始めた小説ですので、「ここおかしいよ?」「これはどういうこと」などの質問があれば是非投稿してください。皆様の意見が私の力になります。
あとこれは一個人としての意見なのですが、転生って「あなたは死んだから」、「手違いだった」って言われてやられるのってなんか違う気がするんですよね。普通はそんなので納得しないと思います。
では次回もお楽しみに!ノシ