the other ~2番目の騎士~   作:お兄ちゃん

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入学編ですが、最初の方です。待ってて、今戦闘シーン書いていくところだから!

それではどうぞ!


第11話 何事も無理をしないこと

 第十一話 何事も無理をしないこと

 

 

 朝はいつも寒いと束は思う。日は昇り始め、少し太陽が見えている。夏になればまだ温かくなると思うが四月の始めの朝はまだまだ肌寒い。

 そんな朝ではあるが、束と一輝はほぼ習慣になっている早朝のランニングを行う。コースは学園の校庭を十周した後に学園の外周を回る約二十キロだ。

 魔力で他の伐刀者の負けてしまう一輝が取り組んでいるのは、インターバル走というランニングの中でも一番きついトレーニング。五百メートルの全力疾走と百メートルのジョギングを交互にすることで心肺機能、スタミナの強化や精神力強化といった効果があるため週二回は行っている。

 一方、束はレペティンションというトレーニングを習慣にしている。一輝のインターバル走とは違い、二千メートルを全力で走りその後に十分のウォーキングを挟んで再び走るというものだ。こちらはスピードを養成するもので呼吸での酸素吸収を早め、摂取量を多くすることで速く走れるようになる。

 そんなトレーニングを先程終わらせた二人は、学園の正門前で水筒に口を当て水分を補給したりタオルで汗を拭っていた。

「あいつ大丈夫か?」

「多分。負担の少ないトレーニングを勧めたからそれをやってると思う」

「ならいいんだけどな……」

 と、束はため息をつきながら言う。

 菓子パーティーをして親睦を深めた翌日、一輝と束は朝のランニングを再開しようとという話になった。そこへステラも参加したいと言い出したのだ。

『アタシは普通の女子とは違って体力には自信がある』と言いながら練習内容を聞き、次の日の朝から一緒に走ったのだが……。負担が大きいので軽いものから始めることも勧めても聞く耳を持たなかった。

 案の定、ステラは途中で力尽きた。

 実はこれらのトレーニングは体への負担が大きいため初心者の場合週に一、ニ度が限界だとされている。一輝と束でさえ週四回で一週間寝たきりになる程負担が掛かる。そんなハードなトレーニングについていけるわけがなかった。

 そのようなこともあり、ステラには持続性トレーニングにという練習をしてもらっている。練習方法は一定の時間を走る「時間走」や一定の距離を走る「距離走」などの方法があるが、今回は距離を走るという練習をしてもらっている。そうすることで持続力をつけてもらおうという二人の考えだった。

「はぁー……はぁー……、つ、着いたあ……」

 トレーニングを始めて二時間後、ステラがゴールでもある正門前に辿り着いた。肩を激しく上下に揺らし額や首から流れる汗を拭く余裕がないほどに疲れ切っている。膝は何とか立っていられるぐらいに震えている。

「お疲れ。ほら」

 束から水筒を受け取り、ステラは門柱にもたれかかり襟元で首の汗を拭いながら水筒を(あお)る。

「長く走るだけでも、こんなに疲れるのね……」

「まあ、ステラは今まで鍛えてきたんだし確実に体力はついていくよ」

「出来ることからやっていけばいいさ。焦る必要はないからな」

 ステラの思いにそれぞれ励ましの言葉をかける。その視線は正門に立てかけられた看板に向いていた。

『破軍学園 入学式』と書かれている。

「もうすぐ始業式か……」

 留年という形での進学が止められた一輝にとっては感慨深いものだった。

 去年は授業や試験での基準によりチャンスに恵まれないまま終わってしまった。だが今回から新宮寺黒乃理事長の新体制の元、全ての学生にチャンスが与えられるのだ。

「イッキ、嬉しそうね」

「……ああ」

 一輝の顔に笑みが浮かぶのを見て、ステラと束も口元が緩む。

「それに、イツキの妹が来るらしい。それも楽しみなんじゃないか?」

「……妹?」

 妹、という言葉にステラの顔から笑みが消え、眉をひそめる。

「どうした?何か不満なのか?」

「別に……その妹さん、どんな子なの?」

「どんなって……いっつもイツキの後ろついて回ったり、甘えたりしてたなあ。俺と遊んでいる時も一緒になって楽しんだりしたな」

「可愛らしいわね、流石妹って感じね」

「イツキにとって自分に距離を置かずに接してくれた存在だから、気になるんだろ。……言っておくが、異母兄妹とかそういう関係じゃないからな」

「ふーん……ならいいんだけど」

「何か気になるのか?」

「……」

 束の言葉に返事することなく、彼女は一輝を見つめていた。

 それから三人はステラのトレーニングの調整やスケジュールの確認を行い、それぞれの部屋に戻る。これからは、学生として騎士として学んでいく日々が始まる。ステラには初めての、一輝は再びの、そして束には繰り返しの学園生活が始まる。

 

 

 

「はーい!新入生のみなさーん、入学おめでとー!」

 入学式を終え、新しい机と椅子を眺める者や教室を首を回して見る者もいる中で教壇に立つ女性。その女性があろうことか、新入生に向かって巨大クラッカーを鳴らして紙紐や紙吹雪をぶっかけた。

「私が一年一組担任の折木(おれき)有里(ゆうり)ですっ!この学園に入って初めて担任を受け持つことになりました。まだまだ新米教師だから、気兼ねなく声を掛けてね!んー、出来れば先生のことは『ユリちゃん』って呼んで欲しいかな?」

 頭に紐や紙吹雪がかかり呆然とする学生の前で満面の笑みを浮かべながら自己紹介をする折木。長いウェーブのかかった黒髪に整った顔容に、テンションとは裏腹に目の下にはっきりクマが出ている。

「……相変わらずだね、先生」

「何か、見ていて疲れる先生ね」

 何か見覚えがあるのか独走気味な折木にぼやくステラ。一輝も久しぶりに見たが、彼女のこういう時の振る舞いに微笑む。二人の席は教室の窓際の真ん中の列にあるため、紙吹雪が降って来なかった。

「さて、自己紹介も終わったし次は連絡事項として『七星剣武祭代表選抜』について説明します。皆さん自分の生徒手帳を出してください」

 折木の言われた通りに学生全員が各々のポケットから小型の手帳を取り出し、画面をタップし起動する。一輝もそれに習い胸ポケットから取り出す。破軍学園の生徒手帳は液晶端末と学生証カードがセットになっており、身分証明や通学定期、電子マネーやインターネットに使える物だ。

「んーと、始業式で理事長が話していましたが我が学園では昨年度まで生徒の能力に基準を設け選手を選抜する『能力値選抜』を行っていました。しかし今年度からはその選抜をなくし、『実践選抜』に変わり全校生徒で選抜戦をし上位六名を選手に選ばれます。試合日程は選手それぞれに実行委員会から日時と会場について連絡が来るのできちんと確認するように。来ないと不戦敗とみなします」

「先生、質問があります」

 折木の説明にステラが手を挙げる。

「はい、何でしょう?」

「選抜するってことはだいたい試合は何回あると思えばいいですか?連戦だと魔力の回復が間に合わない生徒もいるかと……」

「そうねえ〜十回はかかると思うわ。実戦での評価もあるから具体的な事は先生もよく知らないの、ごめんね。でも試合は三日に一回のは必ずあると思ってくれればいいわ。もし心配なら回復用のカプセルを学園から貸し出しの可能よ」

 それを聞き一輝の不安はなくなり、彼自身も安心した表情を浮かべる。一輝の《一刀修羅》は一日に一度しか使えず回復にも時間がかかる。一日に二回という連戦の時がある場合は戦えないという彼の想定した事態はないようだ。

 しかし、一輝にとっては良いが他の学生にとってはこの知らせはあまり良いものではなかった。

 曰く、『参加するとなると自分の時間がなくなる』というものや『勝てるはずのない試合に参加する意味が分からない』など七星剣武祭についての不満だった。大会では《幻像形態》のみ用いるため命の危険は少ないが、それでも負傷や最悪の事態になる可能性はある。誰もがそんなリスクを負ってまで自分を高めようとは思っていないのだろう。

 ならどうしてこの学園にやって来たのかという疑問が一輝の頭に浮かぶが、平穏に卒業して魔導騎士の資格を得て収入の安定した職について生活するという、平凡な道を望む生徒もいることを考え仕方ないと思った。

「先生、その大会を棄権することってできないんですか?」

 当然、大会に出ることを考えない生徒も出てくる。しかし、折木はそんな生徒達に呆れる事も怒ることもなくただ微笑んで口を開く。

「罰則はありません。勿論、大会に参加しなかったという理由で成績を下げるような事もしませんよ。参加する意志がない場合は実行委員会からのメールに不参加、或いは棄権するという旨を書いて返答すれば参加リストから外れます。……だけど皆、これだけは言いたいわ」

  と、教団を挟んで広がる生徒を見回す。

「確かに大会で怪我をすることや時間を取られることが嫌なのは分かるわ。だけど誰にでも平等にチャンスがある事は滅多にないことよ?ここにいる皆に七星剣王になれるチャンスがあることなんだから。参加するだけでも戦えなくても良いの、大会に出てそこで得るものというは簡単に経験出来ることじゃないから」

 話を終え、折木は一輝の方を一瞬見て微笑む。それに一輝も微笑み返した。

「じゃあみんな!これからの一年間、全力で楽しんで全力で学んでいきましょう!はーいみんなで一緒にー」

(……あ)

 折木がエールを送ろうと掛け声を上げたところで、一輝は思い出した。

 

「えいえい、おっ……がはっ!?」

 

 ……折木の見た目通りの病弱さを。

 紙吹雪を頭に被った生徒は今度は血飛沫を被ることになり、初日の一年一組は赤く染まることから始まった。

 




(´Д` )いつの間にこんな事に……(時計を見て一言)
どうも皆さん、お兄ちゃんです。
他の作者の作品を読んでいると色々学ぶことが多いですね。
え?早く無毀なる湖光出せって?hahaha、大丈夫です。暴れる舞台は決まっています。
久しぶりにニャル子さんの曲聴いて元気もらってます。クー子さんの声優さんがお亡くなりなったのはとても残念です。特にハヤテで鷺ノ宮さんの声だと初めて知り、衝撃でした。……すいません、湿っぽくまりましたね。
次回は、
久しぶりに暴れてこい
です。

それではまた次回!
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