ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件。せっかくなので鬱フラグをへし折って殺されるはずだった女の子たちを助けます― 作:哀原正十
「それは」
闇蔵アキラブレインよ、働け! お前は常時こずるいことがアイデンティティだっただろ!
「この学園を試していたからです」
「なに」
「僕がこの力を振るうに足る学園かどうか、ずっと図っていたのです」
……僕は。
自分でもよくわからないことを口から出まかせで口にしていた。
「……どういう意味だ」
「そのまんまの意味ですよ。正直僕の力は」
ふ、と、やや格好つけて。
「教職員はもちろん、生徒会含めたどの生徒よりも上でしょう。これはただの事実です」
ざわ、ざわ。
ざわつく生徒会室。学園長は渋面を指で一つ揉み解して、
「……それが黙っていたこととどう関係する」
「逆に問います。この波乱の世の中、どうしてたかが1対魔学園の規則に僕が縛られねばならないのでしょうか。僕の受け皿など、いくらでもあるというのに」
「……確かに、貴殿の力を考えればそうだろう。だが、何故黙っていた。素直に話していればそれ相応の待遇を」
「!」
ここだ、と言わんばかりに僕はその言葉に食いついた。何も考えていなかったが、
「それが嫌だったんですよ」
「なに」
さもそれが真実であるかのように、
「僕の居場所は僕が決める。僕はただ自由でいたかったんです。それだけなんです。僕の居場所に相応しい学園かどうか。転入も視野に入れながらそれを計っていたんですよ……」
ごめん。やっぱり決め切れなかった。やっぱり何も考えずに話すといかんね。
学園長は頬を掻きながら、
「……すまない。よく言いたいことが分からない。要は思春期特有の反発心的な何かが働いたという事だろうか?」
「……まぁ、そんな所です。でも、そんな僕の考えが変わったのは」
もういい。勢いのまま捲くしたててやるしかない。
「会長に出会ったからです」
「! アキラ君……!」
「神宮司ルナと出会ったから?」
「はい。会長はこの混迷の時代を終わらせる可能性を持った人だ」
「それは……確かに、そうかもしれん」
「その会長を失うデメリットと僕のくだらないプライドを守るメリット。天秤にかければどちらに傾くかなんて笑止千万誰でも分かる。だから僕は会長を助けた。こうしてくだらない尋問に掛けられるリスクを取ってでもね」
「アキラ君……!」
「……なるほど、な。貴殿なりに人類の事を考えて行動したという訳か。……よく分かった。いや、正直隠していた動機の方はよく分からんが、晒した理由についてはなるほど、納得できる理由だ。まぁ、一先ず納得しておいてやろう。では、次の質問だ」
えー……。
まだあるのか……。
それから2,3の質問を適当にその場しのぎの口八丁で誤魔化した後。
「では最後の質問だ。」
学園長は。
最後に僕にこう尋ねた。
「犯人について心当たりはないか」
「……」
僕は。
その質問に嘘を吐いた。
「ないです。残念ながら」
それが僕のその日最後の答弁となった。
尋問は何とか口八丁で乗り切った。
いや、乗り切ったというのにまだほんのりと疑われていた気がするがとにかく乗り切った。後は何とかなれーって感じだ。これ以上は僕の手には負えない。うん。
そんなことを考えながら男子トイレに向かっていると。
「やぁ、6号」
後ろから声をかけられた。
僕は戦慄した。声の主はそのまま背後から続けて、
「ちょっと話したいことがあるんだ。このまま2人で男子トイレに入ろうや……」
貞操の危機?