ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件。せっかくなので鬱フラグをへし折って殺されるはずだった女の子たちを助けます― 作:哀原正十
そして3日後。
「とうとう来ましたねこの日が」
生徒会長神宮司ルナが言う。現在地は学校の巨大な敷地の端。校外に出かけるために移動したのだ。
「おお、本物だ……」
移動に用いるのは大きめのバギーカー。魔力によって駆動する特殊な車だ。丁度6人を乗せられるくらいのサイズ。しかしその馬力は荒れ果てた大地をものともしない。この作戦のために用意された、と言う訳ではないだろうが、最適な装備を見繕ってくれたらしい。僕は学園に少し感謝した。
実は原作でキョウ君も乗ったことがある車だ。なので懐かしい、という感想が咄嗟に口をついた。キョウ君が言う。
「早速乗り込もうか」
6人でバギーカーに乗り込む。運転を担当するのは剣ヶ丘ケン先輩。ライセンスを持っているらしい。6人で出立する。その背後には。
「頑張れよー」
「応援してるぞー!」
学園から応援に来てくれた人たち。この作戦は既に僕の懲罰という次元を超えて人類の命運の片端を乗せた重大な作戦になってしまった。何でこうなったって感じだが、なってしまった以上は全力でやるだけだ。僕は気持ちを改めて確かめながら、剣ヶ丘ケン先輩が運転する車に乗って魔人ガルティアの住まうガルティア城へと向かうのだった。
荒野を走る事数時間。
「そろそろ俺の魔法を発動しておくか」
ガルティア城が遠くに見えてきた頃、隠流サスケがそう言って詠唱した。
「武装覚醒――カクレ・クナイ」
サスケの手に武装覚醒で生み出した特殊なクナイが現れる。そしてさらに詠唱した。
「隠密結界!」
バギーが無形の透明な膜に包まれる。サスケが得意気に解説する。
「この空間内にいる限り視覚・聴覚が外界から遮断される。つまり相手にバレずに移動できるという事だ。このバギーがな。まぁ過度に注目されると隠密が解ける訳だが、注目されなければ絶対にバレない」
何故そんな面倒くさい真似をするのか。その答えは目の前に広がる荒野に無数に存在する魔物たちだ。ここはもはや魔物界。魔物が生息する危険地帯。だからこそサスケの力が必要だった。
魔物たちの合間を縫ってバギーは進んでいく。それを見てルナ会長が驚きの声を出す。
「本当にバレませんね……感心しました」
「悪用しようと思えば幾らでも悪用できる魔法だがな」
剣ヶ丘ケンが突っ込む。確かに悪用しようと思えばいくらでもできる魔法だ。学園に時限爆弾を仕掛けた時みたいに。
「まぁ、今はいいではないですか」
ルナ会長が言う通りまさしく今はさておきという話だ。バギーは何事もなく進んでいく。そして、ガルティア城まで残り100メートルという距離まで進んだ。
「……さて、ここからの問題は」
ルナ会長が遠くを見る。そこにはガルティア城がある。その入り口である巨大な門は固く閉ざされていた。左右の見張り台には見張りの魔物がいる。何かすればすぐ見つかるだろう。どうするべきか。
「あそこにどう侵入するか、ですね」
「悪いが俺の魔力もそう長くは持たない。バレるのは時間の問題だ。早めに決めてくれ」
「そう長くは持たない、ですか……ならばいっそここで解いていきますか」
「は?」
「サスケさん。もう少しは持つんですね?」
「あ、ああ。あと10分は持つだろう」
「十分です。それでは今から――武装解放。アーク・ミラー」
ルナ会長の右手に鏡が現れる。鏡をかざすと左手にももう一枚。その2つを合わせ鏡にして、ルナ会長は言う。
「チャージを開始します。あの扉をぶっ壊して侵入します。みなさん、扉をぶっ壊したら即座に突入をよろしくお願いしますね」
それは作戦とも呼べないような力づくだった。サスケの魔法で隠れたままチャージを約10分。
「もう限界だ。そろそろ魔力が切れる」
そのサスケの言葉の後、
「分かりました。では」
ルナ会長は扉に向けて魔法を解き放った。
「
ズガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
……魔法が解き放たれた後に残ったのは扉を城ごと貫通する大穴。扉どころか城までも貫通してしまった。この轟音。誰もが異常に気付く。会長が叫ぶ。
「早く侵入しますよ! 魔物が集まってくる前に!」
6人でガルティア城に侵入する。目標は最上階、魔人ガルティアの王座だ。サスケの魔法は切れる寸前。だが、いけるところまでこれでいく。僕たちは最上階目指して城の中を駆け抜ける。