ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件。せっかくなので鬱フラグをへし折って殺されるはずだった女の子たちを助けます―   作:哀原正十

30 / 30
第25話 魔人コックローチ

「糞! 攻撃が当たらねぇ!」

 

「なんて早さなんだ! 捉えられない!」

 

「ただ早いだけじゃない。初速が異常なのよ! だからすぐ方向転換できるし、こっちの反射神経が追いつかない。ゲッ、こっちにきた」

 

「サクラ!」

 

「くそっ! スプレッド・ナパーム!」

 

 サクラ先輩がその手に持つ武装解放で生み出した銃から広範囲に広がる弾幕弾を発射する。コックローチは一瞬で方向転換し横に疾駆し、弾幕弾の射程外に逃れる。それから又すぐ方向転換しこちらに向かってくる。狙いは――キョウくん。

 

「光の剣よ。我が体を光と化せ! うおおおおおお!」

 

 瞬間、光と化したキョウくんがコックローチに光の速さで対応する。コックローチは狙いを変え、弾桜サクラ先輩に突進する。

 

「糞、まだ充填が、あっ」

 

「サクラ!」

 

 激突。

 

 突き刺すような刺突蹴りによって吹き飛ばされ壁に激突する弾桜サクラ先輩。心配する間もなくコックローチはまたこちらに向かってくる。その二翼を羽ばたかせて。

 

(本当に厄介だ。なんて早さだ。攻撃を当てることができない。魔境覚醒を発動するか? いや、しかしあれは魔力消耗が激しい。なんとしてでも魔人ガルティア戦まで取っておかないと)

 

 僕が悩んでいると、先にルナ会長が動いた。

 

「……ここまでですね。私も戦います」

 

「会長! くっ、お願いします。俺たちの手には負えねぇ敵だ。くっ、おおおおおお!」

 

 剣ヶ丘ケン先輩がコックローチの攻撃を素晴らしい反射神経で防ぐも吹き飛ばされる。残るはキョウくんと僕とルナ会長とサスケ。最後は戦力に数えないものとする。ルナ会長が詠唱する。前にキョウ君が叫ぶ。

 

「あと少し、あと少しで何かが掴める。光よ。僕に力を! うおおおおおおお!」

 

 キョウ君の全身が眩く輝く。コックローチが突進し攻撃を仕掛ける。キョウ君は光のような速さでその攻撃を全て受け止めきる。どころか、反撃した。

 

 光の速さの一閃がコックローチの触手を一本立ち切った。翻す一太刀がもう一本も切断する。痛みに呻くコックローチ。キョウ君が叫ぶ。

 

「うおおおおおおおおおおおお! これで終わりだァアアアアアア! シャイニング・オブ・ジ・ハード!」

 

「ギッ、ギギャァアアアアアアアア!」

 

 キョウ君の極光を纏った光の剣の一撃がコックローチに炸裂する。叫ぶコックローチ。光の奔流に晒された体は赤熱化し、赤黒く光っている。だが、まだ死んでいない。ゴキブリの如く、凄まじいしぶとさ。キョウ君は力を使い果たし、隙を晒した。コックローチの目がギラリと光る。

 

「光の魔術士よ。貴様の未来、これで、終わりだ。死ね!」

 

 コックローチの攻撃がキョウ君に迫る。僕は駆け出していた。それより早く、神宮司ルナ会長は行動していた。

 

 ガギン。 

 

 コックローチの前に現れた鏡がキョウくんへの攻撃を防ぎ、攻撃の威力をコックローチに跳ね返した。コックローチが吹き飛ばされる。コックローチが驚く。

 

「ぐがっ! これは、鏡? 攻撃を反射された。なるほど、これが規格外戦力が一人。神宮司ルナの鏡の魔術か! ゴアッ!」

 

「これで終わりではありません。魔力覚醒――ミラーワールド」

 

 会長が詠唱した途端、コックローチを包み込むように鏡の結界が広がる。コックローチが鏡の隙間から出ようとするもそれより早く鏡が隙間を閉じ、コックローチを閉じ込めるミラーボールが完成する。ルナ会長が詠唱する。

 

「シャイニング・パニッシュ」

 

 鏡が内から光り出す。内部で何が起こっているのか、想像に難くない。鏡から放射されたエネルギー波を鏡反射して内部にいる敵を焼き尽くしているのだろう。その光はしばらく続いた。やがて鏡が解けたとき、そこには、

 

「……コックローチが死んでいる」

 

 コックローチの死骸。完全に死亡している。生命の駆動を停止している。僕は改めて神宮司ルナ会長の凄まじい戦力に戦々恐々とした。本当にどれだけ強いのだ。この人は……。そして。

 

「……さぁ、行きましょうか。アキラくん。次の階層。ガルティアが住まう最上階へと」

 

「は、はい」

 

 その会長と僕をもってしても勝てるか分からない魔人ガルティアはどれほど強いのだろうかと。思いながら僕と会長とサスケは歩を進める、前に。

 

「その前に、簡単に介抱をしていきましょうか。サクラ、立てますか?」

 

「うっ、なんとか」

 

「ケン。立てますか」

 

「ああ。なんとかな。体の節々が痛むがまだ戦えるぜ」

 

「光津キョウ。……は、限界みたいですね」

 

「すみま、せん。力を、使い果たしたみたいで」

 

「……ならばサクラ、ケン」

 

「はい」

 

「ここでキョウ君と、あとサスケさんを守っていてください。ここから先は私とアキラ君だけで向かいます。……ここまでよく頑張ってくれました。本当にありがとうございます」

 

 会長は剣ヶ丘ケン先輩たちに頭を下げた。ケン先輩は親指を立ててニヒルに笑った。会長は微笑み、それから背を翻し、僕に言った。

 

「さぁ、アキラくん。行きますよ。……魔人ガルティアの元へと」

 

「はい。行きましょうか」

 

 僕たちは並んで歩を進める。生死を賭けた決戦の舞台へと。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

とにかく曇る天才女優の幼馴染!(作者:サニキ リオ)(オリジナル現代/恋愛)

 俺は、幼馴染の天才女優の背中を追いかけていた。▼ 彼女の名前は、羽田朝香。▼ テレビに映る彼女は完璧で、誰もが憧れる存在だ。▼ そんな朝香は、なぜか俺にだけ厳しかった。「まだまだね」「次、期待してるから」という言葉を、俺は何度も朝香から浴びせられていた。▼ でもきっと、それは朝香が俺に期待してくれている証拠。▼ 小学生のときに告白して、「演技で勝ったら付き…


総合評価:2419/評価:7.61/連載:127話/更新日時:2026年07月29日(水) 08:00 小説情報

悪徳領主に転生して死亡フラグを折るために勇者パーティを育てたら、激重感情を向けられて逃げられない件(作者:激重大好き)(オリジナルファンタジー/コメディ)

目が覚めたら、プレイしていた百合RPGの「序盤のやられ役」である悪徳領主ルシアンに転生していた。▼しかも、すでに悪魔と契約済みであり、このままだと勇者に倒されなくても魔力タンクとして悪魔に殺されてしまう完全な『詰み』状態。▼どうしても死にたくない俺は閃いた。▼「原作開始前の勇者たちを見つけ出し、俺が育てて悪魔を倒す。これしかない!」▼悲惨な過去を背負うはずだ…


総合評価:2759/評価:8.31/連載:6話/更新日時:2026年04月02日(木) 18:30 小説情報

原罪:自称ニセモノ名探偵  (作者:三日月ノア)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

虐待施設での惨劇事件を起こした橘シェリー。▼職員は殺害したものの、頭部に衝撃を受け、感覚を遮断できないほどの痛みのあまり気絶してしまう。▼ しかし意識を失った彼女は目覚めることなく・・・・・・▼代わりに目覚めたのは橘シェリーの身体に成り代わった一般社畜男性だった。▼思い出す。▼明日リリースされるはずだったゲーム、▼この世界は『魔法少女ノ魔女裁判』 だと。▼「…


総合評価:1767/評価:8.91/連載:36話/更新日時:2026年07月10日(金) 20:00 小説情報

【第1部完結】吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。(作者:あんみつ炙りカルビ)(オリジナルファンタジー/恋愛)

 吾輩、かつては人間だったが今は黒猫である。だが、何の因果か吾輩が書いていたスピンオフ漫画の世界に転生してしまったようだ。▼ だが、この世界は鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画であり、このままでは吾輩が書いたヒロイン達は見るも無惨な姿へと変わってしまう。▼ それは断じて許されない。吾輩が地獄への道を書いてしまったのならば、責任を取るしかない。▼ 吾輩は吾輩であ…


総合評価:12348/評価:8.75/連載:87話/更新日時:2026年07月22日(水) 12:06 小説情報

貞操逆転世界で勇者パーティーの雑用やってます(作者:恋狸)(オリジナルファンタジー/コメディ)

四天王の毒を食らって動けなくなってからパーティーメンバーの様子がおかしい気がする▼※掲示板回多め▼カクヨムでも投稿し始めました。


総合評価:16161/評価:8.75/連載:9話/更新日時:2026年03月20日(金) 21:07 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>