ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件。せっかくなので鬱フラグをへし折って殺されるはずだった女の子たちを助けます―   作:哀原正十

32 / 32
第27話 魔人ガルティア2

「さぁ、いきなり飛ばすぜぇ! 魔境覚醒!」

 

 魔人ガルティアがいきなり大技を切る。濃緑色の空間が世界に広がっていく。

 

「暴虐無尽(ラッシュ・アワー)!」

 

 魔人ガルティアの戦闘フィールドが展開される。僕たちも対抗して魔境覚醒を発動する。

 

「行きますよアキラくん! 魔境覚醒」

 

「はい。魔境覚醒」

 

 そして、2つの結界を僕たちは同時に展開した。

 

「神鏡弧極!」

 

「虚那琉脊界」

 

 見渡す限りの鏡が、闇色の空間が、世界に広がっていく。そして――。

 

「な!? 押し負けている! 二人分の結界ですよ!?」

 

「それが魔人ガルティアなんですよ。単純な魔力総量なら魔人の中でも最上位。そしてシンプルにフィジカルも強い。そして戦闘センスも天才的。その単純な力を極めたあり方から人は彼をこう呼びます」

 

 ――二人分の魔境覚醒を涼しい顔で押し返す魔人ガルティアに苦々しい思いを抱きながら僕は言った。

 

「暴力の魔人と」

 

「搦手が得意だった魔人イルミナティとは大違いですね……」

 

「ええ。そしておそらく、いや間違いなく魔人ガルティアは魔人イルミナティより強い」

 

「ごちゃごちゃ喋ってる暇があるのかな? こないならこっちから」

 

 魔人ガルティアが地を踏みしめる。そして、踏み込んだ。

 

「行くぜ」

 

 ドン!

 

 彼我の距離を一瞬で埋める跳躍。早い。僕は闇の剣を構える。この結界の中は魔人ガルティアの支配下。ならばこちらの搦手は殆ど通じないと見ていい。何故ならば、

 

「闇の剣よ、侵食せよ」

 

「暴対圧殺(マッシュプレッシャー)」

 

 闇の剣から迸った結界を犯す闇の波動がガルティアの拳で打ち消される。僕は舌打ちした。これがガルティアの強さを支える固有魔法。ガルティアがニヤリと笑う。

 

「この結界内で全ての魔法は魔力の総量比べで打ち消すことが可能となる。ちゃちな魔法は通じないと思いな。そしてがら空きだァ!」

 

「!」

 

 ガルティアが回し蹴りを放つ。僕は身を引きその攻撃を交わす。ガルティアはさらに身を旋転させ今度は裏拳を放ってくる。それを躱すと今度は正拳突き。次はまた回し蹴り、と攻撃が途切れることがない。僕は舌打ちしながらガルティアの攻撃を避け続ける。

 

「戦闘の天才、か」

 

「お前も大概だがな。だが、いつまで避けれるかなぁ!

 

「ッ!」

 

 攻撃を躱し続けていたがいつまでも躱し続けられるものじゃない。僅かな隙を突かれ、ガルティアの攻撃が的確に僕の急所を狙う。僕は咄嗟に闇の剣を構えて攻撃を受け止めようとした。そして、それより前にルナ会長の産み出した鏡が僕とガルティアの合間に割って入った。

 

「邪魔、だァ!」

 

 パリィイイイン!

 

「なっ!」

 

 鏡が高い音を立てて割れ砕ける。反射の魔法は発動しない。ルナ会長が驚く。僕は闇の剣でガルティアの攻撃を受ける。

 

 ドガァ!

 

 吹き飛ばされる。凄まじい威力。だが、致命打ではない。僕はすぐに起き上がる。ガルティアはへっと笑った。

 

「どうだい。俺の拳は。熱いだろ」

 

「別に熱くはないが……強い。とてつもなく」

 

「チッチッチッ。ノリが分からねぇ男だな。まぁいい。それだけの強さ。十分にこの戦いを楽しめそうだ。さぁ、もっとやり合おうか!」

 

「ッ!」

 

 ガルティアがこちらに向かってくる。僕は虚無の魔法で範囲攻撃を仕掛ける。それは触れれば触れた箇所が虚無の世界に誘われる致死攻撃のはずだった。だが、ガルティアの前では、

 

「無駄だァ!」

 

 その拳で無力化される小さな魔力の塊でしかない。僕はガルティアの厄介さに舌を巻く。

 

(単純な魔力総量に優れ、フィジカルにも隙はなく、戦闘センスも天才的。しかも魔法は通用しない。まさに暴力的な強さだな。でも、あいつは無敵じゃない。この闇の剣で体を切りつければそれだけで致命傷を負う。なのに)

 

「アキラくん!」

 

 会長が叫ぶ。僕は再びガルティアと剣戟を繰り広げる。その強さに圧倒される。

 

(その一撃の何と遠いことか……!)

 

 ガルティアとの激闘に終幕の兆しは未だ見えない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

エロゲのヒロインに転生したんだが、もうオレは限界かもしれない。(作者:サボテニウム)(オリジナル現代/冒険・バトル)

大ヒットエロゲーの世界にてラスボス系ヒロインに転生してしまった主人公。彼(彼女)は死亡フラグを回避することができるのか!?


総合評価:2216/評価:8.16/連載:26話/更新日時:2026年07月30日(木) 21:56 小説情報

とにかく曇る天才女優の幼馴染!(作者:サニキ リオ)(オリジナル現代/恋愛)

 俺は、幼馴染の天才女優の背中を追いかけていた。▼ 彼女の名前は、羽田朝香。▼ テレビに映る彼女は完璧で、誰もが憧れる存在だ。▼ そんな朝香は、なぜか俺にだけ厳しかった。「まだまだね」「次、期待してるから」という言葉を、俺は何度も朝香から浴びせられていた。▼ でもきっと、それは朝香が俺に期待してくれている証拠。▼ 小学生のときに告白して、「演技で勝ったら付き…


総合評価:2424/評価:7.61/連載:129話/更新日時:2026年07月31日(金) 08:00 小説情報

悪徳領主に転生して死亡フラグを折るために勇者パーティを育てたら、激重感情を向けられて逃げられない件(作者:激重大好き)(オリジナルファンタジー/コメディ)

目が覚めたら、プレイしていた百合RPGの「序盤のやられ役」である悪徳領主ルシアンに転生していた。▼しかも、すでに悪魔と契約済みであり、このままだと勇者に倒されなくても魔力タンクとして悪魔に殺されてしまう完全な『詰み』状態。▼どうしても死にたくない俺は閃いた。▼「原作開始前の勇者たちを見つけ出し、俺が育てて悪魔を倒す。これしかない!」▼悲惨な過去を背負うはずだ…


総合評価:2770/評価:8.31/連載:6話/更新日時:2026年04月02日(木) 18:30 小説情報

原罪:自称ニセモノ名探偵  (作者:三日月ノア)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

虐待施設での惨劇事件を起こした橘シェリー。▼職員は殺害したものの、頭部に衝撃を受け、感覚を遮断できないほどの痛みのあまり気絶してしまう。▼ しかし意識を失った彼女は目覚めることなく・・・・・・▼代わりに目覚めたのは橘シェリーの身体に成り代わった一般社畜男性だった。▼思い出す。▼明日リリースされるはずだったゲーム、▼この世界は『魔法少女ノ魔女裁判』 だと。▼「…


総合評価:1788/評価:8.91/連載:36話/更新日時:2026年07月10日(金) 20:00 小説情報

【第1部完結】吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。(作者:あんみつ炙りカルビ)(オリジナルファンタジー/恋愛)

 吾輩、かつては人間だったが今は黒猫である。だが、何の因果か吾輩が書いていたスピンオフ漫画の世界に転生してしまったようだ。▼ だが、この世界は鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画であり、このままでは吾輩が書いたヒロイン達は見るも無惨な姿へと変わってしまう。▼ それは断じて許されない。吾輩が地獄への道を書いてしまったのならば、責任を取るしかない。▼ 吾輩は吾輩であ…


総合評価:12343/評価:8.75/連載:88話/更新日時:2026年07月30日(木) 17:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>