ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件― 作:哀原正十
「なんかお前……雰囲気変わったな」
ガルティアが静かに戦闘ポーズを構える。警戒している。そんな感じだ。その拳にはメリケンサック型の神器――武装覚醒で生み出した武器――が鈍く輝いている。僕は剣の先端を振りながらこう答えた。
「変わったんじゃない。戻ったんだ。元の僕に。さぁ、それより、これは避けられるかな」
僕は闇の剣を振り抜き、魔法を発動した。
「ダークネス・エヴォルヴ!」
飛んでいくのは闇の波動。先ほども僕が発動し打ち消された魔法。ガルティアはつまらなそうに拳を構えると、
「それはもうさっき見た。くだらない真似すんじゃねぇよ」
僕の闇の波動を拳で迎え撃つ。僕の口角がニィイ、と歪んだ。
「――な」
プシャァアアアア、とガルティアの拳から血が噴き出る。ガルティアは拳を抑えて叫んだ。
「てめぇ、何をした!」
「君のその魔法をなかったことにした。要は打ち消したんだ」
僕はごく当たり前のことを諭すかの如くそう言った。ガルティアは理解できていなさそうなので親切に説明してやる。
「君のその魔法を見てて思ったんだよ。あ、これ虚無の魔法でも真似できるなって。そしたら真似できた。それだけの話だよ」
「はぁあああ? そんな、ふざけたことが」
「あるんだなぁこれが。虚無の魔法はそれだけふざけた力を秘めた魔法なんだ。
僕は次々と闇の波動を剣から飛ばす。ガルティアはもうその魔法を拳で撃墜することはなく次々と避ける。ある一つの闇の波動をすんでで避けたのを見てから僕はニヤリと笑って、言った。
「バァン!」
「何? グァアアアアアアアア!」
闇の波動が破裂し、ガルティアの全身をズタズタに虚無の魔法で引き裂く。ボタボタと流れる血。僕はそれを見てジュルリ、と口の中に舌を這わせた。
「美しい……」
「ハァ、ハァ、何がどうなってやがる。何だ貴様は、何者なんだ」
「何って、とっくにご存じなんだろ。僕の名前は」
剣を持ったまま恭しく一礼。それから僕は僕の名前を名乗った。
「闇蔵アキラさ」
「くっ。面白れぇ。遠距離がてめぇの領分なら近距離戦で屠ってやらぁ!」
ガルティアが接近してくる。さっきのように近距離戦で圧倒するつもりなのだろう。僕はニヤリと笑って、あえてこちらも近距離戦で戦うことにした。
「オラオラオラァ!」
ガルティアが拳を縦横無尽に振るう。それを僕は、
「無駄無駄無駄ァ!」
闇の剣で容易く弾き返していく。ガルティアが呻く。
「バ、馬鹿な。どういうことだ。なんで俺が純粋な格闘センスで負けてやがる。そんな、そんなふざけたことが」
「あるんだなぁそれが。僕はあんなに弱っちいなよ男じゃないんだよ」
「糞、何を言っていやがる。さっきからきさまの言っていることは意味が分からんことだらけ。分からない。何なんだお前は」
「余裕がなくなってきてんぞ。地が出たら案外ダサい奴じゃないか。もう一度だけ言ってあげよう。僕が、この僕こそが」
「あっ」
闇の剣でガルティアの拳を切り裂く。血が噴水のように噴き出る。呻くガルティアに僕は再度剣を振るい、
「闇蔵アキラだよ」
ガルティアを虚無の世界に誘い、その命を容易く刈り取った。魔人ガルティアの呆気ない最期だった。僕は少し欲求不満だった。
だから、他で晴らすことにした。
「うーん。美しい。この僕が相手をするに相応しい美女だ」
僕は気絶した神宮司ルナ――天使のように美しい容姿をしている――へと近づいた。そしてズボンを脱いだ。ヤル時はまずズボンを脱ぐ。当然の摂理だ。それからパンツを脱ごうとしたその時、僕の内から獰猛なまでの意思がふいに湧き僕の指を引き留めた。
「うっ! この、こいつめ、そんなにこの女が大事か、うっ、くっ……糞っ!」
やはり僕の体の主導権は基本あちらにあるらしい。逆らい難い理不尽な力の奔流に僕の意識は引きはがされ、
「く、くそ……僕は、僕は自分の意思の赴くままに生き、糞っ……」
そして――。
「……何とか、パンツは脱がずに済んだ……」