ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件― 作:哀原正十
そしてエリアAへ。
エリアAは類まれなる魔物群生地だ。到着して早速から魔物の群れに襲われた。だが、
「インフィニット・アーク!」
「ガン・ブレイズ・ウエスト!」
……代表戦力の二人が揃っている現状では相手にもならなかった。更地になった荒野で神宮司ルナ生徒会長が言う。
「地形は事前に話した通り。そして手渡されたマップに記してある通りです。これから私たちは二手に分かれてA級魔人の討伐に向かいます。ですが必ず、必ず」
神宮司ルナ会長は不安を消し飛ばすように、覚悟を籠めた表情で言う。
「また再開しましょう。ではみなさん。別れて行軍します。Aグループはこちらです」
神宮司ルナ率いるAグループが左に進む。神崎焔率いる隊――僕たちの所属するBグループは右に向かう。
「安心しなさいな。魔人は全てこの私が討滅します。みなさんは雑魚敵の掃討に専念してください」
神崎焔が安心させるように言う。何だかんだで最上級生の貫禄がある人だ。僕たちは神崎焔に続いて右への道を進む。
中央――S級魔人ネルアポロンが潜む道へは最後に合流してからだ。
「ビーム・セイバー。本当に敵が多いな」
「ビーム・スプレー。本当、多すぎだし」
本郷タケシと夢川アユムがいつものようにシンプルかつ強力な光学系特殊兵装を振るいながら言う。本当に敵が多い。だが、この場所に限っては然程問題にならない。
「ライジング・ボルテックス! はぁあああああ!」
魔術師としての力を覚醒させつつあるキサラちゃんと。
「ダークネス・エボルヴ!」
何より僕がいるからだ。
これだけ敵が多ければ適当に範囲攻撃を振るうだけで敵がガッツリ刈れる。正直ちょっと気持ちいい。無双ゲームをしてる時の快感にちょっと似ている。不謹慎ながらそんなことを考えてしまった。申し訳ない。
しかし、実際余裕があるのは事実だ。夢川アユムも笑顔で、
「やっぱアキラっちと組んで良かった。ありがとね!」
お、おう。普段そういう事を言わないから急に言われると照れてしまう。僕が返答におたついているとキサラちゃんが肘で脇腹を突いてきた。
「なに緩んでるのよ。そんな場合じゃないでしょ」
「ご、ごめん」
素直に謝る。それからも僕は真剣に敵と戦う。しかし、やはり歯ごたえがないという印象はあまり減じなかった。
……ここは大丈夫そうだ。やはり心配なのはキョウくんたちのいる所だろう。正直心配だ。しかし、流石に持ち場を離れる訳にはいかない。この度の作戦は4マンセルの命運も握っている。以前似たような状況で見捨てたような記憶があるがそれはそれだ。僕は今回助けにいけない。あとは。
「あいつらも大丈夫よね。あの2人、本当に強いもんね」
「ああ。きっと大丈夫だよ。そう信じよう」
信じることしか今の僕には出来はしない。だからせめて信じよう。少し過剰なまでこの数週間で鍛えた二人が無事生還することを。例え。
(そうだ。あの2人ならきっと大丈夫だ)
例え、あの魔人ガルティアの配下のコックローチにも匹敵するかもしれないA級魔人を二人で相手取ることになったとしても。
「神崎焔代表が早速A級魔人を討ち取ったぞー! 楽勝だ!」
歓声が上がる。Bグループの士気が上がる。しかし、僕の懸念は晴れない。神崎焔が素晴らしい活躍をすることはとっくに分かっている。だから本当に。
「本当に頼むよ。キョウくん。煉くん……」
心配はそこだけだ。