ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件― 作:哀原正十
後日談。
S級魔人の2人抜き。そして今回のエリアAの征服。及び魔人ジークフリートの撤退。その功を上げたヴァルハラ学園は人類会議に大変褒められた。
そして今後は僕のことも作戦の主攻に置くことも検討すると言われた。流石に連続でこれだけの成果を上げられると認めざるを得ないのだろう。あまり嬉しくないが評価を改めてくれたのはいいことだ。うん。あまり嬉しくはないが。
そして、今回強力してくれた神崎焔及び黒桃煉について語ると。
「学園に残る?」
「うん。残ることにした。こっちの方が強くなれそうだしね」
まずは黒桃煉。
ヴァルハラ学園に残ることにしたらしい。留学からの転校。まぁまぁあることではあるが、黒桃煉君もその例を踏襲することにしたようだ。
「光津キョウ。そして君がいる。超えるべき相手として当分背中を追わせてもらうよ。それが一番強くなる道だと僕の勘が言っているんだ」
「いいんじゃない? 応援するよ。そう簡単に追いつかせる気はないけどね」
「上等。僕もそっちの方がやりがいがあります。超えるべき背中が身近にあるというのはいいですね」
ソドム学園では学年一位だったから競い合える仲間がいる今の環境が大変お気に召したらしい。これも原作通りの展開だ。やや僕と言うイレギュラーが混ざってはいるものの、いい形に落ち着いたと思う。これからは彼もキョウ君とキサラちゃんの訓練仲間に加わることだろう。賑やかで、楽しそうな日常になりそうだった。
そして神崎焔については。
「学園に残る、ですか」
「はい。やはり私の力は魔物圏に近い学園でこそ振るうべきだと今回の課外実習で実感しましたわ。これからもバンバンこの力を振るう予定ですのでよろしくお願いします」
「学園に残る、ですか……ちなみにソドム学園に戻る気は」
「ありません」
「そうですか」
こちらも学園に残るらしい。
それは原作にはないイレギュラーな展開だ。
原作厨の僕としてはソドム学園に戻った方が良いんじゃないのと色々説得したのだが意思は固く、ヴァルハラ学園に残る意向を翻すことはなかった。これでいいのか分からない。だが、本人にその気はない以上、ソドム学園に強制送還する訳にもいかないだろう。
「あのものまねの魔人。あいつがまた現れたら3人でまた協力しなくては勝てませんわ。そういう意味でも私がこの学園に残るのは合理的な判断ですわ」
「それは、そうかもしれませんね……」
原作ではあのものまねの魔人ジークフリートにやられて死ぬキャラ。しかし、僕の通うヴァルハラ学園に入ればその死を防ぎやすくもなるだろう。結局僕はソドム学園に戻るよう説得するのを諦めて、大人しく原作と違う展開を受け入れたのだった。
「これからよろしくお願いしますわね。闇蔵アキラ君」
「はい。よろしくお願いします。神崎焔さん」
まぁ、何とかなるだろう。うん。
「あー疲れた」
「お疲れ様です。アキラ君」
……何故か僕の部屋にいる会長。キサラちゃんも当然いる。何でもこの度の恩に報いたいらしい。僕が何も言ってないのに。
「そうだ。肩をもんであげましょう」
もみもみ。
「体をほぐしてあげましょう」
ほぐしほぐし。
「足つぼマッサージをしてあげましょう」
ぐりぐり。
と色々世話を焼いてくれる。おおう。気持ち良すぎてダメ人間になってしまいそうだ。キサラちゃんはキサラちゃんで。
「わ、私だって出来るわよそれくらい」
もみもみ。
「ほら、これがいいんでしょう」
ほぐしほぐし。
「ここを、こうして、こうね」
ぐりぐり。
と、会長に負けじと体をほぐしてくれる。何だここ、天国か。文句の付け所のない幸せ空間なんだが。
「しかし、今回も大変だったわねーアキラは。キョウ君の所で空ぶったかと思えば会長の所では見事に勘がヒットして。心配性が報われてよかったわね」
「うん。良かったよ間に合って。二人が死ぬところだった」
「そうです。アキラ君は命の恩人です。だからこうしてマッサージしてあげてるんです。他の理由はありません」
「おおう」
「……まぁ、いいわ。会長には常日頃から恩があるから、ね、アキラ」
「痛い痛い」
キサラちゃんの指圧に一瞬殺意が籠っていたような。いや、気のせいだ。うん、うん。
「しかしこれからどうなることでしょうね。アキラ君も人類会議にロックオンされちゃいましたね。こき使われますよ」
「あ、会長もそういう認識だったんだ」
「はい。人類会議の決定は強制力が凄くて、正直苦手な組織ですねー……でも、私の力を振るわないといけない場面はこれからも必然的に多く訪れます。人類会議の決定もこれもまた運命と今は受け入れてますね」
「受け入れてる、か。会長は心も強いなー」
「よ、よしてください。あんまり褒めると、にやけますよ」
「いや、褒めてる訳じゃ痛い痛い」
そうして僕は今回の件をこうまとめた。
「まぁ、今回も無事に生き残れてよかったですね」
「そうですねー。そうじゃなきゃこんなくだらないことできませんもんね」
「そうね。それは本当。命あっての物種だわ」
「本当にね。しかし人類会議かー」
僕はため息をついて、今後訪れる受難についてほぐされる体と相反して神経を固く強張らせるのだった。
「今後、どんな無茶を言いつけられるのやら。今から心配だよ。全く」
それでも、今は幸せだ。
第4章 ソドム学園交流編 完