ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件― 作:哀原正十
プロローグ 人類会議
人類連合会議。通称人類会議。
それは得体のしれぬ人類の支配者たちによる人類の意思装置とでもいうべき組織である。
というか大体エヴァンゲリオンのゼーレ的な組織であると思ってくれたらいい。世代的にも作者は間違いなく影響を受けているはずだから。とにかく具体性に掛けた、しかし強力な権力を持った組織だ。
そんな組織からロックオンされた僕。今度はどんな無理難題を言いつけられるのか。警戒している僕に言い渡されたのは――。
「え、要人の護衛任務?」
「そうだ。その任務がお前に言い渡された」
職員室。
呼び出されて何事かと思いきや晴天の霹靂の寝耳に水だった。
「何で僕ですか?」
「分からない。護衛任務は簡単なものだ。ただし、その護衛対象がちょっと縁のある相手でな」
「縁のある相手?」
「ソドム学園の学園長だ」
「ええ」
そんなイベント原作にはないぞ。ますます疑問が深まる。だが拒否権はないらしい。教師は一方的に言いつけて、
「では、後は頼んだぞ。ソドム学園からヴァルハラ学園までの護衛だ。言って戻ってくるだけだな。ついでに人類圏観光でも楽しんでくると言い」
「はあ」
突然の任務だった。
行きはいつかの通りバギーで移動した。
道中は荒野が続いた。この世界は魔物との戦いで荒廃しているため荒野が多い。割とポストアポカリプスな世界観だ。荒野が続く景色をぼんやりと眺めながらバギーに乗っていると運転手さんが言ってくる。
「もうすぐ着きますよ。あれが人類圏です」
「おお……」
僕の視界。そこに広がったのは――。
「――都会だ」
人類圏に到着。そこで僕が目撃したのは都会だった。しっかりビルもあり、コンビニがあり、家屋が続き、そんな現代日本と言っても通じそうな都会が視界一杯に広がっていた。僕は感嘆する。
「凄いな。都会じゃないか」
「あはは。魔物圏からいらっしゃった方は皆驚かれますね。あ、迎えの方がきましたよ」
モダンな感じの自動車が止まっている。その近くに立つ制服を着た人がこちらに手を振る。あの車に乗って移動するらしい。僕は促されるままに自動車に乗り込んだ。
「どうですか。人類圏は」
「驚きました。発展していますね。ここは」
窓の外からの景色を見ながら言う。レストラン、ラーメン屋、コンビニ、洋服屋、書店、イオンモールなど最先端の施設が並んでいる。ただ、その中にカラオケ館やゲームセンターなどの技術的には再現可能なはずのアミューズメント施設がないのは若者を戦争に駆り立てやすくするためという世知辛い理由があることを僕は知っている。その代わりというように魔物と戦う上で必須の特殊兵装を売っている兵器屋や、魔物との戦いを教える塾や、学園への入学や戦争への参加を推奨するような内容の映画を放映している映画館など、見慣れぬ施設も中にはある。だからだろうか。どこか異邦感溢れる街並みを少し不気味に感じながら、僕は車で道中を進む。
「戦気昂揚するような施設が多いですね」
「そりゃ、魔物との戦争が続いていますからね。自然とそうなりますよ」
「何だか世知辛いですね」
「仕方ないですよ。戦争ですからね。私の息子も対魔学園に通って日々魔物と戦う訓練を積んでいます。あ、着きますよ」
「おお」
――そして最後に僕が目にしたのはヴァルハラ学園にも負けないくらいの巨大な威容。それ一つが1都市にも匹敵する巨大な面積を有する、若者を戦争に駆り立てる、超巨大施設。人類圏最高クラスの対魔学園。
ソドム学園。
それが目の前にあった。僕は感動した。
(おお。原作では目にすることがなかったこれがソドム学園か。でけぇ。ヴァルハラ学園にもワンチャン勝るんじゃないかこれ? いや、それはないか……あっちは魔物圏に築いた小都市だもんな。うん)
「私はここまでです。また入口にてお待ちしております」
運転手さんが言う。そしてまた、ソドム学園の入り口で待ち受けていた制服を着た人に促されて、僕は学園に足を踏み入れることとなった。