ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件― 作:哀原正十
コキュートス学園。
それは大陸の最北にある学園。そして長らく一人の魔人を封じ込めるためだけに活動してきた学園だ。
――魔人ゲイマルク。かの不死の魔人を屠ればこのコキュートス学園の戦力が丸々浮く。人類会議はその可能性に賭けているのだ。
僕たちは一路バギー(運転は弾桜先輩)で大陸最北のコキュートス学園まで移動し、そして歓迎を受けた。
歓迎の先頭に立つのは。
「ようこそ。コキュートス学園へ。私が代表のエレナ・バートンです。よろしくお願いします」
蒼い髪に人形のように美しい容姿。細くしなやかな肢体が礼節を遂行する。凄まじい美人が僕たちを出迎えた。そう、彼女こそが。
「こちらこそよろしくお願いします。エレナ・バートンさん。早速作戦会議を行いましょう」
エレナ・バートン。コキュートス学園の、ひいては人類屈指の最強戦力だ。
コキュートス学園の生徒会室にて。
「ゲイマルクは残忍な魔人です。人を殺すことを楽しみ、それだけじゃ飽き足らず犯し嬲って遊びます。私たちはもう限界です。本当にこの度の協力、ありがとうございます……!」
エレナ・バートンが頭を下げる。うなじの白さが眩しい。僕はヴァルハラ学園側の代表として言う。
「まだ殺しきれるかは分からないけどね。その公算は高いと思うよ。そして万が一僕の虚無の剣が通じなかったとしてもこちらには光の魔術士のキョウ君がいる。彼の光の魔術は魔物に特攻がある。ゲイマルクにももしかしたら通用するかもしれないよ」
「それは……可能性が低いでしょう。いくら魔物に特攻があると言っても、それだけでゲイマルクを倒せるなんてご都合主義としかいいようがありません」
「あー、うん」
ご都合主義なんだなぁ……。まぁ今のキョウ君の力で足りるかどうか分からないから、本当にあくまで保険だけど。
僕の虚無の剣で全ての方をつけるつもりだ。
「早速作戦を立てましょう。作戦立案は任せてください。ゲイマルクとは戦いなれています。まずかの魔人は基本ゲイマルク城に立てこもり出てきません。そこを突きます。みんなでゲイマルク城に雪崩れ込んで一気に叩きます。道中の敵は私に任せてください。一人で全員倒して見せます。ただ、気を付けてください。ゲイマルクは側近の魔人に不死の力を分け与えています。ゲイマルクが近くにいる時で、自分より下位の魔人限定ですが。そのせいで彼の配下すら殺せていません。私という戦力がいながら……!」
「うん。大丈夫。一人一人闇の剣で屠っていこう。それでこの長きに渡る戦いは終わるはずだよ」
「本当に、期待しています。闇蔵アキラ君。もしあなたがゲイマルクを討伐できたならこの体を差し出してもいい。それくらいの覚悟です」
「!」
……体を、差し出してもいい? 何語だ、それは。一瞬迷う僕をルナ会長はジト目で睨んで
「アキラく~ん。何悩んでるんですか~?」
「いえ。何も。安心してください。体を差し出す必要なんてありません。僕は純粋に善意でこの作戦に従事したのですから(大嘘)」
「! なんと優しい方。本当に、手助け感謝します……!」
エレナ・バートンは泣き出した。本当に限界極まっているって感じだな。対魔学園の生徒の間ではこのコキュートス学園に送られることを北送りと呼び処刑のように恐れる風潮があったからな。その代表として戦っていたこの人の心労は察するにあまりある。段々僕はこの作戦に対するやる気が出てきた。
「任せてください。ゲイマルクは僕が倒します!」
「はい。必ず。お願いします」
とはいえ、闇の剣が通じなかったらどうしよう? ……その時は。
「え? 何で俺を見るんだ?」
袋叩きにしてキョウ君にとどめを刺させるか。