ラノベ転生 ―底辺社畜、昔好きだったラノベの世界に転生するも転生先は暗黒系鬱ラノベの世界だった件― 作:哀原正十
「わー……あの数の敵が一瞬で凍りました……」
「早く! アキラさん! 私の神淵覚醒は長く持たない!」
「はい。それじゃぁ」
僕はバギーから飛び降りる。そして近くにいた魔人に向けて虚無の剣を振るった。
「虚無の世界に誘われろ」
ザシュ!
「……」
……果たして魔人は虚無の世界に誘われ二度と元の世界に戻ることはなかった。作戦は成功した。エレナ・バートンが弾む声で言った。
「早く、ゲイマルクを! あいつさえ倒せば周囲の敵は命を凍らせて殺せます!」
「はい! 死ねぇ、ゲイマルク! の前に」
僕は一応キョウくんに言った。
「キョウ君、適当な敵を光の剣で切り殺してみて」
「え? あ、うん」
ザシュ。
「……」
シュゥウウウウウ。
死体が溶けていく。光の魔力に晒されて、死んでいく。エレナ・バートンが驚く。僕は一つ頷き、ゲイマルクに向けて闇の剣を振るった。
「別にキョウ君でも良かったな。まぁいいや。死ねぇ!」
ザシュ!
無抵抗のゲイマルクを斬る。その体が虚無の世界に誘われそして二度と元の世界に戻ることはなかった。エレナ・バートンが詠唱する。
「エターナル・フォース・ブリザード!」
キィイイイイイイイイイイン!
命を凍らせる、つまり相手は死ぬ魔法によってその場で凍っていた魔人たちが纏めて死ぬ。エレナ・バートンが膝から崩れ落ちて泣いた。
「まさかこんなあっさり魔人ゲイマルクを倒せる日が来るなんて……う、うわぁああああん!」
「ふぅ……なんとかなってよかった」
「……あれ、私たち」
「なんの為にきたんでしょうね……」
僕の背後で黒桃煉と弾桜サクラが呟く。失礼な。弾桜先輩にはバギーを運転してもらった。黒桃煉は……うん。何のためにきたんだろうね。いや、僕が選んどいてなんだけど、本当に君何もしてないな今回……なんかごめん。
「何はともあれ問題が解決してよかった。さぁ帰りましょうエレナ・バートン代表うぉわ」
「うわぁあああああああああん! わぁああああああああああああああん!」
……エレナ・バートンは僕に抱き着き泣いた。余程ずっと気を張っていたんだろう。それが一気に弛緩して制御が効かなくなったに違いない。氷の彫像のように凍り付いて体の制御を失った僕に、
「えい」
ギュ。
会長も抱き着く。そして頭を撫でてくる。氷の彫像のように(中略)僕に、
「頑張ったから、ご褒美です。ぎゅっ! です」
「……ありがとうございます」
それだけ、喉から絞り出した。エレナ・バートンは中々泣き止まなかった。