個性図書館によるヒーローアカデミア   作:ヨガマスター

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今回の話は視点が結構変わります。


15.戦闘訓練とまさかの作戦②

 これから潜入するビルの前、ウチと上鳴は作戦を話し合っていた。

 

「渡されたアイテムはインカムと捕獲テープ、それとビルの見取り図か……」

 

「ひとまずビルの見取り図を読み込もうぜ」

 

「そうだね」

 

 上鳴にそう言われ、見取り図を見る。

 階段の場所は……ここか。

 

「見取り図はこんなもんでいいとして、とりあえず作戦はビルに入り次第まずウチが索敵をするからあとはその時考える、それでいい?」

 

「おぉ! 索敵できんのか! じゃあそれで頼む!」

 

 そんな作戦とも言えない作戦を決めた後、ついにオールマイトの声によって戦いが始まる。

 

『それではCコンビ対Gコンビによる屋内戦闘訓練、スタート!』

 

 その声と同時にウチらはビルの中へと入った。

 するとそこには……

 

「うぉ!? なんだこれ!?」

 

「大量の紫の球体……? 確か峰田ってやつの個性がこんなのだっけ」

 

 廊下や壁、いたるところに紫の球体が張り付けられた廊下がそこにはあった。

 たしか……、個性把握テストだと峰田はこれを使って跳びはねてたっけ? 

 

「ようやく来たかヒーローども!」

 

「っ! 峰田か!」

 

 峰田が廊下の先に現れ、思わずそう叫ぶ。

 まさか一階の時点ですでに一人いるとは思わなかったからだ。

 

「おっと……、まさか名前がもう割れてたとは……、しかしそれがわかっていたとしても関係ない、この上には何人たりとも行かせないぜ?」

 

「ぉお……、だいぶ役に入ってるな……」

 

「ウチらもヒーローっぽく振る舞ったほうがいいかな?」

 

 そんな事を考えているといつの間にか峰田が廊下の先から消え……っ!? 

 

「しまっ、上鳴!」

 

「うぉ!?」

 

「ずいぶんと上の空じゃねぇかヒーロー、連日のヒーロー活動で寝不足かい?」

 

 油断した! 

 そうだよ個性把握テストでも峰田はとんでもないスピードで跳んでたじゃんか! 

 ウチらが峰田の言葉遣いに気を取られた一瞬で、ここまで跳んで1人蹴り飛ばすことぐらいできるに決まってた! 

 

「ぐっ……、耳郎! 峰田は俺が引き受けるから先に行け!」

 

「っ……、わかった!」

 

「へぇ? 一人でオイラを倒せるとでも?」

 

「できるできないはやってみればわかるっしょ!」

 

 上鳴に先に行くように言われ、後ろ髪を引かれつつも先に続く階段へと走る。

 道中何個も紫の球体が貼られていたが、そこまでの密度ではなかったためうまく避けながら進み、なんとか2階へと上がった。

 

「っ……マジか……」

 

 そして2階に上がった先にあった光景は、1階と同じぐらいの紫の球体と幾つものネズミ捕りのような罠だった。

 

 *  *  *

 

「一人上に行ったぜ、もう一人はオイラが何とかするからそっちは頼んだ」

 

「インカムで会話とは随分余裕そうじゃねぇか?」

 

「おっと……、そう見えたか? 治そうとは思ってるんだがどうにも思っていることが行動に出る癖は治らなくてね?」

 

「くっそ、煽りやがる……」

 

 峰田と向かい合い、俺たちはそんな会話をする。

 さて、耳郎を先に行かせたはいいが、どうやって戦うべきか……

 無差別放電はさっきの峰田のスピードじゃ避けられるかもしんねぇし……

 使うならどうにかして近づかねぇと……

 そうだ! 

 

「確かこの紫の球体はさっきの峰田みてぇに跳ねる事ができるんだよな?」

 

「……ん?」

 

「それじゃあ俺もこれを使えば簡単にお前に近づけるよなぁ!」

 

 そう言って俺は勢いよく紫の球体へと飛び乗った。

 

「うぇ!?」

 

「あ〜……」

 

 そしてその直後に紫の球体に足を取られ転倒した。

 

「ちょっ!? これって跳ねるんじゃなかったの!?」

 

「オイラ以外が触るとくっつくんだよそれ……」

 

「マジかよやられた!」

 

「オイラこれに関しては罠のつもりなかったぞ……?」

 

 くそっ! 

 これがヴィランの卑劣な罠か! 

 

「とりあえず上半身もモギモギで……っと」

 

「うぇ……」

 

 転倒姿勢のまま更に紫の球体を投げられ完全に動けなくなってしまった。

 くそ、これじゃあ完全に見せ場がなくなる! 

 ならせめて峰田が確保テープを巻きに来た時に放電で……! 

 

「オイラだ、……そう、もう倒したぜ、……いや、ほぼ相手の自滅だ、……あぁ、今からそっちに行く」

 

 そう言って峰田が俺に背を向け去っていく。

 

「ちょっ!? 確保テープは!?」

 

「動けない状態からでも攻撃できる個性かもしれねぇからな、モギモギで拘束できてる以上近づく意味はねぇだろ」

 

「ぎくっ!?」

 

 まじか……

 これじゃ放電も無理じゃん……

 今回の俺、完全になんの見せ場なし……? 

 

 *  *  *

 

 いくつもの罠を掻い潜り、ついにウチは最上階へと辿り着いた。

 ここに来るまでに12分程かかり、残り時間はあとせいぜい2分ぐらい。

 時間はもうない、急がないと。

 

「……この階……罠がない?」

 

 最上階にはなぜか罠がなく、簡単に核のある部屋へとたどり着いた。

 なんだ? なんでこんな簡単に部屋に入れたんだ? 

 それに……

 

「だれもいない……? もう一人いるはずなのに……」

 

 核が置かれた部屋、そこには誰もいなかった。

 ただ核がぽつんと置かれただけ。

 一体どうなっているんだ? 

 

「……わかんないけどチャンスだ!」

 

 そう言って、ウチは警戒しつつも核に触れた。

 これでウチらの勝利だ! 

 

「……あれ?」

 

 しかし勝利アナウンスが聞こえてくることはなかった。

 

「っ……、なんで……!」

 

 何度も核に触れるが、それでもアナウンスは流れない。

 

「いったい何が起き『そこまで! 時間切れによりヴィランチーム、WIN!!!』……っ!」

 

 ついに聞こえて勝利アナウンス、しかしその対象はウチラのチームではなかった。

 

 *  *  *

 

 戦闘訓練が終わったオイラたちはモニタールームへと戻り講評を受けていた。

 

「今回の勝負はまさにヴィランチームの作戦勝ちって感じだったな!」

 

「あの、正直俺捕まってたから何が起きてたのかわからないんすけど」

 

「安心して、ウチも分かってない」

 

「ハッハッハ、確かに今回の勝負はヒーローチーム視点からだと何が起こったか分からなかっただろうね! ヴィランチーム! 説明をしてくれるかい?」

 

「はい」

 

「わかりましたわ」

 

 オールマイトに頼まれた為、オイラと八百万で今回の作戦を説明する。

 

「まず最初に説明するのは核の設置場所だよな」

 

「そうですわね、私たちが設置した場所は一階です」

 

「えっ!? じゃあ最上階にあったのは!?」

 

「あれは私の個性で作った偽物ですわ」

 

「にせ……もの……?」

 

 そう、これは万が一相手に索敵系個性がいた時のための対策だ。

 実は各階に一個ずつ核が置かれていて、どの階の核が本物か分からないようにしていたのだ。

 

「次にしたのが罠の設置ですわ」

 

「これは時間稼ぎのためだな、すぐに最上階にたどり着かれたらすぐに核が偽物だとわかって作戦の意味がなくなっちまう」

 

「えぇ、そしてここまでが事前準備、ここからが訓練中に行ったことの説明ですわね」

 

 準備時間が5分しかないから結構きつかったんだよな。

 なんとか終わらせたけど。

 

「まず訓練中にオイラがしたのはまず会話による誘導だ」

 

「誘導……ってまさか!」

 

「『上には行かせない』、そう言えば核は上にあると思うだろ?」

 

 これは一階をくまなく散策されて核を見つけられるのを避けるためのものだ。

 実際作戦通りに耳郎は階段を登ってくれた。

 

「そして次に1階に残ったヒーローの捕縛、正直これだけが不安材料で一番苦戦すると思ってたんだけど……」

 

「……はい、俺が自滅しました……」

 

「何やってんの上鳴!?」

 

 正直ビビったよなあの時は……

 普通正確にわかってない個性による物体に触れるか? 

 

「そして最後にしたのが逃走ですわ」

 

「逃走……?」

 

「えぇ、だってあのビルには核がありますもの、当然巻き込まれないために離れますわ」

 

「ま……マジかよ……」

 

 そう、オイラと八百万は耳郎が最上階へ登り始め、上鳴を捕らえた時点で勝ちを確信し、八百万のバイクでビルから離れたのだ。

 

「途中で峰田と八百万がモニタールームに入ってきたときは驚いたよな」

 

「まだ時間制限まで5分ぐらい残ってたもんね」

 

 そう赤髪の男とピンク肌の女子……確か切島と芦戸が、そう付け加えた。

 

「核とヒーローを置き去りにし、自分たちだけは逃走して生き残る」

「まさに賢しい凶悪ヴィランといった作戦だったな!」

 

 そうオールマイトがオイラたちの作戦を評価してくれた。

 ただ……、なんかあんまり嬉しくない評価だな……

 

「さて! 今回の作戦のようなことは実際の現場でも起こりうることだ!」

「このような作戦があることを忘れずに現場では注意を怠るなよ、少年少女!」

 

「「「はい!」」」

 

 そうして、今回のオイラの戦闘訓練は終わりを告げた。




ちなみに1階に核を設置して、罠を張りまくった最上階までの道を進ませて時間切れによる勝利を目指すまでが峰田が考えた部分で、それ以外の逃走の部分などは八百万の発案です。

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今後赤い霧の本を使うときどっちの姿にする?

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