これまでの話に脚注を追加しました。
控え室にて、オイラは次の準決勝について考えていた。
「相手は爆豪か……」
爆豪はシンプルに強いタイプだ。
本人の戦闘センスが凄まじく高く、搦手が通用しづらい。
しかも一度使った搦手は学習して逆に利用してくるタイプ。
だから爆豪に勝つために必要なのは純粋に実力で上回るか一撃必殺かつバレにくいの搦手を使うかなんだけど……
「オイラにそんなものはないんだよなぁ……」
純粋な実力じゃあ爆豪のほうが上だし、オイラの個性は搦手は得意だけど一撃必殺ってほどじゃない。
スピードなら上回れるだろうけど爆豪の反応速度なら普通に対応してくるだろうし……
だからといってモギモギを投げまくってゴリ押ししようにもモギモギは案外軽いから爆風で吹き飛ばされる。
いっその事爆風でモギモギに対応できない距離まで近づく……のは普通にオイラが爆破されるだけだな。
……どうしよ?
「……よし、一回立場を変えて考えてみるか」
敵への勝ち方が分からないときは敵の視点に立って何をされたら嫌なのかを考えるのがいいだろう。
そうだな……、爆豪視点でのオイラはあちこち周囲を飛び回ってモギモギを投げてくるめんどくさいやつだ。
だから投げられてきたモギモギを爆風で吹き飛ばしつつ一旦上に逃げるよな。
ただ逃げるだけじゃ意味ないから一気にオイラに近づいて攻勢に……
「……ん? いや、待てよ……」
爆豪視点だとオイラに勝つには近づいて爆破する必要があるけど、それって結構リスクを負う必要があるんじゃないか?
下手に近づいてどさくさに紛れて手にモギモギがつけられでもしたら爆破がモギモギで阻害されて使いづらく……、いや、それどころか最悪自爆で自分の手がボロボロになるよな?
「……あれ、もしかして爆豪もオイラも勝つ為に近づきたいのに近づけない……?」
……あ〜……、これ多分お互いに相性悪いやつだわ。
* * *
『準決勝第1試合、爆豪対峰田!』
『峰田の猛攻が止まらねぇ!』
試合が始まってからおよそ5分。
オイラは『スクランブル』を使い、跳ね回りながら爆豪にモギモギを投げまくっていた。
「ちっ、うっぜぇなぁ、おい!」
「そういいつつ全部対処してんじゃねぇか!」
いくらモギモギを投げても爆破で弾かれる。
だったらそれを利用して、地面が弾かれたモギモギで埋まるまで続けてやろうと思ったのだが、途中から爆破のやり方を変えたのか場外までモギモギが飛ばされるようになり、それも不可能になった。
やっぱ強ぇえな爆豪は!
「……そろそろあったまってきたなぁ……!」
「っ! がぁ!?」
来る、そう思った瞬間には爆豪の手のひらがオイラの目の前にあった。
オイラは咄嗟に顔を反らして顔面への爆破を避けるが、その直後に反対の手でお腹をゼロ距離で爆破され吹き飛ばされる。
「あぶねぇ……なぁ!」
「っ! テメェいつの間に!」
爆豪が近づいてきた時に反射的に爆豪の体操服に付けておいた『モギモギワイヤー』を掴んでいたおかげで、なんとか場外まで吹き飛ばされることを防ぐことができた。
そしてオイラはそのまま吹き飛ばされる勢いを利用してそのまま『モギモギワイヤー』で爆豪を投げようとしたが、既のところでくっつけていた体操服の上着を脱がれてしまい失敗した。
まぁ、もともと爆豪は服にもぎもぎをつけられた時を想定していつでも脱げるようチャックをしていなかったししょうがないか。
むしろもうモギモギがくっついたら対処できなくなったとプラスに捉えよう。
「防御の体操服なしじゃあ次はもう容易く近づけねぇよなぁ!」
「ちっ、関係ねぇわ!」
マジか、また近づいてきたぞ!?
オイラはまた吹き飛ばされてもいいように、『モギモギワイヤー』を地面と体操服につける。
「死ねぇ!」
「断る! 『モーギングスター』!」
またしても至近距離からの爆破、オイラは致命的なものだけは避け、それ以外はしょうがないものとして気合で受ける。
そしてその代わりにオイラは『モギモギワイヤー』の先に通常のモギモギをつけ、振り回しやすくした新技を爆豪に当てようとする。
しかし爆破による立体機動で上手く回避されてしまった。
やっぱさっき考えたばっか急ごしらえの技じゃ当たんねぇか!
「どんな耐久してんだクソが!」
「慣れてるからなぁ!」
爆破を受けまくってるが、痛みや衝撃は本読とのほぼ殺し合いのおかげで慣れている。
これぐらいなら本読の攻撃に比べりゃ余裕だ。
「クソがぁ!」
「まだまだ足りねぇなぁ!」
この勝負はもはや持久戦だ!
オイラが致命的な爆破を受けるか爆豪が『モーギングスター』を受けるか、先に失敗したほうが負ける勝負!
「っ、しまっ!?」
「!」
そして先に失敗したのは爆豪の方だった。
回避した筈の『モーギングスター』、しかしそのワイヤー部分に足が引っかかっていたのだ。
「っしゃあ!」
「ぐっ」
『モーギングスター』が命中した、それを認識した直後にオイラはそのまま爆豪を地面に叩きつける。
それによって爆豪は地面へと完全に固定された。
よし! このまま爆破で地面が抉られる前に完全に拘束を……!
そう思った瞬間だった。
「っ、負けてたまるかぁぁぁあああ!!!」
「なっ!?」
爆豪が両手をオイラに向けこれまでで最も強力な爆破を放ってきた。
そしてそれを認識した直後に全身に感じる強い衝撃、今にも引きちぎられそうだと思うほどの威力だ。
当然オイラは勢いよく吹き飛ばされる。
地面につけたモギモギワイヤーもこの威力だと地面ごとえぐられているだろうし意味がない。
油断した……!
『待て待て待て!? あれはクソじゃないか!?』
『ギリギリセーフ……ってとこだな、四肢が吹き飛ぶギリ手前ぐらいに威力が調整されている』
辺りに煙が立ちこめる中、そんな実況の声が聞こえてきた。
つまりオイラはまだ意識を保てている。
それならまだ……戦える……!
「っ、テメェまだ!?」
「くらえ……やぁぁああ!!」
『マジか!? なんと土煙から峰田が飛び出してきた!』
オイラの蹴りが爆豪に突き刺さる。
よし、あたった……
ならこのまま次は……つぎは…………
* * *
観客席にて、俺は最後に一撃を入れそのまま倒れてしまった峰田の姿を見ていた。
『……気絶……した?』
『脳震盪だろうな、それでも数秒動けたのはさすがといったところか……』
「……っは! 峰田君行動不能! 爆豪君の勝利!」
そのセリフの直後、会場に歓声が広がる。
「負けちゃったかぁ……」
けどモギモギは当たってたし、あの油断さえなければ勝ってたよな。
「……うん、間違いなく良い試合だったよ、峰田」
接近戦し辛い予想だったのに結局接近戦になったな……
なんでだろ?
人は誰だって高評価と感想が欲しい。
古事記にもそう書かれてる。
峰田のヒーローネームどうする?
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原作のまま
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