BanG Dream! 〜もし恋人がいたら〜   作:あきと。

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キラキラとドキドキのその先に




Poppin’Party編
戸山香澄(1)


 

 学校帰りの放課後。

 

 俺は花咲川女子学園近くの公園で待っていた。

 スマホの画面を見ると、待ち合わせ時間まであと五分。

 

「少し早く着きすぎたか」

 

 我ながら、想像以上に楽しみにしていたのかもしれない。

 目の前を下校中の男女が通り過ぎていく。

 中には、同じ学校の制服を着たカップルもいる。

 

 俺たちも、同じ高校に通っていたらあんな感じだったのだろうか。

 そんなことを考えていた時だった。

 

「おーいっ!!」

 

 聞き慣れた元気な声が響いた。

 

 振り向くと、遠くから全力で駆けてくる少女の姿が見えた。

 

「お、来た来た」

 

 風になびく茶色の髪。太陽みたいな笑顔。

 そして誰よりも楽しそうな表情。

 

「ごめんごめん!待った!?」

 

 俺の前まで来た香澄は、息を切らしながら聞いてきた。

 

「いや、俺も今来たところだよ。走ってきたのか?」

 

「うん!楽しみだったから。でも遅れちゃった?」

 

「大丈夫。時間もぴったりだ」

 

「えへへっ、そっか、良かったー!」

 

 そう言って安心したように笑う。

 

 その笑顔を見ているだけで、こちらまでつられて笑顔になってしまう。

 これだから、彼女はずるい。

 

 彼女の名前は戸山香澄。

 花咲川女子学園に通う2年生だ。

 同じ学校の友達と結成した五人組ガールズバンド、Poppin’Partyでギターボーカルを務めている。

 

 そして――俺の彼女でもある。

 

「それじゃ行こ行こ!」

 

「今日はどこに行くんだ?」

 

「え?」

 

 香澄は目をぱちくりさせた。

 

「え?って、いや、今日は香澄が誘ったんだろ?」

 

「あっ!」

 

 何かに気付いたように香澄が声を上げる。

 

「そうだった!」

 

「忘れてたのかよ……」

 

「で、でもでも!今日はすっごくいい天気だし!」

 

「うん」

 

「なんだかキラキラしてるし!」

 

「うん」

 

「だからきっと楽しいよ!」

 

「根拠がなさすぎるだろ」

 

 思わず笑ってしまう。

 すると香澄も楽しそうに笑った。

 

「あはは、でもきっと大丈夫だよ!」

 

「!」

 

 そして、彼女は自然な動作で俺の手を握った。

 

「その大丈夫の根拠は何処にあるんだ?」

 

「今日も君と一緒だからだよ!」

 

 柔らかい感触。

 

 一瞬だけ俺の思考が止まる。

 しかし、当の本人はそのことに気付いていない。

 いや、気付いてやっているのかもしれないが。

 

「ほらほら!」

 

 そう香澄は手を引っ張る。

 

「早く行こ!」

 

「分かった分かった」

 

 俺も歩き出す。

 

 青空の下。

 繋いだ手の温もりを感じながら。

 香澄は嬉しそうに笑った。

 

「今日はね!」

 

「うん?」

 

「絶対キラキラドキドキな放課後デートにしようね!」

 

「なんだか豪華そうなデートだな」

 

 相変わらずの香澄の口癖だ。

 けれど。その笑顔は、どんな景色よりも眩しかった。

 

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