GOD EATER~アラガミが嫁で悪いか?~   作:王・オブ・王

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プロローグ「アラガミだろうが美女は俺の嫁」

  神喰い(ゴッドイーター)の仕事をして二年ほどだろうか、十分な戦績を上げて第三部隊の隊長(リーダー)にまで上がった。

 第三部隊はエイジス島の防衛任務が主だ。

 今では“旧式”と呼ばれる武器バスターを使って敵を喰い続けた。

 

 何をしているのかなんて疑問にも思わなかったのは否定しない。

 ただ毎日、エイジス島を防衛してジーナちゃんやカノンちゃんに声をかけて、あしらわれて―――

 そんな毎日の中、自分が第一部隊に貸出された。

 

 第一級指定アラガミ“スサノオ”の討伐。

 

 仲間四人と共に戦闘に出た。

 今回もなんだかんだ言って仕留めて帰る予定のはずだったのだ。

 スサノオの討伐。

 特務のウロヴォロスだって一人で討伐した。

 

 もう怖い物なんてないはずだ。そのはずだった。負けるはずがない戦いで、負けたのだ。

 

 敵はスサノオ一体だが―――大きさが違った。

 ウロヴォロスよりも巨大な姿をしたスサノオ……聞いていなかった……そんなもの知らない。

 皆が呼んでいた“嘆きの平原”と呼ばれる場所にスサノオは居た。

 まず笑いしか出なかったのだ。

 

 直後に、仲間の二人は巨大な針に薙ぎ払われた。

 そして一人はその腕の神器に食われ―――俺はどうなった?

 思い出した、神器を一つ破壊してやって、針に吹き飛ばされていたのだ。

 

 吹き飛ばされて、崖を転がり落ちて、落ちて落ちて、落ちた先で倒れていた。

 体力には自信があったがダメだ。

 酷く体が痛んだがなんとか体を起こして壁に背をあずけた。

 そこに落ちていたのは、大量のゴミだ。

 

 ―――生臭くないのが最大の救いか……。

 

 くだらないことを考えてあたりを見まわす。

 地面と地面の間に落ちたせいであたりはほとんど真っ暗だ。

 奥から、ゆったりと何かが歩いてくる。

 俺はただそのゆったり歩いてくる何かを見ていた。

 

 ―――それは青い髪を持った女性―――のようなアラガミ。

 

 もぉなんでもよかった。

 際どい服でゆったりと歩いてくる女性を見て、口元に笑みが浮かんだ。

 そして指をさして俺は宣言した。

 

「もぉ、可愛いならアラガミもありだよ」

 

 その一言と共に、俺の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 心地良い闇だった。

 うわっ、この台詞だけ聞くと痛いな、なんて思いながら第一部隊のアイツを思い出した。

 名前はなんと言ったか忘れたがあいつだ。

 

「うぉっ……」

 

 小さく声を上げて眼を開いた俺は、あたりを見まわす。

 上には天井だった。

 ボロボロのアスファルトでできた天井。

 

「よっ、と」

 

 起き上がると、ボロボロの服だ。

 やはり攻撃を受けた後か―――じゃあ自分を横にしたのはだれだ?

 

「ん?」

 

 起き上がると場所は変わっている。

 アスファルトの地面を見る限り、どこかの地下などの部屋だろうか?

 あたりを見まわすと、幼児向けから大人向けまで数多の本が散乱していた。

 最近は調べものと言ったらターミナルのアーカイブだったので久しい。

 

「ほぉ、興味深いな」

 

 立ち上がって、本を見てみる。

 ボロボロの本が地面に散乱している中、数千枚の紙がセットになって積まれていた。

 その紙を見ると沢山の文字が書いてある。

 新しい紙に書いてある文字は綺麗で見やすい。

 下の方の紙は絶望的でミミズがのたうった様な落書きだ。

 

「長時間見てると頭が痛くなってきそうだ」

 

 下の方の紙は見ずに上の方の紙を見ていた。

 綺麗な文字。あたりに落ちているシャープペンシルや消しゴムやボールペン。

 書き物ができるものは片っ端からという感じだ。

 ラジオやテレビまである。どこから電気を引っ張ってきたのかは知らないが、テレビはニュースをやっていた。

 

 背後から物音がする。

 

「何者だっ!?」

 

 振り返ると、そこには一人。否、一体。

 意識が飛ぶ最中に見た。

 青い髪の女性型のアラガミ。

 

「アラガミ、美女だな……喰いにく……」

 

 待て、俺は神器を持っていないのだ。

 神器はアラガミの向こう側の、部屋の角にある。

 終わった。すべて終わった。

 

「……」

 

 俺にできることは正座待機。

 固いアスファルトの上で鎮座して待つのみ。

 さぁ来い。美しい女性型アラガミに食われるならば本望だ。

 

 その青い髪をしたアラガミは手にメモ帳とペンを持っていた。

 メモ帳に何かを記入すると、アラガミは俺にそのメモ帳を見せた。

 

<大丈夫?>

 

 そんなことが書いてある。

 どういうことだ。この俺に“大丈夫?”だと?

 

「君はアラガミだな?」

 

 頷くアラガミ。

 少し考えてみる。

 

「ここは君の部屋か?」

 

 もう一度頷くアラガミ。

 なるほど、本やテレビ、ラジオで文字を勉強したのだな。

 ならば大体の言葉は理解できるということか……。

 

「一つ聞きたい、俺を喰う気は?」

 

 メモ帳に文字を書き込んでいくアラガミ。

 

<ない>

 

 なるほど、ならば良いだろう。

 俺は今から本部に帰って、奇跡の生還を装わなくてはならい。

 このアラガミのことを伏せながらだ。

 

「ならば今日から、お前は俺の嫁だ」

 

 そう言って宣言してやった。

 命の恩人で美女なのだ。

 口説かない理由も嫁にしない理由も無い。

 

 無口? 上等だ良い萌えポイントだ。

 

 青い髪のアラガミはポカンとしている。

 そうしている間に、俺はアラガミの観察だ。

 身長は170程度か、頭の上に輪がついているが問題はないだろう。

 かなり際どい服を着ている。実に俺好みだ。

 

 そしてポカンとしているアラガミが直後に真っ白な肌を真っ赤にして両手をわたわたと振っている。

 うむ、可愛らしい。

 その姿を数分間眺めているとアラガミが落ち着いたのか、メモ帳になにかを書き込んでいく。

 そして公開したそのメモ帳。

 

<まずは恋人から……>

 

 よろしい。

 まさに俺好みだ。

 ゆっくり一歩一歩踏み出していくわけだな。

 

「あぁ、任せとけ……して名前を聞きたい」

 

 まだ名前を聞いていなかった。

 名前を聞くとアラガミ。否、俺の嫁は頷く。

 メモ帳に書き込んだ。

 

<アルダノーヴァ・プロトタイプ>

 

 そうかアルダノーヴァ・プロトタイプか……ん? おかしい。

 プロトタイプと言うと試作品ということ、アルダノーヴァの試作品?

 そもそもアルダノーヴァというアラガミ自体聞いたことが無いが―――プロトタイプなどあるわけがない。

 アラガミにそんなものがあるはずがない。

 ならばつくられたアラガミ?

 

「これはキナ臭くなってきたな」

 

 そうつぶやくと、アルダノーヴァ・プロトタイプはあたふたとして自分を臭いだす。

 なるほど、キナ臭いという言葉はまだわからないのか、身体は大人心は幼女。

 ストライクゾーンそのものだよ。

 

「大丈夫だ安心しろ」

 

 その言葉に、ほっと胸をなでおろすアルダノーヴァ・プロトタイプ。

 だが何度も心の中でアルダノーヴァ・プロトタイプと言うのも言葉にするのもちと辛い。

 

「アルフか」

 

 ふと名前をつぶやいていた。

 アルダノーヴァ・プロトタイプは頭の上に疑問符を浮かべている。

 その顔に笑いが浮かんできて、それを隠すことなく俺は建つ。

 俺の嫁を指さして俺は再び宣言する。

 

「お前の名前は今日からアルフだ、OK?」

 

 俺の嫁ことアルフは、アラガミとは思えぬ満面の笑みを顔に浮かべて頷いた。

 そして俺は立ち上がる。

 アルフの横を通って神器を持つと背中に背負う。

 

「さぁて外に出るか、アルフお前は待ってろ。すぐ迎えにくる」

 

 笑みを浮かべたまま頷くアルフ。

 俺はその地下から出る。

 階段を上って、地上に出た。

 

 久しい日の光。

 

 一つのビルだった。

 そこから出ると、そこに居たのはヴァジュラ。

 ルーキーには厳しいアラガミだろう。

 だが今の俺は無敵と言っても過言ではない。

 嫁候補ができたのだ。

 

 俺は自らの“新型”神器を変形させる。

 

 バスターをアサルトに“変形”させると、敵に構えた。

 俺の新型神器の初実践だが、負ける気は無い。

 

「フェンリル極東支部第三部隊隊長松田グラハム強襲中尉…嫁のためなら神だって食い殺してやる!」

 

 吐き出される(バレット)

 綺麗な放物線を描きながら放たれた弾丸(バレット)はヴァジュラを貫いた。

 まだ終わりではない、俺は神器を変形させて跳んだ。

 

 

 

 こうして始まるのは俺を含める数人の人間と二体のアラガミの決して表に出ることは無い事件。

 だがこれだけは言えること―――俺は彼女を忘れない。

 こんなクソッタレな世界だが、悪くないこともある。

 

 

 

 

 

 GOD EATER BURST~アラガミが嫁で悪いか?~




あとがき

はじまりましたぜ!

松田グラハムが主人公でこの物語は始まります。
ちなみに旧型から新型に変わっているのも仕様です。
松田グラハムは主人公やアリサが来るより前の人間ですのでベテラン。

では主人公が来るまでの間、楽しみにしていていただきたく候。
では、次回の更新で会いましょう!

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